赤い龍と蒼の魔女(仮)   作:イマーZ

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オッス!
何とか書き上げた作者であります。


…まるで超サイヤ人のバーゲンセールだな…

「…行くよ、みんな…!!」

 

魔剣を構えた木場祐斗の見据える先には、どれだけ憎悪しても足りないほど恨んだ剣、聖剣エクスカリバーがあった。

聖剣計画。非人道的な手段を用いた人工的に聖剣に適合した者を作り出す、カトリック教会が行った悪魔よりもおぞましい所業。その被害者である木場は目の前の聖剣に、犠牲になった数多の同士達の為に、奪われた未来の為に、激昂し灼熱の如き怒りを抱いていた筈だった。

 

(…不思議だ。…いや、きっと)

 

目の前で聖剣を構える白髪の神父フリードも、その後ろにいる聖剣を研究していた堕天使も木場にとって憎しみの対象の筈。だというのに今の木場悠斗には激怒が無い。代わりに、湖の如き静謐さがあった。

聖剣への憎しみがなくなったわけではない。だが、心は澄んだ水面の様に落ち着いていた。それはきっと、今も応援してくれているリアス・グレモリーとその眷属たちの言葉、そして、自身を信頼してくれる兵藤一誠の視線があったからだ。

 

少し前の木場は聖剣さえ破壊できれば、死んでしまっても良い感じていた。だが今は生きて勝ち残る強い意思を持っている。

主を捨ててまで復讐をしようとしていた自分を信頼してくれるリアス・グレモリー。木場の勝利を信じて疑わない姫島朱乃。切なげな表情で自分を心配してくれる塔城小猫。自分が彼女達によってどれだけ救われていたか、全員が木場にとってはもう失うことの出来ない掛替えのない仲間だと、今更になって気付かされた。

そして、木場の事を信じて頷いてくれた兵藤一誠。人間だと言うのに、大した才能もないというのに、諦めずに悪魔にとっても厳しい修行を続ける、木場にとって良きライバルであり、憧れている人間。

一誠の信頼を、仲間達の想いを木場は裏切るつもりは微塵もない。

 

「へ~、こりゃかなり出来そうなお兄さんじゃん。だけど、スペシャルな俺様と、この聖剣ちゃんに勝てるかなッ!!!」

 

奇声を上げながら切りかかるフリード。その剣速は人間では到達し得ない神速の領域、天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)の能力による斬撃だ。しかし、木場はその全てをいなす。

木場の造りだした魔剣は、聖剣の斬撃を受けても揺るがない。

 

「はぁあああ?! 何で無敵の聖剣様の威力でぶっ壊れねーんだよオオオッッ!?」

「…シィッ!!」

 

防ぎきられた事に驚愕するフリードの懐に一気に切り込む。

木場の剣は嘗てないほど冴え渡っていた。フリードの腹を両断すると思われた一太刀は、しかし天閃の聖剣の能力によって引き戻された聖剣によって防がれる。だが、木場はそのまま振り切る。完全に隙を突かれ、不自然な体勢で防ぐしかなかったフリードの聖剣は想像よりも圧倒的に重い一太刀によって弾かれた。聖剣こそ手放さなかったが、フリードの両手は体の上方へ向けて伸ばされ腹部の守りはなくなる。

 

「はあああ!!!」

「ぐ、のおお!!」

 

さらに斬りこむ木場の連撃は天閃の聖剣の剣速にも劣らぬ速さ。一太刀目で体勢を崩されたフリードは聖剣の能力で必死に防ぐことしか出来なくなる。得意の挑発も口を動かす暇がなければ出来はしない。

 

(冗談じゃねえええつぅううのおお!! こんなん聞いてねぇえぞッ!! やばいのは赤龍帝だけじゃねえのかよッ!! しかも、一太刀ごとにッ!!)

 

木場の剣が頬を、肩を、腹を掠め、フリードは心中で絶叫した。

禁手化に至った赤龍帝である兵藤一誠と、同じく禁手化に至った堕天使のレイナーレ以外は大したことが無いと、そう自身の今の主であるコカビエルに聞いていた。フリードも、赤龍帝とレイナーレ以外は自身の股間を潰したイセリア・ヴァルキュリア以外は脅威にならないと思っていた。だが、ならば目の前の剣士は何だというのだろうか。神器の能力で造った程度の魔剣で伝説のエクスカリバーと打ち合い、さらにはフリードの剣技を上回る。しかも一太刀ごとに、剣を振るえば振るうほどに技が冴え渡っていく。

 

「何をしているッ、フリードォ!! 与えた因子をもっと使わんか!!」

 

自分の造り出した聖剣が無銘の魔剣に押されている事実に我慢できず、バルパー・ガリレイは叫ぶ。同時に、フリードの持つ聖剣の刀身のオーラが増し、輝きが強まる。

それを見た木場も自分の魔剣へさらに力を込める。何時もなら、とうに限界まで魔力を込めている筈だ。が、今ならば何処までも力を込められる、そんな不思議な確信が今の木場にはあった。

 

「…っ!!!」

「おあああ!!」

 

全力の太刀が振り下ろされる。

強大な聖なる力と魔なる力。相反する力が周囲を吹き飛ばしながらぶつかり合う。その剣はほぼ互角。木場とフリードはお互いに弾き飛ばされた。だが、剣の使い手は木場の方に軍配が上がった。

 

「……フゥゥゥ」

「はぁ、はぁ、はぁ、ま、マジですか? 聖剣ちゃんの全力で傷1つついてねえじゃん…」

「な、なぜだ…」

 

フリードとバルパーは信じられない事実に思わず目を剥いた。木場の神器は魔剣創造(ソード・バース)、使い手の技量しだいで無類の力を発揮する神器ではあるが、今だ禁手化にも至っていない未熟な神器のはずなのだ。本来なら使い手である木場ごと切り捨てられ砕け散っているはずなのだ。だというのに3本のエクスカリバーを統合した聖剣で傷1つつけることが出来ない。

 

「ふざけんなぁああ!!!」

「っ!」

 

激昂したフリードは透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)の能力を使い聖剣を透明化させ、さらに天閃の聖剣の能力で斬りかかった。しかし、木場に傷をつける事は出来ない。木場はその斬撃の全てを魔剣でいなし、反撃する。

透明の攻撃、タキシード仮面と訓練を続けていた木場にとっては見慣れすぎた攻撃。まして、タキシード仮面と比較しても、その完成度はタキシード仮面が圧倒的に上だ。フリードは殺気を表に出しすぎている。そしてその剣速も赤龍帝である兵藤一誠のラッシュを訓練で受けてきた木場にとっては脅威にはならない。

 

(何故だ! 何故あれ如き駄剣に私のエクスカリバーが…!! む、こ、これは!?)

 

バルパーは自分の懐に光るものを見つける。それは自身が嘗ての実験で造り出した聖なる因子。聖剣を扱うために必要な因子の結晶だった。多くの犠牲者を出して造り出したそれが木場の魔剣に反応するように光っているのだ。

それだけではない。フリードの持つ聖剣も木場の魔剣に呼応するように光を放っている。それも、悪魔を祓うような激しい光ではない。まるで待ち望んでいるものに出会ったかのように淡い、優しい光だ。

 

「……みんな」

 

その光を見た木場は、静かに涙を流す。

バルパーはこの光を理解出来なかったが、木場には解っていた。木場と同じ、聖剣計画で使われた者、処分という名の虐殺で、死んでいった者たちの輝き。死してなお、生きて欲しいと、同士を、木場を想う力だった。

 

「な、なんですかぁ、こりゃあ!? バルパーの爺さん!!」

「わ、解らん?! いや、これは実験体どもの魂が、奴を守って…?!」

 

聖剣とバルパーの持つ結晶から漏れる青白い光は、木場の下に、魔剣に集っていく。

 

「これは、祐斗の…」

「ええ。祐斗君の同士たちですわ…」

「祐斗先輩…」

 

神秘的な光景に、思わずリアスたちは瞠目する。

戦場に漂う様々な力の影響か、本来悪魔達にダメージを与える筈の聖なる光は、しかしリアスたちに痛みを与えない。寧ろ温かさと安心を感じさせた。

 

「――みんな、…僕達は」

『そうだ―』

『たとえ神がいなくても―』

『みんなが集えば―』

『私達の心は―』

『ひとつだ、だから―』

「―共に、いこう…!!」

 

何処からとも無く聞こえた言葉に木場が答えた時、木場の持つ魔剣は光り輝いた。

魔剣であるはずなのに、その光は神々しく、何処までも神聖な光を放っていた。

 

 

 

 

 

 

『至った。至ったぞ、相棒』

「応っ、……ちっくしょうあの野郎、マジで格好いいじゃねーか…!」

『そうだな、誰かさんの時とは大違いだ。違いすぎてちょっと泣きそうだ、相棒』

 

イセリアのおっぱい見て禁手化した俺とは違い、木場の禁手化の仕方はカッコ良すぎてドライグも唸るほどだ。

今の木場の魔剣、いや、その呼び名はもう正確では無く正しく聖魔剣とでも呼ぶべきか、木場の剣は聖剣と魔剣、相反する力を合わせた剣を持っていた。

フリードの聖剣と比較してもその聖なる力は劣ってなんか無い。

 

「ちょっと、赤龍帝。油断してんじゃないわよ」

「ちょっと待ってくれ、何か俺と違ってイケメンすぎて涙が…」

 

相変わらず金色のレイナーレから注意されるけど、おれもちょっぴり涙が兜の中を伝っててあれなんですよ。それに、あいつの仲間だったっぽい奴の温かい光を見てたらなんか涙腺に来たんだよ。

ちなみに、コカビエルはさっき俺の”ドラゴンローリングクラッシュ”という相手を背後から羽交い絞めにして錐揉み回転しながら脳天から真っ逆さまに落下する奥義で校庭に犬神家にしてる。翼が邪魔だったんで両足を掴んでやったけど。

 

「おのれぇええええ!! 赤龍帝ぇええええええ!!!」

「うわっ、復活しやがった」

 

憤怒の表情で起き上がるコカビエル。顔が土まみれであんまり怖くない。

あれで決まってたら楽だったんだけどな。

 

「ま、どっちだって良いけど、俺もお前もここには場違いだ。さっさとくたばってもらうぜ」

「なにぃぃ…!! 調子に乗るなよ、赤龍帝ェ!!」

 

激昂して光の剣で俺に斬りかかるコカビエル。当たればこの赤龍帝の鎧でもダメージを受けるだろうが、俺は奴の光の剣を無視して突進する。一気に奴の懐に飛び込むことによって光の剣の間合いから外れるのだ。

光の剣はその刀身を俺に当てることなく、俺の肩にコカビエルの右手が当たるのみ。ゼロ距離、インファイトの距離は俺の間合いだ!

奴の左足を俺の右足で踏み抜く。そのまま奴を固定し、右肩からコカビエルの腹目掛けて体当たり。足を固定されていることによって俺の突進の衝撃をそのまま受けることになる。

 

「ぐぉおおっっ!」

「止めだぁ!!」

 

体当たりの後、そのまま俺は跳びあがり、仰け反ったコカビエルの脳天目掛けて組んだ両拳を振り下ろす。

だが、流石に堕天使の幹部。後ろに吹き飛びながらも10枚ある羽で俺の攻撃をガードしやがった。

奴はその吹き飛んだ勢いを利用して、そのまま空中へ飛びあがる。

空中戦の経験が少ない俺は、このまま地面で戦って止めを刺したかったんだけど早々上手くはいかないか。

 

「喰ら…」

「私も居るのよ!!!」

「何ィ! うおっ!!」

 

飛ぼうとしていた俺目掛けて光の槍を放とうとしたコカビエルは、丁度よく空中に飛んでいたレイナーレの黄龍の腕に横っ面を殴り飛ばされた。

ナイスッ! しかも丁度よく俺の方角だ!

 

「オラァッ!!」

「舐めるなぁ!!」

 

跳んで来た勢いを利用して蹴りを入れてやろうとしたが、コカビエルは10枚の翼を鋭利な剣に変身させて俺に斬りかかった。

剣山のような翼は流石にやばい。刺さったら超痛そうだぜ。背中のブースターを吹かせて緊急回避する。

 

『相棒、あの程度そのまま蹴り抜け』

「刺さったらどうすんだよ」

『あの程度、気を集中させれば問題なかった。…全く、相手の力量を確り見切れ』

 

ドライグ先生、経験値が少なすぎて無理です。というか普段の訓練相手のイセリアさんが赤龍帝の鎧をボコボコ簡単に壊すから自信ないです。

 

「これが、僕達の剣だ!!!」

「ちっくしょおおおお!!」

 

と、見下ろせば木場の決着はついたらしい。

木場の聖魔剣は白髪の神父を、構えたエクスカリバーごと斬り払った。

…あの野郎マジで伝説の剣を越えやがった。

 

「……」

 

斬られたフリードを無言で見下ろすコカビエル。

まだバルパーとかいうジジイも居るが、そいつもエクスカリバーが斬られて意気消沈、木場の聖魔剣を見ながらブツブツ呟いているのみ。

もう戦えるのはこいつ1人という事だ。奴の後ろはレイナーレが取り、俺と挟み撃ち状態だ。

 

「バルパー、貴方も斬る。同士たちの仇、もうこんな研究はさせない」

「…っ、そ、そうか! 聖と魔、相反する2つの力。それを司るものが居なくなった、だから…!」

 

木場がバルパーに剣を向けた途端、バルパーは何事かに気付き顔を上げるが、そこにコカビエルが光の槍を放とうとする。が、投げつける前にその顔面を殴りつけてぶっ飛ばした。

校舎にぶち当たって止まるも、まだ奴は戦えるようで土煙を上げながら再び上空へ飛びあがる。

…こいつ、仲間に手をかけようとしやがった。

 

「何のつもりだ…!!」

「ぐっ、…フン、もとより俺は独りで十分。なにより、バルパーは気付いてはいけない事に気がついた」

「こ、コカビエル…! や、やはり…!」

 

俺が問いただせば全く悪びれもせず何事か言うコカビエル。そしてバルパーはコカビエルを見上げ、何かを確信したようだ。

…一体何だ? 殺さないといけないほどの秘密、そしてバルパーの慄き。

…コカビエルの性癖が凄いやばかったとかか…?

 

「やはり、魔王だけでなく神も死んでいるのか!? コカビエル!!」

「やはりお前は優秀だ。そうだ、神は死んでいるっ!!」

 

ドヤ顔で力強く言うコカビエル。

 

「人間は神が居なくては心の均衡を失い定めた法も機能しない不完全で惰弱な生物だ。そして、人間に頼らねば種の存続も危うい三勢力、これでは神の死を伝えるわけにはいくまいっ! ハッ!! どうだ、お前達のあ、る…じは…?」

 

ドヤ顔でペラペラと喋っていたが、俺達の冷たい反応に止まるコカビエル。恐らく、俺達の動揺を誘って隙を作ろうとしたんだろう。

…先にネタバレされてた俺達に隙は無かった。

 

「何だ!? 何故おどろか、グオッ!! 何だこの鎖はっ!?」

 

! さっきコカビエルがぶつかって壊れた校舎から伸びる謎の蒼いオーラを纏った鎖。先端には小さいドリルがついていて、紐の様に細いそれはコカビエルの羽ごと巻きついて身動きを完全に封じた。

というか、鎖が纏ってる蒼い炎、間違いない!!

 

「グオオオオッ!!??」

「とった…!!」

 

鎖に引っ張られて地面に逆さまに落ちていくコカビエル。そんなコカビエルの両足を掴み、空いたその股間を足で踏み抜く蒼い炎の魔人。

間違いねえ! 股間クラッシャー、イセリアだ!! 落ちる一瞬、交差した瞬間に凄い勝ち誇ったドヤ顔してた!

やばい! あの技、地面へ叩き付けて頭と股間を同時に破壊する気だ! このままでは勝負に負ける!

 

「くっ! イセリア、隙を伺ってたな!」

「この卑怯者! 手柄の横取りなんてさせないわよ!!!」

「勝てば良かろうなのだ!!」

 

俺達の抗議に凄いこと言っちゃうイセリア。おまっ、それ正義の味方が言って良い台詞じゃねーだろ!!

俺とレイナーレは落ちていくコカビエルとイセリアを追いかける。が、イセリアは袖口から鎖の伸びている右手ではなく、左手をコカビエルから離して上に向かって伸ばす。そしてそこから発射される蒼い炎で加速?! 槍無くても炎使えたのか?!

 

くっ! 速い!? もう地面スレスレなのに俺もレイナーレも手を伸ばしても僅かに届かない!

あっ! レイナーレ、ズル! 光の槍で攻撃延ばそうとしてる!? なら俺もドラゴン波で…!!

 

「え?」

 

と思った瞬間に、イセリアが急にコカビエルを無視して俺に抱きつく。

なんですかこれ?! ゴール?! え、ゴール?! って、何か凄い力が湧いてくる?! しかも超温かい?! 何だこれ?! 何だこれ?!

イセリアから流れこんでくる力に合わせてか、赤龍帝の鎧の間接部分がパカパカと開いていく。そこから覗くのは蒼いライン?

 

「デュランダルよ!!!」

 

鎧の変形の正体を知る前に、あと少しで地面というところで、4人揃って仲良く聞き覚えのある声と共に襲ってきた巨大な光に包まれた。

 

 

「す、すまなかった…! な、何故か気がついたらデュランダルで…!」

「犯人はみんなそんなこと言うのよ。むしゃくしゃしてやった、とかでしょ」

「ち、違うんだ! 信じてくれ!!」

「後は署で聞く。警察に連行してやるっスよ、このアマ」

 

金髪になった髪が逆立ち、パチパチと電撃らしきものが走っているレイナーレ。そして、その隣で警察官のコスプレしたミッテルトが正座したゼノヴィアの両手に手錠をかけた。

さっきの光はゼノヴィアが持っている聖剣、ディランダルによる攻撃だったらしく、俺達は仲良く喰らった。イセリアが俺に抱きついたのは攻撃を察知したかららしい。

 

「待ってください、誰にだってむしゃくしゃしてしまう時がありますっ」

「アーシアさん、それ信じてくれてないよ…」

「え、あ! ごめんなさいっ! きっと何かあるんですよねっ」

 

警察へ連行されそうになってるゼノヴィアに助け舟をだそうと一生懸命なアーシアだが、あんまり擁護出来てない。

 

レイナーレはその神器の性質上デュランダルの攻撃を防ぎ、また光を吸収してレイナーレは無事。寧ろパワーアップしてバチバチ言い出した。

イセリアはいつぞやの様に蒼い炎を自分の姿が見えなくなるほど放出して防ぎ、俺も一緒に守った。その際に俺も何倍もパワーアップした気がしたんだが、気のせいだったのか今は何とも無い。

ちなみにコカビエルは股間をやられた上にまた犬神家になった。部長達と生徒会長達で魔法陣の中に厳重に封印中。バルパーも逃亡しようとしたところ木場によって斬られてフリードとか言う白髪神父と一緒に封印された。

 

「大丈夫だった?」

 

考え事をしていると、隣に来て俺に話しかけるイセリア。

服装は前に見た戦闘服なんだけど、何故か露出が減っている…! 何故だ!? いや、別の男に見せてしまうことを考えると別に良いんだけどさ! でも何か露出減ったほうがちょっとエロいよな。服の横の隙間からからおっぱいに手を突っ込みたい。

 

「ああ、イセリアの御蔭だな。けどあの時、何か鎧が変わった気がしたんだよなぁ。イセリア解らないか?」

「なななな、何の事かな? 私、ししし知らない」

 

目が左右に泳ぎ、しどろもどろになるイセリア。明らかすぎんだろ…! 

そういえば、戦う前にドライグが呟いていた改造が何とか…。イセリアも噛んでるってことか。

 

「そこんとこ、どうなんだドライグ」

『うむ、その通りだがまだ早い。アレは相棒がもっと赤龍帝の鎧を使いこなすようになってからだ。イセリアよ、今回のは想定外だったから仕方が無いが、相棒の事を考えれば早計だったと言わざるを得ないぞ』

「うぅ、すまない」

『大体、あの程度の攻撃ならまだ耐えられた。お前は相棒のことになると直ぐに短絡的になる。この間も…』

「…ぅぅ」

 

ここぞとばかりにお説教するドライグと縮こまっていくイセリア。

このままじゃ30分はそのままなので割り込んで止める。

 

「で、結局アレは何だったんだ?」

『新たな力だ。イセリアの炎の力を俺と相棒のパワーアップに使う。いわば人造ヴァルキュリアだったか? それに近いものだ。鎧の変形はヴァルキュリアの炎を適切に扱うための変形。相棒はイセリアの炎に慣れさせるためにそのネックレスを持っているのだ』

「ま、マジで?!」

『此処最近、夜にどんな訓練しても朝には回復してたろ。それに、力も上昇してきていたはずだ。つまり、そういうことだ』

 

前ミルタンにしようとしていた改造か?! つまり、俺もイセリアの様に蒼いオーラ纏って炎撃てるようになんのか?!

てか、知らない間に改造されてた!?

イセリアへ視線を向けると申し訳なさそうに頭を下げられる。

 

「黙っていて、ごめん」

『相棒、イセリアはお前を想ってやっていたのだ。許してやってくれ』

「いや、全然怒ってねえけど、なんていうか、何を焦ってんだ」

 

イセリアは俺が強くなるまで俺を守ると言っていた。だからきっと、自然に俺がイセリアより強くなるのを待ってくれてるものだと思っていたから、今回のは不思議だ。

らしくないと言うか。

 

『相棒、赤龍帝の篭手には禁手の先がある。それをイセリアに教えてしまった』

「? 何だそれ」

『覇龍の力だ。使えばお前は死ぬ』

「は?」

 

相手が死ぬじゃなくて、俺が死ぬんかい!

 

『それに至らぬように別の道を模索していたのだ。どうしてもこの先は禁手を越える力が要るからな』

「そっか…、その、ありがとな」

「! …うん」

 

2人は、俺の為に本当に色々とやってくれてる。なんか照れくさくなって頬をかきながら礼を言うと、イセリアは穏やかに微笑んだ。

 

「撤収するわよ」

 

と、良い雰囲気になっていた俺達に声をかける部長。なんか、みんなの顔が呆れてるような…。

 

「っ! …」

 

集合しようとしていたところ、突然空を見上げるイセリア。何かを睨むように見上げるイセリアに俺も上空を見詰める。そして、俺の中のドライグの感情が僅かに昂ぶっているのが解る。

…何かがいる。確実に、俺達に関係する何かが。

 

「―待ってくれないか」

 

その声は空から響いた。

戦闘経験の少ない俺にも解る。ぞっとするほど圧倒的な強者の声、コカビエル何て相手にならない奴だ。声を聞いた全員の顔に緊張が走った。

そして、俺と似たドラゴンの力。…まさか、これって。

 

固まる俺達の前に空から一条の光が舞い降りる。超高速で降り立ったそれは地面にクレーターを造ることも無く、その手前で急停止した。

白い、顔まで覆う全身鎧。俺の赤龍帝の鎧にそっくりな姿。決定的な違いは色が白いこと、そして神々しい光を放つ八枚の光の翼。

間違いない、こいつがドライグの言っていた…!

 

「……白い龍(バニシング・ドラゴン)…!!」

 

呟いたのはレイナーレだった。目の前の存在を認識した全員が戦闘態勢に入る。

部長達を庇うように聖魔剣を構える木場。レイナーレはアーシアとミッテルトの前に出てその黄金の腕を構える。匙も生徒会メンバーを守るように前に出た。

 

「コカビエルたちを渡してくれないか? リアス・グレモリー」

 

だが、奴は俺達の警戒などまるで気にも留めず、気安く、それこそ町でばったり会った知り合いに対するように話しかける。

声をかけられた部長は顔を引き攣らせた。それだけ、目の前のこいつはやばい。というか、隣のイセリアもやばい。今だ嘗て無いほどの物凄い殺気で白い奴を睨みつけてる。近くにいる俺の方が怖いんですけど、ドライグまでちょっと引いてんだけど…。白い奴も気がついてるのか、イセリアの殺気を受けて嬉しそうに見える。ドMですか、そうですか。

 

「…断ると言ったら?」

「全員死ぬことになる。死んでみるか…、っ、く!!」

「イセリア?!」

 

部長の質問に白い奴がそう返した途端、イセリアが白い奴に蹴りを放った。白い奴もイセリアの蹴りを腕で受けて後ろに跳ぶ。

あの白い野郎、滅茶苦茶嬉しそうに…。イセリアが爆発寸前だったのを解ってて挑発しやがったな…!

 

『イセリア、落ち着け! 武器の無い今のお前では…!!』

「……っ!」

 

さらに連撃を加えようと飛び掛りそうだったイセリアに抱きついて止める。ドライグもこう言ってるし、今のイセリアじゃまずい相手だってことだ。そんな奴に1人で特攻なんてさせられん…!

 

「なんだ、来ないのか? 楽しめそうなんだが…」

「こら、挑発すんなよ、この野郎!!」

 

クイクイとイセリアに向かって指を動かす白い奴。

人が一生懸命窘めてんのにそれを無駄にするように挑発しやがって…!!!

って、今度は俺の方を見てなんか嬉しそうにしてやがる。何なんだこいつは…!?

 

「ふふふ、宿敵君。強くなっていてくれて嬉しいよ。特に、最後に出した力は何だ? 興奮したよ」

「――!!」

 

こ、こいつ、戦闘狂って奴か…?! しかも何だ興奮したって、変態っぽいぞ!

さ、最悪な奴に目をつけられてねえか、俺…!

 

「白龍皇、貴方はアザゼル様の命令で此処に来たんでしょう…?」

「…へぇ、面白いな、その神器」

「っ!?」

 

俺達を庇うように前に出たレイナーレ。今度はそのレイナーレに興味の対象が移ったようで、レイナーレの体に緊張が走ったのが見て取れる。

が、流石にこれ以上の目移りはやばいとでも思ったのか、それともアザゼルという名前に思うところがあったのか、白い奴は両手を挙げて降参ポーズをとった。

 

「まあ、その通りだ。これ以上すると、本当に戦争になってしまう。渡してくれるとありがたいんだが」

「…解ったわ」

 

部長が頷くと、白い奴は部長達が懸命にかけたコカビエル達の封印をいとも簡単に破り、その肩に担いで飛立とうとする。

正直安心した。こいつ戦闘しかけてきそうだったし。

だというのに、せっかくどっかに行ってくれそうだったのに話しかけるドライグ。

 

『…珍しく敵意が低いじゃないか、白いの』

『それはそちらもだろう? 赤いの』

『ああ、大切なものを思い出した。嘗て抱いていた純粋な想いだ。それに、今はこいつの、こいつらの成長を見たい』

『……そうか、偶には悪くない。またいずれ会おう、ドライグ』

『ああ、アルビオン』

 

白い鎧の宝石が輝いてドライグにそう返した。

なんか、ドライグの奴。俺達のお父さんみたいな感じの台詞で照れくさいんだが。

 

「今度会うときは、ぜひ万全の状態でいてくれ。そのときは思う存分やり合おう」

 

白い奴はそう捨て台詞を残して飛立っていった。

マジで嵐みたいな奴だった。というか、全然遭いたくない。あんな奴と街中でエンカウントした日には神様を呪い殺したいくらいだ。…あっ、死んでるんだった。

 

「…はぁ、拙かったですね。イセリアさんが蹴りを入れたときは本当にヒヤヒヤしましたよ」

「……武器が要る」

 

生徒会長の言葉にも答えず、イセリアは拳を握り締めていた。骨が軋むような音を聞いた。

 

 

「おかわりッス!」

「あ、私も」

 

結局、全員強敵と戦ったことと、白い奴への緊張疲れもあり、あの後は解散となった。

なのに、なぜか家にいる喫茶マウンテンキング組み。喫茶店が破壊され、住む家が無くなったからだとか。ちなみに店長さんはミルたんの家にいるらしい。イリナとゼノヴィア、アーシアも家にいるが、ショックなことが多すぎて、今は寝込んでしまってる。あと、変態仮面が何故か庭先で十字架に張り付けになっていた。母さんがやったらしい。

そして、イセリアは相変わらず元気が無い。今もレイナーレたちの為にご飯をよそってるが、何処か上の空だ。

 

「イセリアさん、元気が無いね」

「さっきのこと、まだ考えてんだろうな」

「白い龍だね…。はっきり言って全然勝てるビジョンが浮かばなかったよ」

 

白い奴を思い出してか、木場の指は震えていた。

そりゃ、あの戦闘狂っぽいやつに遭遇したらこうなるよな。

 

「でもお前、すげー禁手になったな。聖魔剣だっけ、白と黒が混じっててかっこいい剣だったぜ」

「! ありがとう、イッセー君」

 

? 思ったまま聖魔剣を褒めると嬉しそうに笑う木場。

どっか可笑しいと思ったら、そういえば俺の、俺達の呼び方が変ってる。

 

「お前、今イッセーって…」

「あ、いや、迷惑だったかい…?」

「いや、ドラレッドよりずっといいぜ」

 

なんかこいつ、頬を微妙に染めてんだけど…。

 

「…お姉さま、こいつ、両刀っすよ」

「…気をつけなさい、ミッテルト。この色情魔、多分何でもいける口よ」

 

おい、聞こえてんだけどそこのダ天使(ダメダメ天使)共…!

何で俺が木場を攻略したことになってんの?! 可笑しいだろ?!

 

このまま此処にいては、俺はおかしくなる。気になっていたし、木場に一声かけてキッチンへお湯を沸かしに行ったイセリアのもとに向かった。その際に寂しそうな声を木場が出してたなんて俺は知らない知りたくない。どっちにしろ、明日木場にはみんなでお祝いするしな。

 

「……」

 

キッチンへ着くと、火にかけたやかんをじっと見詰めるイセリアがいた。相変わらず戦闘服のままだ。

俺が近づいても、反応らしい反応を見せない。

つまり、チャンス!

 

「だ~れだ?!」

「っ! きゃあああ!!」

 

前掛けの隙間から両手を入れてそのおっぱいを揉む! そして驚いて跳ねるイセリア。

生おっぱいかと思ったが、下着っぽい戦闘服が邪魔してやがった。だが、これはこれで…良い! 寧ろ良い! そして悲鳴も、珍しく女の子らしい悲鳴! 

これは…

 

「興奮したらばっ!!」

『無茶しやがって…』

 

俺の頬にきれいに入るイセリアの右ひじ。胸を揉んでご褒美の肘鉄も頂いてしまった。我が人生に悔いは無い! あっ、やっぱあった、まだキスもしてねえ!

 

「な、ななな何するんだっ!」

 

顔を真っ赤にし、ちょっと涙目で胸を両手で隠すように押さえながら猛抗議するイセリア。

此処はひとつ、言っておかねばならんな!

 

「ふっ…この俺に易々と背後をとられるとは。伝説のヴァルキュリアの名が泣くぜ…!」

「っ!」

 

さあ、何時もの様に俺をポカポカと殴るが良い。こういう時、レベルの高いセクハラを受けた時のイセリアは顔を真赤にしながら全く力の篭ってないパンチしてくるからな。

と身構えていたが、イセリアは俯いてしまった。

あれ? 思ってた反応と違う…! 床に落ちる水滴。って、泣いてる…!?

 

「い、イセリア?! ご、ごめん、やりすぎたか?!」

「ご、ごめん、なさい…、守る、って、言って、たのに…」

「!」

 

イセリアの落ち込んでいた理由、それは白い奴に勝てなかったから。もし、あの白い奴がその気なら、俺までその牙が届いてしまっていた。そう考えてるんだろう。

イセリアの泣いている理由がわかって、俺は嬉しくもあったけど、同時に悔しかった。そんなに俺が頼りないのか、そんなに俺って弱いのかって思ってしまう。

 

「なあ、イセリア。俺ってそんなに弱いか? まだ、お前の隣に立てないか?」

「…ッ!」

 

無言で横に顔を振るイセリア。それに、少しは認めてくれてるんだと安心した。

 

「イセリア、俺はあんな奴には負けねえ。いや、誰にだって負けたりしない。だからさ、もう少し俺に頼ってくれよ」

「…指きり」

「え?」

「んっ」

 

差し出された小指。それで漸く解った俺はその指に自分の指をあわせる。

 

「指きりげんまん」

「嘘ついたら」

「針千本飲~ます」

「「指切った」」

 

2人で声を揃えながら指を離す。

何となく、温かい気持ちになる不思議なまじない。どちらが先だったか、お互い顔を合わせて笑いあった。

 

そんな時、背後から視線を感じる。2人分くらいの。

 

「…(赤龍帝ぇ、腑抜けにすんなって言ったよな…!)」

「…(リア充爆発しろッス)」

 

こういう副音声が篭ってそうなくらいの怨念篭ってる視線。

こわっ! ていうかご飯粒つけたままデバガメすんなや! 

 

 

 

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