───財団の全電源が停止した──つまり停電だ。
一般家庭ではそこまで慌てるようなことではないだろう。
しかしここはそんじょそこらの財団を名乗っているグループとは少し違う。
ある「物体」がそこには保管されてある。その「物体」とは男の姿をした石だ。
24時間年中無休で稼働させている紫外線照射装置、
なぜそんな機械があるのか?
何故かと言うと、この物体を保管するのに必要だからである。
だが、停電が起きてしまえば?
必然的に、電力が機械に供給されず、動かなくなる。
そして、財団中の電気が消える。当然、何も知らない財団員は少ししか驚かないだろう。
だが、「物体」を深く知る人物なら──?
財団員α「お、おいッ!さっさと電気を復旧させろォ!あいつが、あいつがッ!!」
財団員β「あん?なんだ、停電くらいでそこまでビビってるのか?」
財団員α「は、早くっ!はやく復旧させてくれッ!」
──明かりが点いた。意外と早い復旧だった。が、「物体が動く」のには
申し分ない時間だった。
・・・・・・物体が無いのだ。電気が消える先ほどまで紫外線を浴びせていたのに。
「『サンタナ』が脱走しました。財団員は速やかに外へ逃げてください」
放送が鳴り響く───。
そう、そのサンタナなる物体──いや、生物こそが、先ほどの物体なのだ。
数時間後、何人かの財団員が財団内に調べに行ったが、サンタナは見つからなかった。
財団員は無事全員帰ってきたが、もし、外にサンタナが脱走していたら?
それこそもう終わりだ。波紋使いの者はジョセフ・ジョースターほどしか居ないが、
彼はあいにく日本の杜王町という所にいる。まぁ老体に拍車をかけるのは気が引けるが。
* * *
──ここ…は…どこ…だ…? 俺は…確か…井戸に…飛び込もうと…して…
…今は夜か…。周りを見渡したが…湖がすぐそこにあった。
後ろには…
「あのー…大丈夫ですか?こんな所で寝ていて」
緑を基調とした色の服を着ている赤髪の女性が居た。こんな服何処かで昔見た気がした。
そしてこいつが喋っている言葉は日本語のようだ。これも昔聞いた。
「…?こ…こは…何処…だ…?」
「え?えーと…ここはですね、紅魔館という所ですが」
ふむ…この国は紅魔館というのか(勘違いしている)
「そうか…」
さて、この国は紅魔館と言うみたいだが…どうするか…こんな辺境の地は来たことがない。
「あのー…」女性が喋ってきた。
「何だ」
「その格好で外にいて寒くないんですか?裸に近いその格好で」
「…それがどうした?」
「…色々とズレてますね」
何が言いたいんだ…?この女…
「ていうかそろそろ人里に帰ったらどうでしょうか?夜道は危ないですよ?」
「…その人里というのは何だ…?」
「え…あー、もしや貴方外来人ですか?」
「…外来人とは何だ?」
「あーなるほど、だから紅魔館を知らなかったんですね…
あ、そういえば名前を言うのを忘れてました。私、紅美鈴といいます!」
「…サンタナだ」もっとも、この名前はあのドイツ人に付けられたが。
「さて、名前を聞いた所で、サンタナさん、一度この世界について解説したいですし、
立ち話もアレなんでちょっと紅魔館の中で話しましょうか」
「…そうか、ありがたい」
そんな感じで俺はこの紅美鈴とやらのペースについていくことを余儀なくされた。