リリカルなのはー聖王と魔弾の射手ー   作:ハマトラ

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ーーーーー彼は私の運命を変えてくれた。

身寄りが無く、裏の娼館に拉致されて汚されそうになった私を救ったのはどこからか飛んできた一発の魔力弾だった。
別の部屋からさっきまで聞こえていたものとは別物の悲鳴が聞こえる。
直後、鍵がかかっていた筈の扉が開いた
廊下が騒がしい、外へ出るとそこには逃げ惑う私同様ここに拉致されていた女の人達、そして額に風穴を空けて絶命する男達、おかしいことにすぐ気づいた。
銃声は聞こえてこなかった。
必死に逃げる私は他の人達とはぐれて建物の中をさまよっていると声が聞こえてきた。

「ま、『魔弾の射手』!!た、助けてくれ!もう裏の掟には逆らわないと誓う、だから…………」

穹「もう遅い、俺が『鴉』から受けた仕事はこの娼館に捕らわれた表の人達の解放と、お前達への報復だからな」

一人の、私と歳の変わらない男の子は拳銃を男に向ける。
男は怯えながら近くの扉の中に入って鍵をかけた。
男の子は迷うこと無く引き金を引く。直後、扉の向こうから短い悲鳴が聞こえて、扉の隙間から血が流れてきた。

穹「これで全部だな………俺は連中の専属じゃないんだが……」

男の子と目が合った、私も殺されてしまうと思った。

穹「………………すぐそこの扉を出て最初の角を右に曲がれ、後は真っ直ぐ行けば出口だ。ここを出たら左側を道なりに行けばクラナガンの表通りに出られる。早く行け、ここは君のいるべき場所じゃない」

私は立ち去る男の子を見送り言われた通りに進むと、娼館から出ることが出来た。
道の左側に目を向ける、ここを真っ直ぐ行けば…………しかし、私の心はすでにさっきの男の子のことでいっぱいになっていた。
ふと、彼が男に呼ばれた異名を口にした。

「魔弾の………射手………」

まるで正義の味方の様に現れて、お伽話の王子様の様に私を救ってくれた………
そう、彼は王子様……………私だけの王子様…………私だけの『魔弾の射手』



ーーーー壊姫の日記より抜粋


第38話 壊姫

穹「『壊姫』………………確か俺が裏抜けする一月前から名前を聞くようになった殺し屋だったか」

 

鶺鴒「そう、邪魔する者は皆殺し、建物に隠るなら建物ごと殺す。そんでついた異名が『壊姫』ってわけだ」

 

鶺鴒は『壊姫』の行った仕事の跡の画像を穹に見せる。四肢をバラバラにされた男達、完全に倒壊して人を下敷きにする建物、あまりにも凄惨な光景だった。

 

穹「(ヴィヴィオ達が一緒じゃなくて良かった。)だが、俺は会ったことも無い奴だぞ。なんで俺が狙われるんだ?」

 

鶺鴒「……………壊姫はどうもお前さんにご執心らしくてな。俺からもお前さんのアジトの場所や趣向等の情報を無理やり持っていった。まぁ、その頃にはお前さんはもう裏抜けしていたから大したデメリットは無かったはず………だった」

 

穹「……………何があった?」

 

鶺鴒「阿呆な同業者が、お前さんの裏抜け後の身辺情報をそいつに売りやがったんだよ。シメて吐かせたら、こいつが出てきた。」

 

鶺鴒が手渡した資料、それは穹の現在の戸籍を含めた個人情報、そして、穹の母、八神はやてとヴィヴィオの写真だった。

 

鶺鴒「俺からお前さんの情報を聞き出した時もそうだが、あいつはヤバい。とてもじゃないがまともな神経を持ってるとは思えない、お前も気をつけろ」

 

ホルク『!!!!………………穹、複数の魔力反応だ。未確認が一つ、それとノーヴェとヴィヴィオ、それとリオにコロナとアインハルトのものだ』

 

穹「………まさか!!!」

 

鶺鴒「行け魔弾の、お友達がヤバいかも知れねえんだろ?」

 

穹「あぁ、忠告ありがとう。来いホルク、セットアップ!!」

 

ホルク『心得た、set up』

 

ホルクは指輪に戻り、穹はバリアジャケットを展開した。

 

ホルク『弾印・七重(バウンド・セプタ)』

 

穹は足元に展開された巨大な弾印を踏み、凄まじい勢いで飛び上がり、ヴィヴィオ達の元へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヴィヴィオ達はバリアジャケットを展開して襲いかかってくる少女に応戦していた。

 

コロナ「叩いて砕け!『ゴライアス』!!!」

 

コロナが指示を送ると、コロナのゴーレム『ゴライアス』はその巨大な拳を少女に繰り出した。

 

??「フン!!」

 

少女は身の丈程の戦斧を振り下ろすと、ゴライアスの拳が打ち砕かれた。

 

??「脆い土人形ね……」

 

リオ「コロナ下がって!雷光縄!!!」

 

リオが地面を踏むと少女の周りに電気を帯びたロープが展開されて少女を拘束する。

しかし少女は戦斧を双剣に変えてロープを斬り、間合いを詰めてリオに斬りかかる。

 

アインハルト「させません!!!」

 

咄嗟に割って入ったアインハルトが勢いの乗った拳を少女に打ちつける。

まともに受けた少女は後方に吹き飛ばされてしまった。

 

アインハルト(この殺気、継承した記憶にも存在しない……………けど彼らとはまた違う、まとわりつくようなドロドロとした殺意、彼女は一体……)

 

ヴィヴィオ「ノーヴェ、大丈夫?」

 

ノーヴェ「あぁ……………なんなんだ、あいつ」

 

その時、少女は飛び上がるように起き上がってヴィヴィオに向かって突っ込んでいった。

 

ヴィヴィオ(!!!早い!!)

 

ヴィヴィオがカウンターに入るより速く、少女の凶刃がヴィヴィオに迫った。

 

??「…………やれやれ、仕方ないな」

 

その時、ヴィヴィオが何かに突き飛ばされて、少女の凶刃は光剣によって弾かれた。

そこにいたのは赤みがかった茶髪に気だるそうな目つきのバリアジャケットを展開した青年だった。

 

ノーヴェ「あ、アンタは確かソウジさんとこの………」

 

シロウ「時空管理局執務官補佐、シロウ・オトナシ。まったく、こいつらの周り警戒するだけでいいって言ってたのに……………後で108部隊に特別手当請求しないと」

 

??「邪魔をするなぁっ!!!!」

 

激昂した少女は一気に距離を詰めてシロウに斬りかかる。

 

シロウ「芸が無いなぁ……………ステルス、起動(オン)」

 

少女の刃が迫る中、シロウの姿が周囲の景色に同調するように消えた。

これが、管理局で考案された補助魔法『カメレオン』、魔力を消費し続ける代わりに姿を消すことの出来る魔法だ。

欠点は魔力を消費し続ける為、魔力の少ない者には使えないことと、起動中は攻撃が出来ないことだ。

だが、使い方次第で強力な武器になる。

それを証明したのが、執務官ソウジ・カゼハヤである。

彼はその特性を生かして、危険な密売組織への潜入捜査を行い、時に背後に回って奇襲を仕掛け見事に功績を上げていった。

そして、シロウともう一人の補佐にもそのノウハウは教えられ、いつしか彼らは『アサシン』と呼ばれるようになっていた。

 

シロウは『カメレオン』で透明になると刃を避けて、背後に回り込んだ。

 

シロウ「『スコーピオン』」

 

シロウの両手に魔力で形成された光剣が出現した。これが近接型汎用光剣型アームドデバイス、『スコーピオン』だ。

耐久性こそ少ないが、いつでも自由にブレードを出し入れ出来、重量は殆どゼロで手以外の所からもブレードを出すことが可能。

更に魔力調節によってブレードの形と長さを変えられるスピードタイプのアームドデバイスだ。

 

シロウは非殺傷設定のスコーピオンで少女の背中を斬りつけて再びカメレオンで姿を消す。

そして、再び出来た隙をついてスコーピオンで斬りつけて再びカメレオンで姿を消す。

少女は双剣を戦斧に変えて地面に叩きつけて土埃で周囲の視界を遮断した。

 

??(いくら姿を消していようと、私の姿が見えなければ意味が無いだろう!!)

 

シロウ「……………原始レベルだね」

 

しかし、シロウは的確に少女の居場所を捉えてスコーピオンで斬りつけた。

斬りつけられた少女は、訳も分からないまま地に伏した。

『強化聴覚』、それがシロウの持つレアスキルだ。一言で言えば『耳がいい』、ただそれだけのレアスキルだ。

レアスキルのランクの中では最も低い分類で、実際その性能は常人の5~6倍、『1km先の針が落ちる音が聞こえる』というような超人的なものでは無かった。

シロウ本人もレアスキルと診断されるまで気付かず、本人も地味過ぎる能力だと嫌っていた。

しかし、彼のレアスキルの真の力は、その『聞き分け』の精密さにある。

子供の頃から無自覚に強化聴覚を使っていたシロウは『音』から材質・質量・状態など様々な情報を得ることが出来た。

彼にとって、目眩ましなどあって無いようなものだった。例え土埃で視界を塞いでも、その足音と舞い上がる土埃の擦れる音を聞き分けられる耳を塞ぐことは出来ないのだから。

 

シロウ「さて、殺人未遂及び殺傷設定の違法解除で拘束、と」

 

シロウはバインドで少女を拘束してスコーピオンを消した。

 




シロウ・オトナシ(20) cv.イメージ 菅沼久義

所属 時空管理局

階級 執務官補佐

デバイス 汎用光剣型アームドデバイス『スコーピオン』

レアスキル 強化聴覚


キャラモデル ワールドトリガーより『菊地原士郎』
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