リリカルなのはー聖王と魔弾の射手ー   作:ハマトラ

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今回はシリアス多め回です
……………出来てるといいけど


第9話 八神はやて

少年は夢を見る、かつて魔弾の射手と恐れられる以前の裏社会のゴロツキ相手に盗みを働いていた時を……

 

 

『どこ行った!あのガキ!!!』

 

男はハンドガン型のデバイスを構えて、怒りをあらわにして自分の食料を盗んだ子供を探していた。

少年はすぐ近くの物陰で息を潜めていた。

今にも泣き出しそうな自分をこらえて、口を無理やり塞いでただ男が去っていくのを待っていた。

 

『チッ!今日の所は退いてやる、だが次俺の視界に入ったらその小さい面に風穴空けてやるから覚悟しておけ!!!』

 

男が脅しに撃った弾は少年の隠れていた木箱を貫通して頬を掠めた。

男が去ったのを確認した少年は盗んだ食料にがっついた。

久しぶりのまともな食料だからだ。

少年は涙を流しながら、食料を口にした。

何故自分はこんな目に合っているのだろうか、両親はいるのか、そればかりが頭に浮かんだ。

だが、答えはわかっている。自分に親はいない、周りが言うように自分は独りだ。

そう理解して、少年は密かに泣いていた。

 

 

 

 

─────少年、穹は目を覚ました。

自分の収容されていた部屋のベッドの上だった。

ふと、すぐ隣を見ると茶髪の女性、八神はやてが座っていた。

 

はやて「お、目覚めたんやね。ごめんなぁ~なのはちゃん加減知らんもんやから~」

 

穹は自分の記憶を探ってみた、そしてすぐ思い出した。

自分をハメた人物を始末するために脱走を試みた結果追ってきた死神ことフェイト・T・ハラウオンとエース、高町なのはによって返り討ちにあい、砲撃魔法を受けて意識を失っていたことに。

 

はやて「君のデバイスが咄嗟に何重に防護魔法使ってくれんかったらこんなもんじゃ済まなかったやろうな~」

 

穹「ホルク……………?」

 

穹は自分の指に何か違和感を覚えた。

見てみるとホルクの本体である指輪がなくなっていた。

穹は激昂してはやてにつかみかかった。

 

穹「ホルクはどこだ!あいつに何かしてみろ、管理局全体を敵に回してでも殺す!!」

 

はやて「お、落ち着き!あのデバイスかなりガタ来とったから知り合いにメンテしてもらってるところや」

 

穹の瞳は静かにはやての目を見つめる。

 

穹「……………『嘘』は、言ってないようだな」

 

はやて「君は本当にあのデバイス、ホルクのこと大切にしとるんやね」

 

穹「当たり前だ。ホルクは、あいつは俺の唯一の家族だ!」

 

穹は俯き、顔を隠す。

しかし、涙は重力に従って床に落ちる。

 

穹「あいつがいなくなったら、俺はまた独りになる…………それだけは嫌だ!」

 

穹はこの時、初めて年相応の表情を見せた。

家族を求め、泣いている穹をはやては優しく抱きしめた。

 

穹「……………あ」

 

はやて「家族失うんは、ホンマに辛いよなぁ。私も君くらいの頃に両親亡くしたんよ。独りは辛いよなぁ、私は周り心配かけんと我慢しとった。けど、君は我慢せんでもええんよ?辛い時は、寂しい時は泣いてええんや」

 

穹はこの時、初めて人の暖かさを知った。

気付けば、穹ははやての腕の中で今までの寂しさを吐き出すように初めて泣き叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやて「落ち着いた?」

 

穹は無言で頷いた。今の顔を見られたくないのか、またずっと下を向いている。

 

穹「情けないな、殺し屋が涙を見せるなんて……」

 

はやて「んなことあらへんよ。とりあえず君、明日には出せるけどこれからどうするん?」

 

穹「またアジトに戻って、いつも通りかな。って管理局に捕まるなんてヘマしたんだ、ほとぼりが冷めるまで大人しくするか」

 

はやては懐から一枚の紙を取り出して、穹に渡した。

 

はやて「君が良かったら、なんやけどな。君、私の子にならん?」

 

穹「養子縁組み手続き!?」

 

それは穹を養子として迎え入れる為の手続き書類だった。

 

穹「あんた正気か!?俺は殺し屋で管理局の輸送車襲おうとした上にさっきもあれだけ騒ぎ起こしたんだぞ!!」

 

はやて「輸送車襲撃未遂?ああ、んなことあったなぁ~。けど、襲撃犯は『逃走』したってフェイトちゃんから聞いたけどな~」

 

穹「…………は?」

 

直後、スピーカーからノイズが流れて、フェイトの声が聞こえてきた。

 

フェイト『確かにロストロギアを積んだ輸送車の襲撃未遂はあったけど、事前に備えていた局員によって襲撃は失敗、襲撃犯は逃走したよ』

 

なのは『あと、エントランスでの騒ぎはね。セクハラしてくる先輩にお仕置きしようとやったんだよねぇ、結局逃げられたけど』

 

穹は文字通り、目を丸くして驚いた。

事実がねじ曲げられ、自分が起こした襲撃や騒ぎが殆ど無かったことになっていた。

 

穹「どうして?」

 

はやて「さっきも言ったやろ?私も君くらいの頃に両親亡くしてるんよ。君の心に負った傷は、私なんかと比べ物にならんやろうけど」

 

はやては優しく穹の頭を撫でる。

 

はやて「せめて、君の心の傷を癒やしてあげたいんよ」

 

穹「……………明日まで、考えさせてくれ」

 

こうして、長い1日が終わりを告げた。




裏話 

とある掲示板にこのような書き込みがあった。

Ohara23:殺し屋に偽情報流して管理局に突き出してやったざまぁw

掲示板は俗に言う引きこもり達がネット上でこんなイタズラをした。
こんな嫌がらせをしたなど、あまりに幼稚なことが書き込まれていた

kill13:Oharaさんナイスw殺し屋ざまぁw

York59:俺達に出来ないことを平然とやってのけるw

drunk7:そこに痺れる憧れるw

そんな書き込みを見て、青年は暗い部屋で一人笑っていた。
部屋には美少女モノのフィギュアなどマニアックなものが乱雑していた。
そんな部屋に一つの足音が聞こえる。

??「うわ、気持ち悪!こんな部屋1秒も居たくないなぁ」

青年が振り向くと、そこには黒いマントを羽織る一人の青年が立っていた。

??「早く戻らないといけないし、魔弾には一つ貸しだな」

青年は驚きと恐怖から足が竦んで動けなくなっていた。

??「お前は『こっち側』に喧嘩売ったんだ。死んでも文句ないだろ?」

直後、青年は机の上に置いていた、ネット通販で秘密裏に入手していた拳銃型デバイスを発砲する。
しかし、弾が命中した箇所の穴が塞ぎ、黒いマントの青年は何事も無かったように平然としていた。

??「危ないだろうが、俺が『泥の王(ボルボロス)』使ってなかったらどうするんだ?」

次の瞬間、青年の四方八方から黒い棘が現れて青年はその全てに貫かれ悲鳴をあげる間も無く絶命した。
そして、青年が立ち去ったその部屋のPCディスプレイの画面にはエラー表示と共にこう表示されていた。


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