ハイスクールD×D 〜イレギュラーの乱入〜 作:しおから
「全く、逃げるくらいなら考えなきゃいいのに。」
ぼそり、と、呟きながら俺から逃げていった奴を目で追う。
兵藤一誠。
それがあいつの名前だ。
三度の飯よりもおっぱいと言うほど性欲の強い男子高校生である。
ちょっと思春期しすぎではないかとは思うが、俺が目をつけているのはそこじゃない。
「赤い、赤いな。それに強い。」
あいつの中に潜んでいるものに興味があった。
あれはなんだ?
どう転んでも、とても面白そうだ。
赤くて強い、か・・・・・
久しぶりに、アイツのことを思い出した。
魔法、だろうか。
そうとしか思えないような力を使う、人間ではない異端な奴だ。
ま、面白くなってきそうだとは思う。
俺は面白い事が大好きだからな。
「どれだけ強かろうと、俺よりってことはないだろうが。」
慢心というやつか。
だが事実そう思える程の力を、俺は持っている。
俺を楽しませることができる程の力かどうかはまだわからないが、きっといいところまで上り詰めるはずだ。
俺より強かったとしても、それはそれでアリだな。
どうか、俺を落胆させないでくれよ兵藤くん。
ちなみに、俺の名前は
面白いことを生きがいにしている、ちょっと普通ではない高校生だ。
「な、乃至くん!」
この声は女子か。
そしてこの声質は・・・・
「何か用かな、
同じクラスの真田優だろう。
ちなみに、俺のクラスは2年C組だ。
ちなみのちなみに、俺と木場祐斗が同じクラスだということで2年C組はキセキのクラスとか呼ばれてるらしい。
キセキはバスケ部だけで十分だっての。
それはともかく。
「えっと・・・ほ、放課後、何か予定はある・・・?」
「いや、無いよ。」
「じゃ、じゃあ、今日カラオケに行かない?」
カラオケのお誘いか。
ちらり、と彼女のもっと後ろの物陰に目をやる。
そこには、3、4人ほどの女子が聞き耳を立てている。
聞き耳っていうか、応援してるのか?
ふむ、状況から考えてゲームに負けたメンバーの1人が誘いに行くみたいな?
まあ、当たらずも遠からずというやつだろう。
いいぜ、乗ってやるよ。
「ああ、いいよ。行こう。」
肯定の意を示した途端、顔が輝く真田優。
わかりやすくて面白い。
「でも、先に木場祐斗を誘ってたよね。
俺は木場祐斗の代わりってことかな?」
「そ、それは・・・・・」
俺の問いかけに対し、目に見えて狼狽する彼女。
地獄耳と言われるだけある俺の耳はかなりのものだと、自分でも思うね。
かなりの距離があっても、更に一度に何人かが喋っていても、聞き取れる。
これからは聖徳太子とでも呼んでくれ。
「冗談だよ、冗談。
行くって旨を他に来るメンバーにも伝えておいてくれよな。」
お詫びだと言うように、頭をよしよしと撫でる。
「鞄今教室に置いてあるから取りに行ってくるわ。
あ、あと友達連れて行くけど問題ないよな。」
「わ、わかりました!」
そう言いながら教室へと歩みを進める。
顔は見ていなかったが、きっと真っ赤になっているに違いない。
鞄を取って、あいつらを探す。
俺の予想では、まで帰ってはいないはずだ。
帰宅部だが、なんだかんだ言って学校に残っているタイプだと思う。
たまに学校が終わり次第3人ですぐに帰ることもあるが、今日はそんな素振りを見せていなかったからな。
「お前ら置き去りにしやがって!
その後には聖にまで追われちまうし・・・・・」
噂をすれば、というやつだ。
やはり俺の読みは外れてはいなかったようだ。
それより、旧校舎の裏側まで来て隠れるとは、なんたる逃げ腰だ。
「これでおっぱいの1つでも見れたなら納得もしようが、見てもいないのにこんな りふじ・・・・ん?」
急に言葉に詰まる兵藤。
彼が見上げる視線の先には、赤髪の女生徒が1人、見下ろしていた。
というか、薄々分かってはいたけれど全く反省はしてないのな。
間も無く彼女、リアス・グレモリーは窓際から去り、見えなくなった。
「旧校舎って、人がいたんだな。」
ボソりと呟く松田。
確かに、旧校舎はお世辞にも見栄えがいいとは言えないからな。
もう使ってないと考えるほうが自然だ。
その場合、なぜ壊されないかは疑問だけどな。
「いいなあ、あの真っ赤な髪。」
「リアス・グレモリー。99、58、90
3年、オカルト研究部部長。
出身は北欧だと言う噂だ。」
元浜の声も聞こえていないのか、ずっと窓際から目が離せていない。
頬も少し緩んでいる気がする・・・・・・・大丈夫か?
「いつまで惚けてるんだ、兵藤。」
ばしっと強めに頭を叩いて意識を引きずり戻す。
こいつなら、これくらいのことで頭が割れたりはしないだろう。
「っつつ・・・・おい、何するんだ聖!」
「何するんだじゃないだろう兵藤。
お前の言うべき言葉は、まず『ごめんなさい』だろ?」
「ごめんなさい!!!」
俺に追われてたことを思い出したのか、綺麗な土下座を1秒で完成させる兵藤。
ま、実際は怒ったりはしてないんだけどな。
「素直でよろしい、許してやるよ。」
ホッとしたのか、下げていた顔を上げて立とうとする。
まあ待て。
まだ話は終わっていないんだ。
「許してはやるが、条件がある。」
「・・・・・条件?」
3人は俺の言葉を聞き、とても嫌そうな顔をしていた。
▽
「「〜〜〜〜♪」」
「条件って、カラオケのことだったのか!聖、グッジョブ!!」
俺の隣に座る兵藤がサムズアップと共に俺に話しかけてくる。
俺一人で女子のカラオケにお呼ばれなんて、気まずいにもほどがあるしな。
兵藤も行きたがったために利害は一致している。
win-winの関係というわけだ。
・・・・・・女子以外は。
外野からは、
「乃至くんがエロ兵藤に汚されてしまうわ!」
「なんであんなのと聖さまが友達なのかしら・・・・・」
「キャ、聖さまがこっちを向いてくださったわ!」
だとか色々・・・・
2人目の子は冗談ならやめてあげてくれないかな、兵藤が涙を流しながら「やはり顔か・・・・」なんて悔しがってるから。
冗談じゃないなら、いいぞ、もっとやれ!
「「〜〜〜〜♪」」
ジャラララージャジャージャーン♪
伴奏が終わり、歌い終わったのか松田と元浜の二人が戻ってくる。
拍手を送ってやろう。
パチパチパチ
「乃至くん、これ一緒に歌いましょう?」
「わ、私が先に乃至くんと歌うのよ!」
「抜け駆けはずるいわ!ね、私と歌いましょ!」
他の子達は眼中にさえもないみたいだけどな。
誰も聞いてなかったからって泣き始めるなよ二人共。
女子全員が盛り上がっているのに同じ部屋にいる兵藤も合わせた男子三人が涙を流してるとかどういうことよ?
「じゃ、せっかく来たんだから俺も歌ってみますか。
聞いとけよお前ら。あ、割り込みしていい?」
▽
「まさか、聖があんなに歌が上手かったなんてな・・・・・
俺、カラオケの100点初めて見たぞ。」
「俺を誰だと思ってるんだ。残念だけど、俺にできないことはないんだわ。
さすがに空は飛べないけど、円周率とかなら1000個目までくらいなら余裕で言えたりはできると思うぜ?」
「無駄すぎる知識だなそれ・・・・」
失敬だな。
どこかで役に立つかもしれないだろ。
無駄ではあるけど。
「それより、最後のアレ。お前のことだから狙ってやったんだろ?」
最後のアレ、とは、きっと俺が提案したじゃんけんのことだろう。
支払いの時にじゃんけんをして負けた奴が全部払うという生きるか死ぬかのロッシアンルーレットというわけだ。
本当に死にはしないけど、懐事情的には死亡だろうな。
で、そこで負けたのが俺だったという訳だ。
「大人数のじゃんけんで最初の一回目で決まるとは思えないんだよな。
やっぱり何かやったのか?」
「じゃんけんとかなら、何を出させるか相手をある程度誘導することができるんだ。」
「そんなことができるのか・・・・・
それで、どうやるんだよ?」
「教えても不器用なお前には出来ないから時間の無駄だ。
よって教えない。」
隣から、聖にはじゃんけんを挑まないようにしようとかいう声が聞こえてくるが、まあすぐに忘れるだろう。
兵藤だからな。
まあなんにせよ、久しぶりにカラオケで楽しめたな。
向こうじゃ簡単に満点が取れる面白くないゲームだと思っていたが、大人数で騒ぐパーティみたいなものになれば話は別だな。
これは新しい発見かもしれない。
「おっと、俺はこっちだから。また明日な!」
「ああ、また学校で。」
あいつの家はあっちの方か。
あいつとは心底帰りが違う道で良かったと思うよ。
なあ、お前もそう思わないか?
「人外さんよぉ。」
「あら、あなた、わたしの尾行に気付いていたの?」
「気配を隠そうともしてなかったくせによく言うぜ。」
空から、1人の女が降りてくる。
背中には禍々しい翼が生えている。
「気配?」
なんだ、隠してなかったんじゃなくて隠せないのか。
ちょっとは面白そうかと思ったが、期待はずれだったようだ。
「早めに言っておくが、お前、今のうちに帰ったほうがいいぜ。
その程度じゃあ俺を楽しませられない。」
「ッ・・・・!!
言ってくれるじゃない・・・・・
良いわ、結構好みだったから優しく殺してあげようかと思っていたけど止めね。」
そう叫ぶと、女は槍?みたいなものを作り出す。
へえ、人外の女はそんなこともできるのか。
威力はなさそうだが、なかなか興味深い。
「これであなたを串刺しにしてあげる。
精々苦しみの果てにその命を手放すのね!!」
女の手から、槍が放たれる。
槍は禍々しい黒く光っていて、如何にもな雰囲気を醸し出している。
だが、この程度じゃダメだね。
「残念だ、嗚呼、残念だわ。」
俺は飛んでくる槍を
投げ方もなっちゃいないし、スピードもまるで遅い。
俺には槍が止まって見えたね。
こんなんじゃあ止めてくれって言ってるようなモンだな。
「なっ・・・・!?馬鹿な!?」
「馬鹿なのはお前だ、馬鹿
威勢がいいのはいい、だが、喧嘩を売る相手を間違えたのはいただけねえな?」
ニヤリと笑い非難する俺に対し、言い淀む化け物女。
オイオイ、あんまり怖がってくれるなよ、傷つくだろ?
「今なら黙って見逃してやるよ。
尻尾巻いて帰ったほうが後々後悔しないと思うぜ?」
「誰がするか!
人間如きに、負けるわけにはいかないのよ!!」
舐められたことにご立腹なのか、震える体に鞭打って襲いかかってくる女。
さっきも言ったが、俺は威勢のいいやつは嫌いじゃない。
もっとも、もう少し実力があったら楽しめたのだがそれは高望みというものか。
「いいぜ、来いよ。
相手してやるからさあ。」
「ほざけ!!」
ぶつかり合う俺と女。
そして結果はもちろん・・・・・