ハイスクールD×D 〜イレギュラーの乱入〜 作:しおから
「ピアニストはいないのに、突然・・・・・・ポーン。
何故かピアノが鳴ったのよ。
怖くなって音楽室を出ようとして扉に手をかけたの。
でも、何故か扉はビクともしない。
いつの間にか、かけた覚えのない鍵がかかっていたのよ。」
ごくり、と生唾を飲み込む音が聞こえる。
女子生徒の話す怪談はかなりのもので、怖がりな女の子を震え上がらせるには十分だった。
「力を入れて、押しても引いても開かない。
慌てた彼女は扉を叩いて助けを求める。
しかし、真夜中の学校、誰もいるはずがなく助けてくれるものはいない。
そして次の瞬間、彼女の肩に手が置かれた。
それは病的なまでに青白く、そして冷たい。
彼女は一瞬で理解した、この者はこの世の者ではないと。」
ここまで言い終わると、ふう、と息をついて一呼吸置いた。
「これが6つ目の、駒王学園七不思議よ。」
「で、でも、それって、噂でしょ?」
「そうよ。こういうのって、あまりにも・・・・・胡散臭いわ。」
「いいえ、これは本当にあった出来事だそうよ。
女子生徒が音楽室で気絶したまま早朝に見つかるっていうことが、本当にあったらしいのよ。
そこで、その女子生徒が話した話を噛み砕いてできたのがこの6つ目の七不思議らしいわ。」
「そうなんだ・・・・・・
それで、7つ目の七不思議は?」
「旧校舎にある、開かずの間に関わる話よ。」
▽
「さて。ここが噂の開かずの間みたいだな。」
俺は駒王学園にある学園七不思議の噂を聞き、旧校舎にある一つの部屋の前に立っていた。
この部屋は、通称開かずの間。
部屋の扉中には、keep outと書かれた黄色いテープが張り巡らされていた。
しかも扉の取っ手にはぐるぐると鉄の鎖が、そしてその先には大きな南京錠がかけてある。
「たしかにこれは大掛かりだな。中に何かあるのは確実と考えるべきだ。」
夕方にぺたぺたと扉を触ってみたが、これも普通じゃない。
何かしらの力で強化、封印されていた。
しかし、どうやら夜にはこの封印が解けるようなので、真夜中に出直して来たというわけだ。
兵藤と帰るわけにはいかない上に、もう尾行の必要は無いことが分かったための暇つぶしに来ただけだったが、思った以上に面白そうなことになったきていた。
「力技で開けてやってもいいが、何かトラブルの元になるだろうな。」
俺の力で殴れば、たやすく壊れるのはすぐにわかる。
だが壊すとしても、元に直せないと困る。
この扉、どうやって攻略するか。
「発想を変えよう。扉から入る事にこだわらなければいい。」
となると、1番手っ取り早いのは窓から入る事だ。
俺のいる廊下側から窓の外を見てみれば、日が沈みきって真っ暗になっている。
光源といえば、月明かりと遠くで光る街灯くらいだ。
俺はガラガラと音を立てながら窓を開けた。
旧校舎だからか、窓の立付けはあまり良くない。
窓の枠に脚をかけて校舎に張り付く。
そのままサッシに掴まって、この教室の反対側まで移動する。
「っと、あったな、窓。」
扉のちょうど逆側、そこに1つだけ窓があった。
しかし、カーテンが閉められて中の様子はさっぱり伺えない。
「じゃ、パンドラの箱を開かせてもらいますか・・・・ッ!」
反動をつけで
狙い通り窓は割れずに枠だけが外れ、内側に落ちた。
多少校舎を破壊したが、まあいいだろう。
「ひゃあああっ!?なんですかぁーっ!?」
「何だ?」
カーテンをめくり、部屋の中を覗いてみる。
するとそこには、真っ暗になった部屋、暗闇を照らしている据え置き型のパソコン。
そしてパソコンの前に座っている少女がいた。
「え?」
「ど、泥棒さんなんですかぁ・・・・・?」
俺の登場にびっくりしたのか、目をうるませて怖がる少女。
若干上目遣いになっているのもポイントが高い。
「いや、違う。俺は好奇心旺盛なただの学生だ。」
「学生?」
「そう、学生。」
校舎の壁から飛び降りて、部屋のへと着地した。
そのまま落とした窓を踏まないように部屋の中へと入る。
「こ、来ないでください・・・・・!!」
「あん?何でだよ?」
「こ、怖いので・・・・・!」
「怖くない怖くない。」
「怖いですぅぅううう!!!!!」
椅子から滑り落ち、そのまま壁まで後ずさりする少女。
「待て待て。そう逃げるな。」
近寄っても逃げるようだから、追い込み漁のように部屋の角へと追いやって追い詰める。
さあ、もう逃げ道はないぜ。
「来ないで・・・・・・来ないでーッ!!」
ビシッ、と、空間が一瞬震えたかと思うと、そこにはもう少女の姿はなかった。
「何!?」
慌てて周りを見渡す、が、いない。
瞬間移動系の魔法か何かか?
「来ないで・・・・もう帰ってください・・・・・・」
その声は、俺の背後から聞こえた。
素早く振り返り確認すると、背後には棺桶があった。
棺桶?
暗くてよく見えなかっただけで、最初からあったような気もする。
棺桶は、色々な小物でデコレーションしてあった。
「お前、今何をした!?」
「ふぇぇ・・・・・ごめんなさいぃ!わざとじゃないんですぅ!」
棺桶の中からくぐもった声が聞こえる。
やっぱりこの中か。
容赦なく棺桶の蓋を開ける。
「ひゃぁぁああ!!なんですかぁっ!?」
「そう騒ぐな。まるで俺が不審者みたいだろうが。」
「不審者じゃないですかぁ!!」
「いや、もう取り敢えずその棺桶から出てこい。」
引っ張るために腕を掴むと、またあの時の感覚。
空気がピシッと揺れ、彼女は棺桶の中から一瞬のうちに抜け出していた。
「ごめんなさいぃ、何でもするので叩かないでくださいぃ・・・・・・」
ふと声のした方向を向くと、衣装ダンスがガタガタ揺れていた。
今度はあっちへ転移したのだろう。
これは困った。
この少女をどうやって説得してやろうか。