架空艦になった男   作:緑小灰

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猛禽


6話

周防は見つけた潜水艦へと橘花改二を数機ほど飛ばした。

その橘花数機が潜水艦へと到達する頃、潜水艦の方では……。

「ゴーヤと阿賀野の言うとおり、おっきいのが動いてるのね!」

先ほど提督が"島が動いている"と報告を受けた鎮守府の潜水艦、伊19が居た。

遠征の帰りに通信で58の話を聞いて、見に来たのである。

「提督、でも島じゃなくて船なの。」

「島じゃなかったでち……残念でち……。」

「えーと、どんな船だ?」

通信ごしに、二人の声が聞こえる。

58は単純に落胆しているようだ。

「おおきな戦艦が2、ちっちゃいなんかが1、親子みたいなの!」

「戦艦が2か……。刺激しないように交信してみてくれないか?」

「りょーかいなのね!」

提督は考える。

普通に別鎮守府の艦の可能性もあるが……。

もう一つの可能性である、自然にドロップした艦……所謂はぐれ艦娘がさ迷っていることは、珍しいが無いわけではない。

そして近くの鎮守府に保護、そのまま所属する事となるのが大半だ。

小さな艦ならともかく、戦艦が二隻も固まって移動していて、尚見つかってないものだとしたら生まれて間もないと言う事になる。

仲間が増えるのは良いことだ。

「しかし戦艦か……。」

提督は、艦隊に所属している戦艦を数える。

金剛型に山城、長門、それから大和。

欲を言えば陸奥や扶桑なんかが嬉しいのだが……。

皮算用していた提督はあることを聞くのを忘れていたのに気づいた。

「イク、深海棲艦じゃないんだよな?」

「深海棲艦ならパーツや色が歪だし、まずあのどす黒いオーラが無いのね。間違いなく艦娘なの。」

「おっけー、交信の状況はどうだ?」

「向こうの艦載機妖精がイクの子たちと話してるのね。……"ワレ、戦ウツモリナシ。話ガシタイ。"だって!」

「ほほう、向こうも何かあるのか。」

なんだ別の所属か、と内心凹みつつも返信内容を指示する。

「"了解。艦隊を組み、そちらに向かう。暫し待たれよ。"」

「りょーかいなのね。」

返信を指示する19の声を聞きながら、考えていた。

話とはなんだろうか……。

最近、横須賀・呉・舞鶴の連合艦隊がどうやら世話しなく動いているようだが、それ関連の人員要求だろうか。

ウチは艦隊規模はそう大きくはないし、幌筵から何隻とかだったとしても他をあたってくれたらなぁ……。

なんて考えていると、19が叫んだ。

「向こうから入電!"ワレ、他ノ艦トノ戦闘ニ入ル。救援求ム。"だって!」

「何……?」

 

周防の方では。

「そうかそうか、近くの鎮守府の艦か。」

ほっと一息ついて、返信を考える。

「物資くれ……は直接だな。救援求む……ってのも大袈裟だよな。所属が無い……言ってどうするんだ。」

怪しさMAXな事を言っても意味が無いけれども、色々と話すべき事はあるんだ。

「これはこれで怪しいけど、"話がしたい"でいいかな?頼んだ。」

妖精に通信して、返信を待つ。

「艦隊を組んで向かうから待て、か。ミュリエル、ポベーダ、速度を落とそう。」

「……わかった。」

ゆっくりと速度を落とし始める。するとポベーダが叫んだ。

「ねぇねぇ!ユーフォーだ!」

「まっさかそんな訳……。」

ポベーダが「あっちあっち!」と指を差す。その方を向くと、曇った空の中で微かに見える、移動する中かがあった。

「……まじで?」

よくよく目を凝らす。

その動く何かはこちらへと向かってくる。

銀色の機体を持つ、疾風のごとき……いやもっと速くこちらへと何かを打ち出した。

それは、緩やかにこちらへと向かって来て……。

「緊急回避だ!速くしr」

周防へと直撃した。

「サンバンホウトウタイハ! シヨウデキマセン!」

「かぁ~……。」

衝撃と、17inch砲が大破したことにより、激痛が走る。

「潜水艦に"戦闘に入る、救援求む"と伝えてくれ!主砲旋回!仰角調整!高角砲も機銃もだ!」

銀色の何かは、橘花よりも速く逃げて行った。

逃げて行った先から、同じ銀色のが20近くやってくる。

「げっ!?」

「ユーフォー大群だぁ!」

「笑ってる場合じゃねぇ!ミュリエルはポベーダ連れて離れろ!こっちが引き付ける!」

「……わかった。……無理しないで?」

返事する余裕もなく、砲を発射しながら銀色のそれの方へと近づく。

しかし連装高角砲も機銃もほとんど当たらない。

かすってもお構い無しに爆弾のようなものを打ち出しては逃げて行く。

副砲がやられ、機銃がやられ、出していた橘花も戻る事なく撃墜される。

「飛行甲板だか盾だかわかんねぇな……!」

装甲が厚いのが効を奏しているのか、持ちこたえるが、それでも圧倒的劣勢なのは変わらなかった。

しかし、ついに銀色のそれを離着陸している母艦を見つけた。

「お前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ここしかないチャンスに、生きてる砲火力、雷撃を全て撃ち放つ。

母艦は横にずずっと移動するが、それも稼働までが遅く、19inch砲が二発、高角砲が1発命中する。

「きゃあ!?何するんですか!」

向こうの艦から声がする。なんとか甲板付近の銀色の機体と右舷艦首の一部を壊した。

「お前こそどうして攻撃した!」

「暇だからに決まってます!」

「バカかお前!こちとら死にそうだわ!」

「私の為に死んで下さい!大人しく!」

「まっぴらごめんだ!」

相手から円柱状のようなものが何本も飛んでくる。

それを食らった俺は左舷がひしゃげ穴が開き、浸水し始めた。

「クソ野郎ぉぉ!」

注水・排水指示をしながら、主砲を再び撃つ。

相手はまたも避けるが全部を避けきることは出来ないのか、甲板と艦舷、艦橋にダメージを入れていく。

相手機からの爆弾、艦からの円柱状爆弾を食らい、更に被害を拡大させながらも雷撃、再び砲撃する。

だが、相手の火力が高すぎる。

やはり、限界がやってくる。ここまでかと思った時だった。

「……沈め。」

後方から、ミュリエルが射撃をした。

そこでついに、相手の甲板を歪め、壊した。

全部では無いにしろ、被害甚大ではあったようで……。

「卑怯ですよ!二対一なんて!」

「……奇襲も十分ずるい。」

「……味方も呼んだんですね、わかりました退きましょう。」

銀色の機体を回収しながら相手は離れて行く。

最後にこう言った。

「私の艦名はジェラルド・R・フォードです。貴方の名前は?覚えておきます。」

「第111号戦艦、周防だ。」

「今まで殺った人よりは骨がありましたよ。ではまた暇が出来次第殺しに来ます。」

「二度と顔見せんじゃねぇ……。」

 

……ジェラルドが去って行き、俺はミュリエルに牽引されながら先ほどの場所まで戻る。

そこに、潜水艦と、別に向かって来ただろう六隻の艦隊が到着していた。

その中の一艦……旗艦であるだろう女性が敬礼して言った。

「幌筵泊地0180番鎮守府所属、第一艦隊旗艦、大和です。」




※皆さんからのご意見、ご感想が来る度にドキドキしながら読んでます。
色々なご指摘を頂いて有り難いなぁと思う反面、やはりそうだよな……と思いながら行き届いていない点の再編をする今日この頃です。
そうそう、艦艇のデータなんかはネットにあるデータを流用・一部調整(←)しており、正確な計算をしてもおそらく合致しません。
予めご了承下さい。
これからもどうぞよろしくお願いします。
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