魔法使いが魔法の世界に行ったのに何かおかしい   作:粉プリン

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第16話

王城で二体目の邪神を引き取ってから数日経った。あの後でクトゥルフに通訳を頼みながら色々と聞いた結果、ルリムという名前と水を司っているということが聞き出せた。本人(人?)は普段はクトゥルフと同じく小さくなって自分の首元に巻きついている。お陰で少しぶよぶよしているのを除けば首元を適度に冷やしてくれる冷感グッズ状態だった。そんなある日のこと、いつもの如くキュルケが部屋に飛び込んできた。どうせまた何かあるのだろう。

 

「パチュリー、宝探しに出かけるわよ」

 

「……宝探しはいいとして、当てはあるの?適当に探すんじゃ時間の無駄よ」

 

「当てならここにあるわ」

 

そう言って渡してきたのは幾つかの古びた紙だった。おそらく宝の地図とでも言いたいのだろう。信用性が皆無だが。

 

「……本気でここに乗ってる場所に宝があると思うの?」

 

「さぁ?でもどれか一つくらいは当たりがあるでしょ?それを探しに行くのよ」

 

正直、凄く効率が悪いと思うがこうなったキュルケは止められないと今までの経験から知っているので諦めた。だからそこではしゃいでる邪神二人は落ち着け。そのどこからか取り出した×印の付いてる紙をしまって。

 

 

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「……まだ、続けるのかしら?」

 

キュルケの手にした宝の地図に従って各地を回って7回ほど。現在宝は一つも得られていない。オークやゴブリンなどの魔物や猛獣を退けて箱を開けたり、部屋に踏み込んでみるがあるのは古びた銅貨や錆びたガラクタ、稀に冠のようなものもあったが触れただけで欠けてしまう様では持ち帰ることもできないし売れるはずもない。はっきり言うなら今のところすべて無駄足だ。だが

 

「最後よ、これでダメなら大人しく学院に帰るわ」

 

というキュルケの案で最後に一つだけ付き合うこととなった。が、ここで問題が発生した。どうやら学院の教師達がカンカンらしいと手紙が届いた。キュルケを見てみると目を逸らされたところから何も言わずに出てきたのだろう。まあ素直に宝探しに行ってくると言ったところで学院を休む口実にはならないだろうが。よって事の報告をするために誰か一人を学院に帰すことになり真っ先に自分が立候補した。

 

「しかし彼女でいいのかい?ミス・ノーレッジの魔法は強力だ。ここにいた方が安全だろう」

 

「なら学院までどうやって帰るのかしら?貴方のゴーレムに運ばせるなら構わないけれど」

 

ギーシュが何か言っていたがそれもキュルケに封じられたようだ。

 

「悪いわね、出来れば帰ってもお咎めなしにしてもらえると嬉しいわ」

 

「伝えておくわ、貴方に無理やり連れ出されましたってね」

 

パチュリー!とキュルケに言われるが事実なのだから仕方ない。まあ一足先に帰れるのだし少しはフォローしておく事にしよう。と言っても自分優先ではあるが。クトゥルフの肩に跨り学院に帰るとオールド・オスマンが待っていた。何故学院長がいるのかという疑問が湧いたが、どうやらカンカンだった教師達を納めてくれたらしかった。お礼と共に丁寧に状況を説明すると理解してくれたのか

 

「今日は部屋に戻って休みなさい」

 

とありがたい言葉をもらった。せっかくなのでその通りにさせてもらおう。流石に今日一日で結構魔法を放った。消費はほとんどないが、いつどこから狙われるかと気を張っているのはなかなかに疲れるものだ。

 

 

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学院に帰ってきて2日経った次の日の朝、一昨日キュルケが最後にと言っていた宝を持ち帰ってきていたが、どこからどう見ても零戦だった。少なくともこの世界のものではないだろう。証拠に翼に日本国旗が描かれていた。それにサイトもあの零戦をよく知っているようだからおそらく自分と同じ世界から来たのかもしれない。だとしたらいずれは協力関係になるかも。まあ、まだまだ先の話だと思うけど。そんな事よりもっと大事な事件が起きた。アルビオンが不可侵条約を捨ててトリステインに宣戦布告をしてきた。何故それを知れたかというとなんと手紙が届いた。それも前に話をしたマザリーニからだった。何故枢機卿から自分などにこんな重要な事を伝える手紙が来たのか意味がわからなかったが、読み進めていくうちに納得した。

 

「あの親バカ喋ったのね……」

 

どうやら恩を売るようだが私をガリアからの内密の派遣として戦線に加えるとジョゼフからマザリーニに対して手紙を書いていたらしい。自分の預かり知れない場所でそんな大事な事を決めないでほしい。今度会ったらタバサ経由で悪口でも言ってやろう。自分からじゃ効果は薄いが、タバサに言われれば効果抜群だろう。いい気味だ。それよりもこの手紙だとこのまますぐに王城まで行かなくてはならないようだった。なんとも面倒な事になったと早速準備を整えてクトゥルフとルリムを連れて最速で王城へと向かった。

 

 

続く




パチュリー戦争介入決定、といってもルイズの虚無でカタをつけないと今後が進まないのであくまで抑え役になると思います。

抑え役(殲滅)……いえなんでもないです。

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