魔法使いが魔法の世界に行ったのに何かおかしい   作:粉プリン

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第2話

「となると、お前が自身の魔法であの檻を壊したと……そういうことでいいのだな?」

 

「はい……」

 

あの後、見事に青髪の男の人にばれて今度は始めに出た部屋に似た豪奢な部屋に連れて行かれてさっきのことを根掘り葉掘り聞かれた。まあ今の所自分は怪しい侵入者(仮)状態だから黙秘権などないようだ。あってもなにかしらの方法で吐かされると思うけど。

 

「……面白い、実に面白いぞ!お前、いや、其方余の者にならぬか?」

 

「……えっと、つまり?」

 

「余に手を貸せば大抵のことは保証してやろう。仮にも余は王。成せぬ事はない。大概の事ならばな」

 

それは願っても無い話だ。正直こっちでやってくすべなんてなに一つ知らないわけでして。つまり

 

「あの、こちらからもお願いします」

 

「うむ!ならばまず其方の部屋を用意せねばな」

 

そう言って男がベルを鳴らすと小間使いのような人が入ってきた。

 

「今日からこの者をここに住まわせる事にした。至急部屋の用意をせい」

 

「はぁ……部屋、ですか?」

 

「そうだ!王城なら部屋の一つや二つ、有り余っておろう」

 

「申し訳ありません。現在ほぼ全ての部屋が使用済みでして……余ってるといっても地下や倉庫などしかありませぬ」

 

「あの……地下でも、いいです」

 

正直、こんな立派な部屋に1日でもいたら感覚がいろいろ狂ってくると思う。それに俺としては静かに……流石に植物のようにとまではいかないけど、争う事がなく平和に暮らせればそれでいい。

 

「ふむ……其方が地下でいいというなら構わないが、本当に良いのか?なんなら新しく作るぞ?」

 

「それは流石にダメでしょう。私も納得してるので、お気遣い感謝します」

 

「そうかしこまらなくともよい。余と其方はすでに互いを認めた存在、いわば友だ。ともに敬語など不要」

 

いや、王様にタメ語はもっと不味いでしょうが。

 

「部屋の準備を進めよ、地下だからといって手を抜くならば容赦せぬぞ」

 

「分かりました……」

 

すごく納得いってなさげな顔で出て行った小間使いの人。そりゃどこの誰とも知らない奴をいきなり王城に済ませる事にした上に地下とはいえ一室与えるんだから不思議がるのが当たり前だ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

あれから1年経った。早いって?別に特に語るべき事もなかったよ。強いて言うなら一度、王の兄について本気で喧嘩っぽい事はしたけど、あえて言うならそれくらいだけだし。現在もやは自分の城と化した地下室で魔法の研究中。といってもこの体、七属性を操るらしい。どれくらいすごいかと言われるとこの世界は一般的に四属性だから相当だ。二つの掛け合わせなら数にして49と16だ。三倍近くあるし三つ掛け合わせたら343と64でさらに差が出る。たった三つの掛け合わせでこれだし、今自分が研究してる魔法は五つ以上掛け合わして作る物だ。はっきり言うならこっちの世界の魔法使いには使用不可能といっても良いかもしれない。自分が使う属性に月と日があるのも原因の一つかもしれないけど。

 

「おーい!パチュリーはおるか!」

 

そうこうしてると外から王の呼ぶ声が聞こえてきた。また何か思いつきで始めたのだろうか。まったく、それで迷惑したり面倒ごとを処理させられる身にもなってほしい。退屈しないという事に関しては良いけど度が過ぎるのが玉に瑕だ。

 

「いるわよ、何か用?」

 

「おお、実はだな。今日我が姪のトリステインの学校への入学なのだがな、お前も入れておいたから早く準備をしろと伝えに来たのだ」

 

「…………はっ?」

 

今、なんて言った?姪が学校に入学する。まあわかる。しかしなんでそこで自分まで捻じ込まれているのか。前世で既に小中高大と通った上でまた新しく学校に通うというのか。この世界の学校が元いた場所と違うのはなんとなく分かるが、かといって通うかと聞かれたら面倒だしそもそもなぜ当日にそれを告げるのか。いうならもっと早く言えと叫びたい。

 

「ちなみにパチュリーは我が王族とも縁の深い貴族という形で入れた」

 

「……入学試験とかはなかったわけ?」

 

「其方が前に開発して見せた物を見せたらあっさりと通ったぞ?」

 

この王、自分が試作品として作った腕時計勝手に上げやがった。時間がわからなくて不便だって言ってたくせに他人に渡すとかどういうことで?

 

「……キャンセルは」

 

「断ることなど無理だ。それに我が娘の護衛も重ねて頼みたい。まあ直接守れと言わないが手助けぐらいはな」

 

前まで姪の母親に毒飲ませて心を奪っていたというのに今じゃ姪の入学に内緒で護衛をつけるレベルのバカ親になってた。まあ母親のことを姪に言えない辺り、少しは罪悪感は感じてるのだろう。それもこれも過去に喧嘩(魔法でのガチバトル)したお陰だろう。むしろあれでまともにならないなら王どころか人として何か失ってるんじゃないかと思う。結果的に治ったからいいけど。

 

「なら仕方ないわ。任されたわ」

 

「任した。何か用意するべき物があるなら連絡をよこせばこちらで用意しよう。頼んだぞ、パチュリー」

 

「心配しすぎよ、ジョゼフ」

 

こうしてバカ親の指令で王の娘の内緒の護衛となった。

 

 

続く




はい、原作と違ってジョゼフさん良い人化決定。作者の都合によって原作を変えていく。正しく神の所業(戦争めんどいから回避したいだけとか言えない)

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