魔法使いが魔法の世界に行ったのに何かおかしい   作:粉プリン

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第4話

ギトー先生の授業から数日、タバサの周囲は目に見えてタバサにちょっかいを仕掛けてきていた。と言っても自分がそばにいるのでそう何度も来るわけではないが目を離した時やトイレに行って帰ってくるとタバサが何人かの生徒に囲まれている。自分が近づくと逃げていくあたり、疚しいことだと自覚しているのか、単に自分が化け物扱いされてるのが尾を引いているだけなのか。まあそれはどうでもいいことだ。タバサのことは良くないけど。そうして本を読んでいると

 

「ミス、貴方に風をご教授願いたいのだが」

 

なんだか家柄を鼻にかけてそうな如何にもといった貴族が目の前にいた。確かこの前食堂で「風で俺の右に出る者はいない」とか言っていたことを思い出す。多分、教わるというのは方便で大方自分かタバサに難癖付けに来たんだろう。

 

「人が者を頼んでいるというのに、無視か。そちらのミスはどうかね?」

 

「貴方、『風で俺の右に出る者はいない』ってこの前言ってなかったかしら?」

 

「ぐっ、だ、だが自分よりもミス・ノーレッジの魔法の方が磨きがかかっていた。故に私はご教授頂きたいのだ」

 

「……らしいわよ」

 

タバサに話を振ってみたが本に目が行きっぱなしで目の前の男子生徒はいない者扱いのようだ。こうなったら大抵のことじゃ注意を引けないしほっておくしかない。

 

「なるほど、君がどうやら私生児と言うのは本当のようだ。おそらく母親の顔さえ知らないのだろう。そのような家柄の者に嫉妬していては、僕の家名に傷がつく」

 

その一言さえなければね。

気づけばタバサは既に臨戦態勢で喧嘩をふっかけてきた男子生徒と距離を取って対峙していた。向こうがおそらく得意の風魔法を放ってきたのだろう。でも速度は遅いしたいして大きくないため避けるのは容易だろう。けれどここは仮にも室内のため避けて周りに被害が出たらそれこそ面倒なことになる。なので

 

「ウィンド・ウェーブ」

 

風三つ掛けの魔法で術者ごと壁に向かって叩きつけた。まあ加減はしたから背中が痛い程度で済んだだろう。そこにタバサのアイシクル・フォールが男子生徒の服を縫いとめる形で刺さり、男子生徒は戦意喪失したようだった。まあ自分の目の前であんなこと言ったのが悪いんだし自業自得としておいてもらおう。

 

 

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唐突に話は変わるのだがこの学校には付き合いたい女性ランキングという者が存在する、らしい。らしいというのは自分自身あまりクラスメイトと話さないことと、それが一般的に男子生徒間でしか回らないためあまり女子には情報が流れてこないこともあって自分たち女子は誰がランキング一位なのかを予想することしかできないが。しかしこの間食堂で男子生徒がそのことを大声で話していたのを聞いてうんざりした。なんでも一位が二人いるらしい。1人目の一位はキュルケという女子生徒らしい。見ると赤い髪を振りまく情熱みたいな女子生徒が何人もの男たちに話しかけられながら食事をしていた。まあ確かにあれならモテていると断定してもいいだろう。じゃあ二人目が誰かって?

 

「ミス・ノーレッジ。此方の本は自分が読んだ本の中でも一番の面白さだった。是非読んでくれないかな」

 

「ミス、食事を皿にとりました。どうぞ」

 

「ミス・ノーレッジ。もしよろしければこの後魔法の教授を行って貰いたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

私らしい。やめてくれ、ただでさえいろいろ目をつけられてるのにこんな形で反感は買いたくない。見れば一部の女子生徒からは呪いでも掛けてるような目で見られている。だいたい全て適当な理由をつけて断っているが一向に減っている感じがしない。前に一度だけ自分のどこがいいのかと聞いてみたところ、ミステリアスなところだと言われて、タバサがいるだろうと思ってしまったのは間違いではないと思う。タバサ十分ミステリアスだろうとは思うが、よく考えたら自分の世界に入ることが多いから、多分そこが差なのだろう。なら自分も自分の世界に引きこもってやろうか?

 

 

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次の日、今日は新入生歓迎の舞踏会が行われるらしい。朝から生徒たちがそこらじゅうで今日の夜に開かれる舞踏会のことで話し合っていた。まあ特に踊る予定もないので自分としては関係ないことだけど。タバサも料理が多少豪華になるだけと思っているらしくいつも通り、本を読んでいた。

 

「そういえば、タバサはドレス持ってるの?」

 

「ある、持たされたものが一つだけ」

 

舞踏会まで残り一時間ほどとなったため自室で着替えている間もなぜかベッドで本を読んでいたタバサに聞いてみた。

 

「ならそろそろ着替えてきなさい。ドレスでも読書はできるでしょう」

 

「…………わかった」

 

答えずにずっと本を読んでいるかと思ったが、意外にもさっさと自分の部屋に戻っていった。まあタバサにも色々あるんだろうし、案外ドレスだからといってどういうことはないんだろう。それこそ本さえ読めれば。

 

「化粧は……いいや、面倒だし」

 

さも当たり前のように自分の口から化粧だなんて言葉が出てくることに、時間の流れを感じてなんとなく自己嫌悪に入ってしまった。もうなんか男としての大事なものがどっかに吹っ飛んでった気がする。それすら今更感を感じる。

 

「終わった」

 

どうやらタバサも着替え終わったらしい。本人の髪色に合わせた綺麗な青色のドレスだった。飾りは特にないが逆にそれがタバサらしいと思う。まあアホみたいにレースのついたゴスロリみたいなドレスを着てる自分がおかしいんだと思う。流石にカチューシャ(改造済み)まで用意するのはおかしいわ。今度あのメイドにあったら一発入れないとダメっぽい。部屋を出て舞踏会が行われる広間に向かう途中も視線が刺さってくる。どうせ見るならタバサも見てやればいいのにと視線を横に向けると、歩きながら一心不乱に本を読んでいるタバサがいた。それゃ、これじゃ近づきにくいと思われても仕方ないけど自分も大して変わらないと思うのだが。それにミステリアスがいいならタバサもミステリアスなのに、本当自分に杯が上がる理由がわからない。まあ今はそれよりもどうやってダンスの申し込みを断るかに専念しなければ。

 

 

続く

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