side刻in執務室
「さてさて、これから現代の世界情勢やら地理やらについての授業を始めよう!」
「なんですか?そのテンション」
……言うな、吹雪。俺は授業と言うとラケル博士と狐の2人しか思い出せないんだ。
ちなみにここには吹雪、大淀、明石、妖精さん集団の一部が生徒、シエルが俺の補佐として集まっている。
「まぁ、とりあえず普通にやって行こう。
まず、アラガミを構成するオラクル細胞について。
アラガミとは、『オラクル細胞』と言うDNAによらない遺伝方法を持つ『考え、喰らう、単細胞生物』が集まって形成された群体生物の一種だ。
どんな物ですら喰らう事が出来るが、好き嫌いが激しい。
いや、これは本当の事だ。実際、奴らの好き嫌いは偏食傾向として発現している。
これがあるから、各地のフェンリル支部やこの鎮守府も喰われずに済んでいる。
ちなみにどんな物ですら喰らうと言ったが、これは文字通りの意味で燃え盛るマグマはおろか、放射能汚染された物体ですら喰らう。
しかも、通常兵器は一切効果が無い。
奴らの結合はしなやかで強靭だ。昔は核融合炉1つを潰して爆弾の代わりに使ったところ、一応は効果があったらしい。
もっとも、それも『核のエネルギーを喰らおうとしたら喰らいきれずにパンクした』と言うものだ。
更に言うと、昔のアラガミはマグマを喰えなかったらしいが、今はマグマより熱い温度の攻撃をしてくる種族がある。
恐らく、今はもう核攻撃も効かないだろう。
ここまでで質問は?」
「はい」
「なんだ?大淀」
「『アラガミはなんでも喰らう』との事ですが、お互いに喰いあったりしないのでしょうか?」
「するぞ?ちなみに同一個体内で喰い合いが起こらないのは、お互いが『喰いたくない』と思う細胞同士で無いと結合しないからと言われているな。
これについてはアラガミについて説明する時に詳しく説明しよう。他に質問は?
無いな?なら次に、行くぞ。
次はアラガミについてだ。
アラガミはオラクル細胞で出来た群体生物だってのと通常兵器も核も効かないってのはさっき話したな。
なら、どうしたらアラガミを斃せるのか。
大淀はどうやると思う?」
「ええと……アラガミ同士に喰い合いをさせる……でしょうか?」
「凄いな。1発で当てやがった。
まぁ正確には、オラクル細胞を素材に作った『神機』と言う人工アラガミを使うんだがな。
さて、ここで矛盾が生まれる。
神機はオラクル細胞を素材に作る。オラクル細胞はアラガミからしか得られない。アラガミを斃せるのは神機だけ……なら最初の神機はどこから来た?」
「ええ……?」
「ちょっとわからないですね……」
「うーん、降参です、司令官ー
「まぁ、前提条件が正しくなかったしな。初期のものはマグマやらで斃せるって言ったろ?そこでオラクルを回収したんだよ。ただ、そこで得られたのは小動物サイズの物でな。最初はピストル程度が限界だったらしい。
もう少し正確に言うと、神機を作るにはアラガミの思考担当部位『コア』が必要だ。これを加工して『アーフィティシャルCNS』と言う制御パーツにする必要がある。
さて、アラガミはこのコアを取り除かない限り、ずっと生き続ける。
まぁ初期のアラガミに効果的だった、核やマグマに代表される『コア以外全てが消し飛ぶレベルの高エネルギー攻撃』は例外だが……
しかも、斃したアラガミを構成していたオラクル細胞はやがて霧散し、違う場所でまた別のアラガミになる。
だから、斃して直ぐコアを回収する必要がある。
また、アラガミは喰った相手の特性を『学習する』。
『模倣』、でも『取り込む』でも無く『学習』だ。
つまり、『より速く走る為にはどのような骨格が良いか』『空を飛ぶにはどうすべきか』等々、理解した上で取捨選択し、身体を作り変えることで進化する。
まさに『絶対の捕食者』『人類の天敵』だ。
アラガミを斃す方法はアラガミしかない。毒を以て毒を制すだ。」
「それじゃあ、人類は……」
「そうだな、吹雪。人類はジリ貧の状況だ。
10年前まではな。
そう、10年前、ある事件があってな。結果、人類はオラクル細胞の活動を半永久的に沈静化させる領域『聖域』を手に入れた。
この聖域は少しずつ広がっていてな。地球全土を覆い尽くすまでに人類が一定以上生き残っていれば、人類の勝利だ。
だったんだが……」
「そこに深海棲艦が現れたと」
「そうだ、明石。
しかもあいつらはアラガミの癖してオラクルを沈静化させやがる。まぁその所為で実体弾が効くんだがな。
だが、アラガミに実体弾は効かない上、撤退戦で多くの資料が失われた。その所為で2010年代の兵器ですらロストテクノロジーだ。
無線誘導ミサイルもオラクルで代用している現在、確実に深海棲艦に当てられる攻撃は無い。
しかも実体弾はオラクルと違い、戦闘中に補給するのが難しい、資源を確実に使い捨てると、あまりいいもんじゃ無い」
「それは……大変ですね……」
「だろう?大淀。
俺はゴッドイーターだったんだが、あ、ゴッドイーターってのは神機を使う奴のことな。神機使いとも呼ばれる。まぁその神機使いだったんだが、つい5ヶ月まで切った貼ったの大立ち回りを演じてたのさ。
ま、それはどうでも良いか。
さて、授業も疲れたし、一旦休みな。
続きはこの10分後な」
まだまだ続きます。
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