side刻
大淀に残るように言われたが……
なんでだ?
「さて司令官、出撃報告書や開発結果などの書類仕事が残っています。
ですが、昨日ほどきちんと目を通さなくても良いんですよ?
むしろあの密度を続けますと死んでしまいますよ」
ああ、執務か。
なるほど、確かに一理ある。あるんだが……
「いや、もっと良い方法がある。新しい紙をそこの『白紙』の段ボールに、残りの目を通してない書類を『書類はここに入れてくれ』の段ボールに入れてくれ。
「は、はぁ……」
事態がよく飲み込めていない様子の大淀
とりあえず言った通りにしてくれた様だ。
「さて、執務を始めるとしよう。おっと、段ボールの中は覗くなよ?」
一応注意しておかなければ。
「あ、あの?司令官?」
何か言っているが、執務が終わってからでも十分聞く時間はある。
『VRシステム 起動完了しました。執務システムを起動します』
聞き慣れた合成音声だ。
『完了しました』
さて、執務開始‼︎
side大淀
司令官さんが段ボールに入って数秒後、いきなりロボットアームが物凄い速度で書類へのサインや印鑑の捺印をし始めました。
瞬く間に書類が『出来た書類はここだ』の段ボールに移されて行きます。
書類の丘が片付いた数秒後、司令官さんの入った段ボールが動き、司令官さんが出てきました。
「んん〜、疲れた疲れた」
side刻
体感時間およそ3時間、現実で3秒後、執務をしっかり終わらせた俺は、大淀が驚いた表情で固まっている事に気が付いた。
「どうした大淀、物音に気が付いた敵兵みたいな顔して」
「なんですかそれ……」
「ああ、説明して無かったな。『高速執務執行システム』公式通称『トライアル』だ」
「……なんだか全身が青い仮面の警察官が9.8秒間超加速しそうな名前ですが、まぁ納得しました。確かにこれなら大丈夫でしょうが……
副作用とかはあるんですか?」
「ああ、心配するな。現実で1時間経つまでは問題無い。それ以降は後での頭痛、吐き気として現れるがな。
1時間ぎりぎりまで続けても、その後1時間間を空ければまた1時間使える。
ちなみに中では時間は3600倍になる。つまり、1秒で1時間分働けるって訳。これなら全部目を通してもさして時間がかからないだろう?」
「凄まじいですね……」
「だろう?昨日作った俺の自信作だ」
「昨日……自分で」
「ああ。まぁこの加速機能でプログラム組んだから数秒で組み終わったよ」
「なるほど……わかりました」
ん?なんか大淀がやさぐれてる……?気がする。
まぁ良い、とりあえず吹雪の書類が来るまで工廠にでも行ってこよう
(私……もしかしていらないのでは……⁉︎)
side吹雪
「報告書ってどう書くんですか?」
「難しい事は考え無いで、ただ実際にあったことを書くだけですよ。例えば隊長の生活についての報告書を書くなら、
『5時起床、体温は36.8度で平熱。脈拍は不明だが普段より少し高め。悪い夢を見たか、何か良い事を思いついたと推測される。何か作業をしている模様。段ボールを使っている事からかなり大事な事と推測される……』
と、こんな具合ですよ」
「なるほど……わかりました。なんだか書けそうな気がします!(でもなんでそんな事まで知っているんでしょうか?)」
「頑張って下さいね。隊長の部下同士、これからも助け合っていきましょう」