鬼武者×インフィニット・ストラトス(改訂版)(凍結) 作:鈴木颯手
今度は書き続けられるように頑張ります。
スチュリラード
1579年10月19日~摂津国・有岡城~
「・・・いよいよ織田の総攻撃が始まったか・・・」
有岡城の土牢に幽閉されている羽柴秀吉の家臣・黒田官兵衛は上手く動かすことさえできなくなりつつある体をさすりながら呟く。
黒田官兵衛は元々小寺家の重臣であるがそのさいを認められた秀吉に仕えるようになっていた。
「(しかし、秀吉様に言われた通りに赴いてみたらこのような事になるとわな)」
官兵衛は秀吉に謀反を起こした荒木村重を説得するように頼まれたのだ。
旧知の仲であった官兵衛は承諾し、一人有岡城へと赴いたのだが着くやすぐに幽閉されてしまったのだ。
「(もう少し皆のいう事を聞いておくべきであったかな)」
官兵衛は有岡城に赴く前に家臣たちに止められていた。さすがに一人で行くのは危険だと言っていたのだが官兵衛は聞かずに有岡城へと赴いたのだ。
「(ここを出ることが出来たら少しは自重しよう)」
そう思った時だった。
誰かが土牢のある部屋の扉を開けて入って来た。
「(織田の兵か?)」
そう思ったが現実は違った。
現れたのはまるで死人のような足軽だった。皮膚は腐り、唇はなく歯はむき出しになっており時折腐った息を吐きだす。
化け物と呼べるものであった。
「あ・・・ああ・・・・」
しかし官兵衛はそれを見ても動かなかった。
いや、動けなかった。
一年に及ぶ幽閉生活は官兵衛の体を腐らせていた。もう自分で立ち上がる事すらできない。
そうしている間に化け物は近づいてくる。雰囲気からして自分を殺そうとしている。それだけは分かったが今の官兵衛ではどうしようもなかった。
「(わしの命もここまでか・・・)」
官兵衛はそう覚悟を決めた時化け物が刀で官兵衛の胸を貫いた。
「・・・ご苦労だったな」
有岡城にある土牢の外にいたザガン・デラオキルドは刀足軽からの報告を聞いていた。
高等幻魔であるザガン・デラオキルドは主君でありそして同時に幻魔の頂点に立つ織田信長に仕えている。
初代幻魔王・フォーティンブラスのころより忠実に仕えているザガンは高等幻魔の中でも頭一つ飛び出すほどの信頼を得ている。
そんな彼は現在幻魔王の命令で羽柴秀吉に仕えている人間・黒田家の壊滅である。
官兵衛は独自に幻魔について調べていてそれに否定的であった。一時期は秀吉と対立している事も多かったのだ。
そこで秀吉は官兵衛と家族そして家臣を抹殺してほしいと信長に頼んだ。
幻魔王も幻魔に否定的だったものを殺すのに躊躇はなくザガンに抹殺を命じたのである。
その命を受けたザガンは有岡城への総攻撃と同時に城内へ進入し、官兵衛を殺したのである。
「・・・これで一応幻魔の事は知られないか」
官兵衛の抹殺に成功したと聞いたザガンは一息つく。
「・・・後はお前を官兵衛と入れ替えるだけだな。しかしつまらない仕事だな。そう思わないかスチュリラード?」
そう言って後ろに控える幻魔に顔を向る。
そこには先程刀足軽によって胸を貫かれた黒田官兵衛に似た何かがいた。見た目はそっくりであるが瞳からは生気を感じない。
これは高等幻魔・ギルデンスタンが新たに開発した造魔である。
約二十年前に左馬介に似た造魔・スチラードによって得られた技術をもとに作られた造魔である。
この造魔は他人そっくりに作るためその者になり買われるようになっている。
今回は幻魔王の命令で黒田一族及びその家臣全てをスチュリラードと入れ替えたのだ。
因みにスチュリラードはよほどの事がない限り無言だ。
故にザガンの言葉に返事はしない。
「・・・返事はなしか。まあ、分かっていた事だがな」
ザガンはしばらくやれやれと肩をすくめていたがやがて真剣な表情になりこういった。
「・・・俺はこれから後始末を行う。お前は土牢に入り織田兵が来るまでじっとしていろ」
スチュリラードは無言でうなずくと土牢のある部屋へと入って行った。
それを見たザガンは別方向へと歩き出した。