赤い弓兵と戦姫( リメイク)   作:無機物

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お久し振りです……と言って良いでしょうか?
ちょうど8ヶ月ですかね。長期の音信不通申し訳ありませんでした。学校のことや、色々とやらかしたり、またログイン出来なくなってキレて携帯投げるなどしたりしてここまで引きずってしまいました。
自分の書いた作品を読んでいて下さっていた皆様、申し訳ありません。感想を書いてくださった読者様、まだ返信をしていなくて申し訳ありません。まだ読んでもいません。……近いうちに返信します。

色々と事情がありましてリメイク版として一から再開させていただきます。


始まりの日

何も見えない。壁も無ければ床も天井も無い。三六〇度見渡しても奥行きがあるのかさえ分からない。文字通りの何も無い空間だった。

踏み締める足場も無い場所にたった一つの人影がある。それは海に投げ捨てられたゴミの様に宙にさ迷っていた。

髪は白髪の様に真っ白で肌は褐色。赤い外套を羽織りそれ以外はほぼ黒一色。

平衡感覚がまるで無く、どちらが上でどちらが下なのか。それさえ分からない空間を彼はただ見据えていた。

 

 

(居心地の良い場所ではないな……)

 

 

何処まで見ても何も無い。それは分かってはいるが、それでもこうして見てみると気が遠くなった。

時間の経過も分からない。何時間経ったのか、何日何年経過したのか、もしかするとまだ時間と呼べる程に時間が経っていないのかもしれなかった。

何の前触れも無くそれは訪れたる。

不意に身体が違和感を覚えた。心なしか身体の重さが消えていくような感じがする。

否、消えていく様ではなく実際に消えていた。しだいに身体の色が薄れていき透けていく。

 

 

「あぁ……またか」

 

 

自分の身体が消えていっていると言うのに不思議なくらいに冷静だった。常人であれば混乱し取り乱すだろうに、それを知っているかの様に受け入れていた。

知っている訳ではない。ただ感覚が身体を伝って知らせてくるのだ。

 

 

(呼ばれてしまったのであれば已む無し……か。どうか、何時ぞやの様な事だけは勘弁して頂きたい)

 

 

一瞬、扉を突破して慌ただしく登場してきた少女の姿が過った。不思議なこともあるものだと思わず苦笑いした。

だが、少女の姿は浮かび上がったのに顔だけは出てこなかった。こうなることは分かりきっていた。信じて、否定して、こうなってしまったが故にとても空しくなった。

目を閉じる。

 

 

「誰かは分からない……が、そうだな……皮肉(挨拶)の一つでも―――」

 

 

そこでその影は消えた。まるで最初からいなかったかの様に。後に残されたのは寂しい程に何も無い空間だけだった。

英霊エミヤは主の駒、サーヴァントとなって七人で行われる戦争に招かれた。

彼はそう思っていた。

 

 

 

 

気づけばエミヤは先程いた場所とは違う場所にいた。

それで何れだけの時間を費やしたのかは分からない。一瞬の事だったかもしれない。だが、そんなことはどうでも良かった。

何かが足りていないような違和感をいだく。そんな疑念を覚えながらも初めに感じた感触は大地を踏み締める脚の感覚。

次に聴覚。風の靡く音が耳に伝わってくる。遠く離れた所から鉄と鉄の衝突する音が聞こえてくる。

そして嗅覚。鼻に伝わってくるのは生臭い鉄の臭いだった。違和感を覚えた。それは自分がよく知っているものだった。

最後に視覚。光が瞼を通して眼球に当たる。光の刺激が弱い。曇っているのだろうか。

脚の裏に感じる感触を久しく思いながら瞼を開けた。最初こそ視界がぼやけていたが直ぐに治った。

 

 

「……幸先が悪いな」

 

 

正常に戻った目が最初に捉えたのは開けた荒野と死体だった。それも一つ二つどころではない。至るところに屍と化した遺体が無造作に転がっていた。

そしてどの死体にも共通点として皆、中世を連想させる板金鎧で覆われていた。状態は惨く、頭に矢が刺さったものや鎧ごと胴体を斬り捨てられてたのもあった。

何処を見ても死体、死体、死体……それは戦の後だった。

 

 

「……一方的に敗戦したと見て良いだろうか」

 

 

転がる死体にはどれも鎧が着せられている。中のヒトの姿は見れないが鎧の形状には特徴的な形状や装飾が存在した。見て分かる程にその鎧を着た死体の方が明らかに多かった。そしてそれの手にも身元にも武器らしい物は殆ど無く、その殆どは同じ方向を向いていた。

エミヤの脳裏に武器を捨て逃げたす兵士の姿が写った。その後ろから追撃する別の兵力。想像できたのは一方的なまでの蹂躙だった。

話を戻す。そんな事よりもっと重大なことがエミヤにはあった。

 

 

「マスターは――……」

 

 

そう。聖杯戦争を行うにあたってサーヴァントに最も必要な存在。魔力の供給源であり共に戦う協力者。マスター。それは無くてはならない存在だ。

しかし、辺りを見渡すが死体ばかりでそれらしい姿は見当たらない。意識を集中し気配を探ってはみたがそれらしい気配を感じ取ることは出来なかった。

 

 

「殺されたか……?」

 

 

冗談じゃないと頭を振った。

幸先が悪いにも程がある。これでは戦う前から負けているも同然だ。エミヤに叶えるべき望みは無い分、彼自身に聖杯への執着心は無いがそれでは酷すぎる。

こんな死体だらけのだだっ広い荒野に召喚しておいてそれはないと思いたかった。

一度溜め息をつくとエミヤは一つ仮説を立てた。召喚時に何らかの失策が発生し自分はマスターの気配を探れない程遠い場所に召喚された。もしくはマスターは遮断された空間で気配の探れない場所にいる。

そうであればこの状況も頷ける。

 

 

(であれば使い魔や使い走りあたりが私を探しにくる筈か。なら、森の中で息を潜めさせてもらうとするか)

 

 

辺りを見渡した時、東方向に森を確認している。少しばかり距離は遠いが徒歩で行く程度には問題は無い。

誰かに見られる前にと森へ向け一歩足を踏み出した時だった。

 

 

「むっ――」

 

 

違和感を感じた。それは初めに感じていたものだった。一歩前へ踏み入れた足を伝い、全身にそれを感じさせた。確認するように地べたを数回踏みしめる。

まさかと思い、サーヴァントの特徴の一つの霊体になろうとする。しかし、身体が霊体化することはなかった。

 

 

「なんでさ……」

 

 

溜め息混じりに言葉を吐いた。

自分の身にまとわり付く違和感の正体に気づき。何故自分はこんな戦地にいるのか、何故マスターの気配が感じられないかを悟ってしまった。

予想通り失策が起きていた。しかし、その規模が違った。召喚の際に生じてしまった何らかの失策だとばかりに思っていたエミヤだったが、どうやらその程度の失策ではなかったらしい。

 

 

「これは……思わぬ貧乏クジだな」

 

 

失策どころではない。貧乏クジにも限度があるだろうに。

胸に手を当てれば血液を血管に通す心臓の鼓動が掌に伝わった。

エミヤシロウは受肉をしていた。

どうして良いのか分からず、苦笑いをしながらもう一度溜め息をした。

一応と思い微かな希望を宿し、自分のステータスを確認した。

魔術回路はあった。全て正常に稼働している。身体能力も今までのまま変わりは無い。だが、やはりと言うべきか、クラスとクラス別スキルが存在しなかった。つまり今のエミヤはサーヴァントしてではなく一個の命としてこの場にいると言うこと。しかも今いる場所が何処なのかも年代すら分からない。周りには死体以外なにもない。

途方に暮れた。どんな失策をすればこんなことになるのか。

 

 

「これからどうするべきか」

 

 

訳が分からなかった。行き場のない怒りが込み上げてきた。しかしそれも怒りを通り越して呆れに変わり、次第に無くなていった。

どうにかすることは出来ないこともない。取り合えず死ねばもとあるべき場所へエミヤは戻れるだろう。だが、そんな事をする気もなければ、そこまでして戻る理由もない。なら今やるべきことは自身の置かれている状況を知ることしかない。

身の周り、遠くの景色を見渡す。周囲一帯は背の低い山に囲まれているだけで建物らしき物は一つも無い。近くにあった死体を見下ろす。鎧を着ている。西洋型の鎧で板金鎧と見てまず良いだろう。ここから分かることはここが中世時代の何処かということ。少なくとも日本でないのは明らかだ。

右も左も分からない場所にただ一人。エミヤには当然行く宛も金銭も無い。

 

 

(離れているが戦は続いている……危険ではあるがそこに行けば)

 

 

遠くから合戦の声が聞こえる。何キロか先で戦が繰り広げられていのだろう。そんな場所に自分は今向かおうとしているかと思うと気が引けた。ここが異郷の地でなければこの様な手段を取ることはなかった。しかし、右も左も分からないこの地で闇雲に動いて無駄に体力を浪費する事だけは避けたかった。今のエミヤはタダのヒトなのだから。

なにも合戦な中に突入する訳ではない。戦が収束すれば当然軍は引き揚げ根城へ戻る。その後を追っていけばいい。後は、途中に村などの集落を見つければ旅人を装って助けを求めればいい。気づかれないよう離れてさえすれば、事は容易に進めることができるはずだ。そうエミヤは考えた。

 

 

 

 

歩き始めてから暫く経った。戦は終決したようで、歩き始めてから間もなくの頃に遠くから微かに聞こえていた鬩ぎ合う声が聞こえなくなった。

 

 

(あれは……)

 

 

間もなくして、数人程度で形成された騎馬団体を見つけた。中心には女性がいて、その人を取り巻く形で六騎の護衛が列を作っていた。位置の問題で女性の顔は見えないが恐らく若い。青を基調とした衣装で露出度が非常に高かった。場違いな格好の女性は団体の中で一番浮いている。防御力の皆無なその服装では矢の一本でも受ければ致命傷になってしまうに違いない。周りにの護衛はそうならないようにするための配慮なのだろうが。

 

 

「貴族と見て良いのだろうが……」

 

 

呆れてその先の言葉が出なかった。

あの女性を貴族と見て間違い無いだろう。そして周りの護衛が雇われか側近あたりか。そちらの方は流石に鎧を着ており槍や剣等の武器も所持していた。差し詰め戦の観戦に来たのだろう。あの無防備な格好は回りの護衛を信用しているからなのか、貴族の考える事は理解出来んとエミヤは心中で思った

 

 

「だがまあ……あの貴族がどんな際どい格好になろうと私には関係がない、か。どうであれ、ああも目立つ格好なら見失うこともないだろう」

 

 

取り乱している状態に見えないので勝利した軍の方と関係のある貴族なのだろう。終決したから軍と合流して撤収すると言ったところか。エミヤは気づかれない程度に距離を縮めながらその後を追った。

それから尾行を始めてから程なくして、また事態に変化が起きてしまった。

貴族達の進行方向から馬を駆けてくる一騎の騎馬兵の姿が現れた。長剣を片手に馬を駆けてくるその様子からして味方のものとは違い、その兵が着る鎧がさっき見た死体の物と同じ代物だった。間違えることなくそれは敵だ。

護衛もそれを確認したのだろう。左右に一騎ずつ残すと、他の騎兵は向かって来る騎兵へ向け馬を走らせた。

疑うことはなかったが、やって来た騎兵はやはり敵の残党だった。一騎の騎兵に対し五騎の護衛。多勢に無勢で騎兵に勝ち目は微塵もない。だが一切の迷いもなく駆ける姿からは決死の覚悟が感じられた。

 

 

「忠義を尽くす気か……」

 

 

エミヤも離れた場所からではあったがそれを目の当たりにしていた。

結末の分かりきった事だが、そこへ水を差すような気は更々ない。

護衛と向かい来る騎兵との距離が縮まる中、エミヤは思わず目を見張った。

 

 

(……何を考えている?)

 

 

銀髪の女性が敵へ向け馬を走らせたのだ。後方に残った護衛を避け腰にあった長剣を抜いた。慌てて残された護衛も後を追うが止めることが出来なかった。女性の駆ける馬が速すぎたのだ。護衛が追い始めた時には女性との距離がかけ離れていた。速度を速める為に必要な加速の間短かった。にも関わらず女性の乗る馬は十分な速さを有している。その速さはエミヤから見ても不自然なくらいだった。まるで何かに押されているかの様。

だが、この際それはどうでも良かった。その馬の並外れた足の速さはあっという間に先にいた護衛を通り越し真っ先に敵の騎兵へと向かう。

女性は片手に剣こそ持っているがそれ以外は丸腰だ。一撃でも貰えば必ず致命傷に繋がる。

 

 

「馬鹿が……弁えを知らんのか――!」

 

 

そこからは考えるより先に身体が動いていた。舌打ちをしながらエミヤは弓を投影して即座に得物を射放った。その迷いの無い動作には狙いの照準を合わせる間が全く感じられなかった。

たが、射放れた得物は見事に相手を捉えることに成功した。射たれた相手は短い悲鳴を挙げなが突き飛ばされた様に馬上から落ちた。乗り手を失った馬は突然のことに混乱をしながら向かってきた女性の横を通りすぎて行った。

エミヤからすれば予想通りの結果に終わったのだろうが、敵が射倒されるのを目の前で見た女性にとっては何が起きたのか分からない事態だっただろう。

 

 

 

 

軍勢と軍勢が衝突する。敵を撃ち取るべく剣を振るい、矢を射る。敵を撃ち取り、時に奪い、時に奪われる。それが戦だ。

戦場で最も勢いの激しい最前線では殺し合いをしているにも関わらず思わず目を向けてしまう程美しい少女がいた。銀の長い髪を靡かせ馬を駆ける。髪と似た色の長剣を手に持ち、容赦なく敵に振りかざす。だがその身に返り血が付着することはない。

馬の馬蹄を轟かし、少女は最前線を迷わず突き進む。

常に軍の前に立ち導く存在。最前線に立ち、大勢の敵を打ち沈める存在。そんな少女のことを皆は口々に戦姫と呼んだ。

 

 

「……これで終わりか」

 

 

自分の乗る馬に揺されながら、つまらなそうに銀髪の戦姫は呟いた。

戦の結果は自軍の勝利。敵は敗走し、犠牲者も最小限に終わった。誰もが圧勝と喜ぶであろうこの結末はもちろん彼女にとっても嬉しい。それでも気に入らない。不服なところがあった。それをあえて愚痴にして声に出すことはしなかったが、それは胸の中でもやもやと残っていた。

 

 

(背後から追撃するだけで護衛など不要なのに……リムの奴)

 

 

彼女の周りには六人の護衛がいる。

やや荒い鼻息を一つ立てると顔は正面を向けたまま横目で右の方を見た。そこには周りにいる他の護衛とは違う青色の板金鎧の騎兵がいた。それを数秒見つめると視線を正面に戻した。

 

 

「ん? あれは――」

 

 

遠目に馬を駆ける人影が見えた。始めは仲間かと思ったが徐々に距離が縮まってくるにつれ、その正体が敵だと分かりその考えを否定した。鎧の色は似ているが形が違う。敵軍の残党だった。片手で剣を握りかざして向かってくる。そして他の護衛もそれを確認した。

 

 

「二人はこの場に。他は私と来てください」

 

 

青いの板金鎧の護衛は他の護衛に指示を出すと仲間を連れ敵の迎撃に向かった。残された護衛は守るべき主の先頭へ出た。こうすれば万が一先行した護衛が突破されても即座に対応できる。

 

 

(……一人に対しておおげさな)

 

 

自分を守る為の行動だと少女は分かっていたがその対応に思わず苦笑いした。

相手は脅威と言える程の実力を持ち合わせていない。それは剣を交えなくても見るだけで分かった。ただ一矢を報いるために挑んでいるだけなのだ。

 

 

(あの騎兵の目的は――)

 

 

少女は両手に持った手綱を強く握り締めた。不満なわだかまりが一層濃くなり彼女の気分を悪くさせた。一つ溜め息をつくと腰にある長剣を利き手で撫でた。すると不意に風が吹き少女の長い銀の髪を靡かせた。

 

 

「……私だろ」

 

 

手綱を波立たせ馬を走らせた。突然の行動に前にいた二人の護衛は遅れて反応した。二人の間を通り抜けると腰の長剣を抜いた。すると強風が吹き始め少女と馬を優しく包んだ。風は髪を靡かせ、風を纏った馬の足は速さを増した。残された護衛はその後を追ったがとても追いける速さではなかった。

 

 

(あの騎兵には悪いが……付き合ってもらう)

 

 

少女はただ心に蓄積された不満な気持ちを行動で発散させたかった。

相手との距離が縮まっていくなか先に行っていたもう二人の護衛を追い抜いた。青色の護衛は彼女の名前を呼びながら制止させようとするが距離が離れていくだけで何も出来なかった。

 

 

「戦姫、覚悟ッ!」

 

 

敵の騎兵からそんな声が聞こえた。雄叫びを挙げながら向かってくる。敵と彼女との距離はあと数メートルのところまで縮まっていた。少女は片手に握った剣を構えた。

 

 

「その言葉――」

 

 

そのまま返すと言う筈だった。しかし、その言葉は喉のところで突っ掛かり出なかった。先程まで一矢を報いようと威勢ある声を挙げていた相手が突然、何かに突き飛ばされたように馬上から落ちた。背中から地面に落ちる。固い地面に鎧がぶつかり、ガシャリ、と鉄の鈍く短い音が鳴った。

乗り手のいなくなった馬が横を走り去っていた。走らせていた馬を停止させる。何が起きたのか分からなかった。混乱しながら落ちた相手を見る。

それを見て驚いた。

 

 

「えっ――」

 

 

生きていた。だが、驚いたのはそこじゃない。少女は馬から落ちた騎兵を見て目を見張った。騎兵は唸り、縮こまりながら方を押さえていた。押さえる方からは血が止めどなく流れ出てきていた。流れ出る新鮮な血は鎧をつたい、地面に零れ赤い水溜まりを作った。

少女は血が流れ出る肩を見る。血は見ていない。固い鎧を貫き血を出させた元凶を彼女は凝視した。

それは、剣だった。自分が今持つ長剣より短い剣が敵兵の肩を貫通して後ろから血に塗られた刃が生えていた。

 

 

「誰がッ!?」

 

 

我に返り周囲を見渡す。この惨事を作り出した張本人を探す。少女の前には相手の騎兵以外に誰もいない。後ろを振り返って見るがそこには後を追ってくる護衛しかしなかった。いない筈がない。近場で見つからないなら遠くを探せばいる筈だ。周囲をぐるりと一周回りながら遠くを見渡す。

 

 

「どこ、に――」

 

 

後ろにいた護衛から視線を退けもう一度屍に視線を戻そうとすると視界に何かが映った。慌ててそれに視線を向けた。この場から一キロ弱離れた先にそれはあった。色が赤いが人影だ。目を凝らしてよく見ると背丈が高く赤い衣服を着ていることが分かった。男だろうか。

それが人影だと分かると彼女の心臓が一度だけ跳ね上がった。あの人影がやったと直感がそれを伝えてきた。

 

 

(私は――)

 

 

直感的にそれを感じて恐怖を抱かなかった訳じゃない。キロ単位で離れた場所からまるで矢を射ったかのよう剣を当てたのだ。恐ろしいとさえ思った。

しかしそれを差し引いてもこんなことは、こんな感情は今までに一度もなかった。鼓動が高まり、彼女の頬が若干赤らんだ。

 

 

「私はお前が……!」

 

 

抑えられない衝動の正体が好奇心だと気づかされた時には彼女はもう赤い人影へ向け馬を走らせていた。

恐怖さえ押し退ける程の好奇心が彼女を支配し、その赤い人影に対し好奇心以外に感じることが出来なかった。

彼女の名前はエレオノーラ・ヴィルターリア。ライトメリッツの主であり七戦姫の一人である。

 

 

ここから、あってはならない物語始まる。




こんな感じでいきたいと思います。途中途中の文が長すぎる様な……
今を逃したら更に遅くなると思い今回、急いで書き上げましたのでまた誤字などがあるかもしれません。その時は御手数ですが指摘をどうかよろしくお願いします。
夏休みになって少し暇な時間が出来たので二話目はこの期間中になんとか……

grand order……やりたいなぁ
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