Fate/wizard liner プリズマ☆イリヤ   作:天野蒼夜

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セイバー、そしてトリスメギストス。それぞれの戦いの中で少年
少女達は戦い、異質の力が発現される……。

OP:
「Life is SHOW TIME」唄:鬼龍院翔fromゴールデンボンバー

ED:
「Prisum Sympathy」唄:Stylips


第9話「異質の力」

周囲はほぼ半壊し、海が二つに割れて大きな穴ができている。

 

そこからは滝から水が流れるような轟音が響いており、凛さんとルヴィアさんの放った魔法撃が強烈であったことを物語っている。

 

そう、周囲の半壊も海に広がる大きな穴も全て凛さんとルヴィアさんが二人でセイバーめがけて放った魔法撃によって生じたものだ。

 

「すごい威力……あれが二人の力……」

 

分断されている海に視線を向けながら凛さんとルヴィアさんが放った魔法撃の威力に驚く美遊さん。

 

かくいう私は驚きすぎて逆にどうリアクションしていいか分からなくなっている。

 

「くっくっく、お~っほっほっほ!これぞ完全勝利というものですわね!お~っほっほっほっほっほ!」

 

ルヴィアさんが右手の甲を顎の辺りにやって高笑いをしている。

 

「あんた、そうやって笑っているけど、少しは私に感謝したらどうなの?私がいなかったらあんた

死んでたわよ」

 

「あら、そんなこと言われましても。私には獰猛なお猿さんがいたとしか認識していませんわ。きっとグッドタイミングでやって来たに違いありませんわ」

 

「何ですって!喧嘩売ってんの縦ロール!」

 

「なっ!?私は縦ロールという名前ではありません!ちゃんとルヴィアという名前がありますわ!」

 

「恥じらいを持ってる奴なら普通あたかも自分のおかげみたいに高笑いしたりなんてしないのよ普通は!!」

 

「ならばやりますか?丁度力も余ってるいますし」

 

「上等じゃない……受けて経つわよ縦ロール……!」

 

二人がステッキを構えて今にも襲い掛からんばかりだ。

 

このままじゃバトルに勃発!?と、止めないと!

 

「凛さん!ルヴィアさん!喧嘩はやm―――!」

 

私が凛さんとルヴィアさんのところに駆け寄って仲裁に入ろうとすると海の中から激しい轟音が響き、水柱ができる。

 

その水柱が引っ込むと、凛さんとルヴィアさんが撃破したはずのセイバーが右手に持った剣に漆黒のエネルギーを集めていた。

 

「ウソでしょ……!?」

 

「あの魔法撃をまともに喰らいましたのよ!?」

 

二人の放った魔法撃を喰らってまだ生きていることに凛さんとルヴィアさんも驚愕している。

 

それはそうだ、私達はもう倒した気でいたから……。

 

「皆気を付けて!あいつ宝具を!宝具を使う気です!!」

 

「何ですって!?」

 

「と、とにかく早く退避w―――!」

 

「エクス……カリバー」

 

冷淡に呟くと、セイバーは闇のエネルギーで構成された極太の赤黒い衝撃波を私達めがけて放つ。

 

その赤黒い衝撃波を見たのを最後に、私の意識は遠くに飛んで行った。

 

 

―――――

 

 

エレキスタイルに変身した俺をトリスメギストスが興味深そうな目で見ている。

 

「それは雷の幻獣イクシオンの力を取り込んだ姿か。つくづく思っていたけど、面白いことをするね、この世界の魔法使いは」

 

「トリスメギストス、お前はどうして俺達を止める?もしかしてお前はイリヤ達に何があったか

知ってるのか?」

 

「さあ?知らないな。でも、もし僕に一撃でも加えることができれば分かるかもね」

 

「……なら」

 

右手に持っていたハンマーを両手で握る。

 

「一撃かまして吐き出させてやるよ!」

 

ハンマーの槌部分に金色の雷を纏わせ、地面に思い切り槌部分を叩きつける。

 

すると地面から金色の雷で構成された衝撃波が現れてトリスメギストスのところに向かっていく。

 

しかしトリスメギストスはその衝撃波を右手で受け止めて弾いて自分の軌道から逸らした。

 

逸らしたことによって衝撃波がビルにぶつかり、一部分を爆発させて崩壊させる。

 

衝撃波が防がれると、俺はトリスメギストスのところに向かっていき、両腕でハンマーを振り回して攻撃を仕掛ける。

 

ブンッ!ブンッ!と空を切る音が響くと共にトリスメギストスにコンボを繰り出すが、トリスメギストスはその攻撃を難なく避ける。

 

「やはり完全に使いこなせていないな。攻撃に重点を置きしすぎてスピードが疎かになっているよ!」

 

「ぐっ……!」

 

カウンターで繰り出されたトリスメギストスの右ストレートをハンマーの持ち手部分で防御する。

 

しかしあまりの衝撃だったため、俺は防御しきる代わりに後ろに滑る。

 

危ないところだった……あれをまともに喰らってたら顔が潰れてたかも……。

 

「よく避けたね、魔法使いに選ばれただけあってそれなりに反射神経はいいようだ」

 

【お~あいつのパンチ中々痛ぇな!大丈夫か?悠生?」

 

「ああ……すまない、盾にしちまって」

 

【んなこと気にすんな。俺はお前と違って頑丈だからな。これぐらいのパンチ屁でもねぇよ!】

 

頼もしいパートナーだ。

 

「友情か……そういえばとある世界でもそれを重んじていた人がいたね」

 

「とある世界だと?お前何言ってんだ?」

 

「知ってるかい?世界というのは必ずしも一つというわけじゃない。現にこの世界の他にも境界面というものがあっただろ?」

 

たしかにあれは今俺達がいる現実世界の映し鏡的存在の世界だ。

 

そう考えればあいつが言っている世界は一つとは限らないは間違いじゃない。

 

「ま、そろそろ時間も頃合いだろうし。ここで引き上げさせてもらうよ。君達先を急いでいるんだろう?早く彼女達のところに行ってあげな」

 

「俺達を足止めしたの誰だよ!?まぎれもないてめぇじゃねぇか!!」

 

「悪いね、こっちも仕事なんだ。恨むなら僕に足止めを依頼した彼を恨むんだね。それじゃ、またいつか

会おう。魔法使い諸君」

 

「あ!待て!」

 

俺の制止の声も空しく、トリスメギストスは空の闇の彼方へと消えて行った。

 

一瞬追おうと考えたが、今の俺達にそんな余裕は残されていない。

 

こうしてる間にもイリヤ達は何か起こっているのかもしれないのだから。

 

「っとに何だったんだあいつ?結局なにもんだったのかも分かんなかったし」

 

「そんなこと今はどうでもいい。それよりもイリヤ達だ。まだ確信してるわけじゃないが、何か起こっているような気がしてならない」

 

「そうだな、美遊のこともツインテールとお嬢のことも気になるし、行くか!」

 

こうして、トリスメギストスとの一戦を終えた俺達は空を飛んで

イリヤ達のいる橋のふもとの公園に向かった。

 

 

―――――

 

 

「……ぅん」

 

目を覚ますと私とイリヤスフィールは空に降りしきる海水の中、地面に寝転がっていた。

 

私は隣でイリヤスフィールが倒れていることに気付くと、すぐさま近付いて揺さぶり起こす。

 

イリヤスフィールはしばらくそうやっても起きなかったが、一分くらいしてようやく起きた。

 

「……美遊さん?」

 

「よかった、イリヤスフィール。無事だったのね。でも、凛さんとルヴィアさんは……」

 

周囲を見渡すが、凛さんもルヴィアさんもルビーもサファイアもいない。

 

さっきの攻撃でどこかに吹き飛ばされたのだろう。

 

ルビーがいるから大丈夫だとは思うが、やはり心配だ……捜さないと。

 

イリヤスフィールも凛さん達がいないことに気付いたのか、バッ、と起き上がって周囲を歩いて呼びかける。

 

「凛さ~ん!ルヴィアさ~ん!ルビ~!サファイア~!皆どこなの~!?返事して~!!」

 

イリヤスフィールはそう言って皆に呼びかけるが、聞こえてくるのは海水が降りしきる音だけだった。

 

それでもイリヤスフィールは呼び続けるが、やはり返事はなく、とうとうその場に座り込んでしまった。

 

「やだよ……こんなのやだよぉ……!うっ……ひっく……ぐすっ……!」

 

その場に座り込みながら泣き始めるイリヤスフィール。

 

私は手を伸ばして何か言おうと思ったが、いかんせん今まで人に何かを言うことをしたことがないので何を言ったらいいのか分からなくて踏みとどまった。

 

どうすればいいのか必死に考えていると、数km先から瓦礫が崩れる音が聞こえてきて、私はそこに

視線を向ける。

 

そこから現れたのは凛さんでもルヴィアさんでもルビーでもサファイアでもなくセイバーで、ゆっくりこちらのほうに歩いてきている。

 

しかし幸いなことにあっちはまだ私達には気付いていない。

 

とにかくここから逃げなければと私は座り込んでいるイリヤスフィール右手を取って岩陰に走って隠れてセイバーの様子を窺う。

 

セイバーは歩いては止まって周囲を見渡しており、私達を捜しているようだった。

 

もし魔法少女でない私達が見つかってしまえば確実にセイバーに殺される。

 

私だけならまだしも、半ば巻き込まれたイリヤスフィールを殺させるわけにはいかない。

 

だが……。

 

「っ!?」

 

ついに私達が隠れていた岩が壊され、セイバーが私達に気付いてしまった。

 

仮面越しに私達を無感情で見つけている。

 

それはまるで感情をどこかに置いてきてしまったキラーマシンのようだった。

 

「……」

 

ふとイリヤスフィールに視線を向けると、彼女は上半身を両手で押さえ、身体を小刻みに震わせてうめき声を上げている。

 

「イリy―――あっ!?」

 

イリヤスフィールに声をかけようとした途端、イリヤスフィールから膨大な魔力が天に登るように放たれた。

 

「……たお、さなきゃ」

 

独り言のようにイリヤスフィールが呟く。

 

今の彼女は様子がおかしい。

 

開かれた瞳もハイライトが消えており、いつもの天真爛漫な顔つきは微塵もなかった。

 

イリヤスフィールは足元に魔法陣を展開すると、アーチャーのクラスカードを取り出して足元の魔法陣の中央に設置する。

 

「……インストール」

 

冷淡に呟き、イリヤスフィールが全身を光で包まれる。

 

そして、光を破って現れたのは長い髪を束ね、全身を赤と黒で構成された衣装を身に纏ったイリヤスフィールだった。

 

イリヤスフィールがその姿になると、セイバーが赤黒いエネルギー刃を剣の刀身から放つ。

 

だがそれをイリヤスフィールは右手を差し出し、難なく防いで爆発させた。

 

爆発して煙が巻き上がり、セイバーからイリヤスフィールが見えなくなると、煙の中から複数の刃がセイバーめがけて飛んできて、セイバーはそれを剣で全て弾く。

 

だが、防いだ時にはイリヤスフィールは空中におり、具現化された二本の双剣でセイバーに飛びかかって斬りつける。

 

セイバーを斬りつけるとイリヤスフィールは軽やかなバック転と宙返りで後方に下がった。

 

あんな動き、今までのイリヤスフィールじゃとてもできなかったことだ。

 

「(信じられない……あの動き……あの戦闘能力……今までを遥かに超えてる……)」

 

今までのイリヤスフィールはまだ毛が生えたばかりの素人当然だった。

 

だが、イリヤスフィールはあの姿になった途端、戦闘能力が爆発的に増した。

 

これはまさか……イリヤスフィール自身が英霊になってるの……?

 

私がそう推察していると、イリヤスフィールは双剣で斬りつけてセイバーを吹き飛ばす。

 

吹き飛ばすと右手に弓、左手に矢を召喚して弓矢の構えを取って狙いを定める。

 

しばらく狙いを定めるとその矢は発射されるが、それはセイバー本体には当たらず、仮面を半壊させた

だけだった。

 

「美遊様ぁあああああああああああああああああああああぁ!!!!!」

 

どこからともなく聞き覚えのある声が聞こえてきて、私はそこに視線を向ける。

 

すると地面からサファイアがモグラのように這い出てきた。

 

私はそれに驚いて腰を抜かして座り込んでしまう。

 

「サファイア、無事だったの……?」

 

「はい、地中に潜って緊急退避を。負傷はしましたがルヴィア様達も無事です」

 

よかった……死んだわけじゃなかったんだ……。

 

いつものイリヤスフィールだったら泣いて喜ぶところだが、今のイリヤスフィールはそれどころじゃない。

 

未だかつてない姿になっているのだから。

 

「あれは……イリヤ様、ですか?」

 

サファイアが変貌したイリヤスフィールに気付いたようだ。

 

だがそれに驚く暇もなく、セイバーは全身に赤黒いオーラを纏っている。

 

「ダメ!宝具の二撃目が来る!イリヤスフィール逃げて!英霊と化してもあれは防げない!!!」

 

「……」

 

イリヤスフィールの両手から光が具現化されている。

 

「……トレースオン」

 

その光が徐々に形を成して行き、見覚えのある剣に姿を変えた。

 

そう……それはまさしく……。

 

「エクスカリバー……」

 

間違いない……あの神々しさ、間違いなくエクスカリバーだ。

 

まさか……!?

 

「エクス……カリバァアアアアアアアアアアアァ!!!」

 

が刀身に赤黒いエネルギーを溜めて凝縮された極太の衝撃波を放つ。

 

「エクス……カリバァアアアアアアアアアアァ!!!」

 

遅れてイリヤは光り輝く極太の衝撃波を放ち、光と闇の衝撃は中間でくすぶり合ってぶつかり合う。

 

「はぁあああああああああああああぁ!!!」

 

イリヤスフィールの叫び、徐々に光の衝撃波が闇の衝撃波を押し始める。

 

光の衝撃波は完全に闇を飲み込み、セイバーもろとも豪快に爆発した。

 

完全に押し出すと、イリヤスフィールは力を使い果たしたように倒れて変貌していた姿も元に戻る。

 

倒れると同時に体内からアーチャーのクラスカードが出てくる。

 

でも、もしかしたらまだ生きているかもしれないと思った私は爆発したところに視線を向ける。

 

するとそこにはセイバーのクラスカードがあり、アレは完全に消滅したことを現していた。

 

「(あの戦闘技術……一体この子、何者なの……?)」

 

「イリヤ~!美遊~!皆無事か~!?」

 

一足遅れて悠生と裕輔が駆けつけてきて、私達の戦いはひとまず終わりを告げた。

 

それと同時にクラスカードをあんな使い方をするイリヤスフィールをすごいと思い、少しだけ尊敬した。

 

本当に……ほんの少しだけどね。

 

 

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