Fate/wizard liner プリズマ☆イリヤ   作:天野蒼夜

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イリヤ達の前に現れた新たな敵。そして彼女達の救助に向かおうとした
悠生と裕輔はとんでもない奴と遭遇してしまう。

OP2:
「コネクト」唄:ClariS

ED:
「Prisum Sympathy」唄:Stylips


第8話「第三の選択と雷の鉄槌」

イクシオンとアレクサンダーを撃退し、自分達のカード回収を済ませた俺達は急いでイリヤ達のいる橋のふもとに向かって飛んでいた。

 

「なあ悠生、お前はさっきイリヤ達のことで嫌な予感がするとか言ってたよな。それは一体どういうことなんだ?」

 

「そこまでは分からないけど……どういうわけか感じるんだ……。もしかしたらあいつ等のいるところでに何かよからぬ事態は起きてるかもしれないって……」

 

「あら、それは大変だ。だったら早く行ってあげないとね」

 

どこからともなく爽やかな青年の声が聞こえてきた。

 

声がしたところに視線を向けると、そこには白のセミロングにワインレッドの瞳、全身黒いスーツ、頭にシルクハットを被った青年が転移でもしてきたかのように現れた。

 

「転移魔法……?お前、何者だ?」

 

「僕はトリス、トリスメギストス。人類でいう希望、はたまた絶望、神と呼ばれる存在だよ」

 

軽くカーテンコールをしてトリスメギストスが自己紹介をする。

 

神って……こんなナリした神っているのか……?

 

「そのトリス何たらが俺達に何の用だ!?」

 

「僕はある人から頼まれたんだ。君達をイリヤスフィール達のところへ行かせるなと。だからこうやって足止めしにきた次第さ」

 

「ある人……?ある人って誰だよ!?」

 

「それは言えないな。本人からバラすなと固く言われてるんだ」

 

「俺達は先を急いでんだ!そこをどけ!」

 

「嫌だ、って言ったら?」

 

「力ずくで通させてもらうぜ!」

 

「あ!待て弐藤!」

 

俺の制止も空しく、弐藤はレグルスセイバーを持ちながらトリスメギストスに斬撃を加える。

 

が……その斬撃はトリスメギストスの見えない何かによって止められてしまった。

 

「斬撃が……届かねぇだと……!?」

 

「君の斬撃は僕の魔法障壁を壊せるほどに達してないってことだ」

 

トリスメギストスが言い終わると、弐藤が何かに押し出されるように後ろに吹き飛んだ。

 

吹き飛ばされた弐藤を俺は身体で受け止める。

 

「十分だ、十分間だけ君達を足止めする。もしそれに生き残ることができればここを通してあげよう」

 

自分の十本の指でそれを示すトリスメギストス。

 

十分って……俺達をナメてるのか……?

 

「ナメんじゃねぇぞシルクハット……さっきはちょい油断しただけだ……!」

 

「弐藤、奴の力は未知数だ。奴の力の詳細が分からない以上、迂闊に突撃するのは危険だ。ここは相手の出方を窺って―――」

 

「んなまどろっこしいことしてられっか!俺はそういうのが苦手なんだよ!」

 

「あ!待て!くそっ……」

 

自分の言うことを聞かずに突撃して行った弐藤に若干呆れながらも俺は弐藤のフォローをするためにドラグブレイドを持ってトリスメギストスに向かって行った。

 

「魔法使い……今のお前達がそいつにどれだけ通用するか、見させてもらうぞ」

 

悠生達から数km離れたビルの屋上から悠生達がトリスメギストスと

戦っているところを見ながらブルーナイトは呟いた。

 

 

―――――

 

 

自分達の目の前に広がる業火の中で佇んでいる黒い甲冑を着た騎士が私達を仮面越しに見つめている。

 

そしてその背後にはボロボロの身体で倒れている凛さんとルヴィアさん。

 

あの様子だと黒い甲冑を着た騎士にやられたと見て間違いないだろう。

 

「何……何なのあれ……!?」

 

【マズいですね……まさかこんな早くにセイバーが出てくるなんて……状況は非情に最悪です】

 

「でも、それでも助けないと!凛さんとルヴィアさんが殺されてしまう前に!」

 

「待って!!」

 

凛さんとルヴィアさんを助けに行こうとする私を美遊さんが止める。

 

「何!?」

 

「イリヤスフィール、無闇に動いても状況が悪化するだけ。二人を助けたいと思うなら冷静になって」

 

「でも!」

 

「私が足止めする。だからイリヤスフィールは右から近付いて二人を救出して。二人を救う方法はそれしかない」

 

美遊さんはこんな状況でも冷静だ。

 

やっぱりこの人はすごい人なんだな……と改めて思い知らされた瞬間だった。

 

私は遊さんの作戦に【分かった】と頷いて美遊さんが左側の海に移動していく中、右側の森に移動して凛さんとルヴィアさんのところに近付いていく。

 

私がそうしている間、美遊さんはセイバーにエネルギー砲を撃って時間を稼いでいるが、セイバーは全身を包んでいる黒い霧のようなもので防いでいる。

 

「ルビー、何なのあれ!?」

 

【あれはとても高密度な魔力で構成された霧ですね。あれの前じゃそんじょそこらの魔法攻撃は効きません】

 

何それ……そんなの反則だよ!チートだよ!

 

「……」

 

さっきの声で気付いたのか、セイバーはこちらのほうを向いてゆっくりこちらのほうに近付いてくる。

 

私はそれに応戦しようとステッキからエネルギー砲を放つが、やはり黒い霧によって無効化されてしまった。

 

私の攻撃が無効化されると、セイバーは剣から黒い衝撃波を私めがけて放つ。

 

私はそれを間一髪で避けるが、右腕から血を出してしまう。

 

「あ……血が……」

 

「大丈夫です。これぐらいの傷ならすぐに治せます。軽傷ですから!」

 

「イリヤスフィール!避けて!!!」

 

美遊さんの掛け声のおかげで私はもう一発放たれた黒い衝撃波を飛んで避けることができた。

 

あんなの喰らっていたらひとたまりもなかっただろう。

 

私が地上に降り立つと、美遊さんがこちらのほうに近付いてきた。

 

「あの黒い霧は私達の攻撃をことごとく無効化してる。とても今の私達が勝てる相手じゃない」

 

「じゃあどうすればいいの!?あんな反則級の奴とどうやって戦えばいいの!?」

 

「落ち着いてイリヤスフィール!私があいつに張りついて足止めするから貴女はその内に凛さんとルヴィアさんを!」

 

「そんなのダメだよ!そんなことしたら私達は助かっても美遊さんが危険な目に―――!」

 

「私なら大丈夫だから!ここは私の言うことを―――!」

 

「ルビーダブルチョ~ップ!!」

 

私達の真上を浮遊していたルビーが急降下してきて私達にダブルチョップを炸裂させる。

 

そのあまりの痛さに私も美遊さんも頭を両手で押さえて涙目になる。

 

「いったぁ~い……こんな状況なのに何すんのよ!?」

 

「二人共!喧嘩なんてしてる場合じゃありません!そんなんじゃ立派な魔法少女にはなれませんよ!」

 

「けど……」

 

「相手に我々の攻撃が効かない以上、残された手段はもうこれしかありません。いいですね?サファイアちゃん」

 

「はい、姉さん。丁度凛さん達も復活したようですし」

 

サファイアに言われてセイバーの背後に視線を向けると、そこにはさっきまで気絶していた凛さんとルヴィアさんがいた。

 

「イリヤさん、美遊さん、私とサファイアちゃんを凛さんとルヴィアめがけて投げて下さい。さっきの作戦が選択肢二番とするなら……」

 

「この選択肢は三番ってこと?」

 

「そういうことです」

 

「やってみよう、今の私達じゃ勝てない以上、残された方法はそれしかない」

 

「……うん、分かった。凛さん!ルヴィアさん!受け取って下さい!」

 

そう言うと、私はルビーを美遊さんはサファイアを凛さんとルヴィアさんめがけて投げつけた。

 

投げつけてルビーとサファイアが私達から50m以上離れたことによって自動で変身が解かれる。

 

変身が解かれるとルビーが凛さんに、サファイアがルヴィアさんの手に渡り、二人が光に包まれる。

 

そして光が消えて現れたのは赤をメインカラーにした魔法少女の軽装、頭部に黒い獣耳、尻部分

に黒い獣の尻尾がが付けられた凛さんと青をメインカラーにした魔法少女の衣装、頭部に狐色の

獣耳、尻部分に狐色の獣の尻尾が付けられたルヴィアさんが現れた。

 

「さぁて、反撃開始と行きましょうか」

 

そう言って凛さんはニヒルな笑みを浮かべた。

 

 

―――――

 

 

ブリザドスタイルに変身し、トリスメギストスに氷属性を纏わせた銃弾を連射する。

 

だが、その放たれた銃弾は全てシルクハットによって受け止められる。

 

「はい、それでは皆さんご注目。3、2、1、はい!」

 

トリスメギストスがマジシャンのように棒を振って受け止めた銃弾をそのまま俺のところに発射する。

 

俺めがけて発射されたそれを俺は目の前に氷で形成された防護壁で防ぐ。

 

「なろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

弐藤がトリスメギストスのところに向かって行きながらタイタンのサモンカードをレグルスセイバーに装填し、巨大化したタイタンのサモンカードを通過してベーシックからタイタンマントを右肩に羽織り、レグルスセイバーを斧に変化させる。

 

斧に変化させると刀身に地属性を付加させてトリスメギストスに後ろから斬りかかり、上半身と下半身を両断する。

 

しかし両断されたそれは露となって消えた。

 

「何だと!?」

 

「随分単調な攻撃だね」

 

トリスメギストスが弐藤の背後に移動して右手に溜めた魔力の塊を弐藤の背中に直撃させて吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされた弐藤が建物に直撃してダイナミックに入店する。

 

あっちの世界だったら弁償もんだな。

 

俺がそう思っていると、ほぼ無傷な弐藤がドアを中から開けて

出てきた。

 

無傷なのは瞬時にレグルスが弐藤の全身に魔法防御をかけて

いたからだろう。

 

【裕輔、大丈夫か!?】

 

「おう……何とかな……それにしても何なんだあいつ……。俺達の攻撃がまるで効いてねぇ……」

 

【ああ、あの強さはクラスカードともサモンカードとも違った異質なもの。故に力は未知数だ】

 

「もう五分くらい経ったけど、まだ僕はノーダメージだよ。それとも君達はこれが本気なのかい?」

 

「何だと!?」

 

「やめろ弐藤!挑発に乗れば相手の思う壺だ!」

 

「君達はその二つの聖獣具によって強大な魔力が与えられている。けど、君達はまだその力もカードの力も完璧には使いこなせていない。それぞれの力の質を完全に理解していないからだ」

 

「……」

 

「聖獣具とはあらゆる召喚獣の力を自分のものにできる魔術武装。いかにそれが強大だったとしても使う者が未熟であれば宝の持ち腐れだ。使えるのと使いこなせるのは違うんだよ」

 

たしかにそうだ。

 

この力を手に入れてまだ間もない俺達はドラグロスやレグルスや召喚獣の力を完璧に使いこなすことはできていない。

 

けど……それでも俺達は。

 

「お前を倒して先を通してもらう。そして、イリヤ達のところに向かう!」

 

そう言って俺はブリザドスタイルを解除し、入れ替わりにイクシオンのサモンカードをカードケースから取り出してドラグブレイドに装填する。

 

装填されると目の前に巨大化したイクシオンのサモンカードが現れ、俺はそれを歩きながら通過する。

 

そして完全に通過されると、俺の姿が頭部には黄色のドラゴンの装飾が着けられ、ロングコートの色が黄色に変色し、ドラグブレイドが両手持ちのハンマーに変化した。

 

両手持ちのハンマーを引きずりながら火花を散らせてトリスメギストスにゆっくり近付いていく。

 

「お前を叩き潰す。この……雷の鉄槌、エレキスタイルでな」

 

「……へぇ」

 

また変身した俺を興味深そうにトリスメギストスは呟いた。

 

 

―――――

 

 

「ゲスト登録の一時な承認です。今の私のマスターは美遊様ですが、今回だけは特別です」

 

「何を言っているのです。これが本来のあるべき姿でしょう。さて遠坂凛、貴女が今私が考えていること、お分かりかしら?」

 

「分かりたくないけど……何となくならね」

 

「それじゃ、手筈通りに行きますわよ」

 

ルヴィアさんが空中に浮かんで、ステッキから複数のビームをセイバーめがけて発射する。

 

しかしそれはセイバーには当たらず、軌道が足元に反らされて激しい風と共に煙が巻き上げられる。

 

「すごい威力……私達とは性能が違う……!」

 

「でも攻撃当たってないよ。一体どうするつもりなんだろう……?」

 

私がルヴィアさんの攻撃が当たっていないことを疑問に思っていると、煙の中から凛さんが現れてセイバーに突撃する。

 

しかしセイバーは凛さんのその近距離攻撃を剣で受け止め、凛さんは後方に下がる。

 

よくよく見ると、ステッキの先端に刃が装着されている。

 

「そうか、あれなら霧を突破することができる……あんな使い方があったなんて……」

 

「こういうことは私の主義に反するんですけど……野蛮ですし」

 

「うるさい!近距離で見えてくるものもあるのよ!!!」

 

文句を垂らすルビーにそう言って凛さんは再びセイバーに斬撃を繰り出していく。

 

だがその斬撃もセイバーは剣で全て受け止めて弾いている。

 

やっぱり騎士相手に近距離は無理があるんじゃ……。

 

「あらあら野蛮ですこと。まるで動物園から抜け出してきた赤猿のようですわね。そんなお猿さんには美味しいバナナの皮のプレゼントを贈りましょう」

 

「ちょっと!誰が赤猿よ!?」

 

「五秒後、四時の方向に右斜め下に移動。いいですわね?」

 

「……」

 

急に冷静になったルヴィアさんに凛さんはそれ以上何も言うことなく、一瞬右斜め後ろに視線を向けて右斜め後ろに下がる。

 

するとそれに誘われるようにセイバーがそこに移動し、足元に展開されていた小さな魔法陣を踏んで一瞬動けなくなる。

 

動けなくなったところを凛さんが捕まえてステッキの先端に魔力を凝縮させて腹部に砲撃を放って吹き飛ばして後ろに下げる。

 

セイバーが後ろに下がると、ルヴィアさんが凛さんのほうに近付いてきた。

 

「……で?もう終わったわけ?」

 

「ま、とりあえず時間稼ぎご苦労と言ったところですわね」

 

よくよく二人の背後を見てみると、そこには巨大な魔法陣が展開されている。

 

もしかしてこれって……キャスターの時と同じ?

 

「あらゆる攻撃を無効化する霧、でもそんなの……」

 

「あんたまとめて吹き飛ばしてあげるわ!」

 

そう言って凛さんとルヴィアさんがステッキを両手に持って構えた。

 

これから……何が始まるの?

 

 

 

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