やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。~政財界の比企谷家 作:狂笑
「な、何で雪乃がここに?」
雪乃が総武高校に進学したのは知っていた。あまり会うことはなかったが。
そもそもは会いに行ってもお互いにメリットがないと俺が考えていたからなのだが。
だから同じく総武高校に進学したいろはにも会いに行ってはいないし、行くつもりもない。
できれば昼休みに突撃してくるのも止めて欲しいのだが。
「わ、私はここの部員なのだけれど」
部活?
ああ、そういえば平塚先生に部活に入れさせられるために来たんだったな。
どんな活動内容かは後ろで突っ立っている平塚先生にでも聞けばいいか。
「平塚先生、ここって何部ですか。というかどんな活動内容ですか」
「ここは奉仕部だ。活動内容はまあ、雪ノ下にでも聞いてくれ。私は職員室に戻っているから、後は若い人たちでやってくれ」
そう言うと平塚先生は去ってしまった。
……オイオイ、お見合いの仲人さんみたいなこと言うなよ。
さて、どうしたものか……
そう考えているとガガガガッと何かを引き摺る音が聞こえ、そちらに顔を向けると雪乃が椅子を持ってきて用意していた。
「その……座ったら?」
「悪い……」
だが雪乃が用意してくれた椅子は雪乃が座っている椅子から四十センチも離れていない。
その……少し近すぎじゃね?
「なあ、結局この部活ってどんな活動するんだ?」
「持つ者が持たざる者に慈悲の心をもってこれを与える。人はこれをボランティアと呼ぶの。途上国にはODAを、ホームレスには炊き出しを、孤児院には寄付を、村唯一のガソリンスタンドには援助金を、学生には奨学金を。困っている人に救いの手を差し伸べる。それがこの部の活動よ」
いつの間にやら、雪乃は立ち上がって熱弁一歩手前になり、そこで止まってしまったため、まるで演説に失敗してすべった議員候補のような状態になってしまった。
そして本人はそれに気付いたのか顔が羞恥で赤くなっている。可愛い。
「んんっ……平塚先生曰く、優れた人間は憐れな者を救う義務がある、のだそうよ。これからいるであろう依頼者が憐れかどうかはこの際置いておくとして、八幡くんは優れている人間よ。これから私と一緒に解決していきましょう」
「わかった」
そう答えると雪乃はパアと笑顔になって、椅子に座る。
昔から変わらないな。俺が雪乃の意から大きく外れなければ特に不機嫌にならない。
きっと本人は自覚していないのだろう。
その対象となっている相手は、自分の依存先となっていることに。
それはそれで小町やいろは、仁美とは違った可愛さがあるのだが。陽乃さん?ただ怖いだけだよ。いまだに行動パターンが読めないし。
それはさておき、依頼とかあるのか。つまり、ここは何でも相談部みたいな感覚か?
つまり色々な生徒が依頼に来るわけだ。確かに人脈作りにはなるな。
後は臨機応変に対応していけばいいか。それでどうにかなるだろ。
暫くの間、俺たちは本を読んでいた。
どれだけ時間がたったのだろうか。気付けば空は既にオレンジ色に染まっており、部室のスピーカーからは無機質な、合成音声っぽいメロディが流れ、最終下校時刻を知らせる。
「帰りましょうか」
「そうだな」
オレンジ色に染まった空は、いまだに闇が見えなかった。
次も遅れそうです。
先に謝っておきます。ごめんなさい。