《神託》が夢見た未来の世界 作:さいきょーさん
「先手は譲ろう」
「ならお言葉に甘えてっ…と!」
一真が足を踏ん張ると、黒ウサギが十六夜を追いかけて行った時のように髪が淡く赤い髪に変わり、微弱ながらも電気を纏う。
「な!?おんしそれは?」
「問いに答えるなら恩恵の力なのですよっと!」
その後すぐさま跳躍し白夜叉に肉薄する、それと同時に《六桁視》を使い。
『殴りかかろうとする一真を白夜叉は右に避け、持っていた扇子を使い一真の右肩を叩き、小柄な体からは想像もできない力で蹴り飛ばす。
読んだな?なら対処は完璧だ、とりあえず一発決めとけ』
(あいよ、任せとけ)
殴りかかろうとする一真を白夜叉は右に避ける、だが一真も同時に右へ跳躍していた。
「未来予知か!?ならば!」
白夜叉は避けるモーションを止め、そのまま蹴りの予備動作に入り思い切りよく振り切る、だが足に蹴った感覚は無く、あったのは腹部に高速で打ち込まれた一真の左腕だった。
「悪いな、それはもう"読んだ"」
するとすぐさま白夜叉がフラフラと後ろへ下り何かを呟く。
「何か!?何かってなんだよ!詳しく書けよ!」
(じゃねえと、避けられねえ!)
詠唱のような物を終えた白夜叉はニッと笑い、一言。
「私に一撃与えるとは見事!以外と効いたぞ、小僧、だからこれで仕舞いとしよう、この一撃を耐えられれば貴様の勝利だ!」
そう言い放つと、上空から小振りな隕石ほどの、火の玉が落ちてくることがわかる、それを見て一真は安堵の息を吐く。
「よかった、物なら俺の勝ちだ」
「ほう?…やってみるがいい!」
ああ、驚くなよ?口元を釣り上げ、火の玉を指差しながら。
「《あの火の玉は俺に届かない》」
そう、ただ一言だけ言う、すると確実に一真を狙っていた火の玉は急激に角度を変え、奥にある山へと直撃する、それを見た白夜叉は驚き半分呆れ半分で倒れこみ、笑いながら。
「カカッ…降参だ、おんしの勝ちだよ」
こうして初ギフトゲームは東側最強の主催者との決闘で勝利を収めた。
「ふぅ、それで今日はどんな用事だったのだ?」
その後ゲーム盤から白夜叉の私室へ移動をし、本来の目的を話す。
「本日は皆様のギフトの鑑定をお願いしようかと思いまして」
それを聞くとすぐさまゲッ、と気まずそうな顔をする白夜叉。
「よ、よりにもよってギフト鑑定か…専門外どころか無関係もいいとこなのだがの…」
白夜叉はゲームの賞品として依頼を無償で引き受けるつもりだったのだろう、困ったように髪を掻き揚げ、着物の裾を引きずりながら四人の顔を両手で包んで見つめる。
「どれどれ…………ふむふむ……うむ、四人とも素養が高いのは分かる、しかしこれではなんとも……おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「諸行無常」
「うおおおおい!?最後に至っては関係ないだろう!?いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに」
「別に鑑定なんていらねえよ、人に値札貼られるのは趣味じゃない」
ハッキリと拒絶するような声音の十六夜と、同意するように頷く三人、困ったように頭を掻く白夜叉は、突如妙案が浮かんだようにニヤリと笑った。
「ふむ、なんにせよ主催者として星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには恩恵を与えねばならん、ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」
白夜叉がパンパンと柏手を打つ、すると四人の眼前に輝く四枚のカードが現れる、カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム"正体不明"
ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム"威光"
パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム"生命の目録""ノーフォーマー"
メタリックグレーのカードに市松一真・ギフトネーム"神託""愚者""六桁視"
それぞれがカードを受け取る、黒ウサギが驚いたような、興奮したような顔で四人のカードを覗き込んだ。
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「お神酒?」
「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息があってるのです!?」
「ああ、そうだ一真よ、お前のアレなんだよ」
「アレか?この愚者って奴の能力で、他の奴の能力を一時的に劣化コピーできんだよ」
「だから黒ウサギみたいに髪の色が変わったのね」
「納得」
「へえ、だいぶトンデモ能力持ってんじゃねえかよ」
「お願いですから皆さん話を聞いてくださいぃぃい!!!」