《神託》が夢見た未来の世界   作:さいきょーさん

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Ep6:夜叉の質問、そして無かったはずの未来

あの後コミュニティの話や魔王の話やら、白夜叉からの警告などを聞いて、いざ帰ろうと部屋を出ようとすると。

 

「おんしはちと残れ、そして黒ウサギ…耳を貸せ…」

 

一真と黒ウサギを部屋に残す、そして黒ウサギが白夜叉に耳を傾けると。

 

「あやつはノーネームには置いておけん、危険すぎる」

 

「な、何故!?」

 

一真は現在《六桁視》を使っていないため白夜叉達の話が聞こえず、ただ黒ウサギの驚いた声だけが聞こえる。

 

「すまんの…」

 

「はい……わかりました」

 

少し待っていると話も終わったようで黒ウサギが部屋から出て行く、その姿は少し寂しそうだったが、一真は特に気にも留めず白夜叉に聞く。

 

「話は終わりかいな?んじゃ俺を残した理由を聞こうかね」

 

「ああ…そうだな、率直に言おう、おんしはノーネームには置いておけん、理由はわかるな?」

 

「《神託》と《六桁視》の所為だな?」

 

間髪入れず一真が答えると、うむ、と白夜叉も腰を下ろし話を続ける。

 

「その恩恵は余りにも能力が未知数、それだけなら良いのだがおんしは神格を持っている、それに"目"の力、それだけの恩恵を持つおんしをノーネームに置いておけば上層部が黙ってはおらん」

 

「ふーん、ま、俺はコミュニティにこだわりは無いし、どこでもいいさ」

 

「ならよい、少しばかり黒ウサギには悪いが、このままサウザンドアイズに所属してもらいたい、と思っておるのだが?」

 

「それはお断りだ」

 

こだわりは無い、そう言ったはずの一真がサウザンドアイズだけは拒絶した、理由を聞こうとする白夜叉に、すぐさま一真が答えた。

 

「俺はお前達が何故か気に入らない、だったらまだそこらの無名コミュニティのがましだね」

 

しれっと答えるが白夜叉は既に結論はわかっていたらしく、他の話をする。

 

「おんしならそう言うと思ったわい、だったらもう一つ話をしよう」

 

「そうしてくれ、なんなら妥当なコミュニティでも紹介しろや」

 

「そうなるとかなり上層になってしまうわい、まあ話を戻すが……おんし…苗字を市松と言ったか?」

 

その言葉を聞いて一真がん?と疑問を持つ、そんなことは契約書類に書いてあったはずだし確認する必要が無い、それに白夜叉のあの真面目な目を見て、《六桁視》を使う。

 

「…………は!?んなわけ!」

 

「やはり未来予知が使えるか、その様子を見る限り親族か?」

 

「これは未来予知なんてもんじゃ無い、つかそいつは妹だ」

 

そうか、なら、と白夜叉が裾から封筒を取り出し一真に手渡した。

 

「ついこの間それを兄に渡してくれと置いていっての」

 

封を開け中を見ると一文『北で待ってる』と書いてある、それは確かにあいつの文字だ、そう確信して白夜叉に告げる。

 

「間違いない、妹はこっちにいる」

 

「そうか…手紙にはなんと?」

 

「北で待ってるってよ」

 

ふむ……と悩みながら白夜叉が口を開く。

 

「おんしの恩恵を詳しく教えてくれ、そうすれば北に連れて行ってやろう」

 

それを聞いてすぐさましまっていたギフトカードを取り出し、焦りながら説明を始める。

 

「わかった、まずはこの《神託》だ、これは自分には使え無いが特定の人物、者に力を与える、お前の火の玉を避けたのもこの恩恵だ」

 

「力を与えるのなら何故当たらなかった?」

 

「火の玉に"曲がる"力を与えたからだ」

 

「ふむ、次だ」

 

「《愚者》これは他人の能力を劣化コピーする物、お前との戦闘で髪の色が変わったのは黒ウサギの能力を使ったからだ、これに質問は無いな?」

 

ああ、と答える、先ほどまで多少冗談を交えて話を進めていたが、現在は二人とも支局真面目に話を進める。

 

「最後に《六桁視》これは未来予知なんかじゃ無い、この世界を書き続けるあの馬鹿の文を読むことができ、六桁までなら改変が効く物だ」

 

「だからあの時"読んだ"と言ったのか」

 

「そうだ、質問はあるか?」

 

いや、無い、と言い少し名残惜さそうに柏手を打つ、すると先ほどから感じていた風の感覚が変わり、白夜叉が聞いてくる。

 

「おんしは私との決闘に勝利した、正直北に送るだけでは報酬が足らんと思う、何か欲しい物はあるか?」

 

すると一真は北に着いたことを認識し、報酬について考える、一〜二分程考えると、ふと思いついたように言う。

 

「なら軽めの武器をくれ、できればあんたが持ってる扇子みたいなのがいい」

 

「ほう、ならこれをやろう、ちと高価な代物だが、強度は保証する」

 

そう言い自分が使っていた扇子を一真に投げる、それを受け取ると遠慮がちに聞く。

 

「いいのか?こりゃあんたが使ってたやつだろ?」

 

「よいよい、元々それは攻撃手段をあまり持たない者が使う恩恵付きのアイテムだったものでな、おんしが使うには丁度よかろう」

 

なら遠慮なく、とギフトカードに仕舞う前に開くと、先程白夜叉が広げた際には青が目立ち、双女神が記されていたはずだったのだが、現在は黒が基調になり、月が綺麗に記されている。

 

「柄が変わった?」

 

「それは持つ者によって柄を変えてな、ふむ、おんしが持つには丁度よい柄になったではないか」

 

「ふーん、ま、さんきゅ」

 

照れながら感謝を述べると、先程までの剣幕とは違い、微笑みながら。

 

「ふふ、よい、さあ行け、妹が待っておるのだろう?」

 

そう言うと追い払うように支店から出される、出た先には赤い歩廊がよく目立ち、キャンドルランプなどが飾られており、東側とは全く違う印象を受けた。

 

「んじゃ、白夜叉、行くわ」

 

少しばかり名残惜しさを残しながら、白夜叉に別れを告げ歩き出し、ボソッと呟いた。

 

「《ノーネームの全員は、俺の事を忘れる》」

 

暫く歩き高台のような場所に着くと、見慣れた制服を着て、風をまとった少女が待っていた。

 

「遅い、後でアイスね」

 

「お前なあ、来てるならとっとと声かけろって」

 

「ふふ、ごめんね、"カズ兄"」

 

「全くだ、"葵"」

 

二人は目元に涙を溜めながら、再会した、二度と会うはずは無かった兄弟は、この神や魔物や化け物じみた人間やらがひしめく世界にて、奇跡の未来を手にした。

 

 

 

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