《神託》が夢見た未来の世界 作:さいきょーさん
「そういや葵、お前、コミュニティは?」
その後歩廊を二人で歩いてる途中でふっと聞いた、すると葵が俯き、言いづらそうに声を淀ませる。
「えと、あの、えーっと…」
もじもじとはっきり言わない葵にジワジワと怒りを覚え、貰った扇子を使い頭を叩く。
「いてっ!なにすんの!」
「はっきり言え、お前がどんなコミュニティに居ようと別に気にゃせんから」
「う、うん………」
そう言うとまだ少しボソボソと話してはいるが、最後の方にはハッキリと、衝撃の言葉を言い放った。
「実は私のコミュニティ…………魔王のコミュニティなの」
「へー……魔王の………は!?はあ!?」
驚く一真を気にせずに、言ってしまった事で吹っ切れたのか葵もヘラヘラしながら聞いてくる。
「んで、どうする?カズ兄は」
未だに驚きを隠せてはいないが、ノーネームを抜けてきて、サウザンドアイズの勧誘も断った彼からすれば、コミュニティなんぞどこでも良く、ケロっと答えた。
「ん、まあ、そこでいいわ、とりあえずリーダーと話させてくれ」
「うん、わかった、やっぱり変わってないね」
「当たり前だ、俺は流れには逆らわないタイプなんだ、あの馬鹿がそう書くなら、俺は逆らわない」
なに言ってんの?と葵が聞いてくるが軽く無視をする、そして案内された先は先程までいた明るい場所からは懸け離れ、一切人影もない洞窟、一真は別に怖がる様子も見せず葵の後をついていくと、丁度一番奥に軍服を着て大きな笛を持つ男、白くかなり露出した服を着た女性、そして黒斑のゴスロリのような服を着たまだ幼い少女がそこで待っていた。
「待ってたわ、貴方が一真ね?」
「ああ、俺がこいつの兄で市松一真だ、あんたらは?」
一真が初めに話しかけてきた少女に軽く自己紹介をして、少女達の事を聞く。
「中々いい男じゃない、私はラッテン、んでこいつが」
「ヴェーザーだ」
「それで私がこのコミュニティのリーダー、ペストよ」
「んで私が新入り」
全員の名前を聞き、ふーんと空返事をして軽く見定める、暫くして口を開く。
「いいね、ダークサイド、嫌いじゃない、それで?俺が入るのは問題ないのかい?」
「別に問題無いわ、メンバーが多い事に越だ事は無いし」
「んじゃ決まりだね、また、これからよろしくね、カズ兄」
「こちらこそ、よろしく頼みますよっと」
軽く挨拶を終えると、ヴェーザー、ラッテン、葵の三人は大分後ではあるが、魔王としての初陣になるギフトゲームの下準備を始めるために出て行く、すると少し小さいベンチに座っているペストから手招きをされる。
「なんだよ、リーダー」
「ペストでいいわ、少し、話をしましょう?」
「ほう、話とな、どんな喜劇がお好みで?」
少し茶化しながらペストの隣に腰掛ける、するとクスッと笑いながらも手を叩かれる。
「そんな話ではなく、貴方自身の事よ、恩恵や、生い立ちだったり、好きな子のタイプとか」
「ペストも少し茶化してんだろ、まあいいや、恩恵ならギフトカードを見てくれ、生い立ちなんかはいたって普通の男子だよ、世界は普通じゃなかったが、好みのタイプも答えてやろうか?」
ギフトカードを手渡し悪戯な笑みを浮かべながら会話を続ける。
「いいわ、言ってみなさい?」
「ほう、ここは茶化さ無いと、んー…タイプなー……」
タイプって聞かれてもなー、とチラッとペストの方を見る、すると少しばかり顔を赤らめながらワクワクしたような顔で、年相応な顔をしながら聞いている。
(かわいいな)
「ふぅ………言っとくが俺はロリコンじゃあ無い、だが、ペストみたいなのは嫌いじゃ無い」
そしてペストの方を見ると、パァと顔を明るくして、すぐさまそっぽを向き平然を装いながら。
「な、なら私が告白したら断らない?」
「されたらな」
ふーん、となんとも緊張感もなにも無いような話をしていると、ふっと一真の頭に疑問が浮かんだ。
(こいつ、本当に魔王か?)
恐れる対象だった魔王がここまで子供なテンションで話をしている、それだけで何か違くないかと、思ってはいたがそれも別にコミュニティ同様気にすることでは無く、とりあえず弄ってやろうというのが一真の考えを占めていた。
「もしかして……俺に惚れた?」
ニヤニヤと一真が聞くと、誰もがわかるような反応を見せる、ビクッと背筋が伸び、顔を俯かせ、ボソボソと何かを呟く。
(まさかな?んな訳…俺がモテるわけ無いよな?)
「おーい、どうした?」
反応が無いためペストの顔を覗き込もうとすると、ガッと手を掴まれ、耳元で恥ずかしがりながら言われた。
「惚れてるわよ、一目惚れってやつ、悪い!?」
(はは、冗談、いや、マジで冗談だよな!?あって約二時間だぞ!?)
「そ、それに告白したら断らないって言ったわよね?」
「あ、ああ、言った、ってか本気か?」
「本気よ、本気で一目惚れよ、恥ずかしいから何度も言わせないで」
「お、おう」
「それで?返事は?」
少しずつ調子が戻ったのか、悪戯な笑みで聞く、それを見て堪忍した、と言うか一真からしても軽く一目惚れ、願ってもみなかった結果だったために答えはひとつしかなかった。
「俺でよかったらどうぞ?」
掴まれたままの手を握り返し、そう答えた、すると空気を読めない一真が一言。
「そういや、ここのコミュニティの名前、聞いてなかったんだけど」
「あ」
忘れてたな、と思い手を離しペストの髪を乱暴に撫でる。
「ひゃう!いきなりなにするの!?」
「いや、とりあえずコミュニティの名前教えろし」
「あ、うん、えっと…はい、ギフトカード、ここに書いてあるわ」
先程手渡したギフトカードを受け取り、最初にもらった時には背景になにもなかった所が、大きな笛を吹いている道化師のような絵が刻まれていることに気づく、そして上部にはコミュニティ名:グリムグリモワール・ハーメルンと書かれてあった。
「ハーメルンの笛吹きか、いいじゃん、俺この童話好きだよ」
「へえ、貴方は頭が回るのね、敵に回さなくて本当に良かったわ」
「そーかい、まあ俺もこんなかわいい魔王を敵に回さなくて良かったよ」
かわいい、と言われたペストが顔を真っ赤にしてショートする、完全に思考を止めたと確信すると、誰もいない所を見ながら軽く怒りながら。
「葵、いい加減にしろ、後ヴェーザーとラッテン」
するとヒュウ、と風が吹き、呼ばれた三人がそこに立っていた。
「中々やるじゃねえか、マスターがあんなに笑ってたりしたの見るのは初めてだぜ?」
「そうねえ、結構しどろもどろだったけど、初々しくていいわ」
二人は各々感想のような事を述べてはいるが、葵だけは顔を青ざめ、カタカタと震え始める。
「とりあえずお前ら三人………少しお話しようか?」
その後ペストの意識が戻ると、一真が葵、ヴェーザー、ラッテンを正座させ説教をしている異様な姿があったそうな。
無理やりだけどペストをデレさせたかった