自分ともう1人の自分も(莉音編)[一時凍結] 作:無の空間の存在維持
どれくらい歩いたのだろうか分かっていなかったが、もう十数分は歩いているだろう。
凪沙「もういないね。」
莉音「・・・うん。」
足元に気を付けながら、歩いていた。奥に進む度に道が不安定になっていた。
凪沙「周りの壁が凹みだらけだよ。」
少しだけ凪沙は怯えていた。やはり、この光景を見てしまうと、そう感じられずにはいられないだろう。そこまで精神状態が不安定になりつつあった。
凪沙「あそこを見たら、外の人に知らせようか。」
莉音「・・うん。」
奥につながる場所を確認しようとした。直後、人工島が再び揺れた。
凪沙「きゃぁ!」
莉音「!」
凪沙と莉音は振動で転んだ。
莉音「・・痛い。凪沙・・・ちゃん?起きて・・凪沙ちゃん。」
凪沙はさっきの振動で気絶してしまったようだった。
莉音「・・・どうしよう。1人じゃ運べない。」
一応、“値”があるので、できることはできるが・・・。悩んでいるとき、凪沙が起き上がった。
莉音「凪沙ちゃん?」
凪沙(?)「ったく、汝が気絶するなんて聞いてないぞ。」
莉音「・・・誰?」
まったく知らない声だ。まるで、昔の話し方のように聞こえた。
凪沙(?)「? 汝は誰だ。」
莉音は知らない人と理解したため、緊張し、黙ってしまった。それでも声を出そうとした。
莉音「・・君・は?」
?「我か?先に名乗るは気が済まないが、仕方ない。我はアヴローラだ。」
名前だけ聞いても理解できていなかった。その中で理解できたことがあった。
莉音「・・・二重人格?」
声も口調も凪沙とはまったく違っていた。このとき、先に『二重人格』を思ったが、『1つの身体に2つの魂』や『霊の乗っ取り』なども思った。
アヴローラ「違うな。我は汝に住み着いているのだ。」
莉音は幽霊に近いようなことを想像した。
莉音「・・分かった。その・・アヴローラ
アヴローラ「・・・ちゃん付けだと!?」
莉音は気にせずに話を進めた。
莉音「・・・その、私はどうしたら良い?」
アヴローラ「汝は奥の部屋見るのだろう。なら、見て、外に出れば良い。」
ここまでアヴローラはしばらく莉音のことを見ていたが、特になかったため、危険ではないと判断していた。
莉音「・・・分かった。」
案通りにその場所の中を見た。そこには4人いた。全員、音々が港で会った人だ。
莉音「・・・・・・雪菜ちゃん?」
アヴローラも後ろから見た。
アヴローラ「ほう。
莉音「知っている・・の?」と気になった。
アヴローラ「娘のことは、詳細は知らんが、その所属する獅子王機関のことは知っている。隣の暁 古城は昔、
莉音「・・・・力を与えた?」
アヴローラ「ああ、暁 古城は
莉音「・・・そうなんだ。」
アヴローラ「汝は助けに行かぬのか?」
莉音「私はコミュニケーションが取れないし、戦いたくはない。」
アヴローラ「では、助けないのか。」
莉音「ううん。・・・助けたい。」
アヴローラ「なら、汝はどうするのだ。」
莉音「だから、・・・・頼む。音々ちゃん交代。」
直後、莉音の体が光って、すぐに光が収まって、服は水色から灰色に、髪の色も黒から赤混じりの黒に、肌の色も白から灰色に近い色に変わった。音々の姿へ変わったのだ。
この光景にアヴローラは少し驚いた。
アヴローラ「ほう。」
音々「貴女がアヴローラだね。」
アヴローラ「・・そうとも。」
莉音とは違って、口調が違ったり、テンションが妙に高かったので、反応するのに少し遅れた。
音々「まさか、凪沙ちゃんの中に
真祖の眷獣、第1真祖から第4真祖までの吸血鬼がもつモノ。そのため、真祖以外の者が持つことは、通常ではあり得ないことである。あくまでもアヴローラが『真祖ではないこと』を前提とした場合だが、さっきの説明ではアヴローラが元・真祖となる。
アヴローラ「汝は我のすべてのことを知っておるのか?」
音々「ううん。でもね。アヴローラちゃんとの会話は私にも聞こえていたんだよ。『力を与えた』って自分で言ったでしょ。それに、私の能力で何でも分かるよ。勿論、貴女の詳細なこともね。それでも貴女のことは詳しく調べてないけどね。」
アヴローラ「そうか・・。汝に質問してもいいか。」
音々「そんなに堅苦しくしなくてもいいよ。まぁ、あえて言うなら、
そのまま思ったことを音々に質問した。
アヴローラ「汝は人間か。」
音々「人間だよ。」と即答した。
アヴローラ「人間が能力を持たぬ。」
人間が能力を持つことはあるが、
音々「ここの世界ではそうかも知れないけどね。それでも、適応能力者って人があるんでしょ。」
アヴローラ「そうだな。」
音々「まぁ、私はここの人じゃないけどね」
アヴローラ「それは、汝は異世界の人間か。」
音々「まぁね。簡単に言えば、そうだね。この世界は複数ある世界の一つだからね。いわゆる、パラレルワールドだよ。」
アヴローラ「我もそのパラレルワールドの1人に過ぎんのか。」
音々「まぁね。私もだけどね。」
莉音や音々にも言えることだ。本来なら異世界を渡ることはないのだが、
アヴローラ「その異世界の人間がこの世界に何の様だ。汝がこの世界に来たことは、起ころうとしていたことが汝によって未来が改変するのだろう。」
アヴローラ自身が、未来が見えるわけでもなく、運命というものを知るわけでもない。しかし、パラレルワールドとなれば、そう解釈し得ざる負えない。
音々「少し関わったけど、まだこの世界に干渉していないから。これからだよ。」
アヴローラ「そうか。これからか・・・・。それで汝は助けるのか。」
音々「そのつもりだよ。あの2人が亡くなる運命だったとしても、そうなったら、莉音ちゃんが悲しむからね。」
アヴローラ「二重人格のもう1人の人間か。」
音々「莉音ちゃんが
アヴローラ「汝は?」
音々「私は
アヴローラ「承知した。汝は莉音のことをいつも気にかけているのだな。」
音々「うん。莉音ちゃんには幸せになってほしいからね。それに道を外さない様にしてほしいからね。」
音々は少し表情を暗くした。しかし、それは一瞬だけであり、すぐに元の表情に戻った。
アヴローラ「承知した。我は出ることはできぬから、ここで見守るぞ。この汝の身体を傷付ける訳にもいかぬからな。」
音々「分かったよ~。じゃあ、行ってきま~す。」と行った。