それは突然だった。
-市民から出動要請です。市街地に巨大生物が出現。ただちに現地に向かってください。なお、巨大生物が吐き出す体液は強力な酸です。まともに浴びれば無事では済みません。十分に注意してください。-
出動要請のアナウンスが隊長の無線を鳴らした。
前回の巨大生物との戦いからわずか数日。
周りの隊員たちの顔に不安が露わになる。
本来であれば今日はレンジャー1-6との合同訓練であった。
至急現場に向かう。
「巨大生物だ…!」
「襲われてるぞ!」
「撃てぇ!市民を守れ!!」
次々と現れては市民を襲う巨大生物たちを攻撃していく。
市民を守るのが我々の仕事である。
-状況を報告しろ―
「巨大生物です!市民が襲われています。」
-巨大生物を攻撃。市民を救え!-
「了解」
無線を切った隊長は「やってるっつーの…」と悪態をついた。
他の隊員からは「こちらレンジャー1-6! データと違います!巨大生物は7年前よりも強靭で凶暴です!我々だけでは手に負えません!!」と悲痛な通信が入る。
-レンジャー1-6、巨大生物と戦う訓練を積んできたはずだ!踏み止まれ!-
本部から半ば無責任ともいえる指示が聞こえてきた。
-あー…あー…私はフォーリナーの研究者オハラだ。兵士諸君にアドバイスしたい。死んだ巨大生物を調査した結果、驚くべき事がわかった。やつらは7年間で進化し強くなった。より硬い甲殻に包まれ、簡単には倒す事はできない。だが問題は無い。EDFの装備もまた、7年で強力になっている。進化した巨大生物といえど、必ず倒せる!健闘を祈る!-
オハラ博士…?父の話で少し聞いたことがある。
フォーリナーの研究を7年前からし続けている人だ。
そのオハラ博士が7年前よりも巨大生物は進化したといった。
我々も7年前から装備を強化したとしても、目の前の光景は巨大生物が優勢に見え た。
「こちらレンジャー2巨大生物と交戦中。ウイングダイバーの出動を要請します!」
他のレンジャー部隊からの通信が響く。
「なんて鋭い牙だ…奴らは人間を軽々持ち上げて…うああああああああー…!!!」
通信はそこで途絶えた。
だれかはわからないレンジャー隊員の悲鳴が耳に残る。
「こちらレンジャー6!ウイングダイバーの救援を!」
ウイングダイバーが必要だ。
まだ私は実用武器がない。
一瞬巨大生物を退けるための護身用武器。
何もできない。
本部からは何度も
-ウイングダイバーの到着には時間がかかる。持ちこたえろ!市民を守らねばならない―
と指示がだされた。
ふと目が奪われたのは近くに落ちている武器。
レンジャーが使うものの中でも小さめの武器。
これなら私でも。
誰の武器なんて考えてる暇もなかった。
武器本体は暖かい液体がついている。
構わない。
撃てば一緒だ。
ウイングを起動し飛び立った。
待ってるだけじゃ助けは来ない。
駆除しなければならない。
この場でただ一人のウイングダイバーである私が。
武器を構えて撃つ。練習と同じように。
強い反動が響く。
視界が揺れる。
こんなに反動があるものなのか…
聞きなれない音が鳴るどうやらウイングからなっている。
エナジーゲージがゼロになったのだと気が付いたときには遅かった。
巨大生物が群がる中に落ちていく。
恐怖からか諦めからか私は意識を手放そうとしていた。
誰かの通信機から
-ウイングダイバーはまだなのか!どれ程やつらが進化していようと飛ぶ事ができない以上、空中からの攻撃で殲滅できる。ウイングダイバーさえ到着すれば、勝負は決する!-
とオハラ博士の声が聞こえた。
「アホの本田は父譲りなんだね」
だれかわからない声を聞いたところで私は意識を完全に手放した。