トリオンを操れる少年の話   作:脱力系何か

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今回は書けるって時が来たのでなんか凄く速く書けました。次は時間がかかりそうですね。

今回、自動車爆発事故の真相が明らかに。





第4話 日常 ②

(これでやりたい事は全部終わった。)

 

2年くらい経ち、怪物の噂は広がり、雨取が襲われる事は今後おそらくない。

ため息が漏れた。やりたい事が終わった。それなのに、雨取に出会ったときに見つけたやりたい事をした筈なのに、達成感は微塵も感じられなかった。

 

(綺麗な月だなぁ...)

 

自分の部屋、深夜2時、小さな机と黒いランドセルと幾つかの衣服しかない部屋で電気を点けず、雲ひとつない夜空と満月を見て暇を持て余していたら、唐突に部屋のドアが叩かれた。

 

「何の用だ。」

 

そう言いながら手に小さい刀を、ドアの方から見えないように用意した。切りつけられた時のためだ。

 

ドアが開いた。髪を染めているぱっと見不良の母と長身で頬が窪んでいて眼鏡をかけた父が揃って冷たい目をして立っていた。

 

「ドライブに行くぞ。来い。」

 

父の方が言った。

それを聞いた瞬間、考えるまでもなく、二人の目的を察した。

 

(殺しに来たか。)

 

ずっと前から来るという事は分かっていた。雨取と会う前ならば少しも悲しまなかっただろう。しかし、今は、日浦との会話が楽しい。それを失ってしまう事が心残りで。少し、悲しく思う。

 

(最後の挨拶くらいはしておこう。)

 

「わかった。」

 

心の準備を済ませ、玄関へと向かう。

 

外に出ると、車はすでに準備されていた。しかし家にあるものではない。鍵穴が傷ついている。おそらく盗んできたものだろう。

 

「お前は後部座席に座っていろ。」

 

父にそう言われ、おとなしく後部座席に乗り込んだ。父が運転し、母は助手席に座っている。

 

「どこに向かう。」

 

「すぐそこだ。」

 

(...林にでも埋めるつもりか?いやコンクリートの方があり得るか。)

 

チヒロは頭の中で殺される方法と、その対策を考えた。対策と言っても、死ぬことはないという確証を持っているから、ただどういった演出をするかを楽しく考えているだけだ。

 

「着いたぞ。少し車の中で待っていろ。」

 

車は林に面した道で止まった。

父がそう言って車から降り、母も続いて降りた。

 

(気絶はさせないのか?じゃあ練炭とかか。)

 

そう思い車内を探ったが、煙を発生させるようなものは見つからなかった。

 

(どうするつもりだ...?林の中に罠を仕掛けているのか?)

 

ふと林の方を見た瞬間、悪寒が走り、とっさに光の粒子で体を覆った。

 

 

足元が爆発し、強烈な衝撃と、熱と、破片が襲ってきて空中に吹き飛ばされた。とっさの防御は爆発の衝撃で剥がれ、顔は守りきれたが、服はボロボロになり、体は衝撃に耐えられず手足が取れかけ、内臓が潰れたのか口から血が流れ、熱に焼け、破片が突き刺さった。

 

「〜〜〜っっ!!!」

 

だが凄まじい痛みを与えられても辛うじて意識は残っていた。空中で乱暴に体制を直し、内臓を修復し、焼けてただれた皮膚を剥がして新しい皮膚に変え、破片を光で押し出して傷を塞ぎ、林の地面に着地した。

しかし、痛みはまだ引かず、体はまだ動かせない。意識も朦朧としていた。

 

(こ..ろす。こ..ろ....して...や....。)

 

たまった殺意は、意識が朦朧としても消えはしなかった。

 

(...誰を?)

 

しかし、まるで糸をたどるかの様に、その殺意がきっかけて意識が戻った。

 

怒りや焦り、屈辱がチヒロを襲った。

 

「まだ生きてる!!早く殺して!!」

 

母の声だ。目の前にいる。次に父がこちらに急ぎ足で近づいてきて、足を振り、蹴ろうとしてきた。

 

しかしチヒロはそれを傷口から光の塊を伸ばして防いだ。

 

(体が動かないなら、トリオンを動かせばいい)

 

傷口は実際に治ったわけではなく光の粒子が皮膚のようになっているだけなので、皮膚からよりも、直した傷口から光を出す方が圧倒的に速いのだ。

 

痛みが引いてきた。父は足を押さえてしゃがみ込んだ。母は恐怖で固まっているが、目だけはしっかりとこちらを見ている。

 

痛みが消えた。体を動かせる。父が包丁を振り上げる。母が林の中へ逃げていく。

 

(逃がすものか。)

 

今まで抑えていた殺意がとてつもない勢いで溢れ出す。

 

拳を握り、光で覆い、加速させて父に当てる。父は吹き飛び、木に当たって動かなくなった。

傷口から刀を出し、狙いを母に定め、光を噴出して加速する。母に肉薄し、刀を振り降ろした。しかしそれは母が転んだ為当たらなかった。

 

すぐに向きを直し、再び斬りかかろうとした瞬間、母とチヒロの間の空間に穴が開き、剣タイプの怪物が現れた。

 

「邪魔だ!!」

 

それを一瞬で斬り伏せ、穴が塞がったので腰を抜かしている母の元へとゆっくり歩いて行く。

死を、生の終わりをじっくりと味あわせるために。死神のようにゆっくりと。

 

(殺す。今ここで。)

 

母が刀で切れる範囲内に入った。刀を振り上げる。恐怖に怯えた顔が滑稽で口角がつり上がる。そして、刀を振り下ろそうとした。

 

しかし、どこからか飛んできた刀を作るものと同じ光によって刀が壊された。

 

「....」

 

チヒロは壊れた刀と目の前の殺す対象を一瞥し、母を殺すのを後回しにすることに決めて拳と同じように強化した足で蹴り飛ばした。

 

そして目を瞑り、反応を探した。すると、人型の光の塊がすぐ近くにひとつあることに気がついた。目を開きその方向を向くと、高校生くらいの、外見は人そのものの男を見つけた。

 

「誰だ。」

 

光の塊であるということは、怪物に何か関係しているということだ。

 

(もしこいつやこいつの仲間が怪物を作っているなら...)

 

刀を両手に出して身構える。

 

(見逃すわけにはいかない。)

 

「あー。俺は戦う気はないよ。」

 

男はヘラヘラした笑みで戦う意思がないという事を言ったが、それでは見逃す理由にはならないのでチヒロは刀を降ろさない。

 

「君、いっつもトリオン兵を倒してるでしょ。それ、俺らが回収してるんだ。」

 

「本当に?人間じゃないじゃん。」

 

(てか、あれトリオン兵って言うのか。)

 

「あー。ほい、これでどうだ?」

 

男がそう言うと、男の体が少し光った。右手にはさっきまで無かった筈の何かが握られていた。

 

(.....?)

 

何が変わったのか分からず、目を瞑って確認すると、光の塊の反応はどこにも無かった。

 

「....どういう仕組み?」

 

構えを解き、男に聞く。

 

「これはトリガーっていうやつだ。」

 

「トリガー?」

 

なんだそれは、と聞く前に、遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。爆発せいだろうか。

 

「おっと、ここじゃまずい。とりあえず俺についてきてくれ。」

 

「こいつらは?」

 

(殺していいの?)

 

チヒロはそう聞きたいのを抑え、辺りを見回して、男に聞いた。二人が気絶していて、道と林の間のガードレールが壊れている。

 

「殺すのはダメだよ。」

 

「ここまで来て、殺せないなんて話があってたまるか!!」

 

男のすべて見透かしたかの様な答えに考えるよりも早く、感情的に口が動いた。

その後すぐハッとして口を押さえた。男の哀れむような視線が刺さる。

 

「...なんでもない。」

 

「...そうだね。俺は迅 悠一。君は?」

 

チヒロは少し考えて、微笑みをつくり答えた。

 

「あいつらがつけた名前は要らないから、今、名前はないよ。」

 

「そっか。行こう。」

 

 

__________________________

 

 

 

二人はしばらくして、川の真ん中に建てられた建物の前で止まった。

 

「ここが、俺らが生活してるところだ。元々は川の何かを調査する施設で、使わなくなったのを買い取って基地を立てたらしい。」

 

「...なんかしょぼい。」

 

外見を見て思った事はそれだけだった。

 

「まあまあ、中に入ればすごいよ。」

 

迅が扉が開け、中に入った。名前を捨てた子供は、それに続き、建物の中に入った。

 




智紘(ちひろ)

意味 チヒロじゃない→unチヒロ→アンチヒーロー
と、anti hero→an チヒロ

ダジャレです。(そして色々間違ってる)

次回新しい名前が与えられます。
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