境界線上のホライゾン・シャッフルズ!(マスチモ版) 作:ボストーク
本日二度目の投稿です。
いや、実際こんな荒業ができるのもストックがあるうちだけではないかと(^^
ただ、今回のエピソードはかなり大胆に削除と加筆と修正をしたので、もしかしたら原本と比べても随所随所でかなり雰囲気が変わってるかもしれません。
何はともあれ平行世界のトーリのキャラが見えてくる第2話、お楽しみいただければ幸いです。
流転、回天、因果は巡る糸車。
それは運命を司る糸の僅かな攀じれから紡がれる物語。
果たしてそれは、どのような旗を織り上げるのだろう?
<配点:若武者>
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一路、三河へと進路をとる三征西班牙(トレス・エスパニア)所属の航空艦の一室、具体的に言うなら第一特務長の私室にて。
ベッドに大の字に寝転ぶ全裸男と、立派なオパーイの機械腕の少女がまどろむような空気の中……互いのぬくもりを確かめるようにベッドの上で抱き合っていた。
「まあ、なんでもいいか。誾さん、おいで」
「(はぁと♪)」
嬉しそうに服を脱ぎながら、彼の少女のようにきめ細かい肌を傷つけぬように誾は機械腕生体義腕につけかえ…
「ひゃう! あぐぅ……トーリ様、さいしょっからはげしいぃ」
生憎と本作品のタグはR-18ではなくR-15指定。
モロ書き&細かい描写に出来ないのは、主に大人の情事ではなく事情です。
いや~、残念残念。
なので音声だけをお楽しみください。
「誾さんが仔犬みたいに可愛いからさ。だから仕方ないよなぁ~」
「ひゃぐ! じゃ、じゃあ仔犬の誾にいっぱい、いっぱいトーリ様の濃いみりゅくをのましぇ、ひゃぐうっ!!」
「Tes,Tes。まっ、その前に俺が誾さんのミルクタンクにかじりついてたりするけどね~♪」
「ひょーりひゃまぁ! もっろ、はげしくうううぅぅぅ!! ふきぃっ!!」
朝っぱから爆発しやがれ!!
もとい。失礼しました。放送事故です。
歪曲表現をするなら、とりあえず全裸トーリが腰にぶら下げた肉太刀を誾の濡れすぼった襞鞘に勢いつけて納刀したということだろう。
そりゃああもう何度も何度も。
***
時間もちょっとは過ぎて、夜の営み改め朝のお勤めを終えた二人はブリッジへと向かっていた。
生体腕から機械腕に付け替えた誾の歩き方がどこか生まれたての仔鹿っぽく見えるのは、きっと全裸が彼女のリクエストに全力全壊(誤字に非ず)で応えたからだろう。
そうそう。
今更だが全裸少年の名は【葵・”快男児(マスチモ)”・トーリ】、機械腕少女の名は【立花・誾(たちばな・ぎん)】。
何を隠そう三征西班牙教導院”アルカラ・デ・エナレス”の誇る、単純武力でなく色んな意味で最強ランク級のカップルであった。
この二人にも色々な物語はあるようだが……
だが、原作と呼ばれる平行GENESIS世界との大きな相違点は、その拙い足取りはともかく誾よりもむしろトーリに集中していた。
まず制服のデザインはインナーやパンツに関しては標準的な三征西班牙のそれだ。
しかし、彼が羽織るロングコート型の法衣は、襟周りのもうふもふファーや流れるような幾重もの飾金鎖まで含めて平行世界のトーリ本人が着ていたそれと、デザイン的には全く同一だ。
だがそうであっても、平行世界のトーリと同じデザインの服だと気付く人はむしろ少ないんじゃないだろうか?
何しろ見た目の印象が全く違う。
その相違を生み出してるのが色だ。
そう並行世界のトーリのそれは喪服のような漆黒だったのに対し、マスチモたるトーリのコートは三征西班牙を示す真紅の生地に、幾つもの純白の十字架をあしらったド派手な代物だ。
そう、他国なら隠密部隊が多い第1特務の隊長なのにも係らず、エナレスの学生全ての中でも選りすぐりの派手な装いを貫いてるのも葵・トーリという人物だった。
もっともそれは、トーリの率いる第1特務が他国の同じナンバーの部隊と比べて異質と言っていい特性を持つことや、またこの真紅のコート……”ガーブ・オブ・ロード”と呼ばれるそれも相応の意味があるのだが、それはまた別の機会に語られよう。
***
だが衣服もそうだがもう一つ平行世界の同位存在に比べて決して無視できぬ大きな差異、あるいは違和感があった。
それはトーリの左腰に差され一際大きな異彩を放っていたのは、堂々たる”一振りの刀”だった。
平行世界の彼から考えると物凄く似合わないように聞こえるかもしれないが、この世界の葵・トーリという少年はサムライ……それも『一廉の武人』として知られるほどの剛の兵(つわもの)として知られていた。
そう違う世界線では”立花・宗茂”こそが八大竜王の一人にして”西国最強”として名を馳せていたが、どうもこの世界では勝手が違う。
そもそも未来の立花・宗茂はこの世界では未だ『立花宗茂』の襲名は公式にはかなわず、公的には【ガルシア・デ・セヴァリョス】の襲名しかなしていない。
というのも本人が襲名を志す途上で自らの武に伸び悩む時期があり、『ならばここは音に聞こえし”東国無双”に頭(こうべ)を下げて教えをこうべし』と一念発起。
東を目指し、六護式仏蘭西(エグザゴン・フランセーズ)を駆け抜けて三河へとたどり着いたそうな。
当然の疑問だと思うが、何故に距離的に近しい筈の立花・道雪に教えを請わなかったのかと言えば……
別に彼が”割断世界ホンダリア”フリークで、子供達に「上野行けよ上野!」といわれる冴えないタートルネックのライバルより、『やっぱりここは主役でしょう』という思いがあった……というワケでは決してない。
それに彼に局部的特長を考えるなら今更、割礼神のご加護は必要は無いだろうし。
実はこの”運命線の変遷”も、トーリというより父母の小野・忠明(おの・ただあき)と葵・善鬼(あおい・よしき)が遠因になっていた。
同じ武を志すものとして幼い頃より葵姉弟を見てきて、憧れがやがて思慕に変わりまんまとトーリとの初恋に堕ちた立花・誾は、かなり早い段階から葵家に通い妻状態だったようだ。
しかも忠明と善鬼との神経勝負、巌流島で行われたらしい”伊東一刀斎の一刀流相伝試合”の歴史再現の後、武人としては一線を引退した善鬼がはじめた軽食店【青雷亭(El trueno azul:エル・トレノ・アズール)】を誾は手伝い、看板娘&調理補助を努めるなど中々の花嫁修業の成果……ぶっちゃけ女子力の売込みをし、すっかり葵家に溶け込んだようである。
すると誾の養育やら修行やらに手がかからなくなった為に立花・道雪は、さっさと隠居すると時を置かずして物見遊山として諸国漫遊に出かけ、そして平行世界の史実より早く”K.P.A.Italia”の副長に就任してしまったらしい。
そのため当時はまだまだ無名、要するにただの郵便配達の学生が努力の末にガルシア・デ・セヴァリョスの襲名を獲得したばかり過ぎない……そんなぽっと出の人間が、西国どころか神州全域に良くも悪くも名前を知られた武人で、なおかつ鳴り物入りでK.P.A.Italia”の副長に大抜擢された【重武神騎乗士(ナイトストライカー)】に容易く合えるわけは無かった。
そう意味では、こう言ってはなんだが聖連の言うことならなんでも言うことを聞く(と思われていた)【松平・傀儡男(イエスマン)・元信】が君主を務める三河に住む本多・忠勝のほうがまだ幾分面会しやすかったらしい。
とぉ~ころがぎっちょん!(by ありあるさーしぇす)
よほど三河の水が合ったのか?
未来の西国最強になるはずだった青年は、東国……というか槍本多家から未だ戻らず、おそらくだが今も楽しく忠勝や鹿角、そして本多・二代と共に面白おかしくついでに激しく濃厚な修行三昧の日々を送っているとの風の噂があった。
おまけに元信公が家臣払いした後は、”臨時契約外交官”としてたくしげく”武蔵”に通ってるという噂もあり、中々に活躍してる模様。
間違いなく教導院の外道と接触してることだろう。
***
そしてトーリは驚く無かれ、なんとこのガルシア・デ・セヴァリョス……長いので便宜上”宗茂”と呼ぼう。今のところはあくまで襲名候補者だが。
ともかくこの宗茂と幼馴染で友人なのだった。
しかし、誾は第01話でこんなことを言ってたはずだ。
『顔も見たこと無い上に、三河だか武蔵だかに修行に言ったまま帰ってこない人は、論外だと思いませんか?』
実はこれ、彼女の盛大な勘違いなのである。
何気に誾はなんども宗茂に合ってるのだ。ただ、記憶にとどめてないだけで。
それもそのはずで、ただでさえ宗茂は三征西班牙の人間種ではさして珍しくも無い金髪碧眼の典型的な白人青年(当時は少年)に加え、誾の認識区分は同年代に限れば幾人かの例外を除き、
【トーリと喜美とその周りの大切な人たち、とそれ以外】
といういっそ清々しいほどザックリしたものだった。
宗茂は当然のように大切な人たちにも例外にも選考落ちしていた。
これじゃあ宗茂が、『顔も見たこと無い(正確には、『顔も覚えていない』)』と評されるのも無理も無い。
第一、誾にとって自らの夫ともなる立場の”立花・宗茂”はトーリこそが襲名するに相応しい名であり、それ以外は眼中にない。
蛇足ではあるが、宗茂が武を志したのは幼き頃に出会った、『まるで呼吸するように刀を振る』葵姉弟だったらしい。
つまり誾と宗茂は同じ二人に惹かれたということだ。
***
そう、もうお気づきだろう。
葵・トーリも葵・喜美も只者ではない。
喜美は後のお楽しみとして……先ずはトーリの話からはじめよう。
彼の腰に差す刀の銘は実に由緒正しきもの。
その名を”瓶割刀”……立派な神格武装である。
”瓶割”というとP.A.Odaの柴田・勝家も同じような名の神格武装を使うが、あっちは【瓶割り柴田】の歴史逸話を題材にした割砕系、つまり刀に映った対象を割り砕く威力重視の武器で、大雑把に言えば蜻蛉切と同系統だ。
だが、瓶割刀は全く別のコンセプトで鍛えられた【純日本刀型神格武装】だった。
そのモチーフとなったのは、凡そ一刀流剣術全派の開祖といわれる”伊東一刀斎”が三島神社より一刀斎が賜れた愛刀”瓶割”である。
それは一刀斎がまだ鬼夜叉といわれていた頃まで遡る逸話で、三島神社に賊が押し入ったとき、潜んでいた瓶ごと賊を真っ二つにしたという逸話が名前の由来となっている。
その逸話を再現するため、瓶割刀は【相反する二つの要素】を”通常駆動”として兼ね備えていた。
一つは『折れず曲がらず歪まず錆びない』と評される”頑強さ”と、刃に触れた物を『焼けたナイフをバターに押し当てた』ように容易く切断する”切れ味”だ。
実はこの二つは同根の特性であり、その正体は一言で表すなら【物質/分子構造の相転移】と言えるだろう。
例えば刀身の部分は『刀が触れた物体のベクトルと性質、衝突エネルギーを瞬時に解析し、刀身をそれに耐えられるように分子レベルから再構成する』であり、また実際に斬る液体金属製の刃紋部分は『刀が触れた物体の分子結合構造を瞬時に解析し、それを切断できる硬度/性質/形状を持った刃を形成する』だ。
また流体金属の刃なので即時あるいは随時修復可能で、理論上は永続的な刃毀れもありえない。
わかりやすく言えば、”刀語”に出てくる【絶刀・鉋】と【斬刀・鈍】の双方の性質を刀身と刃紋に備えた刀こそが【瓶割刀】と思っていいかもしれない。
更に厄介なのは瓶割刀はどうやら不死系異族であるバンパイア、そのの属性である”吸血”を解析し、性質付与されてることだろう。
これは、『斬った相手の血を流体として取り込み、燃料として蓄積することができる』というもので、つまり瓶割刀は斬り続ける限り、半永久機関的に通常駆動を維持できることになる。
更に万が一損傷しても、流体動力のファイルセーフ機能と自己再生機能があり、一定の時間ほうっておけば勝手にリカバリーしてしまうのだ。
おそらくは、コレもまたバンパイアの能力付与の恩恵だと思われる。
人であれ物であれ、ただ折れず曲がらず刃毀れせず、鋭い切れ味のままひたすら”斬り続ける”ことに特化した刀……故に、瓶割刀は
【”妖刀・瓶割”】
と俗称されていた。
***
しかし、ここでもう一つ書いておかねばならないことがある。
史実の瓶割刀は伊東一刀斎の後、その相伝試合に勝利した小野忠明に”朱引太刀”や一刀流共々継承されることになる。
小野忠明はもちろん、トーリと喜美の父親である”小野・忠明”の襲名元になった人物だ。
そして小野忠明は後年、さらにその瓶割刀をある人物に継承させる。
その人物こそ一刀流二祖(伊東一刀斎と小野忠明)の小野忠明の弟とも実子とも言われ、小野忠明に一刀流を学び、忠明より生涯33戦の文字通りの真剣勝負の斬りあいを行いながら1度も負けなかった自分の師、「伊藤一刀斎に勝る」と評され、一刀流三祖を継承した証として瓶割刀を授けられる。
さらにそれを機に姓を流祖・伊藤一刀斎の家名である伊藤に改めたと伝えられる存在……
その名は【伊藤忠也(いとう・ただなり)】……そう、一刀流兵法においては小野派一刀流に並ぶ伊藤派一刀流の開祖、まごう事なき剣豪である。
さて察しの良い皆様はもうお分かりではないだろうか?
この世界における葵・トーリは、”襲名者”である。
その襲名の一つが瓶割刀の持ち主でそれを小野・忠明より継承された”実子”……この条件に合う襲名元は、【伊藤・忠也】のみ!
そう、葵・トーリは同時に伊藤・忠也であり、瓶割刀と名前負けせぬ実力を兼ね備えた、剣術一流派を興せるほどの【GENESIS当代屈指の大剣豪】の一人なのであった。
いや、とてもそんな歴史に名を残す剣豪に見えないことは承知なのだけど。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
第2話、お楽しみいただけたでしょうか?
久しぶりに後書きというものを書いてみたのですが、何を書いていいのか大いに悩むところです(笑)
せっかくこのようなスペースが用意されているのですから、今後は簡易設定や本編の補則やらこぼれ話やらも書いてみようかと思うのですがいかがでしょうか?
それではまた次話にて皆様にお会いできることを祈りつつ。