境界線上のホライゾン・シャッフルズ!(マスチモ版)   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ。
中々まとまった執筆時間が取れないボストークです(^^
さて今回のエピソードは……シリーズ通算で屈指の甘さを誇るエピソードです(えっ?)
原本(益荒男版)と比較しても糖分増量セール中につき、皆様くれぐれも胸やけにご注意ください。
甘いものが苦手な方はブラック珈琲のご用意をお勧めします(笑)


第06話 ”ガネっ娘と中二作家(ちゅうにびょうでもこいはする)”

 

 

 

『夢ならたくさん見たよ。でも、いつも辛い現実に押し潰された。だけど……』

 

『自分は臆病だから。だからいつも貴方を見てることしか、自分を見て欲しいって願うことしか出来なかった。でも……』

 

『僕は君と出会えた』

 

『自分は貴方に想いを伝えられた』

 

『夢でだって会いたい!』

 

『夢から覚めたらもっと会いたくなる!』

 

『『君が(貴方が)そうさせた! だって恋は欲張りだから!!』』

 

 

 

 

 

<配点:中二病だって恋がしたい!>

 

 

 

 

 

 

***************************************

 

 

 

それは、武蔵アリアダスト教導院の総長兼生徒会長の【ホライゾン・アリアダスト】が姉弟子であるオリオトライ・真喜子の武を超えるため、3年梅組を巻き込みつつ冷静にしかし熱く気勢を上げてる同時刻、というか集合地点からちょっと離れた木陰では……

 

「気をつけてね? ”アデーレ”」

 

「うん。”トゥーサン”も指揮管制をよろしくお願いしますね♪」

 

にこやかに微笑む、クラスで一番ちっこくて平たい……ぶっちゃけ小等部の集団に混じっても違和感なさそうな金髪のガネっ娘が無垢ににっこり微笑むと、やはり高等部より中等部、それも不思議と二年生あたりの学年ががぴったりとはまりそうな同じく眼鏡の少年……いや、それとも”男の娘”か?は、

 

「ああ。アデーレが全力を出せるように、僕は僕なりに最善をつくすよ。それが、前線ではさほど活躍できない僕が、常に前線に立つ大好きな君にできる数少ないことだから……」

 

”こつん”

 

ある意味、様々な属性の集合体である眼鏡の小柄な少女”アデーレ・バルフェット”は少し背伸びをすると少年、”トゥーサン・ネシンバラ”の額にコツンと自分の額を当てて、

 

「自分がいつも自信を持って”一番鑓”として突撃できるのは、大好きなトゥーサンが背中から見ていてくれるからなんですよー?」

 

彼女は笑みをますます優しいものに変えて、

 

「トゥーサンが的確な指示をくれて背中を見守ってくれるから、自分は躊躇い無く突撃することが出来るんです」

 

「アデーレ……」

 

「でも、あの”個人戦闘能力暫定武蔵最強(ベルセルク・アマゾネス)”に一番鑓を叩き込むんですから、ちょっとだけ勇気とか祝福とか期待しちゃっていいですよねー?」

 

「僕でよければ喜んで」

 

”CHU”

 

柔らかい木漏れ日の中で重なる唇と唇……

それはとても幸せそうな情景だった。

少なくとも当人達にとっては。

 

でも、ここでアデーレは少し悪戯心を出してしまう。

ついついぺロリと舌でネシンバラの唇をなぞった。

 

(しょうがない娘だなぁ~)

 

”ぴちゃ”

 

ネシンバラはこちょこちょと擽るように、あるいはねだるように自分の唇をなぞるアデーレの舌に自分の舌を重ね絡めた。

 

「!?……(はぁと)」

 

するとアデーレはちょおとびっくりしたようにレンズの奥の大きな瞳をいっそう大きく見開いたが、すぐに蕩けるような柔らかな光を浮かべ、

 

”ぴちゃ……くちゅ”

 

むしろ自分から積極的にネシンバラの舌を絡めた。

 

 

 

どれほど唇を重ねたのだろうか?

どちらかともなく名残惜しそうに唇を離すと、

 

「てへっ♪ 濡れちゃいました♪」

 

困ったように、でも嬉しそうに幼さを残した表情であどけなく微笑むアデーレに、ネシンバラは同じくらい優しい笑顔で、

 

「キスだけでそうなるなんて、アデーレはえっちな娘だね?」

 

「ひどいですぅー。自分がえっちな娘ならそうしたのはトゥーサンですよぉ」

 

拗ねた仕草で膨らませるアデーレの頬に、

 

”Chu♪”

 

ネシンバラは軽くキスをして、

 

「知ってる。責任はとるよ」

 

”てへへー♪”でこれ以上ないくらいに頬を緩ませるアデーレは、どこまでも幸せそうだった。

 

 

 

***

 

 

 

「じゃあ、行ってきますねー♪」

 

小さな肢体に見合わない大きなエモノ、準神格(?)武装級の鑓【ランス・デ・ラ・ベート(Lance de la Bete。意訳:ケモノノヤリ)】を携え、「もうちょっとトゥーサンと一緒にいたかったですぅ」と言いたげに振り向きながら集合地点へと走っていく”従士”の少女。

ネシンバラはその後姿を穏やかな表情で見送りながら、

 

「さてと……」

 

術式鍵盤と中二病そのままのデザインの表示枠を手早く展開し、

 

「『愛する少女の後姿を見送ったネシンバラは、周囲に感じる殺気に素早く反応する』」

「「「「リア充眼鏡、爆散しやがれっ!!」」」」

 

アデーレが視界から消えるなり、複数の物理/術式を問わない攻撃の数々が直撃コースでネシンバラに迫る!

 

「『その時、ネシンバラは【年齢=彼女いない暦】のヤロー共から醜い嫉妬と共に放たれた攻撃を巧みに避ける。その動きはまるで未来を予測してるようだった』……と」

 

そして現実は彼の綴る通りになった。

これこそ、ネシンバラが最も得意とするスガワラ系イツル神奏術式、【幾重言葉(いくえことば)】だ。

汎用性も効力も高いが、小説形態の術式展開(神音借り)が条件とされてるために、発動が遅いのが難点であり、本人の言うとおり情況が秒単位で切り替わる最前線にはあまり向いてるとはいえない。

 

(だけど、この程度の攻撃はどうということはないんだよね)

 

「『ネシンバラは、「この程度の攻撃、当たらなければどうということはない」と思いながら巧みな回避運動を続ける。内心では同時に愛する少女の身を案じながらも、その娘と歩むだろう未来を思い描きながら』」

 

(結婚式は、どう考えても神前……”浅間神社”で強制執行だろうから……)

 

それを断れば昼夜関係なくズドンの脅威に怯えて暮らす日々が続きそうなので、ネシンバラやアデーレはとっくに諦めてる。

 

(世間は”末世”がどうとかって騒いでるけど……)

 

実はネシンバラもアデーレもあまり深くは考えていない。

というより、今【世界の滅亡】とやらの兆候が現実に起こっているとしても文字通り目の前で起こってない以上、実感せよというのも無理な話だ。

 

(それよりも……)

 

今考えるのは、間近に予定してる普通の意味での”卒業後”。

自分は本来の”生業”に戻ろうと思ってるし、アデーレとの結婚は既に確定事項だ。

 

(そうでなければ、いくら僕でも同棲なんてしないし)

 

大切な事なので二度言う。『ネシンバラとアデーレは交際を始めたその日から同棲している』。

繰り返す。アデーレとネシンバラは同棲してやがる!

 

(僕は学生結婚でもよかったんだけど……)

 

アデーレが嫌がった。曰く『学生結婚って全般的に貧しくて、若気の至りの後、若さゆえの過ちによる破綻ってイメージがあるんですよー』とのこと。

それは”いつの時代の四畳半戯曲だ?”と聞き返したいとこもあったが、しかし経済事情というのは、確かに人が生きていくうえで重要な因子ではある。

そこは納得してる。

 

(でも、その卒業もあと1年も無いし……)

 

ネシンバラとしては、卒業後なるべく早くアデーレとは夫婦になりたい。

 

(僕だって人並みに子供も欲しいし)

 

いつまでも避妊術式の世話にはなりたくないようだ。

 

(なら、できる準備はしておかないとね)

 

わからないことは聞こう。

 

(知らないことは恥ではない。知ろうとしないことが恥なんだから)

 

そしてネシンバラは周囲を取り囲む殺気だった男衆(なぜか梅組以外の面子が多い。授業さぼってる”ペタン同盟”とかだろうか?)に、

 

「ねえ、結婚式は否応なく浅間神社だろうけど、披露宴はどこがいいと思う?」

 

「「「「「死ねっ!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***************************************

 

 

 

コンデンスミルクを一気飲みしたような甘さを乗り越え、舞台は再び”武蔵”全域……というか教導院のある”奥多摩”から”品川”にかけての【機動追撃戦(ハウンド・チェイス)】に戻る。

 

「セイッ……!」

 

ホライゾン・アリアダストの『重力と質量の段階的連続制御』による高速ゴー&ストップで残像すら発生させ間合いと踏み込みのタイミングをつかませない”残影縮地(ディレイ・アタック)”から、その脚裁きと加速に速度を相乗させて近接距離から放たれた超音速の居合い【鎌鼬の一閃(ソニック・ブレード)】。

そこに発生した斬戟と真空衝撃波(ソニック・ブーム)の組み合わされた二つの破壊を、

 

「よっと♪」

 

なんとオリオトライ・真喜子は受けるのではなく斬戟を”受け流し”ながら剣圧に逆らわず後方に飛び、さらに衝撃波に”乗って”しまったのだ!

 

「なんと……!」

 

つまりは、ホライゾンの鋭い一撃を【後方へ跳ぶためのカタパルト】として利用したのだ。

 

「これぞオリオトライ忍法(笑)、【衝波乗跳(しょうはじょうちょう)】! なんちゃって~♪」

 

空中で姿勢制御しながらくるりと反転して見事な着地を決めたオリオトライは、弾かれたような勢いで一路”品川”へと駆け抜ける!

 

「今、拙者のアイデンティティーが一部否定された気がするでござるよっ!?」

 

なにやら顔をスカーフで隠した”実は帽子が本体説”がある犬っぽい忍者が取り乱しているが、ホライゾンは視線を向けずに、

 

「”点蔵”」

 

「なんでござろう?」

 

「貴方も弾き飛びますか?」

 

「なんとっ!?」

 

「それが嫌なら、さっさと追いかけてください」

 

「J, Jud!!」

 

本気でホライゾンの一閃で飛ばされるのが嫌だったのか、どうやら点蔵という名らしい、あまり忍んでない風体/言動の忍者は、石弓から射出されたような勢いで慌ててオリオトライを追いかける。

 

どうやら長い銀髪がトレードマークの機械仕掛けの肢体を持つ少女、武蔵アリアダスト教導院総長兼生徒会長の”ホライゾン・アリアダスト”は、原作と比べても武力はアルティメットで性格はセメントらしい。

 

「ホライゾンの剣技もまだまだ未熟、更なる修練が必要ということなのでしょうね」

 

そして、どうやら努力家でもあるようだ。

 

 

 

***

 

 

 

(追いつきましたよー♪)

 

内心、そうほくそ笑むのはアデーレだった。

彼女は、オリオトライがホライゾンの一撃を受けると射出された方向を判断、ほぼ同時に駆け出していたからこそ、最速で追撃できるポジションを確保できていた。

 

「”ランス・デ・ラ・ベート(ケモノノヤリ)”、【恋文符カートリッジ】を装填してください!」

 

『Oui. Princesse(意訳:了解。お嬢様)』

 

アデーレは鑓を通じて全身に力がみなぎるのを感じる。

それも当然だ。

この術式符は、トゥーサンがアデーレへの想いを文にして綴った物であるのだから。

ケモノノヤリはその物騒な名前に反し、このネシンバラからアデーレへの恋文をスガワラ系の文神に奉納することでその能力にブーストをかけられる機能ががあるのだ。

だから文字通り、

 

(トゥーサンの想いが自分の力になる!!)

 

「だからいつまでも負けてられないんですっ!!」

 

アデーレはそのエメラルド色の瞳に覚悟を宿し、

 

「いっけぇーーーっ! 創作術式【スフィーレ・ゲイル(Soufflez Gale=疾風の一撃)】!!」

 

それは術式としてはさほど難しいものではない。

要約すれば、鑓の後方から圧縮空気を指向性をつけて噴射してブースター効果を得ると同時に、自分の周囲に【常に術者の動きに最適化された空力特性を持つ力場カウリング】を展開。

この二つの相乗効果で、爆発的な加速を得る術式だった。

 

「へぇ~。一番鑓はアデーレってわけ?」

 

まるで背中に目でもあるかのようにアデーレの接近に気付くオリオトライに、

 

「自分、脚力と速度が自慢の従士ですから!」

 

勢いを殺さないままにオリオトライの背中に向けて鑓を突き出すアデーレ。

しかし!

 

「甘いわよ!」

 

絶妙のタイミングでオリオトライは背面跳びの要領で跳躍回避すると、空中バク転を決めてあっさりとアデーレの背後をとった。

 

「まだまだぁー!」

 

だが、アデーレは諦めてはいない。

彼女は鑓の軌跡を変えて穂先を足場になってる屋根に突き刺しアンカー代わりに急制動をかけつつ、鑓の柄を軸に手をフックのように引っ掛けてスピードを維持したままくるりと半回転!

そして同時に、

 

「トゥーサン! 今です!」

 

通信枠が開くと同時にネシンバラはニヤリと笑い、

 

「このタイミングを待っていたよ! 術式”幾重言葉”の遠隔効果付与! 『風を司る神々の祝福により、愛らしい少女の両腕に真空の刃が顕現する! それは起死回生の一太刀となった!』」

 

これがネシンバラが後方にいる意味の一つだ。

彼は主人公を切り替えると同時に、通神を通しても主人公にした相手に”幾重言葉”の効果を付与することが出来るのだった。

 

「貫滅! ”双牙掌(そうがしょう)”!!」

 

”ビュオッ!”

 

それは技からすれば、”両腕の貫手(手刀)”という古式武術ではわりとメジャーな徒手空拳の打撃技だ。

しかし、アデーレ自身の突進スピードと両腕に顕現した”不可視の真空刃”により、まともに喰らえば命に関わる攻撃へと変貌する!

 

「だから甘いっていってんのよん♪」

 

されど流石は異世界ですらリアル・アマゾネスの二つ名を欲しいままにするオリオトライ・真喜子!

彼女はしゃがむと同時に脚を素早く低く伸ばしながら回転させ、アデーレの体重の乗った踏み込みの足首を鎌で雑草を刈り取る横薙ぎにした!

プロレス技でいうところの”水面蹴り”によるカウンターといったところだろうか?

 

 

 

「ふぇ!?」

 

軸足をモロに横薙ぎされたアデーレは、つんのめるようにバランスを崩し、まるで宙に投げ出されるような姿勢になってしまう。

そして、そんな隙を見逃すオリオトライではない!

 

「ちゃーんす♪」

 

”ガッ!”

 

彼女は立ち上がり際にアッパーカット気味にアデーレの喉元あたりを掴むと、

 

「せいりゃ!」

 

”ばずぅーーん!”

 

「あいたぁーーーっ!!」

 

問答無用にアデーレを足場の屋根に叩きつけた!

そりゃあもう、屋根瓦が割れ飛び散るような勢いで……

 

 

 

***

 

 

 

「はぅぅぅ~~~」

 

気絶こそしなかったものの肺の空気を一気に押し出されるような勢いで片手喉輪落としモドキ(?)を喰らったアデーレは、どうやらしばらく動けそうも無いようだ。

 

「んー。悪くはない攻めだったし、”夫婦の息合ったコンビネーション”ってのもポイント高いけど、今一つ詰めが甘かったわね~♪」

 

実に楽しそうに置き台詞(捨て台詞というのは何か違和感がある)を残し、カウンターでアデーレが沈んだために攻撃のタイミングが微妙に狂わせられた某カレー神の信奉者を軽く返り討ちにしながら、オリオトライは再び”品川”に向けて再加速するのだった。

 

 

 

「ごめんね、トゥーサン……せっかく力をくれたのに、あっさり負けちゃいました」

 

だが、表示枠の向こう側にいるネシンバラは小さく首を横に振ると、

 

「いいんだ。アデーレは”先生を足止めする”って役割は果たしたんだから、充分だよ」

 

「でも……やっぱり、悔しいよぉ……」

 

するとネシンバラは慈しむような優しい瞳で、

 

「ならアデーレ、また僕と一緒にがんばろうよ? 僕は何があってもずっと君のそばにいるから。世界がどうなろうとそれだけは変わらないから」

 

「そんな優しい言葉かけたら駄目……です……よぉ……自分は弱いから……」

 

『どこまでもトゥーサンに甘えてしまいます』という言葉を飲み込んで、顔を覆って小さく嗚咽するアデーレに、

 

「Jud. 今から迎えにいくから」

 

そして、この素直で気丈で愛らしく脆い、誰よりも大好きな少女を抱きしめようとネシンバラは思っていたのだった。

 

 

 

さて、ここで少なからぬ読者諸兄の心の声を代弁しよう。

ネシンバラ、マヂニモゲロ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 




ネシンバラ、バクサンシヤガレ……

はっ!? 失礼しました。
今のは放送事故(?)です。

皆様、ご愛読ありがとうございました。
元々シリーズ屈指の糖度を持つエピソードだったのですが、加筆修正分の大部分がネシンバラ&アデーレのイチャラブシーンという、ある意味劇物のエピソードを楽しんでいただけましたでしょうか?

考えてみるとタイトルはトーリ(の中の人)が主人公っぽいのですが、ネシンバラが主役という妙なエピソードですね?(笑)

次回も武蔵勢力がメインとなりますが、楽しみにお待ちいただければ幸いです。
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