結論から言おう。私たち2人は、助けられて、無事に生きている。
ピアノの上に逃げ込んだ私たちは、周りを囲まれて焦っていた。もしかしたら、死ぬかもしれないって覚悟すらした。
しかし生きている。その、勇敢な人たちのおかげで。
美紀さんが必死のあまりに、ピアノから落ち、奴らに囲まれたときはもう訳が分からなくなって、ダメかと思った。
私は美紀さんを助けることに必死になって飛び込んだ。
錯乱した意識で、バッドを振り回した。人殺し―――と言えば、まあそうなるだろう。
その時点で、既に過ちを犯した。もう、どうにでもなれと、前に話した、馬鹿力で、薙ぎ倒して、倒して、たおして…。
*
気付いた時には終わっていた。
車に乗せられていたと思えば、オモチャと思わしき手錠で拘束されていた。
隣には美紀さんと、見覚えのある女の子。どうやら眠っているようで、目を覚ますことはなかった。
・・・そして同じように、手には手錠を掛けられている。
そっと前を見ると、運転席には黒髪の子と、その隣には茶髪の髪の長い子。
なんだか目が痛い。擦りたかったけれど、手が動かないので瞬きを繰り返すほかにない。
そんな様子に気づいたらしい少女が、こちらを見た。
・・・もしかして、お前は危険だから放り出す!とか、言われるんじゃないだろうか?
うう、やだなあ。それだけは、勘弁してほしいものだ。思わず顔をしかめると、少女は笑った。
「・・・久しぶりね―――彼方。」
それは、聞き覚えのある声だった。
「いや、まさか悠里たちだったなんてね」
驚きはしたものの、冷静に受け止めるしかなかった。
これが現実だ。彼女たちは生きていた、その事には安堵した。
しかし・・・受け入れがたいコレは、いったいなんだろうか。
「念のため、よ」
悠里は笑った。念のためと言えば聞こえがいいかもしれないが、彼女は私たちの危険性を感じているのだ。
笑ってはいても、きっと彼女は内心怯えているだろう。そう感じるのは、私が、それを知っているから。
「まさか、お前もあそこにいるなんてな」
「あの日、部活休みだったから」
そう、あの日はたまたま、部活の休みだった。
理由は知らないけれど、顧問の気まぐれだと思っていたけど、もしかしたら、と思う節もなくはない。
「どーりでな。ま、とりあえず学校に戻るから。話はそれからだな」
「そうね」
私たちは、きっとその日一番の運の良さを喜ばしく思っただろう。
運転席にいる、黒髪の少女―――くるみも、「運がよかったんだな」なんて笑っていたし。
*
「見て、学校よ」
しばらく景色を眺めていると、悠里がそう言った。身を乗り出すと、目の前には学校が見えた。
もう懐かしさすら感じる校舎に、一人哀愁を感じた。
「―――ただいま」
「―――おかえりなさい」
そうして私たちは、学校に帰ってきた。