島風の唄   作:月日星夜(木端妖精)

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かなり端折った感じに。
いくらかの艦娘の出番が犠牲になった。
ちょっと淡々としすぎかなぁ……。



次の投稿は二日後、1月25日(月)夜を予定しています。
遅れる可能性もあります。あらかじめご了承ください。



   小話『日常ヲ謳歌セヨ!』

 龍田先輩がキレた。

 天龍先輩が怪我をしたからだった。

 

 今朝がた、体育館の準備室で、金属製の棚の上から落ちてきた箱に潰されて手と足に大きい怪我を負ったらしい。二十分の入渠を要する大怪我だ。

 艦娘というのは人間よりよっぽど丈夫な体をしているが、それも常識的な範囲で、鉄のような強度を誇るのは生体フィールドを発している最中のみ。常日頃燃料を消費する生体フィールドを纏っている艦娘は少ない。

 だから天龍先輩は怪我をしてしまった。龍田先輩が怒ったのは、天龍先輩が『傷つけられた』からでもあるが、やっと腕がくっついて「出撃しても良い」と藤見奈提督に許可を貰っていた矢先の出来事だというのも大きかった。

 それで、俺がなぜこの事に言及しているのかというと……。

 

「うふふ~、どうして逃げるのかしら~?」

 

 龍田先輩が俺に怒っているから、である。

 実は天龍先輩に落ちた箱、昨日俺が弄ったものだった。アイドル特訓をしている吹雪の下に遊びに来た際、那珂ちゃん先輩に頼まれて、ある物を探していたのだ。その時に箱を下ろして中を改め、元の位置に戻した。たぶん、ちょっとずれてたか、手前に置きすぎていたのだろう。翌日天龍先輩が入った時に崩れてしまったという訳だ。

 原因は明らかに俺なので、謝ればすむ話のように思えるかもしれないが、しかし俺は未だに謝れていない。

 砂利道の奥の方から歩いてくる龍田先輩の手には、艤装の薙刀が握られていた。

 得物を手にした怖い笑顔の女性が迷いのない足取りで近付いてくるのだから、じりじりと後退してしまうのは仕方ないし、というか、一目見た島風が『逃げろっ!』って言ったから思わず逃げちゃったんだし、俺は悪くない。

 いや、悪いけど……だからこうして足を止めて謝ろうとしてるんだけど、めっちゃ怖くて震えるし、逃げたい。まじで。

 さっきなんか『ウサギー、追いかけっこー? リベもまぜてまぜてー! ……あっ』って、近寄って来たリベッチオが龍田先輩を見て顔色を変え、隣にいた夕立の手を引いて逃げて行ってしまったくらいだった。

 素直に手を引かれて行った夕立も酷い。助けてくれたっていいのに。

 小さな石の感触を足裏に感じながら、また一歩、後ろへ下がる。と、龍田先輩の手がぶれた。

 ドスッと音がしたかと思ったら、真横に薙刀が刺さっていた。

 ……見えてたけど、体が強張ってて避けれなかった。ていうか、今、俺、生体フィールド纏ってないんですけど……。

 

「ううん、まだ調子が戻ってないのかしらぁ?」

 

 戻んなくて良い、戻んなくて良い! 今戻られたら殺られそうだから!

 眉を寄せて自分の手を見る龍田先輩に背を向け、自慢のスピードで逃げ出す。

 謝罪しようと近寄ったら、絶対殺される。俺はそう確信していた。

 

 本棟の影に隠れ、気配を気取られないように息を潜める。

 ああ、どうしてこんな事になってしまったのだろう。昨日はあんなに平和だったのに……。

 現状からの逃避か、激しい動悸を感じながらも息を整えていると、だんだんと昨日の事が頭の中に浮かんできた。

 

 

 テレビを買った。

 外出許可を貰って、十七艦隊(と十八艦隊)と第四艦隊のみんなで外へ出た時に、立ち寄ったホームセンターで購入。ブラウン管ではなく液晶で、価格は三万とちょっと。画面が大きい割には安かった。

 前に会った嶋ちゃん(特撮の主役を演じていた子)の番組を見るためにとりあえずまずはテレビを買ってみたんだけど、帰りの車に乗せて帰る事になったから、不安でたまらなかった。

 運転するの、川内先輩だったんだよね。

 免許持ってるのも驚きなら、破天荒な運転するのも驚きだった。助手席の神通先輩が油断するとすぐアクセル踏み抜こうとするの、やめてほしい。怖がってる俺もいるんですよ! 吹雪は苦笑いで、夕立は乗り気で、リベッチオは窓の外に夢中だった。神通先輩がいくらお小言を言っても、川内先輩はどこ吹く風。那珂ちゃん先輩はずっと一人でガイドさんやってた。

 

 うちにはテレビがない。それが軍の方針なのか、うちだけ特別なのかは知らない。叢雲に聞く訳にもいかないし(前の鎮守府の事、振り切ったとはいえ、あんまり話題にしたいものではないだろう)、想像任せにしかできない。

 少なくとも、俺のとこの艦娘はテレビを見た事が無いらしく、部屋に設置すると誰かしら訪ねてきて数十分から数時間滞在した。あんまり付き合いのない子も来た反面、金剛とかは来なかった。テレビに釘付けになってる彼女の姿は想像できないし、そんなもんだったのかな。

 さて、肝心の嶋ちゃんの勇姿だが、俺の好きだった特撮の特徴が結構あって興味を惹かれたし、金髪のつけ髪を煌めかせる嶋ちゃんは、人間にしては身体能力が高く感じられた。子供なのに、演技に不自然さがなかったのも凄かったな。長回しが非常に多いのも感心した。やっぱりミステイクいっぱいあるのものなのかな?

 ただ、主人公の女の子が友達の女の子に恋をしているっていう設定なのは、日曜朝に流して良い内容ではない気がした。それメインに押し出してるし……好きな子のために戦うってのは健全だけど……いやいや、女の子どうしの恋愛も健全だ。そうでないなら、俺と朝潮はどうなるというのか。……いや、俺は男だけど、体は女だからなぁ……微妙。

 しかし男としての自分は、もうほとんど消えている気もする。振る舞い方からして前とは違うのを要求されるし、友達との会話の内容だってそうだし、生活スタイルもそうだ。これで男らしくなれってのはちょっと無理かな。それこそ生来の気質でない限り。

 むしろ俺なんかより男勝りな艦娘は多い。

 なーんか、負けてる感じがする。

 

 夕方、明石の工廠に赴いた。艤装の点検のためだ。

 艤装自体は明石がどうとでもしてくれるけど、そこに宿る妖精さんとの絆を育むのは、その艤装を扱う艦娘如何(いかん)だ。

 俺が使う艤装は朝潮型……とりわけ朝潮が使う物と一緒なんだけど、最近妖精さんは、いつもと違う格好をしている事が多くなった。

 

『インスタントには負けん』

 

 ……らしい。小さなダンベルをくいっくいっとしながら、決め顔で伝えられた。

 

 改二の時に取り出した艤装にも、ちゃんと妖精が乗っているのだけど、彼女達はそれが気に食わないというか、対抗心を燃やしているらしく、差別化のために衣装を変えたり、鍛えたり(?)する事で『私はこのシマカゼの艤装の妖精ですよ』と一目でわかるようにしたいらしい。

 ……筋肉ムキムキ仁王立ち妖精さんになられても困るから、ダンベルはやめてくんないかなぁ。

 なんかてきとーに腕章とかつけとけば良いんでないの? 艤装の名前欄変更しておく? 12.7cm連装砲(シマカゼ砲)みたいに。改二になれば、カンドロイドの操作で名前変更できるよ。そのためだけに改二になるのは労力に見合ってないような気がするし、ぽんぽん改二になるのは格好良くないからやりたくないけど。……妖精さんがしてほしいって言うなら、やぶさかではない。俺のために働いてくれているんだから、俺も何かして返さないとね。

 そういえば彼女達は、わりと自己顕示欲が強い。妖精の園には妖精の像が立っているし、コンビニエンス妖精には妖精グッズがたくさんある。でも悲しいかな、一般の人には見えもしないし、艦娘は極秘だから外部に存在が知れる事もない。でも時々売れているのを見るに、艦娘に人気はあるみたい。かくいう俺も、飲み物についてくる極小艤装妖精さんフィギュア、結構集めてるし、そういうの持ってる子は多いんじゃないかな。

 

 妖精さんとの親睦を深めるためにお茶をしつつ意思を交わし、これからも一緒に頑張って行こうね、と締める。頑張ればいろんな艤装に乗り込めるらしいから、次からは出した武器に入ってもらう事にしよう。

 夕張さんの工廠に移動すると、赤い車……トライドロンの洗車をしていた。

 各種武器の調整が終わったらしく、カンドロイドの提出を求められたので、渡したらアップデートされた。また新しい機能が入ったみたい。

 ただ、使う機会はなさそうだ。

 

「前のいざこざが終わったら使わないって約束だったもの。腐らせておくのはもったいないし、弄っちゃうけど、しょうがないよね」

 

 誰に言い訳しているのか、そんな風な事を言われた。

 気持ちはわからないでもない。俺だって使いたいって気持ちはあるけど、約束は約束。艦娘の戦いに持ち込むべき兵器ではない。

 ただ、また朝潮がピンチになるようだったら、たぶん、俺は使ってしまうだろうな、という確信に近い思いがある。そうできるだけの力がここにある。

 改二だけでも破格の能力だけど、もしそれで追いつかない事態になったら……。

 この考えは、夕張さんには話さないでおこう。彼女だって我慢してるんだし。

 肩に乗せた妖精さんと何かの意思を交わしつつ、レンチ片手に自分の艤装を弄っている夕張さんを見ながら、ひっそりと決意した。

 

 提督の下に足を運んだ。疲れていた様子の夕張さんに代わって、計測した自分の能力値(ステータス)表を提出しに行くためだ。

 入出許可を貰って中に入ると、窓際に立つ提督が振り返った。

 俺は、びっくりした。提督の目の下には、はっきりと隈が浮かんでいたのだ。

 電が言うには、ここ最近になって急にこうなったらしく、とても心配しているらしい。提督は「ちょっと眠れないだけだ」なんて言ってるけど、今までそんな事なかったのに、と俺まで不安になってしまった。

 提督が倒れてしまったらどうなるんだろう。その間の艦隊運営は、電の隣に机を置いて書類仕事をしている大淀が引き受けてくれるだろうけど、俺はどちらかというと提督の指示の下で働きたいので、倒れて欲しくない。だからよく寝る事を提案する。明石にマッサージしてもらったらどうだろう。疲れとれるよ。改造した時みたいに。心配だよ。

 

 ……ところで、電が首に下げてるのって、指輪かな。おっきなダイヤみたいなのがついてるやつ。なんかお洒落。

 電もそういうのするんだな。……俺もアクセサリーとか身に着けた方が良いかな?

 うさみみリボンで十分な気もするけど。

 

 提督の事は電達に任せて、出すもの出して退出した。

 そうして次は吹雪に会うために体育館に向かって……頼まれ事をして準備室に入って……翌日。

 

「どうして逃げるのかしら~? 今謝れば、きっと天龍ちゃんは許してくれるわよ~?」

「ひえっ」

 

 ぬっと壁の影から現れた龍田先輩が、変わらない笑顔でそう言った。

 たしかに謝れば天龍先輩は許してくれるだろう。天龍先輩は、だけど。

 龍田先輩は絶対許してくれないよね。だから薙刀構えてるんだもんね。

 そんなに怒るくらい天龍先輩と出撃するのを心待ちにしていたのに、いざという時にお預け食らったのが頭にきたって気持ちはわかるから、一撃受けて謝罪しようって気持ちもあるんだけど、ベテランの艦娘が殺気や敵意はないにしても鋭い斬撃を繰り出してくると、体が勝手に避けてしまう。絶対痛い。生体フィールド纏ってても、たぶん火花とか散る。う、受けたくない……!

 しかし逃げ回っていても、彼女の怒りは静まりそうもない。落ち着かせようかと考えたけど、見た目の上では彼女はすっごく落ち着いてるんだよな。

 助けを求めて走り回ってるけど、龍田先輩を見たみんなの反応は逃げの一手だった。今すっごく金剛先輩に会いたいな! あの人なら笑顔で仲裁してくれそうな気がする! 逃げないよね。あの人が逃げる姿が思い浮かばない。

 しかし残念、彼女は姉妹達と出撃中である。赤城さんも一緒で、吹雪がきらきらしながら話してくれたから、よく覚えている。

 出撃前の赤城さんと会って話した事を言ったら、いいないいなと羨ましがられた。……食堂で会ったんだけどね。カウンターにご飯受け取りに行った時に、同じタイミングで赤城さんと加賀さんが来て、俺のおぼんを見て「あら、パスタですか」って言ったの。そうです、と返事をして、それでおしまい。……これ話したって言えるのかな?

 加賀さんとはちゃんと会話したな。じーっと俺を見る赤城さんの袖を引いて、シマカゼ改二について少し。

 鳳翔さんも俺の改二に興味を持った様子だったのは驚いたな。完全に戦いから退いているイメージだったから、戦う事に関しての言葉が彼女から出てくるのが、すっごく不思議だった。どんなになっても艦娘って事か。

 戦うために生まれた……は、レ級の言葉かな。あんなのを信じてる訳ではないけど、でも、間違ってるとも思えなかった。温厚で優しい鳳翔さんも、いつかは戦ってたのかと思うと、奴の言葉も正しいんじゃないか、って。

 まあ、あっていたとして、だからなんだって話だけど。

 最後まで戦い抜いて、さっさと人類に平和をもたらせば、艦娘の役目も終わりだ。そうなった後の事は……後で考えれば良いか。

 

 ――思考が、昨日に飛んでいた。

 取り敢えず間に入ってくれる人=提督の下へ、を念頭に本棟内部に潜入したまでは良かったけど、逃げ場のない廊下だと追ってくる龍田先輩の気配が嫌でもわかって、半泣きになりそうだった。廊下を歩いてきた大井に助けを求めようと思ったけど、露骨に目を逸らされたので諦めた。……龍田先輩、怖いからね。関わり合いになりたくないのも仕方ないね。俺もできればこんな風にはなりなくなかったな!

 執務室に辿り着き、ノックもそこそこに入室すると、大淀に出迎えられた。……彼女しかいないって事は、提督も電もいないって事だ。……最近外出しすぎじゃない? 提督がそれで良いのかなあ。

 なんて考えてるうちに龍田先輩に追いつかれてしまった。こうなったらもう、大淀に助けを求めるしかない! 間に入って謝罪の場を設けてくださいませんか!

 

「艦娘間のいざこざですね。お任せ下さい!」

 

 意外にも快く引き受けてくれた彼女は、眼鏡のつるを押し上げてから、笑みを浮かべて龍田の前に立った。

 しかし二言三言交わすうちに汗を流し始めて、龍田先輩がうっすら目を開けると、横に退いた。彼女の後ろに隠れるようにして立っていた俺の前へ、龍田先輩が歩み出る。

 万事休すか。い、いや、謝ればいいだけ、謝ればいいだけ……誠心誠意ね。

 必死に笑みを浮かべて最初に言うべき言葉を探していると、龍田先輩は腰を追って俺に顔を近付けた。

 妖しい輝きが瞳に灯っている。

 それを見て、悟った。話し合いは無理だ。だって目、病んでるもん。

 その時は本気でそう思って、だから本気で逃げた。跳んで彼女の頭上を一回転して飛越し、着地と同時に出入り口まで一っ跳びに飛んで、押し開けて飛び出し、窓を開けて飛び降りた。

 あとあとよーく考えてみれば、龍田先輩の目の色って普段から薄暗い紫色だから、病んでるなんて表現は間違ってるし、そもそも彼女は結果的に手を出してこなかった。薙刀は投げてきたけど、あれは足止め目的だったんだろう。

 そんな訳で、俺がとるべき行動は最初から最後まで『立ち止まって向き合って謝る』だったのに、逃げ続けてしまった。

 結果として、俺は彼女を倒す事になった。

 朝潮と満潮と荒潮に出会った。彼女の方から話しかけてきたから、立ち止まらずにはいられなかった。

 また一緒に外へ行きましょうね、今度は二人で、なんてデートのお誘い、この状況じゃなかったら120%で喜んでたんだけど、龍田先輩が幽鬼のように追ってきたから、応戦せざるを得なくなった。その選択は間違いだったんだけど。

 恐怖に駆られた人間の思考は、時に常人の理解を越える事がある。

 牽制にブーツを脱いで投げつければ、俊敏な動きと反射の下に薙刀で弾かれた。その隙に近付いて横蹴り。体育館内まで吹き飛び、ぴかぴかの床に転がる彼女の下へ、追って飛び込んだ。

 立ち上がる彼女へ向けて構え、顔の前で腕を交差させ、勢い良く右足を持ち上げて伸ばす。

 ――たぶん、その時は落ち着かせるために攻撃する事を選択したのだろうけど、なぜキックを選んだのかは自分でもよくわからなかった。

 右足を上へ伸ばしたまま左足を屈伸させ、バネのように跳び上がる。そのまま両足とも天井へと向ける。相手に背中が見える形。

 天井付近に張り巡らされた鉄の棒を足場に、龍田先輩へと飛び込んでいく。跳び蹴りの体制に移行し、急降下キックを胸に叩き込む。

 キュキュキュ! ゴムが床と擦れ合う耳障りな音が響く。蹴りの勢いに押される龍田先輩を蹴りつけて離れ、着地すると、彼女は余裕そうに自分の胸に手を当てて微笑んだ。

 それでようやく冷静になれた。

 謝るべきところをなぜ攻撃してしまったのか、激しく後悔しながらも、同時に驚愕していた。

 だって、蹴りつけたのに平然としているんだもの。ちょっとショックだった。

 なんて思っていたら、彼女はばったりと倒れてしまった。やせ我慢だったのかどうかはわからないが、体育館内にいた吹雪や那珂ちゃん先輩が駆け寄って助け起こすと、青ざめた顔をしていた。

 貧血だった。

 

 入渠施設に運び込まれた彼女についていくと、ちょうどお風呂から上がった天龍先輩に怒られた。龍田先輩も怒られていた。遊ぶな、ってどういう意味かはわからなかったけど、俺は攻撃してしまった事を反省していたので、余計な事は考えないようにした。

 龍田先輩の調子が良くなってから二人に謝罪をしたのだけど、思っていた通り天龍先輩は笑って許してくれた。というか、大したもんでもないし、お前のせいでもない、って。龍田先輩が俺を追いかけ回したのは、相当ストレスが溜まっていたからだろうって。ずーっと出撃できないでいたから、不満が爆発した形になるのかな。

 俺を追い回して大分満足したらしく、貧血で倒れるまえより肌をつやつやさせて微笑む龍田先輩に、蹴ったのはこれでちゃらにする、と許された。

 ああ、追いかけっこは無駄じゃなかったんだね……よかった。

 

 よくわからない事でどっと疲れた俺は、二人と別れると、とりあえずシャワー室に行ってパンツを履きかえる事にした。

 理由は墓まで持っていく。

 誰にも内緒だ。

 

 そんな決意は無駄だといわんばかりに、夕立に速攻ばれたけど、あの子は一体どこから情報を仕入れているのだろうか……。恥ずかしいから聞けなかった。

 くそー……あとで仕返ししてやる。

 とりあえず今は、口封じのためにお菓子を献上しておこうっと。




TIPS

・妖精さん
張り切ってる。

・龍田
怒ってた。でも怖がるシマカゼを見て溜飲を下げた。
が、面白かったので追い続けた。

・連装砲ちゃん
出番ない。

・島風
だいたい寝てる。

・ニュームーンブレイク
特殊な急降下キック。
上空で回転しなければならないため、
空に足場がないと使えない。
改二状態で発動すれば『ダークネスムーンブレイク』になる。

・電
返事を保留しているため、指輪の位置を変更している。
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