憑依如月と不吉な駆逐隊   作:8号機

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初期にかかるブーストで今日も投稿します。


第八八四二駆逐隊2

明石に手を引かれて朝の鎮守府を提督室へ向かう。何で手繋いでるかって?変なところ行かないようにらしい。信用されてないね。

あっちを歩いてるのは鈴谷、こっちは比叡、磯風までいるようだ。

 

「けっこう沢山の艦娘がいらっしゃるのね」

 

「はい、最近大規模な作戦が増えて多方面に艦隊を派遣することが多くなったんです。如月さんが着任してくれたら楽になりますね」

 

多方面に艦隊を派遣ってもしかして札の話か……。それならこの賑やかさも妥当か。

 

 

 

 

赤レンガの本館、その三階の中心部。一際大きな両開きの扉が提督室の入り口だった。

 

「ここが提督室です」

 

提督か……。セクハラされたらどうしよう。中身男なんだけど。

 

「工作艦明石です。例の駆逐艦を連れてきました」

 

俺の心配をよそに明石はさっさと扉を開けてしまった。まあ、普通はそうなるよな。

 

「ご苦労だった明石。彼女が例の駆逐艦か?」

 

扉を開けて最初に目にしたのは黒い髪の背の高い女性。

 

「あちらに座っているのが我らが提督の仲春少将だ。私は秘書艦兼第一艦隊旗艦、戦艦長門だ」

 

部屋の奥の執務机には顔の前で手を組み、気だるげな表情で此方を見る男性。彼が提督か……。

それで、俺は何をすればいいのだろうか。提督も長門も俺を見たままで話が始まらない。

 

「如月さん、自己紹介ですよ。自己紹介」

 

え?あぁそうか。二人とも俺の自己紹介を待っていたのか。えっーと、如月の自己紹介、ドロップセリフは確か……

 

「如月と申します。おそばに置いてくださいね」

 

何故かこのセリフはすんなり口から出てきた。

と言うかこれ言うのかなり恥ずかしいんだけど。提督の反応は?

 

「んー」

 

当の提督はやる気の無い返事を返すだけ。余計恥ずかしい。そして長門の方は……

 

「ズキュウゥゥゥン!!」

 

謎の効果音を上げて仰け反っていた。

 

 

 

 

「コホン、まあともかく如月。お前に聞きたい事がある」

 

さっきの長門を見たあとだと非常に不安なのだが。いったい何を聞く気だ。

 

「思い出したく無いかもしれないが……この鎮守府に流れ着くまでにお前の身に何があったか話してくれないか?」

 

「えっ?」

 

流れ着いたって何さこの如月はここで建造された訳では無いのか?

 

「あのー、ここの工廠で目を覚ましたのが最初の記憶なんですけど……」

 

「つまり記憶喪失ということか……厄介だな」

 

えぇー……。俺は何かまずいことでもあったのだろうか。以外と曰く付きな体のようだ。

 

「厄介って、どういうことでしょう?」

 

「いや、すまない。ここ最近の駆逐艦如月の喪失例はいくつかあってな。元の所属がわかれば戻してやれるのだが……」

 

記憶が無い異常所属が分からないということか……。

 

「この鎮守府の所属では無いから何時までも置いとく訳にはいかな……い……。いや待て……」

 

長門がいきなり黙りこんだ。瞑目し、腕を組んで考え事をしているようだが……。

 

「提督、意見具申する」

 

再び開かれた長門の目はシリアスになりかけた空気を破壊するように輝いていた。

 

「やだ」

 

しかし提督は顔色ひとつ変えずに却下する。

 

「なぜだ!」

 

長門が提督の執務机を叩く。振動と風圧で書類が数枚ヒラヒラと落ちていった。

 

「なんか面倒なことを言いそうだし」

 

宙を舞う書類を目で追いながら提督か答える。

 

「そんなことは無いぞ。ちょっと書類を弄って如月をドロップ扱いに変更。元の鎮守府が分かり次第こっそり転属の形で送ればいい」

 

「書類書くのめんどくさ……」

 

「それくらい私が書こう」

 

親身になってくれるのはありがたいがなんでそんなに必死なんだよ。

 

「口裏合わせるのもめんどくさい」

 

「ぐぬぬ……。ならば提督の分の書類のいくつかを受け持とう」

 

本人である俺を抜いて議論が白熱していく。まあ、正確には白熱しているのは長門だけのようだが。

 

「わかったわかった。いまお前は俺の書類の1/3を処理している」

 

「そうだ」

 

「お前がさらに今の俺の担当書類の1/3を処理してくれるのなら許可しよう」

 

「本当か!さすが提督。心が広いな」

 

おい長門。その計算だとお前の担当書類は全体の5/9で半分より多いぞ。

でも路頭に迷うのも嫌だから黙っておこう。

 

「おい、如月」

 

「は、はい」

 

「駆逐艦如月を本日付で第八八四二駆逐隊所属とする。以上」

 

「了解しました」

 

提督の指令を聞いた瞬間、口が勝手に動き、なぜだか気分が高揚する。

それはともかく……

 

「八八四二?」

 

「ああ、変わった名前だが我慢してくれ。ルーレットで名前を決めただけだ。中身は新設されたばかりということを除けば普通の駆逐隊だよ」

 

俺の疑問に長門が答える。ルーレットで名前を決めるって……どういう神経してるんだよ。

 

「あのー、名前の変更は……」

 

「ああ、普通は変えられないが戦果を挙げれば提督が許可をくださる」

 

つまり、変な名前が嫌なら頑張れと言うことか……

 

「では、駆逐隊には連絡しておいた。地図のこの部屋に行け。伝達は以上だ。質問が無いなら下がってもいい」

 

あ、はい。文句は有るが質問は無い。

 

「失礼しました」

 

俺はなんとも微妙な気分のまま提督室を後にし、駆逐隊の待つ部屋に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 




え?もう一個のほうですか?書いてますよ。話が難しいのでペースが上がらないだけです。これと交互に書いてるので大丈夫ですよ。
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