なので連投。
「まさか……この深雪さまがじゃんけんで負けるなんて……」
壮絶なじゃんけん頂上決戦の末、膝をついたのは深雪のほうであった。え?俺?最初に一人負けしたよ。よって対戦相手の選択は不可能だ。
「じゃんけんのwinnerは……ドコドコドコドコジャーン!霰デース!」
金剛はドラムとシンバルの音を自分で発音しレフェリーの様に霰の腕を掴むと高く掲げた。霰は身長が足りないためつま先立ちになっているが。
「さあ、対戦相手を選んでくだサーイ!」
「……じゃあ、暁」
霰は少し考えたあと暁を指名した。
「よっしゃーっ!金剛さん、対戦相手は吹雪だ!」
がっくりと項垂れていた深雪だが、霰が暁を指名した途端に復活する。よほど吹雪と戦いたかったらしい。
「姉妹対決デスネ。わかりマシター!次は子日の番デスヨー」
「うーん、叢雲さん、綾波さん、夕立さん……。決めた!子日は綾波さんにするよ!」
当たり前だがヤバイやつばかり残っていく。叢雲と夕立とはどちらと当たってもきっと録なことにはならないだろう。
「た……高波は、叢雲さんでお願いするかも……です」
そして高波は叢雲を選んだようだ。つまり、俺の対戦相手は……
「如月の対戦相手はぽいぽいちゃんデース!」
やっぱり……最強の相手に当たってしまったようだ。俺ががっくりと肩を落としていると金剛が近づいてきた。
「心配nothingデース!如月ならきっと勝てマース!」
全開の金剛スマイルで頭を撫でてきた。気持ちは嬉しいが髪が乱れてしまう。
「金剛さん、髪が乱れるわ。……どうしてそう思うんですか?」
体が勝手に動いて金剛の手を押しのける。そして、その根拠の無い意見について聞いた。
「なんとなくデース!」
金剛は先程と変わらない笑顔で答えた。だが、その邪気の無い笑顔で言われるとまるで本当に勝てるような気がしてきた。
「元気がでたみたいデスネー?それじゃあ如月も武装を選んでくだサーイ。皆さんはもう始めてますヨ」
どうかしていた。相手が誰だろうと弱気になっている場合ではなかった。どうやら金剛は本気で俺が勝つと思っているようだ。彼女に元気付けてもらった以上、俺も勝てるように頑張らなければいけない。
*
「そうはいっても……睦月型じゃあこの程度が限界ね……」
12cm単装砲四基、61cm三連装魚雷発射管二基。史実どうりに装備するならこうだ。だが夕立を相手にするには力不足だ。単装砲を左腕にマウントする。ひょいと腕を動かすとどういう理屈かほかの三基はフッと消えてしまった。どうも必要な時にまた出てくるらしい。
「他に何か無いかしら……」
魚雷を足にくくりつけ、立ち上がる。回りを見渡すがそうそう使えそうな物がない。連装砲や四連装の発射管は着けたときの違和感がひどくて戦闘に集中出来なさそうなのだ。
「あら?金剛さん?あの山は何かしら?」
捨てられたように山積みになっている艤装たち。俺は何故かその山が目に留まった。
「あれは開発の失敗で出た旧兵器デース。なにか面白い物でも有ったんデスカー?」
俺は艤装の山に近づく。そしてその表面に捨てられていたある兵器から目を離せなくなった。
「金剛さん。これ、使ってもいいかしら?」
金剛は俺が手にした物を見ると笑顔で答えた。
「ナルホドー。面白そうデスネ」
駆逐隊夕立。普通に戦っても勝てなさそうな相手。だが、相手の意表を突けば可能性が有るかもしれない。
*
「今日も良い天気ネー!絶好の演習日和デース。皆さん、準備は良いデスカ?」
「いえーい!」
深雪、子日はノリノリである。
「それじゃあ、出撃デ……霰?どうしたんデスカ?」
「……金剛さん、審判……大丈夫?」
霰が金剛の服の裾を引っ張って言った。どういうことだろうか。俺達ではなく金剛に問題があると言うのだろうか?
「どういうことデスカー?」
「……金剛さんの水偵……三機。戦場……五つ」
言われて気づく。金剛型が搭載できる偵察機の数は三機。しかし今回の演習は五ヵ所で行われている。つまり審判の目が足りない。
金剛はみるみる顔を青くしていく。そして……
「Noーーー!すっかり忘れてマシタ!ど……どうしまショウ!」
耳がキーンなるような大音量で叫んだ。
「こ……金剛さん。高波、誰か空母のかたを呼んできます」
いち早く状況を理解した高波が走り出す。しかしどこからか聞こえた声がその足を止めさせた。
「その必要は無いわ!とぅ!」
何者かが建物を飛び越え、一回転しながら金剛の目の前に着地する。金剛と同じデザインの服にチェックのスカート。そしてショートヘアー。たしか彼女は……
「比叡!どうしてここに?」
「金剛お姉様のピンチを知って駆けつけて来ました。さあ、私が水偵を三機飛ばします」
何故演習の内容を知っているのだ?非常に怪しいがこのままでは演習が成立しないのも事実である。
「比叡、気持ちは嬉しいけどjudgmentは私デース。ここは姉の顔をたてて私に三機の水偵を任せてくだサーイ。妹に苦労はさせられまセーン」
「さすが金剛お姉様!なんてお優しい……」
そして抱き合う二人。全てを置き去りにして会話が進んでいくがどうやら問題は解決したらしい。
「皆さん、さっきはsorryデース。そして霰、比叡、thank youデース。あなたたちが居なかったたら大変なことになってマシタ。さあ、気を取り直して、抜錨デース!」
金剛の合図で海に着水する。始めて海に出るが、演習への期待と興奮がそれを全て塗りつぶしていた。
*
「遅いっぽい。待ちくたびれたわ」
金剛に指定されたポイント。そこで待っていたのは色素にある癖のある髪に真っ赤な瞳、そして駆逐艦にしては発育のいい身体をした少女だった。予定通りだ。
「もう我慢できないっぽい。あなたとなら楽しめそうね」
夕立が連装砲を構え、腰の副砲がこちらを向く。
対する俺も単装砲を夕立に向ける。夕立は、そして俺も、いや『如月』ももう抑えはきかない。
「さあ、素敵なパーティーしましょう」
防空棲姫やダイソンよりも道中のヲ級改が怖いですよ。
難易度丁の導入を提案します。
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