Mechanized Mercenary 作:Unknown AK
という、なんとも執筆意欲の足りない執筆者です。
自分にとって小説は主に想像の補完です。
というか、かっこいいシーンのイメージありきで、それを書きたくて筆を執っているので、そのシーンにたどり着くまで and そのシーンを過ぎたあとは意欲がガタ落ちします。
てわけで、何とか連載?できるよう頑張るつもりですので。
「ハル、私たちはずっと一緒よ。」
うん。
そうだ。
俺とテトラはずっと一緒だ。
「ふふふ。テトラ。私はテトラ。」
どうしたの?
「いいえ。でも、名前を呼ばれるなんて、新鮮なことでしたから。」
彼女の、どこか人間離れした横顔を眺めながら、俺は心に誓った。
この人とずっと一緒にいよう。
この人だけを見続けていよう。
「もう一度、呼んでくださらない?」
テトラ。
この人の隣で、名前を呼び続けよう。
そう、誓った。
――――― Mechanized Macenary ――――――
「
了解。と返答する代わりに、俺は頷いて返した。
視界に映る大型の
4脚
通称”ワークスパイダー”
野生型を表す赤いカーソルと共に視界にAR表示される情報に重なって、狙撃の着弾予測を表す蒼い光点が表示される。
直後、ギュン、と大気を切り裂いて、上空を何かが通過した。
数瞬開けて、ワークスパイダーの上部に搭載されていたセンサーボックスの接続部が、スパークを散らし、ボックスの回転が停止。
「目標クリア。狙撃終了。あとは任せたぜ、ハル坊。」
「さすがに余裕だっての。」
自身の役割を終えて口調を崩した2番機に、こちらも崩した口調で返す。
さすがにもう、”坊”はやめてほしいところだ。と眉を顰めながら、俺は脚、そしてバックパックに背負った光子推進ブースターに点火した。
高周波が響き渡ると同時、体が前方へと高速で押し出される。
300メートルほど離れたワークスパイダーの元へと疾駆しつつ、俺は高周波ブレードを両手で振りかぶり、すれ違いざまに一閃した。
ドサッ、と
「はぁっ!」
短い気合いと共に片足のスパイクを展開し、それを軸に鋭角ターン。
その回転力のままにブレードを振りぬくと、胴体部を水平に両断されたワークスパイダーは爆発を起こし、微塵に爆散した。
「目標クリア。ターゲットの排除を確認。帰還しよう。」
「おう!楽勝だったな。」
「でもあんた、作戦中はちゃんとコードネーム使いなさいよね。」
返してくる2番機、02ことアルトに、不意に苦言が呈された。
「いや、今回の相手は野生型だけだったし、良いだろ別に。生き残れば。」
「よくないわよ。日ごろから癖つけときなさいって言ってるでしょ?」
言葉と共に、上空から大型のセンサーアレイを装備したAASが降下してくる。
03こと、ピアノ。
「相変わらず細かいねぇピアノは。上から観てるだけのくせによ。」
「なによ。私のデータがなければあんたの狙撃なんて一発も当たらないわよ。」
「んなわけあるか!」
「ほら、いつまでやってんだよ。帰ろうぜ。」
いつものごとく口喧嘩する二人に声をかけて、俺は最寄りのコロニーへ進路を取った。
「げぇ、今日くらいは合成タンパクじゃなくて天然ものをだなー。」
「確かに、もう半年くらい食べてないし…」
オーストラリア大陸北部の小さなコロニー”サンドボックス”の薄暗いバーで、アルトと俺は悲鳴を上げていた。
目の前には、茶色い、もっと言ってしまうとある種の有機廃棄物を想起させるドロドロの半液体が入ったコップが3つ。
ちなみに、味はしない。
とても良いといえない食感に、無味無臭とくれば、食欲をそそる要素は皆無である。
有体に言って、おいしくない。
満19歳。まだまだ若い盛りである俺としては、ぜひとも敬遠したい。
のだが。俺とアルトの悲痛な叫びを聞いてなお、
「何言ってんの、さっさと食べる食べる。」
と、ピアノは取り付く島もなかった。
汎用暦、203年。
西暦が2130年で廃止されてから200年ほどたった現在、天然と名の付くものは例外なく貴重である。とはいえその原因は、まったく人類の自業自得というもので、過去のご先祖様たちを恨むことはあれ、自分たちを憐れむことはとてもできないのも確かではあるのだが…。
西暦2121年。人類は、いわゆる地球環境問題から全面的に解き放たれた。
Planet Environment Control System
すなわちPECシステムが稼働し、地球を覆う軌道リングからの観測、ナノマシンによる環境補正によって、温暖化やオゾン層の破壊などの問題は軒並み解決したからだ。
しかし、それはある種、枷が失われたということでもあった。
環境に悪影響を与えようとも、科学技術さえあれば問題ない。
そういう思想の元、加速し続けた技術発展は規制や自制を置き去りにした。
国家、国連など、既存の制度、政治は力を失い、世界は最先端の科学技術を保持する集団、すなわち企業によって主導されるようになっていく。
そんな状況下、「事件」は起こった。
世界規模の、無人機の暴走。
作業用の大型無人機から、各国軍隊の無人戦闘機まで、大量の無人機械が暴走状態に陥り、あげく修復プラントや補修ロボットの力で自己維持を行い始めるに至って、既存の社会構造は音を立てて崩壊した。
国家は消滅。企業が実権を握り、各地の町をシェルター化してコロニーと呼称。
それらを束ねて自グループの支配圏を構築する。
野生化した無人機”
それが今の世界だ。
そんな世界において、人々はコロニーに閉じこもり、企業の支配のもと、限定された平和と自由の中で生きている。
例外は、反体制派のテロリストか、あるいは機械化傭兵《MM》と呼ばれる傭兵。
そのうちの後者が、俺たちだ。
Mechanized Macenary。機械化傭兵。
俺たちはそう呼ばれる存在だ。
機械化《Mechanized》とは、読んで字の如し。
体の大部分を機械に置き換えていることからそう呼ばれる。
進歩した科学技術によって、人体の大部分を機械に置き換えることは可能になった。
しかし、機械化は広く受け入れられてはいない。
倫理的な、あるいはイメージの問題で、現状機械化人は、企業の秘匿部隊か、機械化傭兵に限られている。
機械化傭兵は、機械化の恩恵として、常人を超える耐久力や瞬発力、そして拡張性を有し、反応速度や思考クロックまでをもカスタムできる。しかし、その反面、生殖機能は失われ、定期的なメンテナンスを必要とする身体になってしまう。
人間をやめた傭兵。
その一方、圧倒的な力と管理されない自由を持つ。
蔑視され、畏怖され、羨望される、俺たちはそういう存在なのだった。
この小説は、300年ほど先、科学技術で環境問題を克服した人類が暴走し、無人機の反乱にあった世界、ということになります。
人体のほとんどを機械に置き換えた機械化傭兵。
彼らが駆る”EEA”と呼ばれる人型兵器。
多くの発想は、フロムソフトウェアのゲーム「アーマード・コア」を元にしたものです。
ならなんでAC小説を書かなかったのか、というと…
それは次回。ということで(笑)
乱文読破(←技名みたいじゃね)ありがとうございました。