Mechanized Mercenary 作:Unknown AK
にしてもルビの表示とか、文字サイズとか、微妙に仕様の端っこが気になる執筆者です。
厨二でありながら最低限の硬派感?を残しておいたはずのネーミングが、ダサく見えてヤバい…
ともあれ、ようやっとグランドストーリーの入口?に入っていく今回。
どうか最後まで読んでいただけますよう。
翌朝。
脳内に鳴り響く起床アラームに叩き起こされた俺は、視界に浮かぶARウィンドウを操作してアラームを切ると、頭を振った。
強制起床、と謳われるだけあって、寝坊することは決してない脳内アラームは、しかし起床後10秒ほど脳内に小さな痛みを引き起こす。
「うあ、いてえ…」
機械化傭兵特有の二日酔い。
そうアルトが表現していたのを思い出した。
物理的な目覚まし時計が要らないのは利点だが、起床時のむしゃくしゃを込めて壁に投げつけるための手ごろな物体がない、そして毎朝の鈍痛という欠点を考えると、割に合わない気がしないでもない。
安宿らしい狭い1人部屋を見渡し、粗末な強化プラスチック製のクローゼットを開けると、俺はアンダーウェアの上からコンバットスーツを兼ねた多目的ウェアを着用した。数週間にわたって洗浄していない代物だが、機械化傭兵は良くも悪くも汗や垢といった代謝とは無縁だ。問題ない。
「さてと、アルトとピアノは…っと。」
二人を探そうと、俺は部屋のドアへと向かう。
ちなみにアルトとピアノは二人部屋。
なぜなら二人は恋人同士だから。なのだが、それについてはあえて深く考えないようにしていた。考えると、非常に切ない気持ちになるのだ。二人に限った話ではなく、街中や、あるいは仕事の際に、夫婦や恋人を見るたびに、何か大切なものを失ったような、胸をかきむしりたいような心の痛みに襲われる。アルトには「恋愛アレルギー」などと茶化されるそれだが、なんであれ心に穴の開いたようなあの喪失感はあまり味わいたくない。
そんなことを浅く(深く考えないようにしながら)思いながら、ドアに手をかけたとき、不意にそのドアが開いた。
ドアは内開きだ。
当然、俺は顔面を強打する。
「ぐあっ」
呻きながら倒れた俺が視線を上げると、そこにいたのはまさしくアルトとピアノだった。
「ああ、ごめん。」
「なんだよ!」
小型拳銃の弾丸程度なら問題なく受け止めるはずの機械化傭兵の顔面に、安宿のドアでクリティカルヒットしやがって。
という俺の抗議は、しかしスルーされる。
「それよりコレ、コレ見てよ。」
ひらひらと、ピアノが空中に指を躍らせると、俺の視界にARウィンドウが広がった。 ミッションの依頼書形式のメール。
ちらっとそれを確認して、俺はARウィンドウを右手で払い、起き上がりながら言う。
「それがどうした。単なるミッション依頼だろ?」
それよりコレ、痛いんですけど。
と赤くなっている右頬を指すと、ニヤニヤ笑ってピアノの後ろに立っていたアルトが言った。
「まあまあ、見てみろって。」
「んだよ。ったく。」
悪態をつきながら、さっき脇によけたARウィンドウを視界中央に戻して、見た。
ミッション依頼
*
依頼元:Mechanized Military Mercenaries
*
形式:捜査(場合によっては強襲)
*
作戦領域:オーストラリア大陸・アフリカ戦域・ユーラシア大陸・アメリカ大陸
*
各地で正体不明のEEAが目撃されている。
未確認ながら、最近出没している”統率型”の野生型《ワイルドタイプ》との関連性も疑われる。
この不明機に関する情報収集を依頼する。
**
そこに書いてあったのは、思いのほか簡素な依頼文と…
「作戦エリア、これ要は世界中まわれってことじゃねえか…」
なるほど。
傭兵職の合間を縫って任務地での観光にも余念がないピアノさんにとってはテンション上がる依頼なのだろう。
だが
「ちがうわよ!」
ピアノはじれったそうな声でそう言ったかと思うと、ぐっ、とウィンドウの一部分を指さした。
「依頼元?MMMってそりゃ俺たちの所属する――って、マジ!?」
アルトのアーカイブしている前世期のコメディコンテンツなら、なんですと!とでも叫ぶシーンなのだろうが、俺の口からは短い単語が漏れただけだった。
MMM。
俺たち機械化傭兵を、世界中束ねて一括に登録している組織だ。
機械化傭兵はほぼ全員がMMMに所属する。
だが、MMMは基本的には互助組織だ。
傭兵のランク付け、それに基づいた適正依頼の斡旋、各地の整備ハンガーの貸し出しなど、その活動はあくまで傭兵の補助であり、傭兵個人のトラブルにもノータッチ。
そして、そんなMMMの例外が、
目の前の依頼文の、依頼元欄にはまぎれもなく「MMM」の名称が輝いている。
「マジ?」
もう一度訪ねた俺に、
「マジよ!」
目をキラキラさせたピアノが全力の返事。
それでも信じられず、依頼ウィンドウを凝視する俺に、ピアノは語る。
「ああ、とうとう認められたのね。私たち。長かったわ。だってもう傭兵になって1年だものね。ああ長かった。」
俺は感激のあまり涙を流し始めたピアノを押しのけて、アルトに聞く。
「どういうことなんだ?これ。」
「さあな。まあ、依頼には違いないんだし、気楽にいこうや。」
こいつも駄目だった。
だが、おかしいのである。
俺たち、
メンバーは、ハル、ピアノ、アルトの3名。
個人での傭兵ランクはA。傭兵暦3年。年齢、19歳。
個人での傭兵ランクはA。実質的な実力はS級ながら、気に入らない依頼を蹴ったり適正価格を無視して格安で弱小コロニーの依頼を受けたり、といった非推奨行動によってAに格付けされている。ちなみに彼は、記憶をなくしてさまよっていた俺を拾い上げてくれた兄貴分でもある。 年齢は27。
こちらはBランクだが、傭兵になったのがわずか1年前であることを考えれば驚異的な実力といえる。年齢は不詳。推定19歳。
つまり、実力、経歴、年齢その他あらゆる面で、チーム”レイヴン”に依頼が来る道理はないのである。
「詳細は追って指示する。まずはコロニーシドニーへと向かえ。だって、ほら二人とも、行くわよ!」
うーん、と首をひねる俺の背中をバシッと叩いて、ピアノは右手を突き上げた。
「えい、えい、おー!」
「ま、やるか」
なんでそんなにテンション高いんだよ。
情緒不安定な
MM03 直接依頼
やっぱりミッションが始まらないまま終わる今回です。
主人公の彼らは、機械化傭兵3人で小隊=チームを組んでいます。
チーム単位で依頼を受け、こなしていくわけです。
主人公のハルは前衛担当の若手。
読めない相棒?のアルトは最年長のベテランで、後衛担当、(実は)頼れる兄貴分。
紅一点のピアノは情報収集や戦場でのオペレート・支援担当。
ピアノ推定19歳 アルト27歳 恋仲。
アルトはロリコンじゃない。よね?
一応機械化傭兵は生殖機能を失っているので、プラトニックな関係のはず…
ま、その辺は読者の想像力に任せます。
次で書き溜め投稿は終わりですが、相変わらずミッションには…