進撃の巨人〜新星〜   作:鉄少女(男)

2 / 17
どうも、今回は特に理由もない話ですが、
主人公とサシャの繋がりを作りました。



入団

ウオォォォォ!

 

ウォール・マリアの壁を破った巨人が雄叫びを上げる。

 

母さんは、喰われていた。

俺たちが家に着いた時には、もう、指一本しか残っていなかった。

偶然通りかかったハンネスさんが助けてくれたが、そんなことはどうでもいいほど、憎しみが膨れ上がっていた。

 

「……駆逐してやる……!この世から、一匹残らず……!」

 

「エレン……、っ!?」

 

「ぐっ!?今度はなんだ!?」

 

再度轟音が鳴り響いたと思うと、鎧の巨人は宙を舞っていた。

その前には、超大型巨人よりも多い蒸気、煙に包まれた巨人が。

建物を派手に潰して落ちた鎧の巨人は、起き上がるとすぐに走り、タックルを繰り出した。

煙の巨人はその軌道から少し左に避け、右膝を鎧の顔に打ち付けた。

結果、鎧の顎から上が吹き飛び、仰向けに倒れる。

煙はその横にしゃがみ、その肉を食いだした。

 

「なんだありゃ……、共食い……!?」

 

砲弾をも跳ね返す鎧の隙間を縫って、煙はただ淡々と食べ進む。

そしてまるで喰い飽きたかのように突然立ち上がり、俺たちがいる船乗り場に歩いて来た。

途端に辺りは超高温の煙に包まれ、人々は叫び、我先にと船に乗り込もうとした。

 

しかし、煙の巨人はそんな人達を喰うことはせず、ただ佇んでいる。

そんな巨人の、煙の中にある目が、俺には見えた気がした。

 

「エレン!早く!」

 

「……!」

 

ミカサの声に一瞬振り向いて、巨人の方を見る。

すると巨人は煙だけを残して、忽然と姿を消していた。

 

 

〜847年〜

 

 

「お前は何者だ!!」

 

「ハッ!シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!」

 

「バカみてぇな名前だな親に––––––

 

そんなやりとりが教官と十数人の訓練兵の間で繰り広げられる。

すると教官は、俺の前で立ち止まった。

 

「お前は何者だ!!何故ここに来た!!」

 

「シガンシナ区出身、ノウヴァ・ツェンドレス。巨人をぶっ殺すために来ました」

 

俺はそう敬礼をせずに答えた。

 

「……貴様、何故教官に向かって敬礼をしていない……?」

 

「……あなたには心臓を捧げてはならない、と判断しました」

 

できるだけ皮肉っぽく言うと、教官は口角を僅かに釣り上げた。

 

「ふっ、そうか。なら好きにしろ。夕食の後、私の部屋に来い」

 

そう残して、教官は再度歩き始めた。

そこからは敬礼が逆だと頭を掴まれた奴がいたり。

 

「……ハフっ、ハフっ」

 

……芋を食べてる女が居たり。

大丈夫か……この世代?

 

「……貴様、何をしている……?」

 

当然のように教官はそいつに問いかける。

 

「……?……ハフっ」

 

しかしその女は誰のことだろう、という風に辺りを見回し、あろうことかもう一口芋を食べた。

 

「貴様だ貴様!!貴様は何者だ!?」

 

「……!ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身、サシャ・ブラウスです!」

 

口に含んだ芋を迅速に喉に流し込み、芋を持ったまま敬礼している。

なんだあいつ。

 

「貴様、何故芋を……?」

 

「……調理場に頃合いのものがあったので、つい」

 

待っていても暇なので、隠し持っていた蒸かした芋を食べる。

芋を食べながら芋を食べているやつを眺める、ふむ、何か考え深いものが……。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「おーおー、まだ走ってるなーあいつ」

 

飯の時間、一人だけ広場で延々と走っているサシャ。

まぁ、飯抜きの方が悲壮な顔をしていたが……。

 

「そう言えば、お前、教官に喧嘩売った奴だよな?」

 

と、横から聞いてきたのは敬礼が逆だったコニー。

 

「喧嘩売ったんじゃない。判断だよ」

 

めんどくさかったとも言っていい。

 

「しかもシガンシナだって!じゃあ、見たことあるのか?超大型巨人!」

 

「ん?あぁ、見たな。エレンとアルミンと、ミカサも居たから、あいつらに聞いた方がいい。俺は教官んとこに行かなきゃならん」

 

「え、あ、そうか。ならそうするか……おーい!」

 

……あいつはバカだな。

確実に。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「……ノウヴァ・ツェンドレス訓練兵です。お邪魔します」

 

「来たか……、まぁ座れ」

 

「はい」

 

どことなくラスボス感を漂わせる教官の前に座り、出された茶を一口喉に通す。

 

「あの通過儀礼であのような反応を見せたのは、ツェンドレス訓練兵だけだった。実際、今の調査兵団では、何者にも怖気付かない精神力が必要となってくる」

 

「はぁ」

 

めんどくさかっただけなんて言えないが……。

 

「しかし、あそこまで大口を叩いて「卒業できませんでした」などということがないように」

 

「はい、では失礼しました」

 

俺、ほとんど喋ってないんですけど……。

何だろう、悲しい。

 

 

◇◇◇◇

 

 

食堂の前に立つと、何やら巨人やら声が聞こえてくる。

まだ話してるのか。

 

「じゃあ、鎧の巨人は!?」

 

結構人集りができている。

中心はエレンか。

 

「あぁ、鎧とか言われてるけど、俺には普通の巨人に見えたな」

 

「じゃあ、その鎧と戦ったっていう、煙の巨人は!?」

 

「……いや、あれは煙が多すぎてよく見えなかったな」

 

えぇー!!

 

いや、うるさい。

しょうがねぇだろそれは。

 

「じゃあじゃあ、普通の巨人は?」

 

「うっ……!?」

 

スプーンを取り落とすエレン。

そう言えば母さんが……。

 

「はいはい、お前ら解散。もうすぐ就寝時間だ。教官にどやされるぞ」

 

「あ、あぁそうだな。すまなかっ––––––

 

「違う。巨人なんて大したことねぇ。俺たちが立体機動装置を使いこなせれば……やっと兵士に。調査兵団に入って……」

 

「おいおい今調査兵団に入るって言ったか?」

 

……まためんどくさいことに……。

退散しようとも思ったが、こいつらの性格は多分真反対。

 

「お前は憲兵団に入って楽するんだっけ?」

 

「あぁ、実は心底怯えてる奴よりは、爽やかだろう?」

 

「……おい、そりゃ俺のことか?」

 

「お前の事だバカ」

 

そう言いながらエレンの後頭部に平手打ちする。

かなり痛かったらしく、床をゴロゴロと転がっている。

 

「ほら、もう行けお前ら」

 

そしてみんながゾロゾロと食堂から出て行く。

ミカサが通った時、ジャンがうっとりしていたが、エレンとの関係を伝えると、一気に真顔になった。

 

「……と、芋女はどうしたかなー」

 

まだ走っているであろう芋女。

流石にあれだと死ぬ可能性が出てくるため、教官の部屋から拝借してきた茶菓子を持って探しに行く。

 

「神ィィィィ!!」

 

「うおっ!?」

 

どこからともなく絶叫が聞こえてくる。

今のは芋女のか……?

 

「……おーいたいた」

 

「……お前は……教官に喧嘩売った訓練兵団きってのバカ……」

 

失礼だな。

こいつは、……誰だこの女。

 

「うるせぇな誰だよ……寝てんのかそいつ?」

 

「私はユミルだ。……寝てんな」

 

女が背負っている芋女を指差し、問いかける。

寝てる、ってよりかは気絶しているように見えるが……。

 

「そうか。なら起きたらこれ渡しといてくれ。そんじゃ」

 

そして茶菓子を押し付けて、俺は自分の部屋に帰った。

途中待てとも聞こえたが……いや、何も聞こえなかったな、うん。




どうでしたでしょうか?
感想待ってまーす(迫真)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。