主人公とサシャの繋がりを作りました。
ウオォォォォ!
ウォール・マリアの壁を破った巨人が雄叫びを上げる。
母さんは、喰われていた。
俺たちが家に着いた時には、もう、指一本しか残っていなかった。
偶然通りかかったハンネスさんが助けてくれたが、そんなことはどうでもいいほど、憎しみが膨れ上がっていた。
「……駆逐してやる……!この世から、一匹残らず……!」
「エレン……、っ!?」
「ぐっ!?今度はなんだ!?」
再度轟音が鳴り響いたと思うと、鎧の巨人は宙を舞っていた。
その前には、超大型巨人よりも多い蒸気、煙に包まれた巨人が。
建物を派手に潰して落ちた鎧の巨人は、起き上がるとすぐに走り、タックルを繰り出した。
煙の巨人はその軌道から少し左に避け、右膝を鎧の顔に打ち付けた。
結果、鎧の顎から上が吹き飛び、仰向けに倒れる。
煙はその横にしゃがみ、その肉を食いだした。
「なんだありゃ……、共食い……!?」
砲弾をも跳ね返す鎧の隙間を縫って、煙はただ淡々と食べ進む。
そしてまるで喰い飽きたかのように突然立ち上がり、俺たちがいる船乗り場に歩いて来た。
途端に辺りは超高温の煙に包まれ、人々は叫び、我先にと船に乗り込もうとした。
しかし、煙の巨人はそんな人達を喰うことはせず、ただ佇んでいる。
そんな巨人の、煙の中にある目が、俺には見えた気がした。
「エレン!早く!」
「……!」
ミカサの声に一瞬振り向いて、巨人の方を見る。
すると巨人は煙だけを残して、忽然と姿を消していた。
〜847年〜
「お前は何者だ!!」
「ハッ!シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!」
「バカみてぇな名前だな親に––––––
そんなやりとりが教官と十数人の訓練兵の間で繰り広げられる。
すると教官は、俺の前で立ち止まった。
「お前は何者だ!!何故ここに来た!!」
「シガンシナ区出身、ノウヴァ・ツェンドレス。巨人をぶっ殺すために来ました」
俺はそう敬礼をせずに答えた。
「……貴様、何故教官に向かって敬礼をしていない……?」
「……あなたには心臓を捧げてはならない、と判断しました」
できるだけ皮肉っぽく言うと、教官は口角を僅かに釣り上げた。
「ふっ、そうか。なら好きにしろ。夕食の後、私の部屋に来い」
そう残して、教官は再度歩き始めた。
そこからは敬礼が逆だと頭を掴まれた奴がいたり。
「……ハフっ、ハフっ」
……芋を食べてる女が居たり。
大丈夫か……この世代?
「……貴様、何をしている……?」
当然のように教官はそいつに問いかける。
「……?……ハフっ」
しかしその女は誰のことだろう、という風に辺りを見回し、あろうことかもう一口芋を食べた。
「貴様だ貴様!!貴様は何者だ!?」
「……!ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身、サシャ・ブラウスです!」
口に含んだ芋を迅速に喉に流し込み、芋を持ったまま敬礼している。
なんだあいつ。
「貴様、何故芋を……?」
「……調理場に頃合いのものがあったので、つい」
待っていても暇なので、隠し持っていた蒸かした芋を食べる。
芋を食べながら芋を食べているやつを眺める、ふむ、何か考え深いものが……。
◇◆◇◆
「おーおー、まだ走ってるなーあいつ」
飯の時間、一人だけ広場で延々と走っているサシャ。
まぁ、飯抜きの方が悲壮な顔をしていたが……。
「そう言えば、お前、教官に喧嘩売った奴だよな?」
と、横から聞いてきたのは敬礼が逆だったコニー。
「喧嘩売ったんじゃない。判断だよ」
めんどくさかったとも言っていい。
「しかもシガンシナだって!じゃあ、見たことあるのか?超大型巨人!」
「ん?あぁ、見たな。エレンとアルミンと、ミカサも居たから、あいつらに聞いた方がいい。俺は教官んとこに行かなきゃならん」
「え、あ、そうか。ならそうするか……おーい!」
……あいつはバカだな。
確実に。
◇◇◇◇
「……ノウヴァ・ツェンドレス訓練兵です。お邪魔します」
「来たか……、まぁ座れ」
「はい」
どことなくラスボス感を漂わせる教官の前に座り、出された茶を一口喉に通す。
「あの通過儀礼であのような反応を見せたのは、ツェンドレス訓練兵だけだった。実際、今の調査兵団では、何者にも怖気付かない精神力が必要となってくる」
「はぁ」
めんどくさかっただけなんて言えないが……。
「しかし、あそこまで大口を叩いて「卒業できませんでした」などということがないように」
「はい、では失礼しました」
俺、ほとんど喋ってないんですけど……。
何だろう、悲しい。
◇◇◇◇
食堂の前に立つと、何やら巨人やら声が聞こえてくる。
まだ話してるのか。
「じゃあ、鎧の巨人は!?」
結構人集りができている。
中心はエレンか。
「あぁ、鎧とか言われてるけど、俺には普通の巨人に見えたな」
「じゃあ、その鎧と戦ったっていう、煙の巨人は!?」
「……いや、あれは煙が多すぎてよく見えなかったな」
えぇー!!
いや、うるさい。
しょうがねぇだろそれは。
「じゃあじゃあ、普通の巨人は?」
「うっ……!?」
スプーンを取り落とすエレン。
そう言えば母さんが……。
「はいはい、お前ら解散。もうすぐ就寝時間だ。教官にどやされるぞ」
「あ、あぁそうだな。すまなかっ––––––
「違う。巨人なんて大したことねぇ。俺たちが立体機動装置を使いこなせれば……やっと兵士に。調査兵団に入って……」
「おいおい今調査兵団に入るって言ったか?」
……まためんどくさいことに……。
退散しようとも思ったが、こいつらの性格は多分真反対。
「お前は憲兵団に入って楽するんだっけ?」
「あぁ、実は心底怯えてる奴よりは、爽やかだろう?」
「……おい、そりゃ俺のことか?」
「お前の事だバカ」
そう言いながらエレンの後頭部に平手打ちする。
かなり痛かったらしく、床をゴロゴロと転がっている。
「ほら、もう行けお前ら」
そしてみんながゾロゾロと食堂から出て行く。
ミカサが通った時、ジャンがうっとりしていたが、エレンとの関係を伝えると、一気に真顔になった。
「……と、芋女はどうしたかなー」
まだ走っているであろう芋女。
流石にあれだと死ぬ可能性が出てくるため、教官の部屋から拝借してきた茶菓子を持って探しに行く。
「神ィィィィ!!」
「うおっ!?」
どこからともなく絶叫が聞こえてくる。
今のは芋女のか……?
「……おーいたいた」
「……お前は……教官に喧嘩売った訓練兵団きってのバカ……」
失礼だな。
こいつは、……誰だこの女。
「うるせぇな誰だよ……寝てんのかそいつ?」
「私はユミルだ。……寝てんな」
女が背負っている芋女を指差し、問いかける。
寝てる、ってよりかは気絶しているように見えるが……。
「そうか。なら起きたらこれ渡しといてくれ。そんじゃ」
そして茶菓子を押し付けて、俺は自分の部屋に帰った。
途中待てとも聞こえたが……いや、何も聞こえなかったな、うん。
どうでしたでしょうか?
感想待ってまーす(迫真)