Gears of Destiny   作:緋月ルナ

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独立武装組織A.R.M.S.
Mission01 出会い


魔物及び重犯罪対策組織、通称A.R.M.S.(アームズ)。

そして、その組織に入る為の専門学校、アカデミー。俺はそのアカデミーの2年、神崎那月(かんざき なつき)。

アカデミーの生徒は学生とはいえ、実際にA.R.M.S.に来た依頼も請け負う。依頼は、依頼主(クライアント)がA.R.M.S.に任務依頼書を提出する事で簡単に任務を依頼する事が出来るものだ。また、依頼された任務はA.R.M.S.の任務掲示板に表示される。そこで任務を受け、依頼内容を完遂する事で報酬を受け取る事が出来るシステムだ。

もちろん、依頼はランク付けされており、任務難易度によってランクが上がっていく。例えば、Dランクの依頼なら簡単なものだが、C、B、A、Sとランクが上がれば当然、難易度も上がり、Sランクにもなれば強力な魔物の大量討伐などが絡んでくる。

そして今も任務を終えて帰ってきたところだ。

 

「やっと終わったな…帰って寝るか」

 

誰に言うわけでもなく1人呟くとポケットの中で携帯の着信音が鳴り響く。

 

「ん…?父さん?どうしたんだ?」

 

とりあえず電話に出てみる。はっきり、父さんが電話をかけてくるのは珍しい。とはいっても、仲が悪いわけじゃなく、毎日顔を合わせるからその時に用は伝えておくからだ。だからこうして電話をかけてくる時はだいたいが急な呼び出しの時くらいだ。

 

『那月か。悪いんだが、少し零課まで来れるか?』

 

「あぁ、いいけどどうしたんだ?」

 

『それは後で話す。とりあえず来てくれ』

 

「わかったよ。すぐ行く」

 

それだけ話して電話を切る。

零課。それはこのA.R.M.S.の設立者である俺の父親、神崎澪鵺とその仲間達、チームゼロがいる場所からそう呼ばれている。チームゼロはかつて父さんが共に戦った人達で構成されていて、全員がA.R.M.S.の幹部だ。さらに、そのメンバーは20年前の戦いで世界を救った英雄ということもあり、実質上、A.R.M.S.最強のチームとして存在している。

 

(それにしても、何の用だ…?)

 

零課まで父さんが呼び出す事は少ない。そのせいもあって余計に話の内容が気になる。また任務の事だろうか?

 

(ま、考えても仕方ないか)

 

とりあえず俺は考えるのをやめてA.R.M.S.本部への道を歩く。零課まで行けば分かることだ。

手に持ったままのスマホをポケットに押し込み、道を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

「やっと来たか。待ちくたびれたぞ」

 

「これでも急いだ方だって。それにしても何の用だ?また極秘任務とか?」

 

「いや、そうじゃない。こっちに来てくれ。渡す物がある」

 

「渡す物?」

 

「こっちだ」

 

言われるがまま父さんの後ろをついていく。周りを見るが、今は父さん以外誰もいないようだ。普段なら鈴さんや遙さん…零課のメンバーがいるが、その2人さえいない。他のメンバーなら外をウロウロしてる事が多いから普段から見かけないが。

 

「これだ」

 

零課の奥にある部屋、そこに入って父さんが手渡してきたのは黒に赤いラインが入った指輪だ。

 

「指輪…?どうして」

 

父さんを見て聞く。いきなり指輪なんか渡されても反応に困る。

 

「それはただの指輪じゃない。サイズは合っているはずだ。つけて指輪に粒子を流してみろ」

 

「粒子を?」

 

「そうだ」

 

言われるがままに右手の人差し指に填める。確かにサイズはピッタリだ。そして、指輪に集中して粒子を流し込む。

すると指輪が光を放ち、俺の左前に指輪と同じ色の魔法陣が展開する。右手を見れば指輪がない。まさか、指輪が魔法陣になったのか?

 

「さぁ、掴み取れ。それがお前の新しい武器となる」

 

父さんがそう言うと魔法陣から銃とも剣とも言えないグリップのような物が出てきた。それを掴み、一気に引き抜く。

魔法陣が砕け散り、俺の手には指輪と同じカラーリングの1本の剣。

柄の先には2つのトリガー。その先に柄でも刀身でもない銃身のような物と斜めに伸びた鍔。その先に波打つような剣身。まさに異型の剣だ。

 

「これは…?」

 

「ファントムペイン。お前専用のガンブレードデバイスだ」

 

「ファントム……ペイン…」

 

そう銘打たれた剣をもう1度見る。よく見ればグリップにはセレクターがあり、モードを切り替えられるようだ。

 

「気付いたか。そのセレクターでブレードモードとガンモードを切り替えられる。やってみろ」

 

頷いてセレクターを切り替える。

グリップの先が折れ曲がり、剣身が銃の上内部に収納され、一瞬で銃に変形する。

もちろん、トリガーは2つある。

 

「そのガンブレードは特殊でな。普通の銃より銃身が太いだろう」

 

「確かに…気にはならないけど」

 

言われて見てみると普段見るハンドガンの2倍はあるかと思うくらいには銃身が太い。

 

「イジェクトボタンを押して見ろ。その理由が分かる」

 

イジェクトボタンとは銃の使い終わったマガジンを排出するボタンだ。基本構造は普通の銃と同じだから探すのに苦労はしない。

セレクターの横にあるボタンを押す。すると…

 

「おおっ…!?」

 

思わず声を上げてしまった。そりゃ驚くだろ。

グリップから1本マガジンが排出された他に銃身の両サイドからマガジンが1本ずつせり出したりしたら。

 

「これはどういう…」

 

「その銃は3本のマガジンを装填出来て1本10発。計30発の弾薬を装填出来る。そして、3種の弾薬をトリガーで使い分ける事が可能だ」

 

「3種の弾薬?」

 

「そうだ。実体弾じゃなく、カートリッジだがな」

 

カートリッジ。それは新しく開発された弾薬の名称だ。それは9mm弾やNATO弾のように鉛弾を撃ち出す訳じゃなく、ビーム。正しくは超圧縮されたC粒子を撃ち出す弾薬だ。

カートリッジは普通の銃では撃てず、ガンデバイスと呼ばれる銃でのみ使用出来る。ガンデバイスにはもちろん銃のようにハンドガンデバイスやマシンガンデバイス、ショットガンデバイスのように存在する銃全てのタイプ存在し、それぞれ専用のカートリッジがある。

ただ単にカートリッジとは言っても大きく分けて2種類あり、1つはE(エネルギー)カートリッジと呼ばれるC粒子を超圧縮した粒子弾を撃ち出す弾薬とM(マジック)カートリッジに分けられる。Mカートリッジは炎、電撃などの属性弾を撃ち出すものであり、言わば能力(スキル)による魔術系攻撃を簡略化したものだ。実際の能力による攻撃より攻撃力は劣るが、魔術系攻撃とは違い、連射が利く事で無能力者は勿論、能力者も使用する事がある。ちなみにMカートリッジはEカートリッジと違い、デバイスのMカートリッジ専用薬室に装填され、セレクターで切り替える事で使用でき、エネルギーが切れるまで無制限に撃つ事が出来る。

ただ、カートリッジはコストがかかり、未だにガンデバイスを使う人は少ない。

そのカートリッジをこの銃は弾薬として使う訳だ。

 

「ん…?待てよ。カートリッジは2種類しかないよな?なのに3種?」

 

「それは今から説明する。確かに2種類はEカートリッジとMカートリッジだ。だが、Mカートリッジはその本来の威力を活かす為に1発使い切りだ」

 

「Mカートリッジが使い切り!?あれってエネルギーさえ使い切らなかったら何度でも使える筈だろ!?」

 

「その通りだ。だが、ファントムペインはそのエネルギーを全て一度に撃ち出す事で1発の威力を高めている」

 

「マジかよ…弾代ハンパねぇじゃん…」

 

「お前なら気にする必要もないだろ。最後の1種だが、これはファントムペイン専用弾薬となる」

 

「専用弾薬?」

 

「ああ。ファントムバレットといってな、威力、弾速共に極限まで高めた弾薬だ」

 

「それがこの黒いカートリッジか?」

 

「そうだ。まぁ、威力を知りたかったら実戦で使ってみるといい。トリガーを2つ同時に引くと撃てる。あと、30秒だけだが、Eカートリッジを使って光剣(フォトンブレード)も使えるぞ」

 

「それで、これの説明は終わりか?」

 

「まぁ、そうなんだが…これも渡しておく」

 

そう言って父さんが渡してきたのは小さな装置みたいなもの。

 

「これは?」

 

「そいつはグラビティギアだ。重力を操作して壁を駆け上がったり、通常より遙かに高く跳ぶことが出来るようになる」

 

「そいつは便利だ。どうやって使うんだ?」

 

「そのスイッチを押せば起動する。重量操作については起動している間はお前にかかる重量はかなり小さくなってる」

 

「わかった。サンキュ」

 

「待て」

 

部屋から出ようとする俺を父さんはまだ呼び止める。

「まだ何かあるのか?」

 

「明日、またここに来てくれ。次は任務についてだ」

 

任務。父さんから与えられるということは極秘任務という事になる。それを聞いた俺は頷き、

 

「わかった。また明日の朝来る」

 

「待ってるぞ」

 

それだけ言葉を交えると俺は零課から出た。

 

 

 

 

 

 

 

「任務ねぇ…久々ってところか」

 

寮への帰り道、そんな事を呟きながら道を歩いていた。この道は人通りが少なく、寮への最短ルートでもあるからいつも通ってる道だ。

ちなみに任務が久々っていうのは俺が任務を受けていないからじゃない。むしろ普段は掲示板にある任務を受けて生活している。久々なのは父さんから与えられる任務の事だ。

最近は特別事件が起きてる訳じゃないなら掲示板の任務もほとんどが簡単な任務だ。魔物の討伐任務なんかほとんどない。

それで暇してた俺に最高の仕事が回ってきたっていう事だ。

 

「さて、どんな任務かねぇ…」

 

そう呟いた瞬間だった。

自分の真上に振り下ろされた何かをファントムペインで受け止め、弾く。

 

「いきなり攻撃とはいいご挨拶だな?」

 

俺に振り下ろされたのは剣。しかも、攻撃してきたのは女の子だ。それも結構な美少女。

 

「いつの間に武器を…まぁ、いいわ。あんたの実力、見せてもらうわ」

 

「その制服、アカデミー(うち)の生徒だな。なんのつもりだ」

 

「言った通りよ。あんたの実力見てもらうわ」

 

そう言って彼女は俺に斬撃を放つ。だが、俺もただで攻撃を受けるつもりもない。

 

「チッ…話しても無駄なようだな」

 

剣で攻撃を受け止めて睨みつける。こんなに早くファントムペインを使う事になるとは思わなかったな。まぁ、明日以降に使うことにはなるんだけど。

 

「え…男…?」

 

気の抜けた声が聞こえたと思えば女が俺の顔を見て驚いている。まぁ、確かに身長もそんなに高くないし、腰まで髪伸ばしてるからな。遠くからじゃ分からないか。

…なんか自分で言ってて辛いんだけど。

 

「今更かよ。女だからって容赦はしないぞ」

 

「望むところよ。そうじゃないと面白くないわ」

 

そう言って剣を無理矢理振り下ろして女は俺から距離をとる。そして、剣先を俺に向け

 

「避けてみなさい!」

 

剣のトリガーを引く。

 

「おおっと…!?」

 

横に跳んで粒子弾を避ける。どうやら、あいつの剣はマガジンタイプのガンブレードデバイスのようだ。

 

「そう来るなら…こっちもだ!」

 

俺もセレクターを切り替えてトリガーを引き続ける。

 

「くっ…」

 

粒子弾が襲い掛かり、女は避ける事に必死だ。

 

「どうした?そんなもんか?」

 

「まだよ…!」

 

「ぐっ…!?」

 

一気に距離を詰められ、無数の斬撃を放ってくる。早い。だが、防げない訳じゃない。これくらいならまだいける。

 

「次はこっちから行くぞ!」

 

剣を弾き、よろめいたところに斬撃を与える。まぁ、当然相手も簡単に受けてくれる訳もなく

 

「その程度…!」

 

1撃目は避けられ、2撃目は防がれる。

流石ってところか。見たところ、アカデミーの中でもかなりのやり手だな。

 

「そろそろこれくらいにしないか?戦って何の意味があるんだよ」

 

「あんた、本気出してないでしょ」

 

「……………」

 

「やっぱりね。あんたの本気見せてもらうまでは戦うつもりよ」

 

見抜かれてた。俺が本気で戦ってないこと。俺から見るにしてもこいつも本気は出してないってとこだ。なら、本気でいくか…?

 

「…お前が誰だか知らないけど、俺に本気出せっていうならお前も本気で来いよ。死ぬぞ」

 

そう呟いてグラビティギアを起動させる。

一瞬、俺の体が紫色の光に包まれるが、すぐに光は消える。あまり体に変化は感じない。だが、起動はしているはずだ。なら…

 

「ハァッ…!!」

 

女から距離をとって走り出す。そして、真横にあった建物の壁を一気に駆け上がる。

 

「なっ…!?」

 

ある程度駆け上がったところで飛び降り、俺は一直線に女の真上に落ちていく。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「っ………!!」

 

そのまま剣を振りかざし、叩きつける。もちろん、防がれる事は想定済みだ。だから、この後の事も考えている。

 

「はぁぁぁっ!!」

 

「ぐっ…きゃ…っ…!?」

 

押さえつけた剣を無理矢理振り下ろし、吹き飛ばす。女は短い悲鳴をあげるが、受け身をとって体勢を立て直そうとする。だが、させない。

 

「まだだ…ッ!!」

 

距離を詰め、もう一度剣を振るう。避けられないと察したのだろう女は片膝をついたまま剣を受け止める。剣が火花を散らし、噛み合う。

 

「お前、なかなかやるじゃないか」

 

「あんた…一体何者よ…!」

 

「お前が教えたら教えてやるよ…!」

 

「お断りね…!」

 

互いに全力で剣を押さえつけ、刃と刃がギリギリと音を立てる音が聞こえる。互いを睨み、隙を伺う。だが、このまま戦っても埒があかないだろう。

 

「そろそろ決めるか」

 

「そうね」

 

ギンッ────

 

再び火花を散らし、剣を弾いて互いに距離をとり、剣のトリガーに指をかける。そして光剣を発動させて一気に斬り込む。

 

「さて…いくぜ」

 

「来なさい…!」

 

互いに光剣を発動させて距離を詰める。光剣は圧縮した粒子を噴出させた文字通り光の剣だ。威力は粒子を纏わせているだけあって高い。

向こうも光剣を発動させるって事はお互い、考えている事は同じようだ。

 

(まぁ、負けるつもりはないけどな…!)

 

剣が届く範囲まで近付いたところで剣を叩きつけるが、向こうも同じく剣を振るい、火花の代わりに粒子が散る。

 

「まだまだ…!」

 

「まだだ…!」

 

同時に叫び、何度も剣をぶつけ合う。

 

「そこだっ!!」

 

「くっ…!」

 

剣を思い切り叩きつけ、女を後ろに飛ばす。

今度はすぐに体勢を立て直して再びこっちを向く。だが、

 

「これで決める…!!」

 

居合い斬りのように剣を構える。これは父さんに教えてもらった技だ。しかし

 

「その技を使えるのはあんただけじゃないのよ…!」

 

女も俺と同じ構えをする。

 

「なっ…」

 

どうして、あいつが『この技』を使える…!?

 

(クソッ!今はそれどころじゃない!)

 

頭を振り、目の前の女に集中する。もし本当にあいつがこの技を使えるとするなら、これをぶつけ合って押し負けたらタダじゃすまない。

 

「蒼翔波───!」

 

「───閃!」

 

同時に剣を全く同じ構えで振るった。剣に纏っていた粒子が衝撃波として空中を駆け抜ける。

これは粒子の衝撃波を飛ばす技『蒼翔波・閃』、父さんの使う技の発展系だ。

それが俺と女の間でぶつかり拮抗し、衝撃波が粒子を撒き散らして爆発する。

 

「くっ…!?」

 

「きゃぁっ!?」

 

爆風が俺達に襲いかかり、前が煙で見えなくなる。相手がどうなったか確認も出来ない。

 

「っ…いたた…」

 

煙が晴れると女は腕を押さえて片膝をついていた。ここまでのようだ。

 

「決まったみたいだな」

 

「くっ…本当にあんた…何者よ…」

 

女はそう呟くが、答えを聞こうとしないまま転がった剣を拾い、建物の影に消えてしまう。

 

「待て…っ!!」

 

追おうとするが、既に女はいない。

 

(まったく…なんだったんだ)

 

心の中で呟きながら手に握ったファントムペインを見る。

 

「なかなか使いやすい剣だな」

 

剣と銃の切り替えが早く、銃の連射も利く。それに何よりそこらの剣より軽い。この戦いで初めて使ったが、手に馴染むようだ。

 

(とりあえずは帰るか…)

 

剣を指輪の状態に戻し、寮への道を歩く。

明日は新しい任務を与えられるみたいだからな。

それに…今日は疲れた──────

 

 

 

To be continued!!!




さて、はじめまして。
緋月と申します。
今回より投稿させていただくこの『Gears of Destiny』は完全オリジナル小説となりますので細かい設定などは番外編にて説明させていただきます。
では、今回はこれにて。
閲覧ありがとうございました。
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