音ノ木坂学院の園田波未ちゃん   作:ウェスト3世

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第2話

 

「あれ?ここは………」

 

 気づくとそこは保健室のベッドの上だった。チッ、姉様のベッドじゃねえのかよ、と舌打ちをしつつも、何故此処に居るのか記憶をたどる。

 そう、確か姉様のあまりの可愛らしさに悶絶して鼻血噴きだして今に至るのだった。

 あの可愛さは最早、卑怯である。だからこそ不安になるのだ。あの可愛さに目を付ける男は必ずいるのではないかと。

 姉様を独占して良いのは私だけ。私だけの特権。他は速やかに排除すべきである。

 寝起きに体を伸ばしパキポキと関節を鳴らす。

 

「さーて、教室に戻るかな~。」

 

 一時限目から四時限目まで睡眠に費やしていたためか気分が良い。ただ、大量に鼻血を出してしまったせいで血が少し足りない。まあ、それは自然治癒で何とかなるでしょ。多分。それよりも早く教室に行こっと。

 

 教室に入ると昼休みのため、皆が弁当を広げてわいわいと会話していた。

 窓側の席に視線を向けると、いつものメンバーが揃っていた。

 

「あ、波未ちゃん。おはよう」

「あー、はい。お早うございます?」

 

 ことりちゃん。別に寝てたわけじゃないんだけどね。意識失ってたんだけどね。

 

「いちいちあのように鼻血を出されては困ります。」

 

 姉様は呆れたように言う。いや、だってあの可愛さ反則でしょ。こっちこそ姉様が可愛すぎて困ってんですけど。

 それにしても、いつものメンバーで最も快活な人物が無言な気がするのだが……。

 

「あれ、そういえば穂乃果ちゃんはどこにいるんですか?」

 

 先程から存在を認識できない。

 

「……あ、」

「それは……。」

 

 すると、意外や意外に穂乃果ちゃんは目の前に座っていた。ただあまりにも重い空気を纏っているため、認識するのが非常に困難だった。

 

「な、何でこんなに空気重いんですか!?」

「実はね……。」

 

 すると、ことりちゃんが事情を説明してくれた。

 

「実はね、この音ノ木坂学院は廃校になるらしくて……。」

「は、廃校……!?」

 

 これには思わず立ち上がってしまう。

 

「そ、それって学校に通えないってことですか!?」

「そうなります」

 

 これは深刻な状況である。

 

「そ、そんな私の華やかな学園生活が……。」

 

 そして私も自然と穂乃果ちゃん同様に暗いオーラを纏い始める。

 すると、ことりちゃんは不安な表情を見せる。

 

「二人とも、そんなに学校好きだったなんて……。」

「いえ、違います。二人とも勘違いをしているだけです。」

「え?」

 

 ことりちゃんがキョトンと首を傾げる。ッべ、今のちと可愛かったぜ。グフフ。いや、そうじゃなくて。

 

「姉様!何言ってるんですか!この学校なくなったら私は何処で百合百合すればいいんですか!?」

「言っていることが理解できないのですが」

 

 こちらの熱烈な発言を姉様は心底蔑むような瞳で見る。

 すると、今まで無言だった穂乃果ちゃんもガバッと顔を上げ、

 

「廃校ってことは編入試験の為に勉強しなきゃいけないんだよね!?」

「ほ、ホノカチャン……。」

「やはり、二人とも勘違いしていたんですね.私達が卒業するまでは廃校にはなりませんよ。」

 

 それを聞いた私と穂乃果ちゃんは「良かった~」と一安心する。

 

「まったくあなた達は……。」

 

 姉様が嘆息する。

 

「学校を卒業するにしても今の生徒が卒業してからだから早くても三年後だよ。」

 

 ことりちゃんが説明を加え、私と穂乃果ちゃんの不安は払拭された。

 

「いやぁー良かった」

「ですね。なーんだ。三年後とか超余裕ですね。」

 

 なーんてことを言ってたら姉様が視線を鋭くして叱責する。

 

「のんきなこと言ってる場合ですか。私達がそれで良くても今の一年生は後輩がいないことになるんですよ。」

「………はっ!」

 

 確かにそれは大変なことである。

 私には先輩として後輩を百合百合展開に導く使命がある。にも拘らず、廃校のせいでその使命は破綻されようとしている。

 

「許せませんね、それは。早く何とかしなければ!」

 

 すると、三人は困惑した表情を見せる。

 

「真剣なのは良いのですが……。何か悪い予感しかしないのですが。」

 

 …つまり悪寒がするとでも言いたいのですかね。

 

「で、でも真剣なのは良いことだと思うよ?」

 

 ことりちゃん、フォロー有難いけど、困惑気味に言われても逆にこっちが困惑するんだけど。

 すると、私達の会話は無遠慮に遮られる。

 

 一人は金髪にブルーの瞳に巨乳。もう一人はとにかく巨乳。おふう、鼻血でそう。

 

「貴女が南さんかしら。」

「あ、はい。」

 

 唐突に話しかけられたことりちゃんはたじろぐ。

 

「貴女、理事長から何か聞いてない?」

「あ、いえ。私も廃校のことは今日知ったので。」

「そ、ありがとう」

 

 それきり、生徒会長は興が削がれたかのように去って行く。

 

「海未ちゃん、今の誰?」

「穂乃果、知らないんですか!?生徒会長ですよ!」

 

 実のところ私も生徒会長は知らなかったが、言うと姉様に「知らなかったんですか!?」とか言われそうだからやめとこう。

 

 にしても、あの生徒会長のスタイルの良さには驚愕した。あのスラリとした長い脚に胸、容姿。生徒会長に就任してるせいもあってか知的然も漂わせている。

 才色兼備、容姿端麗と美に関する言葉の大半は該当すると言っていいだろう。

 

 なんという美しさ。是非、我が嫁に……なんてことを考えていたら―――。

 

「な、波未ちゃん。」

「波未ちゃん」

「波未」

 

 皆が凝視している。

 え、何?私の身に何か起きてるの?

 手鏡で自分の素顔を見ると鼻血で汚れていた。

 

 すると、クラスメイト達はこの光景を殺人現場と解釈したのか皆が悲鳴を上げる。

 唯一、姉妹である姉様がこの状況の中冷静であった。さすがは家族。愛のなせる業である。

 

「どうせまた邪なことを考えていたのでしょう?」

「………。」

 

 これには否定の仕様がありません。

 だって生徒会長のボディー見たら普通に見惚れちゃうでしょ。

 

 

 

 

 




園田波未

男性をひどく嫌悪し、対して可愛い女の子には目がない。
恋愛なども百合展開を渇望している。
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