ハイスクールD×U   作:謎の食通

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ネタ帳に書いてある奴を改訂、加筆した奴です。


真実により知らされる脅威と宿命

白い空間、壁と言える物が存在せず、床も三つの椅子の存在でかろうじて存在するのがわかる程、その空間は白に包まれていた。

三つの椅子は正三角形を書くように内側を向きながら配置されていた。椅子には一見、誰も座っていないように見える。だが、白い床には座っている人影が確かに写っていた。

 

「ああ、こいつも駄目だったか」

 

椅子の一つから、年を経た男性の声が響く。まるで透明人間が喋っているかのようだ。

 

「なかなか上手に熟成された世界が出来ませんね・・・」

 

別の席から若い女性の声が響く。その声には苛立ちと言うよりも諦観が込められているように思える。

 

「まあ、仕方が無いさ。良い出来の世界でも途切れてしまうことが間々あるからね」

 

残りの一つからは、若い男の声が聞こえる。他の声とは違い、どこか楽観的だ。

 

「そうだな・・・では、次だ」

 

年配の男の声が若い男の声に同意すると椅子の三角形の中点に人が現れる。彼は、なんの前触れも無くソコに出現した。

 

「はいはい、今回のはこれだね・・・面談はするかい?」

 

床に倒れているのは、まだ少年と呼んでも差し支えなかった。彼は床に横たえにされていた。

 

「いや、前回のが無駄に力を要求して、結局世界として成り立たなかったからな。今回は手法を変えよう」

「と、言いますと?」

「今度のは、深層意識から意識からこれの力の象徴を読み取り与える」

「ああ、あれか。その手法も陳腐だけど・・・まあ、いっか」

「では、読み取るとしましょうか」

 

床に倒れている少年の50cmくらい上の空間に絵が出現する。いや、絵というよりは空間モニターと言った方がソレの形容に正しいだろう。そのモニターには白銀の体の戦士を映し出していた。

 

「これは・・・」

「あー、あのお人好し共か。あいつらは、改造人間たちと違って世界を構築するのがめんどくさいんだよなあ。こうなったら別の奴を適当に・・・」

 

さっきの楽観的な雰囲気から一転、若い男性の声は面倒くさい事になったと言わんばかりに呟く。若い男の声は、目の前の少年を選ぶのをやめて、別のにしようとした時、年配の男の声がそれを止める。

 

「いや、待て」

「どうしたのですか?」

「これの心にあるのは、初代だが・・・変り種の奴でもある」

 

モニターに映っている白銀の戦士は黒い魔王と取っ組み合っている。だが、そこには善や悪などと言う概念は介在しない。彼ら間には戦う漢の誇り、友情、闘志、そういったものしか感じられなかった。

 

「・・・ふむ、そうだね。殆どは無口な連中の割には、コレは結構喋ってるね」

「そうだ・・・これなら、まだ作りようはある」

「ですが、魂が原型を留めないのでは?」

 

段々と言葉に熱が篭り始める男衆。だが、そんな彼らに女性の声は冷や水を浴びせる。

 

「それなら初代の異伝にある別の因子を混ぜる事で解決できる」

「ああ、息子にするって事ね」

 

若い男は年配の男の言葉から何かを思い出したのか、新たにモニターを出現させる。それには白銀の戦士と似た姿の鎧が写っていた。

 

「そうだ。そして、これには素養と宇宙伝説の永遠の命を神器として組み込む」

「神器と言いますと・・・ドラゴンと悪魔の世界に送り込むのですか?」

「あの世界ならコレに与える性能でも問題あるまい。それにコレは旗頭にもなりうる」

「つまりは・・・それだけ世界の可能性が広がるという事だね」

「さて、この方針で異論は無いな?」

 

話し合いの方向性が纏まると年配の男は他の二人に結論を確認する。

 

「「・・・」」

「良し、では観測を開始する」

 

年配の男がそう宣言すると床に倒れている青年に三角形に三つのブレードが付いた星のような宝玉が突き刺さる。いや、少年の中に溶け込んでいった。

三角形の星が完全に少年の中に入ると、少年の姿も薄れていった。残ったのは三つの椅子のみだった。

 

そして、彼らは観測する。これからも、今までも・・・。

 

 

 

***

 

 

 

近年に入って度重なる怪獣や宇宙人によって起こされる災害や超常現象が起きていた。それに対抗する為、国際科学警察機構は科学特捜隊を結成した。

 

そして、彼らは光の国から来た使者、ウルトラマンと共に地球の平和を守っていた。

 

現在、ウルトラマンが地球を去って数十年が経っていた。その間、科学特捜隊日本支部も組織改変が行われていた。科学特捜隊は地球防衛軍へと吸収され、ハヤタ、イデは防衛軍の一員となり、ムラマツを始めとしたほかの隊員は除隊してそれぞれの人生を歩んでいた。

 

今から数年前、ムラマツキャップが亡くなりその死を悼んだ。だが、世界や宇宙まで活躍の場を広げていた彼ら全員が葬儀で揃う事は叶わなかった。

 

だが、ある手紙が旧科特隊員たちに届いた事からムラマツキャップの家に集まる事となった。

 

『科特隊の諸君、今だからこそ話し合いたいことがあります。ムラマツ隊長の居宅にて』

 

このような内容の手紙が届いたのだ。

 

その後、彼らはムラマツキャップの居宅に集合した。それはまるで同窓会のような物だった。彼らは再会を喜びながらも、誰が手紙を書いたのか問い合わせあう事になる。

 

ハヤタ以外の隊員は、ある秘密が打ち明けられるのでは無いかと思っていた。それは・・・。

 

「僕がウルトラマン」

「おおぉ」

 

イデはハヤタの言葉に感嘆の声を挙げる。

それはハヤタ・シンがウルトラマンの正体かも知れないと言う事だ。

 

「だったかも知れない」

 

だが、ハヤタはウルトラマンが地球に来てから去るまでの記憶が無かった。今回の同窓会で色々と思い出しては着ていたが、それでも完全ではなかった。

 

「でも、この数十年。ウルトラマンは姿を見せてないんだよ。と言う事は、僕はウルトラマンではない」

 

ウルトラマンが地球を去ってからも怪獣や宇宙人の脅威はあった。しかし、地球の平和は地球人の手で守られていた。ウルトラマンが必要になるほどの脅威はもう無いと思われていた。

 

「ただの親父さ」

 

そして、ハヤタは言う。自分は只の人間だと・・・。

 

 

 

***

 

 

 

時が経つのは早く、帰宅の時間となった。科特隊の面々は談笑しながらムラマツ邸を後にする。

 

「喜んでるよキャップも」

「あっ!ちょっ、ちょっと忘れ物・・・あの、先行ってて」

 

ハヤタは表情をハッとさせると少し慌てた様子で、ムラマツ邸に戻る。

 

「相変わらずねハヤタさん」

 

それを見たフジ・アキコは懐かしそうに苦笑いをする。

 

「トイレか、おい!」

「しー」

 

アラシが大きな声でハヤタに声を掛ける。その大声に言って欲しくない内容ゆえにハヤタは静かにするよう促す。

 

「「はははは」」

 

イデとアラシ、フジは、笑う。かつて、怪獣退治後の様に皆で笑う。

 

「じゃあ・・・この手紙、誰が書いたのかしら?」

 

ふと、フジはそう漏らし、ムラマツ邸に振り返ったのだった。

 

 

 

***

 

 

 

手洗いで手を洗うハヤタ。用事は済んだと玄関を開けようとした、その瞬間。

 

『ハヤタ・・・ハヤタ・・・』

 

エコーが掛かった声で自分の名を呼ぶ声がする。後ろに振り返った。壁には鏡が翔けられていた。しかし、移っているのはハヤタでは無い。

 

「ウルトラマン・・・!?」

 

かつての友がソコに映っていたのだ。

 

『ようやく思い出してくれたね』

 

ウルトラマンは嬉しそうに喋った。地球人でウルトラマンの声を聞いたことがある唯一の地球人である。

 

「それじゃあ、やっぱり・・・」

 

思い出だけでは確証を得られなかった事実をハヤタは確信した。

 

『かつて君と私は一身同体だった。しかし、ゼットンとの戦いに敗れ、私たちは離れ離れとなった。私の肉体はM78星雲へと帰った。しかし、心の一部を君の中へ置いていったのだ』

「そうか・・・。あの手紙を僕に書かせたのは君だったのか」

 

科特隊に宛てた手紙、それを送ったのはウルトラマンだったのだ。

 

『そう・・。私たちはかつて二人で一人だった。そのことを彼らは確信を得られなかったのだろう』

「きっとムラマツキャップは知っていた」

 

ウルトラマンとの日々を完全に思い出したハヤタはムラマツキャップが自分の正体を知っていた節があると察していた。でなければメフィラスの宇宙船に潜入したムラマツキャップがハヤタを放置して脱出するわけが無いからだ。

 

『ムラマツは私にも語りかけていたと思う』

 

その言葉にウルトラマンは頷く。

 

『それは多々良島が怪獣たちの弱肉強食の世界となった時だ』

 

彼らの脳裏のフッと思い浮かぶ。レッドキングが倒され、ピグモン達の墓の前でムラマツキャップはこう語った。

 

《これでこの島も南海の楽園へと還るだろう。だが、自然はこの夕焼けのようにいつも美しいとは限らないということを忘れてはならないよ》

 

―――と・・・。

 

『あれは地球人を代表した私へのメッセージだと思っている。地球の大自然の現象に私が必要以上の干渉をしてはならないと』

「そしてキャップはいつも僕の事を一人の人間として見てくれていた」

『そうだ。ムラマツにとって君が一人の人間として最大限の努力をする限り』

「僕は・・・常に僕であったということか」

 

感慨深く呟く。ハヤタの脳裏に浮かぶのはムラマツキャップとの思い出だ。ムラマツは人間としてハヤタ達を導いていたのだ。

 

『地球は君たちに任せておけば大丈夫だった』

 

ハヤタはウルトラマンの言葉に違和感を覚えた。

 

「だった?」

『今再び地球に危機が訪れようとしている。再び私の力が必要になるかもしれない。そこでハヤタ。君に頼みがある』

「僕に?僕にもう一度戦えと言うのか?」

 

新たな戦いの予言にハヤタの声は硬くなる。だが、ウルトラマンは首を振り、それを否定する。

 

「いや・・・そうでは無い」

 

しかし、どこか言いずらそうにしていた。ウルトラマンの表情は地球人には判断できない。だが、かつて一身同体だったハヤタなら分かる。彼が辛そうな事を・・・。数瞬置いて、彼は再び言葉を発する。その間は、躊躇いの表れだろう。

 

「君の息子にこれを渡して欲しい」

「これは・・・!?どういうことだ、ウルトラマン!!」

 

手の中にある物を見て、ハヤタは声を荒げえる。ベータカプセル、かつて自分がウルトラマンに変身するのに使っていた道具だ。それをよりにもよってまだ幼い自分の息子に渡せと友は言うのだ。

 

「君には謝らなくてはならないことがある」

「なんだって?」

「私が心の一部を君の中に置いてしまった副作用で君の息子に光の因子が混入してしまったのだ」

「進次郎に君の因子が!?」

 

叫ぶ。自分の息子に友の因子が混じったと言う事実に。

 

「そうだ。今は普通の人間と変わりが無い。しかし、命の危険や誰かを助けようとした時、否が応無く光の因子は覚醒するだろう」

 

ウルトラマンは告げる。ハヤタの息子、早田進次郎。まだ10にもなっていない子供だ。その子供に万が一の事態が起こった場合、光の巨人と同質の存在が地球に生まれると告げたのだ。

 

「だが・・・それなら普通の生活をしていれば問題は無いんだろう?」

 

しかし、それは世界が平穏無事なら地球人のままで居られると言う事だ。だが・・・。

 

「そこで先程の話に戻るのだ。地球に訪れようとしている危機、これに巻き込まれる可能性は高い」

「・・・君と共に戦っていた時みたいに世界中で異変が起きるということか?」

 

ウルトラマンが察知した危機、それに進次郎が巻き込まれないとは断言できないのだ。

 

「だからハヤタ。君の息子は力を今の内に持たなければならない。その動乱の時代を光の因子が覚醒したばかりの不安定な状態では、彼の命が危うい」

「それは・・・僕と君が何度も地球を守ったからか」

「不安定の光の因子、彼らはこう思うだろう。今の内に排除しなければ後々の禍根となると」

 

力はまた別の力や因縁を引き寄せる。

 

「僕が代わりに、再び戦うという事は出来ないのか?」

「例えそのようにしても時間稼ぎにしかならないだろう。それに今の君の肉体ではかつての様に戦うことが出来ない」

「そうか・・・」

 

ハヤタは下唇を噛む。胸の中は無力感で溢れた。どんな強敵にも果敢に立ち向かってきたが、彼はあくまで人間でしかないのだ。大きな流れを変える力は無い。

 

「だが、心配する事はない。彼がベータカプセルを使った時、彼には私たちの経験を与えるつもりだ」

「僕たちの経験?」

「直接守ることが出来なくも彼の力になることが出来る。だから、ハヤタ」

 

―――――頼んだぞ。

 

「・・・」

 

ウルトラマンの姿がハヤタの前から消えた。自分の中にあった彼の残滓を感じなくなった。そして、その残滓の行方は自分の手の中に納まっていた。

 

しばらく、無言だったハヤタは顔を上げ、ムラマツ邸を後にする。扉の先から光が差していて、まるでハヤタが光の中に消えていくかの用だった・・・。

 

 

 

***

 

 

 

極平凡な一軒家。リビングには朝日が差し、これからの一日は良い天気になるだろうと錯覚させる。台所では、母親らしき人物が流し台で鍋を洗っている。どうやら、後片付けをしているようだ。

 

女性が洗剤で調理具を洗っていると、ふと顔を上げた。階段から眠気を顔に出している子供が降りてきた。柔和そうな顔付きで、優しげな印象を持たせる子供だ。

 

「ふ、ああー・・・おはよう、母さん」

「おはよう、新次郎。ご飯ならもう出来てるから早く食べちゃいなさい」

「は~い・・・父さんは?」

 

齢10にも満たぬ子供、新次郎はリビングにある食卓テーブルに向かう。彼は自分の定位置の椅子に座りながら、母に父親が何処に居るか聞く。

 

「お父さんはね、昔の上司の家で同窓会だそうよ」

「同窓会?」

「そっ、科特隊の皆さんとね」

「と言うと村松さんのところ?」

「そうよ・・・それよりも早くご飯食べて学校行きなさい」

「はーい」

 

 

母親の声に急いでご飯を食べる。今朝の朝食は、白く艶やかに輝く白米、シャッキリとした大根の入った味噌汁、水を切り鰹節を乗せた冷奴、そして、茹でたホウレン草に汁を加えたおひたしと言った純和風の朝ごはんだった。

 

 

 

***

 

 

 

「いってきまーす!!」

 

朝食を食べ終わると新次郎は、ランドセルを背負い、家を出る。さんさんと輝く太陽、透き通るような蒼い空、その中を彼は歩いていく。

 

「今日も一日良い事ありそう!」

 

彼の名は、早田進次郎、かつてウルトラマンと一心同体だった早田進の息子である。そして、進次郎はまだ気付いていなかった。自分の未来に大いなる運命が待ち受けている事に・・・。

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