『白龍のアリア』   作:絶対に斬れない刃

2 / 2
あの日から十年近くが経った。
あの日、あの時の情景を柳勇一は思い出しながら、ユウキから渡された勾玉を首から下げ、握りしめていた。
新崎美里は複雑な思いで勇一のそんな姿を遠目で見ていた。
一方、自衛隊では、あの日、宇宙からやって来た正体不明の生き物、アンクノウンに対しての対抗策を練ることになった。
だが、そうしていた日常で宇宙から再び、アンクノウンがやって来る。
そして、戦いが起きてから時間が経ったとき、白龍が再び現れる。


白龍、再び

 

 

 

 

 

 

 

 

白龍のアリア

第一話

白龍、再び

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静岡県東部。

富士山の麓の自然豊かな山が連ねるようにその姿を現している。

いい言い方をすれば自然豊かであり、悪い言い方をすれば山しかないただの田舎というそんな場所。

高校生活ももう残すところ僅かとなった高校三年生である柳勇一は教室の窓に写る青空を見ながら、首から下げるように紐で括っている勾玉を握る。

あの日。

父親である柳鉄也以下を含めた陸上自衛隊のアギウス部隊は、あの白い龍とは交戦することはなく、元いた基地へと舞い戻っていった。

と言うのも、あの巨大な化け物をぶん殴って白き龍、アリアが消えたからだが。

ただ、あの巨大な化け物、怪獣は度々出現する様になった。

そのためか、自衛隊の出動頻度が多くなっているらしい。自衛隊でもないただの高校生の勇一には分からないことだが。

それから、白龍もユウキと言う少女の姿は見てはいない。あの時、感じた熱も勾玉からは感じない。であれば、今のユウキは痛みは感じてはいないのだろうか。今は平気なのだろうか。

勇一には分からない。

そう思いつつ、青空が広がる外をぼんやりと眺める。

そんな勇一の姿を見ている一人の少女がいた。

幼いときから勇一の姿を見ていて、あの日、ユウキと言う文字通り白い少女とアリアと言う白い龍を見た少女、新崎美里だ。

美里も勇一の見ている方に目を動かす。

そこには青い、雲ひとつもない青い空があった。

 

 

「柳一佐!!」

陸上自衛隊のとある駐屯地。

大きな声で自身の名を呼ぶ声に、柳鉄也は振り返る。

「どうした、西島三尉。」

そこには、自身の部隊、第一陸上機動機甲小隊に最近になって配属となった西島宏三等陸尉がいた。

「十二年前に出現した正体不明の生き物、アンクノウンでしたか、ヤツに備えて我々、第一特別航空機動災害対策部隊の陸上機動機甲小隊がいるのではないのですか!?」

「そりゃそうだがな、西島三尉。相手をしようにもいないヤツにどうしろって言うんだよ。」

「しかし・・・・・・・。」

「確かに、俺達自衛隊にゃ、日本のための盾であり、矛となる『イージスの盾』、『アギウス』がある。だがな、三尉。いないヤツを相手に出来ないだろうが。」

「そう、ですが・・・・・・・。」

「分かったか?・・・・・・・・・・分かったな?」

「了解、しました・・・・・・・・。」

「よし、分かったか。それじゃ、この話はここまでだ。」

なにか言いたそうにする宏をあとに鉄也は再び歩き出す。

「柳一佐!・・・・・・柳一佐!」

今度は宏とは別の声が鉄也を引き止めようと大きな声が聞こえる。だが、先程足を止めたのだ。その止めた足が動いてしまった以上は止めることはそう簡単にはできない。そのため、止まることのない鉄也を追うように誰かが走ってくる。

「柳一佐、止まってくれても。」

「いやだよ、西一尉。それにさっき、西島と話してたんだ。それなのに、来ないお前が悪い。」

「ですがね、一佐。」

「んで、なんだ、西。」

鉄也の後ろに西豊一尉はつく。

まっすぐに歩いていく鉄也の行き先を豊はすぐに把握する。

「ハンガー、いえ、格納庫ですか。」

「ガキのお守りをちゃんと出来ねー、俺がこの日本のお守りをしっかり出来るかって聞かれたら、難しいって言うしかないが、それでも俺達自衛官の、いや、『メーサータンカー』の矜持ってもんがある。・・・・・・・部下のお守りもちゃんとせんとな。」

「一佐・・・・・・・・・・。」

「はっ。笑えるか?笑える、だろうな。」

「いえ、笑うなど。決して。」

「別に無理せんでいい。化け物相手して死んだ連中がいるってのに、それでも生きてるバカな親父の独り言よ。」

「笑いませんよ、一佐。」

「そうか。」

豊にはほんの少ししか分からない。

鉄也のような『アギウス』の『第一世代』ではないのだ。

日本に襲来した多くの『怪獣』などと言う『化け物』を相手にまだ量産もされていない試作機に近い『アギウス』に乗り、多くの戦闘データを世に残してきた『第一世代』と呼ばれる自衛官達。

『アギウス』の『第一世代』の機体である『烈火』に搭載されている『シンクロシステム』。パイロットと機体の動きを同期させ、人の動きをそのままに機体に反映させるシステムではある。

だが、開発されたばかりのシステムには、多くの問題があった。

それを教える様に、鉄也の左右の瞳の色が物語っている。

豊も『アギウス』乗りではあるが、豊は第三世代。

瞳の色は左右ともに変わったことはない。

機体もほとんど身体に悪影響を及ぼさない改良型だ。それほどまでに差がある。

『烈火』にも改良型の『シンクロシステム』が搭載はされてはいる。

だが、旧式のシステムを長い間搭載していたのだ。

そのため、改良型を搭載しているとは言えど、すぐに影響が消えるなどというものではない。

鉄也は、その悪影響を受けているとは言えども、笑顔でいる。

「んで、新型、いや、『アレ』に乗るヤツは?」

「一佐は、ご存知では?」

「いや。ガルーダが新型に引き継がせたのは知ってるがな。ったく、空自もやるのが遅い気もするがな。爺さん、まだ現役でやれるからって老体に鞭打つもんじゃねーってんだ。」

「それを言ったら・・・・・・・。」

「俺も年なのはそうだがな。そろそろ引退ったぁ言いたいがな。アンクノウンなり、化け物なりが、日本に来るからな。のんびり出来ん。」

「すいません、一佐。」

「気にゃせん。俺は『メーサータンカー』だ。休むのはまだ先だ。お前が悪いわけじゃない。」

「しかし。」

「化け物相手にゃ、慣れてる。それに、相手はアンクノウンで、Gじゃない。生きて戻れる、いや、生きて帰らせるってのが、先輩の仕事だ。だから、気にするな。」

豊は鉄也の言葉を脳内で反芻する。

生きて帰るのではない。

生きて帰らせる。

ということは、つまり・・・・・・・・・・・。

と、その時。

ヴィー、ヴィー、ヴィー。

『なにか』の襲来を告げるアラームが鳴り響く。

『「アギウス」搭乗員、至急格納庫へ!!』

「話してたら、早速、『お客さん』だ。ったく、困りもんだな。」

そう言う鉄也の口元は笑うように歪んでいる。

国を守るというのが、自衛隊の仕事ではある。

その大義名分を果たすため戦えるということに喜んでいるのは、どうなんだろうとは豊は思う。

こうした人種が『メーサータンカー』なのだろうとも思いつつ、鉄也と豊は搭乗機に、自身の分身とも言える愛機へと走って向かっていく。

 

 

「『敵襲』!?まさか、『アンクノウン』!?」

突然のように、マナーモードにしてある携帯がポケットで揺れ動き、美里は立ち上がる。

その動きに合わせるかのように、ウー、ウー、ウーと避難を促すサイレンが鳴り響く。

「走るな、走るんじゃない。ここは自衛隊の駐屯地に近い。怪獣が来ても自衛隊だったらどうにかしてくれる。だから、焦るな。」

「確かにそうかもしれない。」

美里の行動を見て、そう言う先生の言葉を美里は肯定する。肯定しながらも、外に出る足は走るように早く動く。

そして、教室の扉に手をかけると、足を止める。

「自衛隊が、『私たち』が守ります。だから、先生。あとは任せます。」

そう言うと、扉を開けて、外に出ていく。

「おいこら、新崎!!!・・・・・・・・ったく、なに言ってるんだか。生徒を守るってのも先生の仕事なんだがな。」

勝手に出るなよ、全く、とやれやれと頭を掻いて、

「新崎は勝手に出ていったが、お前らはゆっくり、走らずに外に出るんだぞ、いいか?」

と言う。

その言葉に、勇一を含めた生徒は、はい、先生!と言うと、廊下にならんで避難するために立ち上がる。

その時、勇一は気が付く。

熱がなかった勾玉が熱を帯びたように熱くなっていることに。

「ユウキ・・・・・・・・・?」

勾玉を握り締め、少女の名を呼ぶ。

 

 

「西、焦るなよ。」

『了解ですよ、一佐。』

「西島、お前もだ。」

『了解です、一佐。』

「ったく。」

鉄也は笑うように口元を歪めながら、自身が高揚していることを自覚しながら、豊と宏の二人に抑えるようにと言う。

今現在、鉄也の身体は対G兵器として存在する『アギウス』の『第一世代機』、『烈火』に繋がれている。

風や空気などの機体が直接受けているものは感じることは出来ない。

だが、機体の操作には身体の動きが反映される。

無論、機体の損傷もだ。

ま、反映されるとは言えども、痛みを感じるだけで、生身の身体には反映はされないのだが。

そう言えば、と鉄也はふと思い出す。

出撃する際に、新型の『第六世代機』、『疾風』が出撃していったのだが、たしか搭乗員はまだ乗ってはいなかったはずだが。それに、豊と宏の二人以外は見てはいない。であれば、オートパイロットで出たということに。

いやいや、待て待て、と鉄也は思考を振り払うように頭を振る。

オートパイロットがどうのこうのという話は確かにあった。

だが、しかしである。

3式機龍という一例がある。

機龍の例があるからこそ、オートパイロットなどという自動操縦はない。

まぁ、そうは言っても、スーパーXⅡという例もあるのだが。

判断が難しいものではある。

困りもんだな、と鉄也は思いながら、前方を見る。

すると先程、誰も乗せていなかった『疾風』が大地に降り立ち、誰かを乗せるかのように、屈みこむ姿が目に写る。

その時に、誰かの姿が見える。

「ありゃ・・・・・・・・。」

『「疾風」!?どこへ行ったかと思ってはいたが・・・・。』

『どこの誰だ。こんなとこに誘導したのは?』

『私ですが?西島三等陸尉。』

豊と宏の言葉に、『疾風』の搭乗者が答える。

いるはずのない『彼女』の声が聞こえて、鉄也はおいおい、と我が耳を疑う。だが、見えた姿も聞こえた声も確かなわけで。

「美里ちゃんか!!なんで、『疾風』に!!」

『どうしたんです、一佐?』

『「ちゃん」・・・・・・・?』

『叔父さん、いえ、柳一等陸佐。こちら、新崎美里二等陸士。援護します。』

「援護・・・・・・だぁ!?こいつぁ、大人の仕事だ!下がってろ!!」

『一佐!?』

『援護と言うことは、彼女は自衛官なのでは?』

『私も大人です、柳一等陸佐。』

「大人って言ってもな。」

『柳!!聞こえるか、柳!?』

「あー、どうぞ、本部。」

突然、本部からの連絡が入り、鉄也はそれに応える。

『新崎二等陸士は事情があってのことだ。連絡が遅れたがな。』

「そいつぁ、聞いてませんな。どこのバカです?」

『あとでこちらでやっとく。二等陸士のこと、よろしく頼むぞ。』

「とんだ宝物ですな。ですが、部下となれば、話は別です。生かしますよ。」

『頼むぞ。』

こいつぁ大物だぜ、ったくよ、と鉄也は心の中で文句を言う。

そうしていると、美里の乗った『疾風』が空にゆっくりと浮かび上がる。

『挨拶が遅れました、一等陸佐。』

「なぁに、よくあることだ。気にするな、二等陸士。」

『一佐。彼女は・・・・・・・。』

「西。二等陸士の後ろ、任せる。」

『しかし。』

「お前も『メーサータンカー』の端くれだろうが。少しくらいはやってみせろ。」

『責任重大ですね。了解です、一佐。』

『それでしたら、自分が。』

「自分から言うのは良いがな、西島三等陸尉。お前にゃ、難しいと思うぜ。」

『ですが、一佐。』

「西は初陣じゃねー。お前と比べてな。訓練でうまくやれても、初陣のお前に任せるほどバカじゃねーんだよ。自信過剰も大概にしとけ。」

『・・・・・・・・了解、です。』

宏の言葉を聞いて、やれやれと鉄也は頭を抱えそうになる。

たしかに、怒りの感情は分からなくもない。

だが、初陣で緊張している宏と初陣はもうすでに経験している豊とでは、話が大きく違ってくる。

部下を生かすのも自衛官の、『メーサータンカー』である鉄也の仕事だ。

大きな爆弾とならなければ良いのだが。

「んじゃ、ちょいと確認といくか。二等陸士、アンクノウンってのは、なんだ?」

『はい、一等陸佐。アンクノウンとは、12年前、宇宙からやって来た正体不明の存在であり、人類とはコンタクト不能と判断された化け物、いえ、怪獣の事です。』

「上出来だ。追加で言うと、空自のとっておき、『ガルーダ』を抜かしやがる野郎だ。スピード勝負でやろうとするなよ?」

『気を付けます。』

『その時には、自分が入ります、一佐。』

「よく分かってるじゃん、一等陸尉。その調子で頼むぜ。」

『ははっ、善処します。』

とそんな事を話していると、大きな化け物、いや、怪獣と言った方が自然か、12年前も恐らくそうであったであろう自分達よりも上の大気圏外から侵入して来た証拠に全身が真っ赤に染まった顔がない怪獣の姿が目に写る。

「早速かよ。空自もなっちゃいないな。『ガルーダ』の爺さんの代わりの新型があるってのに、陸の『俺たち』に取られるったぁ、とんだ予算盗りもいたもんだ。」

徐々に熱が冷めていき、全身が、赤くなくなっていくと、顔無しの怪獣、アンクノウンは動き出す。

その動きに合わせるかのように、鉄也は腰部にある『ツインメーサーキャノン』の一方を構え、撃つ。

挨拶代わりの一発となった一撃ではあるが、アンクノウンの挨拶を鉄也は大きく避ける。

『一佐!!』

「当たっちゃいねーよ。」

『野郎!!』

鉄也の声を聞くと、豊は自身の機体、『烈風』の盾、『ファイヤーミラーシールド』にある『八連メーサーキャノン』をアンクノウンに向けて、撃ち出す。

豊と鉄也の攻撃を受け、アンクノウンは身体を大きく崩す。

崩すということは、『メーサー殺獣光線』の効果があるわけで、つまり。

「はっ、俺たち陸自の、『メーサータンカー』の敵じゃねーな!!」

『メーサー殺獣光線』が効かない、いや、効果が薄い自衛隊の敵、日本を襲ってきた怪獣王、ゴジラの仲間もしくはそれに近いモノではないということだ。

ならば、勝機はある。

なぜならば。

「『アギウス』だぞ!!!」

『アギウス』は日本の絶対的な盾、『イージスの盾』である。

もう片方の『メーサーキャノン』を構え、腰の両側から撃つ。

『やったか!?』

「いや。」

宏の言葉を鉄也は否定する。

あんな簡単に終わるはずもない。

そうであれば、ゴジラが襲来したときに『メーサー殺獣光線』があれば、どうにかなるということになる。

『Gフォース』等の組織もできなかった筈である。

その証拠に、『アンクノウン』はゆっくりと姿を現す。

『や、野郎・・・・・・・・。』

「予想通りっちゃ予想通りだけどよ、ちょいとぁ、裏切ってもいいんだぜ。んなぁこと言っても、無駄だけどよ。」

この世に、自身の願いを聞き届ける『神』という存在などはいない。

ただ単に、頑張ったかそうでないかのそれだけであいかない。それでも、報われることはないだろうが。

そういう風に世の中ができていたら、ゴジラを自衛隊は簡単に倒すことが出来たであろう。

やれやれ、それも困りもんだ、と鉄也が思っていると、不意に耳に警戒アラームが響く音が聞こえる。

『一佐!!!』

『新手か!!』

『上!?「空」から!?』

「おいおい、今日は大漁ってか。祭りじゃねーんだぞ。」

部下達の通信を聞き、鉄也は上を見る。

そこには、白い・・・・・・・・。

 

 

「アリア!?ユウキか!!」

その頃、地上の少し離れた場所では、勾玉に誘われるようにして、自衛隊と『アンクノウン』という怪獣とが戦っている戦場を見るようにしていた勇一がいた。

避難のために、廊下に皆が出た時を見計らって、一人だけ別行動となったわけだ。

今頃、担任が勇一がいないことに気が付いて、どうこうしているのか気になるところではあるが、今は、あの白龍を、アリアを自衛隊がどうするのか気になる。

気になってしまう。

腰部に『ツインメーサーキャノン』を構えている『アギウス』の第一世代機、『烈火』があるということはあれは、勇一の父親である鉄也の部隊である可能性が高い。

鏡のような『ファイヤーミラー』を大型の盾にした『ファイヤーミラーシールド』を装備し、『八連メーサーキャノン』を撃っている機体は『烈風』であると推測できる。

その『烈風』が二機いて『烈火』があるとなれば、近くの駐屯地にいる鉄也の部隊だということは確定であろう。

あの新型機は知らないが。

だが、外見からして『メーサー殺獣光線』を撃つ『メーサーキャノン』がないとなると、海上自衛隊か、航空自衛隊の機体であろうと予測ができる。

であるが、航空自衛隊ならば、『ガルーダ』の改良型が。海上自衛隊なら、海上でも行動可能の機体でないと筋が通らないことになる。

陸自の『アギウス』、『烈火』以下各機は突然現れた白龍を『アンクノウン』と同様に見て、怪獣として攻撃するのか、勇一は不安に思いながら、その様子を見ていた。

 

 

『こいつは・・・・・・・・・たしか、12年前の・・・・。』

「陸の方に出てきたっつーヤツだな。」

『まさか・・・・・。』

『どうした、二等陸士。』

白い姿の龍を見て、各員それぞれが感想を漏らす。

そういえば、と鉄也は思い出す。

敵というべきか否か。

あの時はたしか『アンクノウン』をぶん殴っていたはずだ。

であれば、味方と見るべきか。

どうする・・・・・?と鉄也は思い悩む。

今は一人ではない。

部下がいる。

部下達を再び帰さなくては隊長としての責任を放棄する事になる。

だが、早く判断せねば。

と、鉄也が考えていたとき、

『一佐!「あれ」は、あの「龍」は!』

「どうした、新崎二等陸士?」

美里の言葉に鉄也は疑問をぶつける。

『「白龍のアリア」です!』

「『白龍のアリア』・・・・・・・・?」

その名前を聞いて鉄也は疑問を抱く。

『白龍』というのは分かる。白い色をした龍であるというそのままを言っているのだろう。

だが、『アリア』というのは分からない。何故、名前があるのか?何故、名前を知っているのか?知っているということは、味方か敵か知っているのか?

疑問が出てくると尽きることなく、次から次に出てきてしまう。

だが今は。

「敵か味方か、どっちだ?」

『味方です、「彼女」は。』

『「彼女」?』

鉄也の言葉に美里は答えるが、その解答は新たな疑問を生む答えである。その答えに、豊は疑問をぶつける。

だが、今はそれは必要のないものだ。

「援護するぞ!」

『どっちをですか?』

「『白龍』をだ!」

あの白い龍が味方だと分かれば、それで十分だ。

瞬時に、鉄也は『アンクノウン』に腰部の『ツインメーサーキャノン』を穿つ。

その行動に、『白龍』は一瞬、驚いた様子を見せる。

何かを納得したかのように頷くと、右手を握りしめる。

その様子に黙っているつもりはない様に『アンクノウン』は咆哮し、光線と槍のようなものを『白龍』と鉄也たち、『アギウス』へと向けて放つ。

それを黙って当たる自衛隊の鉄也たち、『アギウス』ではない。

「西!!」

『入ります!!』

瞬時に豊に指示を出す。

その指示を予想していたのか、『ファイヤーミラーシールド』を構えて、射線に割って入る。

それらが、豊の、『烈風』の『ファイヤーミラーシールド』に続けて命中する。

盾を貫き、通すかと思いきや、元来た方向へと戻っていく。

そして、『アンクノウン』に命中すると。

『ツインメーサーキャノン』を受けても怯まなかった『アンクノウン』が吹き飛ぶではないか。

「さすが、『ファイヤーミラー』。えげつねーな、おい。」

その様子を見て、鉄也は軽く口笛を吹く。

『ファイヤーミラー』とは、合成ダイヤモンドの鏡で、その鏡に光線が当たると、一万倍になって反射するというとんでもない性能を持つ。

その性能の『ファイヤーミラー』を搭載した対G兵器、『スーパーXⅡ』の武装である。

『烈風』は対G兵器の『ファイヤーミラー』を盾にした『ファイヤーミラーシールド』を持っていることから分かると通り、『もしも』の場合に備えての自衛隊の切り札だ。

『アギウス』、『イージス』の名の通り、絶対守護の盾だ。日本の大地を怪獣に、化け物どもに荒らさせるわけにはいかない。

そのための自衛隊だ。

「うん?」

ふと、『アリア』の様子が気になり、視線を向ける。

すると、『アリア』の握り締めた右手の拳が紅く発熱する。

そして、バッと勢いよく翼を広げ。

『アンクノウン』に向け、勢いよく跳び。

『アンクノウン』に右手を振り抜く。

『なんて野郎だ。』

『殴るか・・・・・・。』

「よくやる。」

はははっ、と鉄也は軽く笑う。

『アリア』を見ると、地上を見ていた。

鉄也はその視線を追ってみると・・・・・。

「勇一!?何やってんだ!?」

『ゆうくんっ!?』

自分の息子、柳勇一がそこにいた。

 

 

 

 

こうして物語は幕を開ける。

 

 

まだ、物語は始まったばかり・・・・・・・・。

 




ーー後書き?ーーyes、後書き。

はい、というわけで第一話の後書きになります。
なんとか出来ました。
はい、なんとかです。
プロローグの履歴を見ればもう一年でしたか。
結構、早いというか。
遅いということは少なくともありませんが。
そういえば、シン・ゴジラ、始まりましたね。
私はまだ見ていないのでアレですが。
一応書いておきますが、シン・ゴジラとは一切関わりはございません。
だってよ、ジラさんなんだぜ?とかでお馴染みのマグロ食ってる方ともギャレゴジ(2014ゴジラ)ともファイナル・ウォーズとも関わりはございません。
二次創作という形で書いてはいますが。
さて、続き書けるか、疑問ではありますが。
頑張るか。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。