ROCKMAN X : BOY OUT OF NIJIGEN DREAM - ANOTHER CRITICAL FIRST   作:あやか

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WARNING

今回から8大ボスが登場します。
ただし、「世界観が違うんだから何人かは原作と違うモチーフになっていてないと不自然」との発想から、一部のボスはオリキャラに差し替えられています。
また全員が、二次元ドリーム側のヒロインたちに対応するキャラとタッグを組んでいますので、その点を踏まえた上での閲覧をお願い申し上げます。


STAGE 1:友はいつもいつでもこの氷の世界にいる

南極の北岸。

俺たちを乗せた飛行艇は今、この万年雪大陸の上空を飛んでいる。

目的は一つ、この大地に存在する第13極地部隊の基地を攻略するため。

 

『地上との高度差、20mを切りました! ハッチをオープンします!』

 

俺は今、一人の少女(とはいっても、学年は俺よりずっと上であり、俺が起動するよりも目の歳の生まれ、要は年上だ)と一緒に、ライドチェイサーに乗っている。

彼女は、俺と背中合わせになるようにして乗っている

ここは、機体後部の搬入用ハッチがある格納庫。

そのハッチが開かれて、南極の冷気が俺たちを襲う。

 

「大丈夫なの?」

 

「魔法で防寒フィールドを形成しているけど、完全シャットアウトまではいかないね」

 

少女……雅華鈴(みやび かりん)は肌寒そうにはしているけど、意外にもヘッチャラだと言わんばかりだ。

体脂肪率は低そうなんだけどなぁ……。

そう考えていたら、飛行機の操縦補佐兼オペレート担当のパレットの声がスピーカー越しにまた聞こえた。

 

『エックスさん、華鈴さん。第13極地部隊を確認。向こうは迎撃態勢に入っています! お二人を投下後、こちらはタスマニア島まで後退して、作戦終了まで同地で待機します!』

 

「それで構わない」

 

俺は言うや否や、ライドチェイサーを起動し、エンジンを一気に吹かす。

固定用のフックを外してもらおうとした直前、華鈴の何ともかわいらしい悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

 

STAGE 1:友はいつもいつでもこの氷の世界にいる

 

ステージボス:『狂気山脈の植物王 アイシー・マスビューム』 『極寒の魔氷卿 エレベス』

 

 

 

 

 

話は、数日前に遡る。

前回の直後、ハンターベースに戻った俺たちは、そこで電波ジャックに及んだスティグマの声明を聞いた。

 

「『レプリロイド用国民権利法』が施行されて、既に数十年を過ぎた。これに呼応する様に世界各国も同じ内容の法律を作った。しかし、人間の中には依然としてレプリロイドを恐れ、排除しようと躍起になる愚か者たちがいる! あらゆる層にだ!

 

 奴らは同じ人間を差別し、己を含む大勢の人命より自らの卑小な満足感を優先させている! 私に言わせれば、そのような連中もイレギュラーだ! 世界には、数多の数の犯罪組織が跋扈し、人ならざる悪しき者たちが蠢いている!

 

 奴らはそれらの脅威から自分たちを守ってくれる者たちを疑い、裏切り、陥れ、間接的に平和を乱している! 各国の政府がこのような事態を放置している以上、この世界の支配権を簒奪せざるを得ないと判断した!

 

 よって、このスティグマは『Worldwide Wildry Warriors』、通称『ワールドスリー』の結成を宣言し、この地球上の全国家に宣戦を布告する!!

 

 大多数の理解力ある人たちに告げる。ワールドスリーの掲げる統一国家体制を受け入れるがいい……! フハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

凄まじく耳障りな内容だ。

幸い、出鼻をくじく形になった日本はそこまで被害は受けていないが、ワールドスリーは世界各国で猛威を振るっていた。

レプリロイドに違反者、ミレニアムの残党にその他多数の超自然的存在の混成軍の猛攻の前に、各国の軍は足並みが揃わなかったのである。

世界を影で守ってきたスーパーヒロインたちはこの事態を憂慮して表立って迎え撃ったが、スティグマが言った通り、各国の政府や軍は彼女たちを信用しなかったために潰走に更なる潰走を重ねる格好となった。

 

「……政府の人とか無視してやった方が勝ち目があるかも」

 

エイリアがこうこぼすのも無理はない。

それほどまでにワールドスリーの進軍は迅速で効率的だったのだ。

これを見ていたのは俺とエイリアだけではない。

スティグマの反乱に加わらなかった仲間たちに加え、姉さんとやいとにエミット、そしてあの時ゼロと一緒に駆け付けてくれた七人もだ。

七人はさっきと変わらず、俺をひどく悲しそうな目で見る。

…………こういうのを、『針のむしろ』っていうのかな?

やいとが彼女たちを刺すような眼で睨んでいるのもあってか、場の空気が重い。

 

「なあ、本当に気になるんだ。どうして俺をそんな泣きそうな目で見るんだ?」

 

耐え切れずにもう一度訪ねるのだが、七人は答えてくれない。

 

「……恵玖須。知らない方がいいことかもしれないよ」

 

「知る権利を行使する! レプリロイドであろうが人間であろうが、記憶に封印された箇所があるなんて、気分のいいものじゃない!」

 

諌めてくるエミットに対して、俺は返した。

場の空気が更に悪くなりそうになったが、そこにオペレーターの一人、レイヤーが室内に慌てて入ってきた。

 

「ゼロさんから連絡が入りました! ワールドスリーの幹部たちの詳細が判明したとのことです!」

 

 

 

会議室。

レイヤーが端末を操作して、3Dディスプレイを表示する。

すると、イレギュラーハンターに所属していた8人、スティグマに加担した違反者やミレニアム残党、その他協力者8人、計16人の顔写真が表示された。

 

「この16人がスティグマ直属の部下、いわばワールドスリーの最高幹部です。2人1組の計8チームに分かれて世界各地に散らばっています。デスログマーを拠点とするイーグリードの部隊を始め、殆どの部隊は行方が掴めていません。居場所が分かっているのはこのチームのみです」

 

レイヤーが再度端末を操作し、ディスプレイが1組のチームをアップで表示する。

そして、そのチームの拠点も。

 

「第13極地部隊の副隊長『アイシー・マスビューム』と深淵王ギスカールの腹心だった『エレベス』です。本部への定期報告のインターバルが非常に長いことを逆手に取り、早い段階で部隊を掌握していた模様です」

 

「ギスカールの腹心!? え? ボク、こいつはをここで初めて知ったよ!」

 

「その点に関しては、『ミスル』の友好国から重要な情報をいただきました。その実力を高く買っていたギスカールに別働隊を任されていたため、ミスル侵攻とこの世界への侵攻には参加していなかったとのことです」

 

7人の一人、栗毛のツインテールで幼児体型なボク少女が驚いた。

それに対してレイヤーは冷静に答える。

口ぶりから察するに、ツインテールの人は『ギスカール』と因縁があるようだ。

だが俺には、それより遥かに気がかりな点がある。

マルス……。

 

「レイヤー。マルスは、第13極地部隊の隊長であるはずのマルスはどうなった?」

 

「残念ながら……消息は不明、としか」

 

「そんな……」

 

ひょっとしたら……。

いや、それは考えないでおこう。

 

「最悪、マスビュームの造反で戦死している可能性もありますね」

 

……そう決めた瞬間にパレットが不吉なことを言ったよ!

何なんだ、このアホの子は!

 

「パレェェェェェェェェェェェェェットォォォォォォォーッ! いきなり不吉なことを言うなぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「ひいいいいいいいっ!?」

 

「恵玖須! 落ち着いて!」

 

全力で食って掛かろうとしたら、姉さん……と七人の謎の人たちに取り押さえられてしまった。

レイヤーは少し引いた表情で、端末を再度操作する。

直後、ディスプレイに第13極地部隊の基地の詳細が表示される。

 

「緯度と経度がとある小説に出てくる架空の山脈と全く同じであったために、それの架空の山脈から命名された『狂気山脈』。第13極地部隊はこの山脈にある地下空間を基地として利用しています。今回の作戦は至ってシンプル。

 

 飛行機で南極に移動し、狂気山脈周辺にライドチェイサーを投下。ライドチェイサーに搭乗した少数の作戦要員で狂気山脈基地へと突入。マスビュームとエレベスを処分してもらいます。

 

 現在、イレギュラーハンターはスティグマに賛同して多くのメンバーが離反して弱体化したため、スーパーヒロインたちの協力を受けつつも各国での侵攻を迎え撃つのが精いっぱいです。

 

 侵攻らしい侵攻がない日本でも、ワールドスリーの攻撃が散発的に起きているため、ここに残っている面々の大半はそれらの対応を余儀なくされます。よって、今回の作戦に割ける人員はどうしても少数になります。

 

 他にも、誰が突入するかという問題もあるのですが」

 

「ボクが行く。ギスカールの手下なら、放っておけない!」

 

「俺も行こう。マルスが気がかりだ」

 

俺とツインテールの人、この二人で今回の作戦をこなすことになるのか。

それから、散発的に発生するイレギュラー処理や準備やら何やらで時間がかかり、作戦決行はこのブリーフィングから数日後になった。

 

 

 

 

 

それから時は流れて今。

いざ出撃、と行ったところで急に華鈴が可愛らしい悲鳴を上げた。

振り向いたら、彼女の友人である近江渚(おうみ なぎさ)が華鈴に抱きついていた。

本来は部外者なのだが、ギスカールのことを知っている数少ない人物であることを強硬に主張して、この飛行機に強引に乗り込んできたのだ。

 

「華鈴! 変身しないで大丈夫なの? 南極なのよ! 極寒の銀世界なのよ! とっても寒いのよ!」

 

「防寒フィールドを貼ってあるから大丈夫だって」

 

少し迷惑そうにしながら、華鈴は戸惑っている。

 

「……なんで格納庫に?」

 

「私も同行させてもらうわ。従軍カメラマンみたいなものだと思ってちょうだい!」

 

……なんて言えばいいのか分からない。

華鈴を見ている目が、妙に潤んでいるし、鼻息も荒い。

危ない人みたいだ。

 

「なあ、華鈴……」

 

「呼び捨てするな!」

 

「華鈴さん……?」

 

「よしよし。相変わらず恵玖須ちゃんは素直だね」

 

……華鈴さんも華鈴さんで、俺に対してお姉さんぶりたがっている節がある。

この作戦、大丈夫かな?

 

「それで、渚……さんをどうする?」

 

何となく、彼女も呼び捨てしてはいけないと思った。

 

「この調子じゃ何が何でもついて行きそうだから、大人しく連れて行くしかないね……。渚ちゃんはいつだってこうだもん。はふぅ……」

 

仕方ないなぁ……。

 

「許可はするけど、華鈴さんの邪魔だけはしないでくれよ」

 

「その点は問題ないわ」

 

渚さんは嬉々として、俺と背中合わせになるように、俺と華鈴さんの間に座り込む。

彼女の嬉々とした声が聞こえるが、座り方から察するに華鈴さんを欲望のままに抱きしめているのだろう。

不安になってきたが、今更四の五の言えない。

固定用のフックを外してもらおう。

 

「パレット。固定用のフックを解除してくれ」

 

『了解です』

 

パレットの復唱から少し遅れて、ライドチェイサーを固定していたフックが外れる。

瞬間、滑るようにライドチェイサーは後ろ向きのまま機外に飛び出す。

飛び出す直前、何か……いや、渚さんが同行していることに今更気づいたパレットの悲鳴が轟いた。

 

『あわわわ! 渚さん! ダメですよー! 素人の一般人がついて行っても足手まといに~~~~!!』

 

もう遅い。

パレットの絶叫は、外に出た瞬間に吹雪の音にかき消されて俺たちには届かなくなった……。

着地!

俺はすぐに加速させる。

瞬間、ライドチェイサーは一気に100㎞オーバーの速度を出して雪原を走り出した。

更に加速を増し、ライドチェイサーの時速はアッと言う間に200㎞を超える。

追ってくるメカニロイドの迎撃は華鈴さんに任せて、俺は操縦に専念しよう。

 

 

 

 

 

「あれか……」

 

第13極地部隊のメカニロイドの追撃を振り切り、俺たちは狂気山脈にたどり着いた。

ライドチェイサーを一時的に停車させ、俺たちは山脈を見渡す。

小説に出てくる元ネタよりだいぶ低いがそれでも三角錐のような形状の山々の密集した連なりは不気味だ。

余りの異様に、俺の中を巡る不安が増幅されるのでは、と錯覚してしまう。

 

「恵玖須ちゃん?」

 

「……今、錯覚しそうになった。マルスはもう、生きていないんじゃないかって、そんな不安が急に強くなった気が、したんだ」

 

気のせいだろうか、体の内側から激しい鼓動が聞こえているような気もする。

幻聴というやつか。

 

「名前の力、ってやつよ。狂気山脈の由来を知らない、あるいはそういう名前だと知らない人には『珍しい形の山ばっかりでできた山脈』に見えるわ。だけど、その逆なら『名前通りの不気味な山脈』になる。

 

 名前にはね、そういう力があるのよ。その錯覚も、貴方が『狂気山脈』が何なのかを知っているからよ」

 

渚さんは、真剣な面持ちでカメラのシャッターを切りながら語りだす。

 

「例え、『古のもの』達の遺跡がなくても、『ショゴス』がいなくても、人の心を不安で塗り潰す力があるのよ。『狂気山脈』という名前には」

 

そういう物なのか……。

基地へと急ごう。

いくら華鈴さんが防寒フィールドを張っていても、立ち止まっていたら吹雪と冷気にやられてしまう可能性は高くなる。

俺としても、マルスの安否を一刻も早く確かめたい。

 

 

 

 

 

狂気山脈基地の出入口。

地下空間内部に入った俺たちは、その光景に唖然としていた。

なんというか、目の前の門がいかにもな機械なので、山脈の異様とのギャップが物凄い。

南極条約が形骸化しているとはいえ、ここまでしていいのだろうか?

 

「内部の気温は、氷点下一桁程度にまで上昇している。吹雪が入ってこないだけでここまで気温が上がるのか」

 

俺がそう呟いた直後、門が突然開いた。

開いた門から、レプリロイド達が大挙して飛び出してくる。

しかし、彼らからは敵意らしい敵意を感じない。

 

「どちらさんで?」

 

「イレギュラハンターだ。第13極地部隊隊長、マルスの安否確認のために来た」

 

「…………急げ。そのライドチェイサーは俺たちが隠しておくから、早く街に入れ!」

 

そのまま、彼らに案内されるがままに俺たちは街の中へと入って行った。

 

 

 

「気温は……信じられない、氷点下より上だ」

 

「えっと……。それって、防寒フィールドを解除しても大丈夫、ってこと?」

 

「だと思う」

 

華鈴さんは、自分と渚さんにかけていた防寒フィールドを解除したらしく、寒さで多少震えた。

もっとも、それほど寒くはないようだけど。

それにしても、まるで繁華街だ。

ワールドスリーの支配下とは思えないほど活気がある。

 

「これ、基地っていうよりまるで街だね」

 

「それに、ワールドスリーの支配下とは思えないほど賑やかさよ」

 

やっぱり華鈴さんと渚さんもそう感じたか。

その言葉に、俺たちを案内してくれたレプリロイド(ジガヴィーって名前だそうだ)が不思議そうな表情をした。

 

「そりゃそうだよ。だってこの街は第13極地部隊の管轄下じゃなくて、第13極地部隊を含む一部組織の代表に徒党を組ませた自治議会が取り仕切っているんだから」

 

「つまり、ワールドスリーの支配下ではない、と?」

 

「うん。マスビュームの方も俺らとはドンパチしたくないから、敵が来ない限り俺らの迷惑になる真似はしないな。つーわけで、あんたたちのことは隠させてもらう。俺たちゃ、あの地獄の吹雪に耐えてここまで来た客を門前払いするクズにはなりたくないんだ」

 

 

 

ジガヴィーの店、『吐麗美庵(トレビアン)』。

フランスの家庭料理を日本の居酒屋のメニューとごっちゃにした感じのお店だ。

純粋な当て字だけど、それを踏まえても『吐』の字を飲食店につけるのはどうかと思う。

俺たちが連れ込まれたのは、この店の奥にある『特別御座敷』。

この店で出るであろう料理が、可能な限りちゃぶ台(長方形で上座と下座があるタイプ)に並べられていく。

流石に変だと気付いたのか、渚さんが口を開いた。

 

「頼んだ覚えはないわよ」

 

「消費期限切れになったら笑えないからな。在庫一掃だからは金はいらんが、残さず食ってくれ。隊長さんに甘えて、第13極地部隊の連中の金で持たせてたのが裏目に出ちまった」

 

おいおい。

そういう裏事情をあっさりと客の前で言うなよ。

 

「ちゃぶ台ひっくり返すわよ?」

 

「そんなこと言わないでさ……。デザートと各種ドリンク、アルコール類も弾むから! な?」

 

本当に大盤振舞いだな。

ここまで行くと感心するしかない。

 

「ジガヴィーさんもここまで行っているんだから……」

 

「華鈴がそう言うのなら、不問にするしかないわね」

 

華鈴さんに諌められて大人しくなったのか、渚さんはトーンダウン。

一波乱がここで起きなくてよかった。

 

「あ、先に匿っていたもう一組様を忘れていた。ちょっと待っててくれ。連れてくるから」

 

そういって、ジガヴィーはどこかに行ってしまった。

待っている間、最後にマルスと会った時のことを思い出そう……。

 

 

 

 

 

今から2年前……。

 

『マルスっ!』

 

『大声出すなんてどうした? らしくないぞ、エックス』

 

『第13極地部隊に異動になったって、本当なのか?』

 

『部隊長だぜ? 正真正銘の栄転さ。第一、一生の別れになるわけじゃない』

 

『それは、そうだけど……』

 

『それによ……人間がいる街だとな、俺のゴツイ図体にはちょっとばかり狭過ぎるんだよ……。だから、人間がそう簡単に寄り付けない厳しい自然下で仕事がしたいんだよ』

 

この言葉を残して、マルスは第13極地部隊のある南極へと行ってしまった。

 

 

 

 

 

「……ちゃん。恵玖須ちゃん。ジガヴィーさんが『もう一組』を連れてきたよ」

 

「……あっ」

 

華鈴さんに話しかけられて思考が現実に戻った俺は、ジガヴィーが連れてきた『もう一組』を見渡した。

男性2人に女性1人、俺たちとは反対だな。

……よく見ると、テレビ撮影用のカメラを持ってきている。

どういうことだ?

 

「テレビ局の人たちさ。リポーターの横山陽菜(よこやま ひな)さんに、カメラマンの出月一史(いづき ひとし)さん、そしてディレクターの砂山登(すなやま のぼる)さん。

 

 狂気山脈を撮影するために長期スケジュールでかなりの人数揃えてここまで来てくれたんだが、第13極地部隊がマスビュームに乗っ取られた時に、隠蔽目的の襲撃にあったんだ。

 

 クルーはこの人たちを除いて全滅。ハンターベース本部やテレビ局には、『事故で全滅』とか言って適当に誤魔化しているはずだ」

 

何てことだ。

事情を説明したジガヴィーも、かなり沈痛な表情になっている。

 

「俺は空腹に耐えきれずにここで朝飯食うのを優先して、出月は機材の最終チェックに手間取って、横っちはいつもの発声練習やってて集合が遅れたんで難を逃れることができた。仲間たちが殺られた後は乗ってきた飛行機を、ジガヴィー達が囮にしてくれたおかげで何とか今まで生きてこれたんだ」

 

そう言えば、少し前にテレビで南極撮影に向かったクルーが行方不明になるってニュースになっていたな。

あのニュースがあった時点でマルスは消息不明になっていたということか……。

マスビュームめ!

華鈴さんの方も、かなり怒っているらしく表情が険しい。

 

「まあ……その……なんだ……。腹が減ってたら戦争はできないんだ。食えるだけ食ってさ、元気、出してくれよ」

 

 

 

それから数十分後。

何があったのか? 何のために俺たちが来たのか? といった話題を交えながら、食事にありついた。

出てきた料理を一通り平らげた俺たち(半分以上は俺が片づけたのだが)は、非常時であるにも拘らずくつろいでしまう。

ふと、この部屋に場違いな感がするものが目に付いた。

それを注視していたら、出月さんが話しかけてきた。

 

「これは、テレビカメラだよ。ソーラーエネルギー方式の超省エネモデル。折り畳み式三脚でぶれない撮影も可能。衛星通信式だからかちょっとした準備だけで生中継もできる優れものさ」

 

最近の業務用機材は凄いな。

 

「生中継……。そうだ! あんた、確かイレギュラーハンターなんだろ? だったらあんたが戦っているとこを中継させてくれないか?」

 

「…………はい?」

 

砂山さんがいきなり素っ頓狂なことを言い出した。

正気だろうか?

勿論、出月さんと横山さんがツッコミを入れてきた。

 

「ディレクター!」

 

「危ないですよー!」

 

「戦場報道に危険はつきもの! 迷惑にならないように距離を取ればいいのさ!」

 

そう言う問題か?

華鈴さんとジガヴィーも固まっている。

しかし、渚さんだけは砂山さんに同意しているかのような表情をしている。

 

「なあ、頼むよ。スティグマの側近を一度に2人倒すとこを中継すれば、それだけで世界中を覆う不安を大きく削ぐことができるんだ」

 

「……」

 

純粋なスクープ狙い、という訳ではないのか。

そういうことなら……。

危ない点に関しても、この人に限っては覚悟の上だし。。

 

「華鈴さんと渚さんは、どう思う?」

 

「陽菜さんと出月さん次第、かな?」

 

「砂山さんの言い分にも一理あるわね」

 

渚さんは自分と似た何かを感じ取ったのか、砂山さんに対して肯定的だ。

となると後は、華鈴さんの言う通り横山さんと出月さん次第か。

 

「ああ言われるとさ、俺もその気になりそうなんだけどさ、横っちはどう思う?」

 

「……このままジッとしているより、日本に帰れる可能性に懸けます!」

 

「だそうです。だから俺も付き合います」

 

……とりあえず、満場一致ということか。

出月さんもカメラを起動して、撮影の準備をしている。

よし……。

 

 

 

 

 

イレギュラーハンター本部。

 

「なんなのコレ!?」

 

テレビに中継された光景に、エイリアは驚愕する。

狂気山脈の地下空間内にあるダイアータウンの飲食店から、エックス達が飛び出して狂気山脈基地へと走り出す姿が中継されていたからだ。

 

『日本ローカル放送局ギルドのリポーター、横山陽菜です! 南極は狂気山脈地下のダイアータウンから中継しています! 現在、ワールドスリーに掌握された第13極地部隊を相手に、イレギュラーハンターが交戦している状態です!

 

 第13極地部隊のライドアーマー中隊と正体不明の怪物の混成部隊が大挙して押し寄せていますが、B級ハンターの楠恵玖須君と、民間協力者の雅華鈴さんが全力で撃退しています! 凄いですね……。押し寄せる大群を物としていません!』

 

『当然よ! 私の華鈴ですもの! ギスカールの元手下連中なんかに負けるはずないでしょ!』

 

『えっと……渚さん。私とディレクター、出月さんは事前に聞いているから知っていますけど、これをご覧になっている視聴者の皆さんに向けてギスカールが何なのかを説明してもらっていいですか??』

 

『信じられないでしょうけど、異世界からやって来た悪魔の総元締め「深淵王」よ。国1つを1晩で滅ぼせるトンデモない奴だったけど、去年、華鈴が殺っつけたからもう死んでいるわ。その残党がよりにもよってワールドスリーに合流したのよ!』

 

『とのことです。でも、よく華鈴さんはそんな化け物を倒せましたね』

 

『当然! だってその滅ぼされた国の秘宝「エンジェルスキン」に選ばれた正義の魔法少女ですもの! ……最近は滅多に変身してくれないからとっても寂しいけど』

 

この放送は、『日本ローカル放送局ギルド』の加盟局を通じて、日本中に流れた。

そう、イレギュラーハンター本部はおろか、楠家や、華鈴の家にも。

そして、沙枝と恵玖須の父の勤め先や、華鈴の父の勤め先にも、だ。

華鈴の両親が受けた衝撃は、如何ほどの物だったのだろうか?

 

 

 

 

 

「あらかた片付いたね。恵玖須ちゃんが手伝ってくれると早い早い」

 

俺は、華鈴さんの言葉にただ、頷いた。

半分以上は、華鈴さんがヴァンパイア・ロッドの力だけで倒したのだが……。

 

「えー。変身しないのー?」

 

「しない! 生中継されてるならなおさら!」

 

変身する、しないで渚さんと華鈴さんが言い争っている。

華鈴さんが変身したがらないのは、そもそも渚さんにも原因が…………。

瞬間、頭の内側から『パキッ』っと何かが砕ける音がした。

そして……。

 

「思い出した! 華鈴さんのことを完全に思い出した!」

 

「どうしたんですか!? いきなり」

 

「いや……、何故かオレの記憶の一部はDr.ケイリーの一存で封印されているんだ。理由は俺にも分からない」

 

それに、全部の封印が解けた訳じゃない。

華鈴さんのことは思い出せたけど、残りの6人に関してはまだまださっぱりだ。

心なしか、俺が思い出したと言ったことに対して嬉しさ半分疑い半分な華鈴さんがそこにいた。

 

「僕と初めて会ったのはどんな時だった?」

 

「…………真夜中で、怪物相手に戦っているところを加勢した」

 

「正解!」

 

物凄く嬉しそうだ。

オレの肩をポンポンと、撫でるように何度も叩く。

…………?

それとシンクロするように地面が揺れて‥……違う!

新手が来たんだ!

 

「お前らよくも先発隊を殺ってくれたな! お前らは完全に包囲されている! 無駄な抵抗はやめろ!」

 

……頭数は見た限りさっきの倍以上。

割合はさっきと同じ。

流石に俺と華鈴さんも、このままでは相手にし切れないな。

俺はバスターを一度解除して、まくった袖を正す。

そして、預けていた制服の上着を砂山さんから返してもらい、羽織った。

 

「このままで大丈夫と思う? 俺は無理だと思う」

 

「……ボクも無理だと思う。悠久の時に埋もれし、安らかなる慈しみの闇よ。正義の名の契約の下、我が身を包みたまえ。エンジェリック・レヴォリューション!」

 

俺と同じ判断をした華鈴さんが、ついに変身する。

ヴァンパイア・ロッドから小さなコウモリが大量に飛び出して華鈴さんの周りを……。

ヤバい!

俺は慌てて出月さんのところまで駆け寄り、レンズを手で覆った。

出月さんが軽く悲鳴を上げる。

 

「おわ!?」

 

「カメラ! カメラを華鈴さんから逸らして! 変身シーンを映したら不味い!」

 

「え!? どういうことですか?」

 

「華鈴さんの方を見れば分かる!」

 

何故かを聞こうとした横山さんに、俺は急いで答える。

それを聞いた横山さん、出月さん、砂山さんが変身中の華鈴さんを見る。

3人とも、瞬時に俺の言いたいことを納得してくれた。

コウモリたちが華鈴さんの服を闇にかき消し裸にした直後、一際大きな1匹が華鈴さんの胸元に吸い付く。

そしてそれに呼応して華鈴さんの体が疑似的に成長する。

膨らんだバストがバストができたてのババロアの如く揺れ……出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んだ体つきになり、身長と髪も伸びて顔つきも多少大人びていく。

…………ナイスバディだ。

 

「えー。放送上不適切な個所が変身プロセスにあるため、変身するところはお見せできません。何卒ご了承ください」

 

華鈴さんが映らないように、出月さんはカメラの視界を思いっきり逸らす。

横山さんがそれに合わせて淡々と、冷や汗をかきながら理由を視聴者に説明した。

華鈴さんの擬似的成長が完了し、コウモリたちは一斉に黒い霧を経て『エンジェルスキン』へと変わっていく。

まずは半透明の黒いインナー(全裸よりはしたないような気がする)。

その次に、漆黒の黒いドレス(ノーブラな上にスカートに当たる部分が黒のシースルーっていうのはどうなんだろう?)。

腰に悪魔の翼型のリボン、首・胸元・靴の膝の部分に紅い宝石がそれぞれ装着され、華鈴さんの変身が完了した。

 

「正しき魔法の担い手。魔法少女エンジェリックカリン!!」

 

変身が完了したのを見計らって出月さんは、華鈴さんが名乗りを上げる直前に彼女に再びカメラを合わせた。

渚さんも狂喜乱舞の状態でシャッターを押しまくっている。

下半身が鮮明に映らないことを願うしかない。

さて、俺も完全戦闘モードに移行するか。

 

「コンディション・レッドと判断し、完全戦闘モードに移行。システム・オール・メガミックス!」

 

移行用コードを発声した(言わなくても移行できるのだが、言った方が移行時間が短い)瞬間、俺の体は顔を除いて蒼く発光。

蒼い戦闘アーマーとヘルメットが全身を包み込んだ姿へと変わった(説明し忘れていたが、前回もスティグマと戦う際にこのモードに移行している)。

 

「できることなら余り撃ちたくないが……撃たれる覚悟がある以上、お前たちを撃つ!」

 

今は、迷っている暇はない。

敵を全て蹴散らしてでも、マルスを探さないと……!

そう考えたの同時発射したエネルギー弾が、敵のライドアーマーの1台に着弾。

装甲を多少破損させた程度だったが、向こうをその気にさせるには充分過ぎる合図だった。

一斉に押し寄せてくる敵を相手に、俺と華鈴さんはそれぞれの武器を構えて迎え撃つ!

セミチャージショットで奥にいる奴を撃ち抜いて、残されたライドアーマーに強奪同然に乗り込む。

VAVAほどではないけど、上手く動かせそうだ。

一気にダッシュして悪魔の群れに突っ込んで、ライドアーマーのアームを操作して豪快なパンチの嵐だ!

 

「オォラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

 

悪魔共相手に抉り抜くほどの一撃を連続して、打つべし!

紙吹雪のように悪魔共が吹き飛んでいく。

ライドアーマー中隊の面々はその光景に唖然としているが、それを見逃すほど華鈴さんは甘くない。

 

「慈しみの闇よ、深淵の淑女よ! ボクの手の中で無邪気に舞え! ダークネス・フローティング・カッター!」

 

空中に大量の黒い刃物が出現し、ライドアーマー中隊を紙のごとく易々と切り刻んでいく。

お互い変身している方がはるかに強いらしく、先発隊とほぼ変わらない時間で後続を全滅させることができた。

 

「何て言えばいいか分かりません。恵玖須君に関してはB級という自己申告が嫌味レベルの謙遜としか思えないほどの暴れっぷりでした」

 

そこはかとなく癪に触るようなコメントが、横山さんの口から飛び出した気がする。

……そんなことを気にしていい時じゃないな。

基地に向かわないと。

ディスプレイを見る限り、ホバースキーは装備されているな。

まあ、雪と氷で覆われた南極用だから当然か。

 

「みんな、このライドアーマーの手や肩に乗ってくれ。このライドアーマーで一気に基地まで向かおう」

 

 

 

 

 

ホバースキーをフルアクセルにして、ライドアーマーは狂気山脈基地目掛けて疾走する。

街とは違って南極の冷気が入り込んでいるせいか、所々地面が凍結している。

ローラーダッシュじゃなくてホバースキーが装備されているのも無理はないな。

 

「流石に街とは違って冷気が直接入り込んで来るな」

 

「華鈴ちゃんが魔法で防寒フィールド貼ってくれてるから何とかなってますけど、実際は死にそうになるほど寒いでしょうね」

 

砂山さんと出月さんが、外から入ってくる冷気に関して的確なことを言っている。

ゼロから聞いたことだが、狂気山脈基地が建設された山は特に空洞が多く、山腹にも存在する上に分厚い氷がひしめき合っている。

ライドアーマーも、ちょうどその氷の塊が詰め込まれている場所にいる。

しかし……。

 

「氷壁の形がおかしい。切り取られたような箇所が点在している」

 

余りにも気になるので、ライドアーマーを一旦停止させて氷の塊がある個所を見渡す。

 

「これは……。確実に切り取った跡ね。何に使うのかしら?」

 

渚さんもカメラで撮影しながら首を傾げている。

顔が少し火照っている華鈴さんも、不思議そうにしている。

 

「飲み水? ……それともどこかの工場で使うのかな?」

 

「わざわざ南極から採った氷を溶かして? それなら性能のいい浄水器を使った方が安上がりだわ」

 

渚さんの言う通りだ。

飲み水は流石に……。

……工業用水?

 

「……有り得る。工業用水なら十分に有り得る! 流石だよ、華鈴さん!」

 

「?」

 

「しかし……問題は何故工業用水として使うか、だな。マスビューム達から聞き出すしかないな」

 

 

 

 

 

狂気山脈基地内部。

内部にいる敵を蹴散らしつつ、基地の深部へと突き進んでいく。

ちなみに、ライドアーマーを乗り捨てて俺たちは基地内部を歩いている

それにしても、どこか寂しげだ。

なんというか、人通りがなさそうというか。

 

「テレビをご覧の皆様。我々は現在第13極地部隊の根城、狂気山脈基地にいます。ですが、散発的に敵が出て来るだけで、大部隊はほとんど出てきませんでした。不可解です」

 

横山さんもああ言っている。

レプリロイドだけならともかく、悪魔までいないとなると……。

そう思った直後、フロア全体が揺れ出したかのように感じる。

いや、この揺れは本物だ。

 

うおおおおおおおおおおおおおおおおおー!!

 

目の前から、第13極地部隊と悪魔共の混成軍が一斉に突撃してきた!

いきなりどうして!?

 

「恵玖須ちゃん!」

 

華鈴さんは既にヴァンパイア・ロッドを構えている。

仕方ないな……。

 

 

 

それから三十数分後。

ここまで来る途中も十分死屍累々だったけど、それ以上になってしまった。

それにしても、どうしていきなり出てきたのか……。

これに関してもマスビューム達に聞くしかないようだ。

あれこれ考えながら歩き続けていると、俺たちは大きな扉の前にたどり着いた。

スイッチ類があるから……エレベーターみたいだな。

 

「これに乗ってみよう。ひょっとしたら、高い所に奴らがいるかもしれない」

 

 

 

エレベーターがどんどん上昇していく。

胸騒ぎが、嫌な気配がどんどん強くなっていく。

間違いなく、マスビュームもエレベスも上にいる!

 

"最上階に到着しました”

 

音声案内が、基地の最上階に到着したことを告げ、エレベーターのドアも開かれた。

目の前に、銀世界が広がる。

山に積もった雪が変化してできた氷の壁だ……。

床は凍っていないし、残りの壁も岩肌。

ただ、岩肌の大部分は雪や氷が張りついて氷壁みたいになっている。

そして、目の前に見覚えのあるシルエットが映る。

……アレは、アレは!

 

「…………マルス。マルスゥー!」

 

間違いない、マルスだ!

生きていたんだ!

俺はシルエット目掛けて走り出す。

華鈴さんたちが止めるのも聞かずにだ。

 

「マルス! マル…………ス……!?」

 

え……?

そんな……。

立ったまま、氷漬けになっている!?

しかも、あちこちがボロボロで……胸板に風穴まで!

 

「ダメだろ! 芸術品に無闇に近づいちゃ!」

 

少し高音の声と共に氷の弾丸が俺の足元に着弾する。

 

「誰だ!?」

 

「……そいつは畏れ多くもスティグマさんの理想に異を唱えてなぁ」

 

「なーのーでー、我々としてはーその方にー生きていられるとー、ひっじょーっに不都合だったんだよねー」

 

「だから“処分”しちまったのさぁ~! この『狂気山脈の植物王 アイシー・マスビューム』とぉ!」

 

「この『魔氷卿 エレベス』がータッグを組んでねー! おーまーえーらーもー、そーなーるーのーさー!」

 

やはり、お前達か……!

そう思ったのと同時に、追いかけてきた華鈴さんが隣にストップ。

横山さんのリポートも再開される。

 

「テレビをご覧の皆様、悪い予想が……的中してしまいました。第13極地部隊隊長、マルス氏の殉職が確認されました」

 

流石に危ないせいか、横山さんたちは距離を置いている。

できることなら逃げては欲しいけど。

 

「ざーんねーんだーけーどー、そこのー、一般人たちはー逃がさねーからー! 資源調査と採掘から帰ってきてーお前ら2人にー殺られたー、手下たちの供養に―つーかーうーかーらーなー!」

 

エレベスが凄まじくいやらしい目つきで説明している。

大方、渚さんか横山さんの体つきを見ながら言っているのだろう。

資源調査と採掘……。

理由は分からないが、基地がやけに寂しげだったのといきなり大勢が襲いかかってきたのはそれが原因だったか。

 

「エンジェリックカリンだったなー? ギスカール様のー仇討ちだー!」

 

「おうおうおう、体温の割に熱くなってるじゃないか。まあ、俺としても作戦をこれ以上邪魔されたくないからなぁ」

 

「作戦って何のこと!?」

 

「南極の氷と地下資源を採って、味方に送るのさ。発送先は機密事項だからオフレコで」

 

華鈴さんの疑問に、マスビュームは余裕の態度で答える。

一方、エレベスの方はかなり熱くなっているようだ。

目つきに怒りが滲み出ている。

 

「戦闘ー開始ー。俺の声がー戦いのー、ゴォォォォォーーーングだぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」

 

「第一射だぜぇっ!」

 

マスビュームの手から、氷の散弾が発射された!

危ない!

何とか回避できたから、即座に反撃!

ところが、マスビュームはいつの間にか作った氷の盾で防いでいた。

 

「どうだい、この強度は~! 言っとくけどな、これは盾じゃなくてソリだぜ。その証拠に見ろよ、この華麗な滑走をー!」

 

「うわぁ!」

 

マスビュームは氷のソリで俺目掛けて滑走!

バスターのエネルギー弾どころか、俺までもその強烈な突撃で弾き飛ばされてしまう。

危く壁に叩きつけられそうになったが、すんでのところで華鈴さんがキャッチしてくれた。

しかし、華鈴さんの方もよく見ると、髪の毛や頬に目立つほどの霜がついているし、顔や首筋に凍傷も見られる。

エレベスの攻撃は激しいようだ。

よくも!

再び横一列に並んだマスビュームとエレベス目掛け、俺はもう一度エネルギー弾を発射。

しかし、エネルギー弾は奴らではない、別の何かに着弾して爆発してしまった。

何だあれは!?

 

「……氷のガーゴイル……像?」

 

「正解だ~。エンジェリックカリン! この俺が有り余るレベルの冷却力を駆使して作った攻防一体の厄除けよぉ!!」

 

「だったらそんな物ごとふっ飛ばせばいいんだ! フル・ダークネス・バスターッ!」

 

華鈴さんの詠唱と共に、ヴァンパイア・ロッドから紅い光線が放たれる。

射線上にある氷のガーゴイル像を消し飛ばしてエレベス目掛けて直進するが、紙一重で避けられてしまった。

 

「これがー、ギスカール様を殺した魔法少女のちーかーらーかー! だーけーどー、負ーけなーいぜー! マスビュームが言っただーろー? このガーゴイル像はー、攻防一体、ってーなー!」

 

「マルスを始末した時みたいに頼むぜぇ~! エレベス!」

 

「へっへっへー。我が冷気よ、氷雪と風を従えて、目の前の敵を襲え! ブルーブラッド・ブリザード!」

 

エレベスはジャンプしたかと思うと、魔法で吹雪を起こした!

何て勢いだ!

……! ガーゴイル像が突撃してきた!

 

「闇に生まれし、禁じられた力よ、暗き時の邪霊たちよ!」

 

俺が驚いているのを尻目に、華鈴さんはまた詠唱し出す。

 

「我が命に応え、立ちはだかりし愚者達を消し去れぇっ!」

 

そして、ガーゴイル像があと少しでぶつかるところで、ヴァンパイア・ロッドから黒い雷撃が放たれた!

 

「アブソリュート・ダークネス!!」

 

黒い雷撃はガーゴイル像を全て破壊し、マスビュームとエレベスにも命中した!

 

「のわぁ~!?」

 

「どーっひゃー!?」

 

中々強烈だったらしく、二人ともあっさりと倒れた。

凄い……。

あの時断片的にみたけれど、その時以上だ。

だが、隣にいる華鈴さんの息遣いは酷く粗い。

気になって華鈴さんの顔を見ると……大量の汗を書き、顔は真っ赤、表情もかなり不安げになっていた。

 

「……華鈴さん!?」

 

俺が驚いた直後、マスビュームとエレベスの高笑いが響く。

 

「やっぱり無理してたようだなぁ~!」

 

「そーの格好で来たかーらー、もしやとー思ってーいーたーけーどーなー!」

 

華鈴さんが変身している状態がそういう意味を持っていると……あ!。

くそ! 全部思い出した側でとんでもないことを忘れていたようだ!

 

「? そこのB級。何があったか知っているようだなぁ~!」

 

「マーセーガーキーめー!」

 

そうだった……。

ギスカールの罠に嵌って散々(R-18指定レベルなので中略)を受けた上に『聖邪逆転』のせいで属性を強制的に闇に変えられた結果……。

華鈴さんは変身する度に発症する後遺症を患ってしまったんだった。

あの時聞いていたことを思い出したというのに、よりにもよって華鈴さんの強さに安堵してすぐに失念するなんて!

 

「華鈴さん、魔法はまだ、使える?」

 

「まだまだ使えるよ……!」

 

「それだったら、転送魔法か何かで渚さんたちと一緒に街まで逃げてくれ。マスビュームとエレベスは俺が食い止める」

 

もしここで華鈴さんと俺の両方が倒れたら、渚さんたちがどうなるか分からない。

それに、これ以上華鈴さんに甘える訳にはいかないんだ。

だけど、華鈴さんの返答は俺の予想と正反対だった。

 

「…………恵玖須ちゃんを置いて行けるわけないでしょ!」

 

「やっと思い出したのに、華鈴さんの身体のことをいきなり忘れて頼った以上、もう力を借りるわけにはいかないんだ!」

 

「そうだとしても、年下の恵玖須ちゃんを置いて行けるわけないでしょ!」

 

戦闘中だというのに、俺たちは言い争う。

多分、渚さんたちどころか、この様子をテレビで見ている人たちも目を丸くしているだろう。

マスビュームとエレベスも……。

 

「「戦闘中に何やってんだ!」」

 

あ、この二人は普通に抗議した。

怒りと困惑が丁寧に混ざり合った凄く複雑な表情をしている。

 

「「口ゲンカ中だから少し待ってて!」」

 

「「敵を待たせてどうするんだよ! 何? お前らまるでカップルみたいじゃん!」」

 

ああ、もう!

外野がうるさい。

華鈴さんを説得しようとしているのに!

 

「少なくとも、逃げる時はエックスちゃんも一緒! これは譲れない! ボクにとっては譲れないんだ……。あんな殺し文句で僕に勇気をくれた男の子なんか、守りたいに決まってるもん! ……ふぇ!?」

 

殺し文句……って、まさかアレのこと?

純粋な激励のつもりだったのアレが殺し文句!?

そう思った矢先に華鈴さん……じゃなくてエンジェルスキンが光り出す。

とても眩しいけど、それ以上に暖かくて優しい光だ……。

この部屋全体を包む光は、やがてエンジェリックスキンを緑色に染め、光の粒子に変えてしまう。

……ってまた裸!? 映らないようにしないと!

 

「……アレは、どのような現象でしょうか? 全くもって見当が付きません」

 

「簡単よ! エンジェルスキンが本来の姿に戻っているのよ! 私には分かるわ!」

 

「……とのことです。またもや放送上不適切な個所が発生したため、しばらくの間華鈴さんの姿を見て興奮しながら撮影している渚さんの姿をご覧ください。改めて、視聴者の皆様にはお詫び申し上げます」

 

渚さんの相手をしている横山さんが不憫でならない。

下半身が色々とはしたなかった闇色のコスチュームが一転、エメラルドグリーンの、まさに魔法少女と納得できる物に変わっていた!

腰のリボンは右側が天使の翼、左側が悪魔の翼になっているけど、両方とも純白だ。

スカートは、シースルーじゃない。

良かった……けど、この状態でもノーブラなのは解せない。

 

「エンジェリックカリン! 愛する恵玖須ちゃんを守るため、光へと回帰完了!」

 

……愛?

俺に対しての?

どういうこと!?

 

「……当の恵玖須さんは心当たりがないのか、困惑むき出しの表情をしています」

 

「動揺を隠したいからって、平静を装って人の心境をリポートするな!」

 

全く……。

愛とかはこの際置いておこう。

今はマスビュームとエレベスを倒すのが先だ!

 

「……もう、大丈夫だよね?」

 

「全然大丈夫! 力もどんどん上昇しているよ!」

 

テンションが高いな。

……? 突然、俺の心の中に誰かが呼び掛けてくる。

 

(エックス……。また、会えたのう)

 

(……あなたは……ライト博士!?)

 

そうだ。

スティグマと激突した時に見えた、かすかな記憶にいた人。

俺を造った科学者だ……。

 

(争いの無い世界へと望みをかけたが、結果的にお前を別の争いに巻き込んでしまった。償いにならぬかもしれぬが、新しい力を送ろう)

 

ライト博士の言葉と共に、俺の足が光り出す。

光が収まった直後、俺の足は白い装甲に覆われていた。

そして、ライト博士の言葉が終わった直後に、頭の中にもメッセージが流れ込む。

 

(そのフットパーツは、ダッシュによる高速移動を可能としてくれる。ジャンプや壁蹴りと併せれば相手を圧倒できる機動力を発揮してくれる。……お前が正しい道を進み続けてくれることを、ワシは静かに祈っているよ)

 

“R.O.C.K-SETシステム、最終プログラムの入力が完了。発動要請コードと対になる認証コードは「システム・コンファーム」です”

 

R.O.C.K-SETシステム?

発動要請コード?

どういうことだ?

 

「恵玖須ちゃん。認証コード、間違えずに言ってね」

 

「……華鈴さん?」

 

「頭の中にメッセージが流れたの。R.O.C.K-SETシステムのことと、発動要請コードのこと」

 

「……何が起きるか分からないけど、いいの?」

 

「ボクは恵玖須ちゃんのこと、信じてるから。行くよ! 恵玖須ちゃん! R.O.C.K-SET.T.E.R!!」

 

こうなったらなるようになれだ!

博打になるけど、認証コードだろうが放送コードだろうが、叫んでやるさ!

 

「システム・コンファーム!!」

 

俺がそう叫んだ直後、俺の眼に大量の2進数が表示され、少ししてから消える。

同時に、華鈴さんの着ているエンジェルスキンに光が形を変えて張り付き、追加装甲へと変化した!

頭の方には、ヘッドホンとサンンバイザーを一体化したみたいな飾りが装着されている。

デザインも、俺のヘルメットを髣髴とさせる。

 

「ど、どうなってるんだぁ~!?」

 

「なーんだよそーれー! ずーるーいー!」

 

マスビュームとエレベスの抗議ももっともだ。

俺も不思議でならない。

 

「恵玖須ちゃんへの愛でパワーアップした……かな?」

 

「何だよ……それ? そろそろ向こうも待ちくたびれているかもしれない。相手をした方がいいよ」

 

「むー。朴念仁! 後で色々言わせてもらうからね」

 

華鈴さんと……何故か渚さんからもかなり痛い視線を浴びせられているが、今は置いておこう。

とりあえず、ダッシュ機能を使ってみ……るわぁっ!?

ま、前かがみで直進した!

ぐ……早過ぎて、このままだとぶつかる!

この状態で……ジャンプだ!

マスビュームとエレベスを高く飛び越え、ぶつかる前に壁蹴り!

いつも以上の勢いで壁を蹴れたらしく、俺はダッシュ並みの速さで華鈴さんの隣に戻っていた。

 

「星明りよ! スターライト・ブレット!」

 

ヴァンパイア・ロッドがその形状を変えて、光の弾丸をマスビュームとエレベス目掛けて放つ。

二人ともそこまでダメージを受けてはいないようだが、かなり苛立っている。

 

「そう簡単にやられるかよぉ~! スティグマさんの8対の腹心の中で、最も連携が取れてる俺達がぁ~!」

 

「ギスカール様の腹心とー特A級ハンターのーコンビがー、そうそう負けるわけなーいーだーろ―!」

 

マスビュームが氷のガーゴイル像をまたも大量に作り、エレベスがこれまた吹雪を起こそうとする。

させるか!

ダッシュジャンプして……チャージショット!

 

「往けぇー!!」

 

「いーってぇー!」

 

思わぬダメージを受けたせいか、エレベスの詠唱は途切れた。

いきなりのことで驚いたマスビュームにも、華鈴さんの魔法が浴びせられる。

しかも氷のガーゴイル像を残らず粉砕しながら。

 

「うっが~っ!」

 

しかし、敵もさるもの。

早々簡単に負ける気は無いらしい。

しかし、視線が少しだけ俺たちの方向から反れる。

そして、急に上機嫌でハイタッチした。

 

「「流石、卑怯者!」」

 

二人して、氷壁へと駆け出したかと思ったら……!

 

「さ、最悪です! 最低です! 正真正銘の外道です! あいつら、恵玖須君の性格を逆手に取って、マルス氏の亡骸を盾にしましたー!」

 

「なーんとでーもー言ーいーやーがーれー!」

 

「エックスゥ~。お前の甘ちゃんなとこは、マルスから聞いていたんでなぁ~。有効活用させてもらうぜぇ~!」

 

横山さんの抗議交じりのリポートに対しても、マスビュームとエレベスはどこ吹く風だ。

あいつら……!

ぐ……狙いが定まらない……!

討ち抜けば楽なんだろうけど、俺には出来ない……!

 

「「へぇっへっへっへぇっ!」」

 

マスビュームとエレベスも勝ち誇るように笑っている。

どうすれば……。

そう思って歯噛みしながらマルスの方を見ると、動いている?

内側から氷を砕こうと、動いているように見える。

そう感じたのと同時に、マルスが自分を覆っていた氷を砕き、後ろにいたマスビュームとエレベスを肘打ちで吹き飛ばした!

 

「どうした? 久しぶりなのに、えらく泣きそうな顔をしているじゃないか、エックス」

 

「死んでいなかったんだね……マルス!!」

 

「死んではいたよ。……そこのお嬢ちゃんの『光』のおかげで、少しの間だけこっちに戻ってこれただけさ。良く見ろ、風穴が空いているだろ?」

 

マルスは、あの時と変わらない笑顔のままだ。

そして、ふらつく足を必死の思いで動かしながら、渚さんたちの方へ行く。

それから、渚さんの隣に座りこんでしまった。

 

「エックス。すまないが、そいつらへのトドメは頼んだ。なあに、お前なら確実に出来るさ。勝利と強さに、体の大きさも級も関係ない。勝敗において一番大事なのは自分を信じること。言い換えれば、自分自身に『誇り』を持つことだ。それが、俺たちハンターの武器なのさ!」

 

俺は、その言葉にただ頷く。

言葉はいらない。

華鈴さんと一緒に、マスビュームとエレベスを倒すだけだ!

 

゛ダブルアタックシステム、発動可能。モーションや技名は任意で”

 

「恵玖須ちゃん!」

 

「ああ。またメッセージが頭の中に送られてきた!」

 

少ない言葉だけで十分だ。

何をすべきか、繋がっているから分かる!

 

「「ダブルアタック・スタート!!」」

 

俺と華鈴さんが光り輝きだす。

さあ、これでフィニッシュだ!

 

「伝えなきゃ。世界には、命を慈しむ闇があるって」

 

「伝えるんだ。世界には、命を導く光があるって」

 

「この世界に!」

 

「闇と光あれ!」

 

「「『心よ原始に戻れ』!!!」」

 

光と闇が、混ざり合って放たれる。

その二つの力の奔流は、マスビュームとエレベスを容易く吹き飛ばした。

 

「こ、こんな、負け方、にぃ~!」

 

「こーんな、し、死ーにーかーたー、にー!!」

 

「「納ぁぁぁぁぁぁぁっ得、でぇぇぇぇぇぇぇぇきぃぃぃぃぃぃぃるぅぅぅぅぅぅぅかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

最後の絶叫を残し、大爆発と共にマスビュームとエレベスは、砕け散った。

やった……。

俺たち、勝てたんだ!

 

「マルス…………!」

 

「どうし、た……? いきなりポロポ……ロ泣き出して。親御さんから……人前じゃあまり泣かないように、口止めされてたんだろ……? 生中継されているんだからさ、そんな顔は……するな。それに……お前には、新しい友達が……4人もいるじゃないか……」

 

マルス……。

分かってはいたつもりだった。

マルスがこっちに戻ったままでいられる時間は、そう長くないことは。

だけど……。

 

「エンジェリックカリン、助かったぜ。あんたのおかげで、こうしてまたエックスと会うことができた……。エックスのこと、守ってくれよな。エックスには、エックスの心を守れるやつが必要なんだ」

 

「……はい」

 

華鈴さんも、思わず涙ぐんでいる。

息も絶え絶えのはずなのに、マルスは、笑顔のままだ……。

 

「エックス。お前なら……、スティグマの野望を……ぶっ……壊せる。だから、お前はお前の誇りを……、自分自身の……力を……信じるんだ」

 

「うん」

 

「最期に、いいものを見せてもらったぜ。ありがとう、エックス…………」

 

 

 

 

 

それから……。

俺と華鈴さんは再びこの世を去ったマルスを氷雪の墓に埋葬して、弔った。

その後で、俺たちは街に帰還。

ジガヴィー達の割れんばかりの歓声を浴びたけど……喜べなかった。

 

「こちらエックス。アイシー・マスビュームとエレベスの撃破に成功。すぐに迎えに来てくれ。俺以外は体温の低下がみられる。華鈴さんに至っては体の各所に凍傷が発生している」

 

『こちら、パレットです。すぐに迎えに行きます。エックスさん、……実はちょっと困った事態が発生しました』

 

「何があった?」

 

『華鈴さんのご家族から、抗議の電話が本部に入ったとのことです。物凄く錯乱していたとか。おそらく、マスビュームとエレベスの部隊を相手に戦っているところを中継されたのがまずかったかと』

 

「そうか……」

 

それも、そうだよなぁ……。

大事な子供が自分たちの知らぬ間に正義の味方やってて、敵の攻撃くらって怪我したところをテレビで見たら、発狂するよなぁ……。

多分、日本に戻った後で華鈴さんは御両親に怒られるだろうな。

はぁ……。

 

「華鈴さん。ちょっと大変なことになった」

 

「どうしたの?」

 

「華鈴さんの家族が、ハンター本部に抗議の電話をしたってさ。凄く錯乱していたとか」

 

華鈴さんの顔が、一瞬青ざめたように見えた。

そんな華鈴さんを安心させたい気持ち半分、邪な気持ち半分で渚さんが抱きしめる。

一方、横山さんたちはジガヴィー達にインタビューをしている。

 

「……マルス。スティグマの野望は、必ず俺が撃ち砕くよ」

 

俺の呟きは、誰に聞かれることも無く、響くことも無く、消えていく。

さよなら、マルス…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

WEAPON GET! 『ショットガンアイス』!

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

フランスはパリ郊外の廃棄された発電所。

ある日を境にその発電所に関する奇妙な噂が流れた。

明りに誘われて近づくと、命を落とす、と。

ワールドスリーの企みを感じ取った俺は、怪盗王女と共に潜入した。

次回! 「雷拳男爵は如何にして己が意地を括目させたか?」。

麗しき義賊が、『勝利』という秘宝を悪から奪い去る!

 




オマケ:ボスキャラファイル


狂気山脈の植物王『アイシー・マスビューム』

第13居地部隊の元副隊長。
オオハリガネゴケをモチーフとした寒冷地用レプリロイド。
高い冷却能力を駆使した前線行動力と支援能力を兼ね備えている。
勤勉だが任された仕事の有意義さに拘る性質から、極地観測を主任務とする第13極地部隊での仕事に飽き飽きしていた。
その性質と勤勉さを評価したスティグマに誘われるがままに、彼の蜂起より以前に第13極地部隊隊長をエレベスと共謀して殺害し、部隊を掌握。
以後は南極に眠る資源と、極めて良質な氷の採掘を指揮していた。


極寒の魔氷卿『エレベス』

次元間の悪魔を統べる深淵王ギスカールの腹心だった、高位の悪魔。
全身これ氷、と言わんばかりの姿が特徴。
間延びし過ぎなのんびりとした口調や熱くなり易い面とは裏腹に、その性根は見た目と肩書に相応しく冷酷冷血。
冷気の魔法を駆使した凄惨な戦い方を可能とする実力を買われ、別働隊を任されていたためにギスカールが絶命した後も健在であった。
主君の仇討ちに燃えていたところを、レプリロイド以外の賛同者を探していたスティグマの目に留まる。
彼のカリスマに興味を示したのもあって部下たちごとワールドスリーに合流し、マスビュームと気が合ったのが縁で現在は二人で第13極地部隊を切り盛りしている。




ボスキャラの元ネタ及びその他雑記

マスビューム
・南極に自生している植物、という特異な存在なのでオオハリガネゴケに。名前はオオハリガネゴケの英語名『Marsh Bryum(マーシュ・ブライアム)』を省略&それっぽく発音して『MasByum(マスビューム)』。
・口調は岩本版Xのペンギーゴを意識しました。

エレベス
・「魔法少女エンジェリックカリン」の大ボス、ギスカールがワンマン体制で長編ファンタジーのラスボス級実力者であった(なのでスティグマの下につくのはあり得ない)+既に死んでいるため、こちらで「別動隊を動かしていたので難を逃れた」という設定で創造したオリジナルキャラ。
・名前は『シベリア(SIBERIA)』の逆さ読みして『エレベス(AIREBIS)』。
・「別動隊だったので生き残れた」「主君の仇討に燃える」、という設定は『○装戦隊ゴセ○ジャー エ○ックon THE MOVIE』の大ボス『超新星のギョー○ンオー』のオマージュorパロディ。
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