七丈島艦隊は出撃しない   作:浜栲なだめ

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前回のあらすじ
戦闘糧食妖精、着任。


第十六話「今日は、秋祭りの日ですよ!」

 

 

「さて、急に集まって貰って申し訳ありません、皆さん」

 

 もう、世間一般的には夏も終わり本格的な秋を迎えたという時期――常春の島、七丈島に居る限りではそんな季節の変化などわからないが――そんなある日の夕方に私、大和を含めた七丈島艦隊の艦娘達は全員提督から執務室へと呼び出された。

 

「で、急に呼び出してなんの用ですか、提督? 今日中に署名を頂きたい書類はもうできたんですか?」

「珍しいよな、提督から全員を呼び出すなんて」

「提督の執務室。久々に入ったが、相変わらず散らかっているな」

「面倒な用じゃなきゃいいわね」

「私も早くお姉様とキャッキャウフフを再開したいんですけど!」

「今まであなたとキャッキャウフフしてた覚えは一切ないんですけれど!」

 

 私を含め、皆それぞれ勝手な事を言っている。

 提督はそんな私達を見て笑うと、机から人数分の封筒を取り出して全員に渡す。

 

「提督? これはなんですか?」

「開けて見ればわかりますよ」

「ん? おお!? こいつは!」

「お金、だな」

 

 磯風の言った通り、封筒の中には数枚のお札と小銭が入っていた。

 天龍を除き、皆突然の金銭支給に疑問の表情である。

 天龍は目を輝かせて封筒の中にいくら入っているのか数えている。何故急に提督からお金を渡されたのか疑問にすら思わなければ怪しんでもいない。

 馬鹿は単純なのである。

 

「ふふ、今日は何の日か知っていますか? 皆さん?」

「今日? 何かありましたっけ?」

 

 提督の問いかけに誰も具体的な答えは浮かんでいないようであった。

 

「今日は、秋祭りの日ですよ!」

「秋祭り?」

「ああ、そういえばもうそんな時期か」

「忘れてたわ」

 

 私を除き、他の皆は納得したような表情を見せる。

 

「ああ、大和は今年着任したばかりで知りませんよね」

 

 提督の説明曰く、秋祭りとは年に一度、町から神社にかけて秋口に開かれるお祭りらしい。

 毎年島民達が出店をだしたり、神輿を担いだり、花火も上がったりと夏祭りにも負けず劣らず賑わうのだと言う。

 

「へー、そんなのがあったんですか」

「今日はその秋祭なので、皆で行きましょう、という訳です。今渡したお金はお祭りの軍資金です」

 

 成程、突然何も言わずにお金を渡されるから一体何かと思えばそういうことか。

 しかし、お祭りというのも久々だ。

 艦娘になってからはずっと、陸ではなく海ばかりを見ていたから。

 一応、私の尊厳を守るために言っておくが、これは全ての艦娘に共通することであり、お祭りに行く友達がいなかったとかそういう訳じゃない。決してない。

 

「これ、結構入っているように見えるんですけど、提督、一体いくらお入れに?」

「一万円です」

「はぁ!? 大盤振る舞い過ぎるでしょ!?」

 

 その提督の言葉に矢矧が悲鳴を上げた。

 

「あ、大丈夫ですよ。縁日で使いやすいように五千円札1枚、千円札3枚、五百円玉2枚、百円玉10枚に崩してありますから。縁日ってお札だけだと面倒ですもんねぇ」

「そういうことじゃないわよ! ただでさえ、天龍の壊した壁の修繕費やらで切り詰めているっていうのに! この半分で良かったでしょう!?」

「ああ、あの時のがまだ……」

 

 矢矧の胃痛がマッハである。詳しくは第四話参照である。

 

「まぁ、大丈夫ですよ。どうせ、今月はもう今日以外に出費もないですし、天龍がバイトで着々と弁償代を払ってくれているのでなんとかなります」

「だから……! それで資金運用について上から小言を言われるのは提督でしょう……」

「まぁ、いいじゃないですか。こんな大きなイベントがあるんだから是非楽しまないと。それに、島民との交友を深めるのはあなた達の義務でもあります。私はその義務を果たすために必要な資金を配給しているに過ぎませんよ。要は必要経費です」

 

 笑顔でそう淡々と言い切った提督にもう矢矧は何も言うまいと手を上げた。

 

「わかったわ。そこまで言うのなら、経費、ありがたく頂戴します」

「悪いな、提督」

「余ったら、お小遣いとして自由に使って構いませんからね」

「ありがとう、提督。大事に使うよ」

「お祭りねぇ。まぁ、誰か声かければ奢ってくれるでしょうし、私は全部懐に入れちゃお」

「やったー! お姉様、一緒にお祭り回ろー!」

「お祭り、ですか……!」

 

 なんだろう、この胸の高揚感は。

 私が最後にお祭りに行ったのは、十年以上遡りまだ八歳の頃である。最早懐かしいというかそもそもお祭りってなんだっけ状態である。

 

「じゃあ、もう始まっているでしょうし、早速行きましょうか!」

 

 こうして七丈島艦隊は提督の指揮の元、七丈島秋祭りに向けて出撃した。

 

 

「――さて、それで町に着いた訳ですが」

 

 人、人、人。

 町の中に溢れかえらんとする人だかりに私達は早くも圧倒されていた。

 ちなみにまだ私達が立っているのは入り口である。出店が少し遠くに見える程度である。

 

「うわー、すっごい人だかりだぁ」

「これは、ゆっくりと出店を回るのは難しそうだな」

「まぁ、お祭りだしね。予想はしてたわ」

 

 皆も同様に人の海原に驚嘆の声を上げる。

 しかし、本当に凄い人ごみだ。

 見ろ、人がゴミのよ――――

 

「ハッハッハ! 見ろ! 人がゴミのようだ!」

「天龍、うるさいぞ」

 

 うわ、被った。

 

「最高のショーだとは思わんかね!?」

「なんなの、さっきから? あんまり周りの迷惑になるようならスタンリングでシメるわよ?」

 

 やめて、天龍。私、恥ずかしい。

 矢矧もあきれたようにスタンリングを向けているではないか。

 

「バルス!」

「ぎゃあああああああああ!」

 

 と思ったらこの矢矧、意外とノリノリである。

 

「全く、この馬鹿は一体何に影響されたのかしら?」

「いや、矢矧わかってますよね? はっきりバルスっていいましたよね? 金曜ロードショウで確実にラピ●タ見てたクチですよね?」

「ラピ●タ? 何を訳の分からない事を言っているのかしら? 空中戦艦に改造されたいの?」

「私をゴリアテにする気ですか!?」

 

 ただでさえ、宇宙戦艦改装計画が着々と進んでいるというのにまた新たな火種が。

 

「私あれ結構好きなのよね」

「いや、知りませんけど!?」

 

 最早ラピ●タ好きを隠す気が感じられなかった。

 

「ら、ラピ●タは滅びぬ……何度でも蘇るさ……!」

「天龍はもう大人しくバルスされててください」

 

 

「ところで、二つ程疑問があります」

「今度は何よ、大和?」

 

 以前、私達は人ごみのせいで入り口にて立ち往生している。

 数分前までは提督が祭り会場では特にはぐれやすいので迷子にならないよう注意するようにとか注意をしていた。

 しかし――――。

 

「まず、提督が早速いなくなっているんですけれど……」

 

 ついでに瑞鳳もいない。

 何故迷子にならぬよう散々注意喚起を促していた当の本人が入り口で既に姿をくらましてしまっているのか。

 

「ああ、提督ならさっき役場のおじさん達に連れていかれたぞ」

「そう、じゃあきっともう飲まされてるし今日、明日は帰ってこないわね。ま、別に二、三日返ってこなくても問題ないし大丈夫よ」

「問題ないんですか!?」

 

 提督がいなくても問題のない鎮守府とは一体なんなのか。

 でも実際いなくてもなんとかなりそうだから何も言えない。

 

「瑞鳳の方は、なんかさっき優男が迎えに来てたぜ?」

「またですか」

 

 瑞鳳の方は予想がついていたので特に心配はない。むしろ妬ましい。

 そして、羨ましい。

 

「で、もう一つの疑問は?」

「あ、別に二つ目は大したことないんですけれど」

 

 私は横目に映る大勢の島民の浴衣を見ながら言う。

 

「私達って浴衣ないんですか?」

 

 瞬間、その場の空気が凍った。

 そして、天龍が歩み寄って来ると私の肩に手を乗せる。

 

「俺達は、秋グラ実装なかったからな」

「秋グラって何の話ですか!?」

「まぁ、磯風あたりはまだワンチャンあるし、俺も夏は水着着れたからいいんだ。でも大和、お前は――――」

「それ以上はやめてください!」

 

 何を言っているのかよくわからないが、これ以上天龍に喋らせてはいけないと直感した。

 

「大和、私も居るから」

「ちょ、何の同情ですか! その目やめてください、矢矧!」

 

 まるで雨の日に野ざらしにされて捨てられている犬を見つめるような哀愁と同情の入り混じった目をしていた。

 

 

「じゃ、俺は用事あるからここで別行動させてもらうぜ?」

「用事?」

 

 そう言って天龍は私達を置いて一人お祭りの人だかりに駆けていき、すぐに人ごみの中に消えていった。

 

「じゃあ、こんな所いつまで居ても仕方ないし、私達もそろそろ行くわよ」

「おー!」

「おー!」

 

 プリンツと磯風は既にお祭りに興奮気味である。

 

「去年は秋祭り、行かなかったんですか?」

「まぁ、行きたい人は行く、みたいな感じだったわ。今年からよ、提督が皆で秋祭りに行こうだなんて言い出したの」

「私は今まで行ったことないから日本のお祭り今日が初めて!」

「私も日夜料理に没頭していて思えばこんなお祭り行ったことなかったな」

 

 まぁ、そんなものなのだろうか。

 よく考えればプリンツは元々日本の生まれではないし、磯風は私達と違って幼い頃から既に艦娘として戦ってきているのだからそういうものかもしれない。

 

「だから、今日はお姉様がエスコートしてくださいね!」

「わ、私もそんなに経験がある訳では……」

「え……お姉様、突然経験人数の話なんて大胆なカミングアウトですね! ビックリしちゃいました!」

「今の会話の流れからそういう意味に取れるプリンツの思考回路に私はビックリでしたよ」

「大丈夫! 私はむしろそっちの方がありがたいですから!」

「いや、大丈夫じゃないですから。アウトですから。私はまっぴら御免ですから」

 

 なんだろう、プリンツと話してるとお姉様凄い疲れる。

 

「頼むぞ、大和!」

「磯風まで……」

「だって矢矧がお祭り経験豊富そうに見えるか?」

 

 磯風が横目で矢矧の方を見ながら私に囁く。

 確かに矢矧の真面目な性格を考えると、こういうお祭りは肌に合わなそうだ。つまりは消去法でいって私しかいない訳だ。

 

「う~ん、まぁ、余り期待しないでくださいよ? 私だって数回行ったことがあるだけなんですから」

「ありがとう!」

「人だかりも大分落ち着いて来たみたいだし、皆そろそろ行くわよ」

「は~い!」

「あ、くれぐれも縁日でお金を使い過ぎないように! 夕食は各自屋台で済ましてくれて構わないけれど、ちゃんと食べきれる範囲内で買うこと。あと、ごみのポイ捨てだけは――――」

 

 お母さんか。

 この後、三分に渡り、矢矧から注意事項を伝えられた後、いよいよ私達は提灯に照らされた縁日会場へと人の波に飲まれつつも歩を進めるのであった。

 

 

「――うわ~! 色んなお店がいっぱいです! お姉様!」

「プリンツ、はしゃぎすぎですって」

「大和、あれはなんだ! あの雲みたいなやつ!」

「あれは、わたあめですね。お祭りの定番のお菓子で、甘くて美味しいんですよ」

「へぇ~! ワタ・アメかぁ! すご~い! ふわふわしてるー!」

「二人共わたあめすら知らないんですね」

 

 私は屋台の方々で目を輝かせる二人を見つめて苦笑いを浮かべた。

 二人共まるで子供だ。いや、片方は年相応だが。

 

「おじさん、このわたあめ一つください」

「あいよ、五百円な!」

 

 興味津々でわたあめを見つめる二人の間から私は五百円玉を屋台のおじさんに渡し、大きなわたあめを持って二人に差し出した。

 

「大きいので皆で食べましょう」

「いいのか、大和? 私はお金払ってないのに」

「大丈夫です! どうせ私はお金余しても使わないので!」

 

 そう言って、棒に巻き付けられたわたあめを磯風とプリンツに近づける。

 

「あ、ありがとう。では、いただこうか」

「Danke! お姉様!」

 

 二人は私の持つわたあめにかぶりつく。

 

「――っ! これは、おいしい! 口の中で溶けて、甘い!」

「こんなの初めて食べたよぉ!」

 

 二人共初めて食べたわたあめに驚きを隠せないようである。

 

「矢矧も一口どうですか?」

「ん、それじゃあ、お言葉に甘えて」

 

 一歩引いた所でこちらを見ていた矢矧にもわたあめを差し出すと、矢矧は髪をわたあめが付かないよう耳にかけながらわたあめに口を寄せる。

 その仕草に何か妙な色気を感じるのは私だけだろうか。

 

「久しぶりにこういうのを食べたけど、結構おいしいわね」

「色んな屋台がありますし、一通り回ってみましょうよ!」

 

 そうして、私達は縁日制覇を目指して人ごみの中を駆けまわった。

 

「――お、たこ焼きと焼きそば。あれは私達も知っているな」

「でもなんかいつもよりも美味しい!」

「お祭りで食べるものって何故か美味しいんですよねぇ」

 

 次に見えたのは焼きトウモロコシ。

 

「ただトウモロコシを焼いただけなのにここまで美味しいとは!」

「焦げの苦みとトウモロコシの甘味が見事にマッチしてるよぉ~」

 

 次はイカ焼き。

 

「む、むぐ……! 噛み切れない……!」

「あははは! 磯風変な顔~!」

「あるあるですね」

「和むわね」

 

 次はリンゴ飴。

 

「すご~い! 中にリンゴが入ってる!」

「シャクシャクしたリンゴの食感がたまらないな!」

「芯の方まで食べるとお腹壊しちゃいますから気を付けてくださいねぇ」

「種はそこら辺に吐き捨てちゃ駄目よ?」

 

 チョコバナナ。

 

「……お姉様、これってなんかいやら――――」

「それ以上はいけません」

「ん? どうした、プリンツ? 真剣な顔でチョコバナナを見て?」

「磯風は知らなくていいことよ」

「ん?」

 

 そして、なんとカレー。

 

「あ、ビッグスプーンの」

「あら? 大和ちゃんと、他の子も一緒なのね? 大食いはやってないからね!」

「知ってますってば!」

 

 相変わらず警戒されているようだ。

 

「ビッグスプーン、秋祭り限定メニュー『もみじカレー』、食べてく?」

「是非いただきます! あ、超弩級盛りで!」

「やってないわよ! どんだけえええええ!」

「大和はまだ食べられるのか……私はもうお腹一杯だ」

「いっぱい食べるお姉様が好き!」

 

 その後、紅葉型にカットされた人参やコロッケが乗せられたもみじカレーを完食し、私達は全種類の屋台料理を制覇するに至った。

 

「さて、これで大方の屋台料理は堪能したわけですが」

「じゃあ、次は遊び系の屋台を回りましょう!」

「縁日と言えば射的、ヨーヨー釣り、輪投げとか色々ありますねぇ」

 

 さらっと辺りを見回しても、十以上はあるだろう。

 どこから行こうか考えあぐねていると、プリンツが私の腕を引っ張って一つの屋台の看板を指さしている。

 

「お姉様! 私あれやりたい!」

 

 看板には『金魚すくい』と書いてあった。

 

「ああ、あれもお祭りの定番ですね。やってみましょうか!」

「金魚すくい……? いったい何をやるものなんだ?」

「水槽を泳ぐ金魚をポイっていうプラスチックの輪に紙の貼られたもので掬い取るゲームです。掬った金魚は持って帰ってもいいんですよ」

「面白そう!」

 

 早速、皆でその金魚すくいの店の前まで来てみると、水槽にはたくさんの金魚が泳ぎまわっていた。

 

「うわぁ! すっごいたくさんいる!」

「まぁ、ものは試しに一度やってみましょうか。すみません、金魚すくいやりたいんですけれど」

「おう、いらっしゃい!」

「…………何やってんですか、天龍?」

 

 屋台に何故か天龍が居た。

 矢矧も怪訝な顔をしている。

 

「いや、俺も屋台開いてんだよ。ちゃんと許可はとってるぜ?」

「用事ってこのことですか」

「この店天龍がやってるの!? すごーい!」

「やめろよ、照れるぜ」

「成程、普段のバイト以外にもこうして弁償代を稼いでいる訳ね」

「まぁ、そういうこった。ま、お前らも一回やっていけよ。ほれ、ポイ一つ二百円」

 

 天龍がポイを差し出してくる。

 

「なんか、身内の店で遊ぶって興ざめなんですけれど……しかも私達から取ったお金って弁償代に回されるんですよね?」

「んだよ、不満か?」

「なんか釈然としないです!」

「私は見てるだけでいいわ。天龍の弁償を助ける義理なんてないし」

 

 矢矧の声と視線が冷たい。

 

「ちっ、まぁ、別にいいぜ。磯風とプリンツはやってみてぇだろ?」

「うん! やってみたい!」

「私も、興味があるな」

「うっし、金魚すくい初めてだろうし二人には特別に分厚いポイを使わせてやろう」

「やったー! ありがとう、天龍!」

 

 そう言って差し出したポイは普段金魚すくいで見るポイよりも確かに分厚い。

 

「大和はどうする? やってくか?」

「じゃあ、折角ですし私も一回やってみましょうか」

「毎度ありぃ!」

 

 天龍にそれぞれ二百円ずつを手渡し、それぞれポイを渡される。

 

「さて、ポイで金魚を掬ったらこの水の入った器に入れりゃいい。ただし、ウチの金魚すくいは他の所とは一味違うぜ?」

「そうなんですか?」

「ああ、他の所にはねぇスリル感満点の金魚すくいだぜ」

 

 金魚すくいに果たしてスリル感が必要なのかどうかはさておき、天龍の自信満々の笑みを見る限り、中々期待できそうだ。

 期待できそうなんだが。

 

(なんでどことなく不安になってくるんでしょうか……?)

 

「おし、じゃあ金魚すくいスタートだ!」

 

 その声と共に天龍が何かのスイッチを押す。

 同時に水槽の側面に沿わせるように敷いてある鉄管が一瞬、赤くなったように見えた。

 

「あの、この水槽ってもしかして……ウォーターバスじゃないですか?」

「おう、よく気が付いたな」

 

 ウォーターバス。加熱器具の一種で水槽に満たした水を加熱することでその中で間接的に物体を加熱する器具。要は湯浴である。

 そして、その中に金魚を入れてそのスイッチを入れたという事は、つまり、このままでは水温が上昇し、いずれ金魚達が茹で上がる。

 

「さぁ、お前ら……救え……!」

「いや、すくうってそういう意味!?」

 

 金魚掬いならぬ、金魚救いが開始されてしまった。

 というか、古典的すぎるだろ、このネタ。

 

 

 続く。

 




こんな青春、過去にも未来にもない(血涙)


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