七丈島艦隊は出撃しない   作:浜栲なだめ

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前回のあらすじ
ハッピー・バレンタイン!


※今回のお話はキャラ崩壊が激しいのでご注意ください。
 でも、今更か。


第六十六話「そっちですかー!」

 

 店の引き戸がガラガラと音を立てながら開く。

 時刻はおおよそ20時を回った所。空いた酒瓶を片づける手を休めて扉の方へと視線を向け、そこに立つポニーテールと凛とした目つきが印象的な少女の姿を見ると、店の女将であろうその女性はにっこりと笑って入って来た彼女に声をかけた。

 

「いらっしゃいませ――あら、ご新規さんですか?」

 

 女将の言葉が癪に障ったのか、扉の前で棒立ちのまま苛立ちを隠すように目を瞑りながら少女は口を開いた。

 

「このお店毎週通い詰めてるんだけど」

 

 女将はそれを聞くと、片目を瞑りながらサムズアップを返す。

 

「やだなぁ、知ってますよ、矢矧さん」

「ぶっ飛ばすわよ」

「二名様でよろしかったですか?」

「一人よ!?」

「あれ、じゃあ、後ろにいる血色の悪い方は……?」

「誰もいないわよ! 怖いこと言うのやめてくれる!?」

 

 ここは七丈島のとある居酒屋。

毎週金曜日の夜に、矢矧は一人この店に酒を飲みに訪れるのである。

 

 

 カウンター席が九席だけの小さな店内には現在矢矧以外の客はいない。しかし、奥の方のカウンターに氷が溶けかけている濡れたグラス三つ放置されているところを見るに、ついさっきまで客が来ていたことがわかる。

 

「ぼちぼちやってるみたいね」

「ええ、ついさっきまで常連さん方が。今は誰もいませんし、矢矧さん、お好きな席にどうぞ」

 

食器を洗っている女将に促され、L字に曲がったカウンターの中央あたりの席に腰かけた矢矧は一息つくと御品書きも見ないままに注文を始める。この店のメニューはもうあらかた頭の中に入っているのだ。

 

「とりあえず、いつものもらえる?」

「スクリュー・ドライバーですね?」

「違う」

「…………」

「…………」

 

 凍り付く空気、静かに見つめ合う二人。女将は食器を洗う手を止め、思案顔で頬に手を当てて首を傾けている。

 

「……マティーニ?」

「違う」

「……ジン・トニック?」

「違う」

「……テキーラ・サンライズ?」

「違う」

「ああ、そうだ! ギムレット!」

寫樂(しゃらく)もらえる?」

「そっちですかー!」

「どっち?」

「三十択くらいまでは絞れてたんですけどねー!」

「絞れてないわよ?」

 

 寫樂と書かれた一升瓶とグラスを取り出しながら陽気に笑う女将に冷めた視線を投げかける矢矧。

 しかし、女将の方には一切反省の素振りはない。

 

「なんで毎週同じの頼んでるのになんで忘れちゃうのよ」

「やだなぁ、覚えてますって」

「なお性質が悪い」

 

 すぐにカウンターに置かれた一升瓶と日本酒の注がれたグラスを一口含み、湿った息を洩らす。

 

「やっぱりこれが一番ね」

「でも、スクリュー・ドライバーとかもお好きでしたよね?」

「一度も頼んだことないわよ」

「あ、そちらのお客さんは何にします?」

「唐突に誰もいない空間に話しかけるのやめて!?」

 

 矢矧の隣の空席に向かってまるで誰かいるかのように話しかける女将に矢矧は悲鳴にも似た怒声を上げた。

 

「え? やだなぁ、いるじゃないですか、ここに青白い肌の――――」

「そんなものは断じて存在しない!」

「え、まさか、本当に矢矧さん、見えてないんですか……?」

「え……まさか……本当に、何かいるの……?」

「いや、いませんけど」

「20 cm連装砲と酸素魚雷、どっちがいい?」

「やめてください、死んでしまいます!」

 

 

「本当に、あなた変わったわよね」

 

 一杯目のグラスを空にした頃。矢矧がおもむろに呟いた。

 

「気づきました? 実は先週、髪切ったんですよ!」

「そういう変わったじゃない」

 

大皿を拭いている女将の姿を再度じっくりと見つめながら、二杯目を注いだグラスを傾けつつ、矢矧は思い出すように続けた。

 

「初めて給糧艦『伊良湖』として鎮守府に来た頃のあなたはもっと大人しくて真面目な良い子だったんだけどね」

「わかります」

「腹立つから便乗しないでもらえる?」

 

 正確には元給糧艦、伊良湖。それが女将の名前だった。七丈島鎮守府に最初に着任した艦娘が矢矧、次に着任したのは他ならぬ目の前の彼女なのである。

 当時は誰にでも礼儀正しく、おとしやかで、炊事だけでなく掃除や倉庫整理などもこなす文句のつけようのない完璧美少女だったのだが。

 それが、一体何があってこんなふざけた性格になったのか。矢矧は頭を抑えながら大きくため息をついた。

 

「でも、変わったというよりかは、徐々に素のままの自分を曝け出していったという感じですよ。元から私はこんなんですよ」

「まぁ、鎮守府来て一ヶ月たたないうちに、結婚するから艦娘辞めますとか言ってきた時にはその片鱗は感じたわ」

「照れますね」

「褒めてないわよ」

 

 世の提督達がここの伊良湖を見たらどんな反応をするだろうかと考えて、矢矧は苦笑を浮かべながら二杯目のグラスを飲み干した。

 

「これでも、急な解体願いにお許しをくださった提督や、なんやかんや言いながら色々手伝ってくれた矢矧さんには感謝してるんですよ?」

「まぁ、提督が応援すると言ったなら、私も従うしかなかったから、それだけよ」

「おかげ様で、このお店も随分長いこと続けさせてもらってますし」

 

 そう言いながら伊良湖は大皿を拭きながら笑った。

 それに矢矧は照れくさそうにそっぽを向いて返す。

 

「夫ともラブラブですし! 何もかも順風満帆です、矢矧さんと違って!」

「うん?」

「あ、そういえば矢矧さん、先日バレンタインデーでしたけれど提督さんにもう告白は――――あっ……察し」

「その喧嘩、買ったわ」

「ちょ、やめましょう! 暴力は何も生まな――――頭蓋がああああ!?」

 

 カウンター越しから伊良湖の顔面に矢矧のアイアンクローが炸裂した。

 

 

「私もう解体されて艦娘じゃないんですよ! 艦娘の握力であんなの食らったら顔の骨格変わってお嫁にいけなくなるじゃないですか! あ、もうとっくに嫁いでた!」

「海軍精神注入アイアンクロォオオオオッ!」

「ぐあああああああっ!」

 

 おそらく海軍精神注入棒よりも、痛い。

 

「なんで自ら火に油を注ぐような真似するのよ、あなた」

「いやもう、これは生まれ持った業としか……」

「業が深すぎるわ」

 

 それからしばらくして。

 

「ねぇ、悪いけれど何か作ってくれない?」

「任せてください、私バルーンアートには少し自信があるんです!」

「誰もバルーンアートの話なんてしてない」

 

 皿を拭きながら嬉々として語る伊良湖に再び矢矧の眉間に皺が寄り始める。

 

「何か料理を作ってくれる?」

「え、オムライスのバルーンアートくらいしかできないんですがいいですか?」

「バルーンアートから離れて」

「あ、じゃあ、ここは提督の顔でも作りましょうか?」

「バルーンアートで……!?」

「ところで矢矧さん、ずっとお酒だけですけれど、何か軽くお作りしましょうか?」

「だから、さっきからずっとそう言ってたでしょうがッ!」

「そっちですかー!」

 

 矢矧的には提督の顔のバルーンアートが少し気になったのは秘密だ。

 

「それで、何がいいですか?」

「適当に軽めのもので、任せるわ」

「あ、最近ラーメン始めたんですよ!」

「軽めって意味わかってる?」

「じゃあ、ステーキあたりにしときますか!」

「だから軽めって言ってんでしょ!?」

「150 gくらい矢矧さんなら小指で余裕でしょう?」

「そういう軽いじゃないッ!」

 

 この時間に高カロリー食は女子として受け付けてはいけない。

 

「――だし巻き卵です」

「うん、ありがとう」

 

 これくらいならまぁ、いいだろうと矢矧はまだ湯気を立てているだし巻き卵の一つを箸で二つに割り、口に運ぶ。

めんつゆと醤油の風味と卵の甘味が合わさってつい顔が綻んでしまうのを矢矧は必至で抑えていた。

 

「相変わらずの腕前ね」

「ええ、毎日ラケットの素振りは欠かしてませんからね!」

「料理の腕前の話よ!」

「そっちですかー!」

「逆になんでこの流れでテニスの話になるのよ!?」

「バドミントンなんですけど!」

「知らないわよ!」

 

 矢矧はヤケクソ気味にグラスの中の酒を飲み干した。

 

 

「そういえば、鎮守府の皆さんには私のことお話しされてないんですね?」

「あー……そうね」

「先日会った時に矢矧さん以外の方に誰こいつみたいな顔されて私は微妙に悲しかったですよ!」

「まぁ、話す機会がね、なくてね。ずるずると今日まで私と提督以外あなたのことは誰も知らないわね」

「酷い!」

「それは普通にごめんなさい」

「えー、なんでですか、紹介してくださいよー! 私いわば七丈島鎮守府OGですよー!?皆で飲みに来てくださいよー!」

 

 常連客を増やすチャンスとばかりに露骨に紹介をねだってくる伊良湖に矢矧は怪訝な顔つきで考え込む。

 

「でも、あなた、絶対あの子達に悪い影響与えるだろうし……」

「そのために矢矧さんがいるんじゃないですか!?」

「開き直ってんじゃないわよ」

 

 ただでさえ混沌としているあのメンバーに伊良湖が加われば、そろそろ矢矧、大和だけでは手に負えない。続く新たなツッコミ要員が必要になるだろう。

 

「海老名提督といい最近ボケが濃すぎるのよ……」

「何の話ですか?」

「平和だなって話よ」

「そんなことより七丈島艦隊の皆さん連れてきてくださいよ!」

「連れてくるにしても全員は無理よ。年端もいかない子供もいるし」

「大丈夫! ソフトドリンクもありますよ!」

「あなたと会わせるのが教育に悪いって言ってるのよ!」

「そっちですかー!」

 

 ここまで言ってなおも反省が見えないのはもう逆に潔いと矢矧は思ってしまった。

 

「えー、会いたいなー、矢矧さんみたいに皆さんともお話したいなー」

「…………そうね、もう少しその人をおちょくる性格直せば考えておくわよ」

「じゃあいいです」

「それを直せって言ってんのよ!」

「嫌だッ!」

「無駄に力強い声!」

 

 ここ最近で一番覇気の籠った声だったと後に矢矧は語る。

 

 

 午前0時を回った頃。

 皿を拭きながら思い出したように伊良湖が口を開いた。

 

「矢矧さん、もう結構いい時間ですけれどお仕事に差し支えないんですか?」

「いいのよ、明日――っていうか今日は仕事午後からだから」

「お、珍しくはかどってるみたいですね」

「そうね……でも、今月は私の方が何回かミスやらかしてね。同じ書類に判子二回押してたり……疲れてるのかしら」

「あります、あります! 私も今ずっと同じ皿ばかり拭いてますもん!」

「それずっと同じ皿なの!?」

 

 そういえばこいつずっと皿拭いてたな、と矢矧は今更ながら思い出した。

 

「もう五十回はすすいでは拭きを繰り返してますね」

「途中でおかしいとは思わなかったの?」

「いや、流石に四十回目あたりで、これはおかしいなって気付きましたよ?」

「もっと早い段階で気付いて」

「なんか手持ち無沙汰って落ち着かなくて、つい」

「とりあえず、皿は片づけなさい」

「不安です」

「何が?」

 

 そう言って頑なに皿を離そうとしない伊良湖が食器棚に皿を戻したのはそれから十五分程後のことであった。

 

 

「あ、矢矧さん、お酒空じゃないですか? 新しいの用意しますよ?」

「そうね……じゃあ、一生青春とか置いてる?」

「はいはい、ありますあります」

 

 寫樂の一升瓶を空にして頬を上気させて左右にゆらゆらしている矢矧は少し思案顔を浮かべるとそう告げた。

 その様子を見て伊良湖はニヤリとほくそ笑む。

 

(ふむ……きましたね)

「伊良湖?」

「ん、なんですか?」

「やっぱり、胸は大きくありたい、そう思わない?」

(ほら、なんか面白いこと言い始めましたよ!)

 

 伊良湖は心の中で嬉々として叫んだ。

 

「胸、大きい方が良いんですか?」

「そうね、おっぱいは大事よ!」

(なんでおっぱいって言いなおしたんですか?)

 

 必死に笑いをこらえながら伊良湖は相槌を打つ。

 

「この前、海老名提督っていうおもちのやばい方が来たのよ」

「おもち」

(なんでいちいち呼び方変えるんです?)

「しかも提督LOVE勢だったのよッ!」

「言い方!」

「もう、やばいわよね!」

「そうですね! 色々やばいですね!」

 

 今にも吹き出しそうになって伊良湖はプルプルと体を小刻みに震わせている。

 

「バレンタインの日も海老名提督からなんか高そうなチョコが届いてたし……」

「でも矢矧さんこそ、その、胸は、中々じゃないですか?」

「やっぱり吊り橋効果だと思うのよ!」

「何の話ですか!?」

 

 唐突に話が変わるのは酔っている矢矧の特徴である。

 

「知ってる? 吊り橋効果?」

「確か恐怖のドキドキを恋のドキドキと勘違――――」

「それ!」

「食い気味!」

 

 矢矧はグラスの酒を水のように飲み干し、まくし立てるように続ける。

 

「でも、私結構着痩せするから見た目じゃあんまりだと思うのよ」

「急に何の話ですか!?」

「いや、胸の話だけど?」

「そっちですかー!」

 

 唐突に話が戻るのは酔っている矢矧の特徴である。

 

「え、あの、吊り橋効果の話は――――」

「それ!」

「食い気味!」

「それを参考にね、ちょっと作戦を考えてみたのよ」

「は、はぁ? どんな作戦なんです?」

 

 そもそも出撃のない七丈島鎮守府で恐怖などあるのだろうかと伊良湖は首を傾げた。

 それを見て矢矧が意気揚々と作戦概要を声高く語り始める。

 声が大きくなるのは酔っている矢矧の特徴である。

 

「少しヤバめの書類をね、期限ギリギリまであえて手を付けないのよ」

「ドキドキってそういう」

「大本営からのプレッシャーの恐怖感を利用するっていう作戦よ! 吊り橋効果大作戦、どうよ!」

「ちょっと作戦名も含めて何とも言えませんねー!」

「忌憚のない意見を求めるわ」

「まぁ作戦名共々駄目でしょうね」

「ぶっ飛ばすわよ」

「何でですか!?」

「この作戦名のどこがダメなのよ? あん?」

「そっちですか!?」

 

 あからさまに理不尽なのは酔っている矢矧の以下略。

 

「うん、その作戦は駄目ですよ。色々危ないですし」

「やっぱり、私なんかじゃ駄目ってことね……」

「そういう話ではなく! ただ、大本営に目を付けられるのはあまりよくない――――」

「そっちですかー!」

「それ私のネタ! 盗らないでください! しかも、食い気味!」

 

 酔うと性格がまるで正反対になるのは以下略。

 皿を拭きながら伊良湖は完全に酔っている彼女を実に楽しそうに見つめていた。

 

「伊良湖!」

「はい、なんですか!」

「皿、置きなさい」

「あ、はい」

 

 自然と手が動いて再び同じ皿を拭き始めた私を射抜くように見つめる矢矧の目は据わっていた。

 

 

 そして、時計の短針が二の数字を差した頃。

 

「…………」

「どうしました? 矢矧さん」

「…………ねぇ、もしかして、やらかした?」

「面白かったですよ!」

「そうよね! あんたが良い顔してたからそんなことだろうとは思ってたわ!」

 

 酔って色々面白くなった矢矧はほとんどきっかり一時間で酔いが冷めて元に戻る。

 都合のいいことに酔っていた時間帯の記憶は飛んでいるので追憶から恥辱に悶えることはないが、伊良湖に良い笑顔でサムズアップを受けた時点で彼女は今にも頭から蒸気でも噴き出しそうなくらい真っ赤になって机に突っ伏し、足をバタバタと動かしていた。

 伊良湖が再び皿を拭き始めているのにも気が付かない。

 

「あー、もう! あー、もう! これだから! あー、もう!」

「まぁまぁ、お酒の席ですしよくあることじゃないですか」

「慰める気ならそのニヤニヤをまず引っ込めなさいよ!」

「……はい」

「顔が笑いで引きつってんのよッ! あとそのサムズアップもやめなさい!」

「吊り橋効果大作戦、頑張ってくださいね!」

「あああああああ! もう! お酒なんて飲まない!」

「そう言っていつも一週間後にまたいらっしゃいますよね!」

 

 やはり、日頃のストレスも相まって矢矧にとってこうしてお酒でストレス発散をする場は必要なものなのだろう。

 そう伊良湖は考えている。

 

「まぁ、それは、来るわよ。あんたがしっかりやってるか見に行くためにも……」

「え?」

 

 空気が固まった。驚いたような表情を見せた伊良湖に矢矧は失言をしたとばかりにまた顔を真っ赤にする。

 

「ま、まぁ!? 私は監察艦だし!? 元とは言え、鎮守府の艦娘の経過観察は私の仕事というか、それだけよ! 変な勘違いしないでよ!?」

「……矢矧さん」

 

 伊良湖の表情から笑みが消え、目を見開き、今にも泣きそうな表情になっている彼女に矢矧は照れくさくてつい視線を外す。

 

「な、何よ」

「なんで、それが提督にできないんですか!?」

「うるさいわよッ!」

 

 いつも通り伊良湖が既に用意していた領収書をひったくるようにして矢矧は入口の引き戸を開ける。

 

「ご馳走様!」

「ありがとうございましたー!」

 

 店を出ようとする矢矧にいつも通り元気に挨拶をする伊良湖。

 すると、急に矢矧は皿を拭いている伊良湖の方に振り返って店内へと引き返す。

 

「伊良湖」

「あ、はい皿ですよね、置きます置きま――――」

「来週は提督と皆も誘って来るから、七人で予約、できる?」

「え……あ、じ、じゃあ折角なので来週は貸し切りにしましょう、か……?」

「ここ九席よね? それなら折角だし、美海と店長も連れてくるわ。ソフトドリンクとお酒と料理、たくさん用意しておいて、それじゃ」

「え、あ、はい。ありがとう、ございましたー……」

 

 それだけを言い残して矢矧は帰って行った。

 彼女の足跡が遠ざかってやがて聞こえなくなるまで半ば放心状態だった伊良湖は、ようやく我に返って嬉しさのあまり叫んだ。

 

「そっちですかー!」

 

 

 




前回でてきた女将さん回。
居酒屋って、いいよね。

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