記憶喪失。それは文字通り記憶を失う事だ。昨日の事も一昨日の事も昨日一昨日の事も、とにかく今まで自分が生きてきた中の思い出を俺は今、失っている。
記憶喪失ってゆうのは世の中かなり稀な例で殆どそんな人はいない。そもそも記憶喪失とゆうモノは医学的、肉体的、心理学的にまだまだ不明な点が多い。大抵は強いショックを受ける事によってなるらしいが……少なくともそんな心あたりは微塵もない。あるとしたり多分昨日寝てからさっき起きるまでに『なにか』があった……そうとしか考えられないぞ。
こんなマンガやアニメでしか有り得ない不可思議現象を、まさか自分自身が体験することになるとは……世の中なにが起こるか分からんもんだ。
そんな事を考えつつリビングであろう広い部屋に入る。綺麗な部屋だな……それに広くて大きい。まず1番に目が行くのは過ごしやすそうな洋風のリビング。大きなテレビを部屋の一角に置き、それを囲むようにこれまたビッグサイズのソファーが2つ。
もう片方の部屋があり、洋風かと思いきや何故か襖式の戸だったので開けると、そこは畳敷きの純和風の、それでいてこれまた広い部屋だった。同じくあっちの洋風の部屋と同じテレビが丁度真ん中の壁近くに配置されており、あとは長方形の3メートルはあろうかと言うくらいの大きい木製のテーブルが鎮座している。……なんとゆうかとても広い家だな。
そしてこれまた奇妙な調理場の配置だ。なんと併設されている洋部屋と和部屋を丁度股をかけるように配置されている。そしてこれまたムダに広い。下手すると小さい旅館とかホテルの台所やキッチンよりも広いかも?
ん? クンクン……なんだろ? いいニオイがするぞ? 見渡すと調理場の一角でなにやらトントンする音が聞こえてきた。
トントントントン……
誰だろあの女の人……取り敢えず声を掛けてみよう。
「あのぅ……」
「はぁい? あら龍ちゃんおはよう。今日も早いのね~お母さん感心感心よぉ~」
「え!? あ、う、うんそうなんだ! いや~いつもの事だけど早起きは気持ちいいなぁ~☆」
「うふふ。お腹すいたでしょ? お兄ちゃんとお姉ちゃんと
「お、オッケー。じゃ起こしてくるよ」
「何時も何時もみんなねぼすけさんなのに、龍ちゃんはちゃんと起きててお母さん嬉しいわぁ」
ニコニコしながら超高速で手を動かし朝餉と思われる物を作っているこの人は……多分だがこの家の、そして俺の母親なのだろう。
なんとゆうか……とても綺麗な人だ。常に目が細められていてニコニコ笑顔を絶やしていない。物腰柔らかで、ぽわぽわした雰囲気を醸し出している。正に良妻賢母の鏡と言えるな。
ひとまず調理場を出だす。さて、起こしてきてと言われたのはいいがさっき言われた人達の部屋はどこだろう? なにせこの家、リビングだけでなく全てがムダに広い。屋敷かっての。取り敢えず、頼まれた人達……お兄ちゃんとか言ってたから多分兄弟姉妹の関係の人達か? それと1人だけなんだか外人さんみたいな名前も含まれていたような気もする。まあ、ともかくその人達の部屋を捜そう。そして朝ご飯を食べながらそれとなく身辺調査だな。
軽く方針を決めて兄弟姉妹達の部屋を捜し出す俺。しかし……まさかその兄弟姉妹達が『絶』ブラコンであろう事など、この時の俺には予想も付かなかったのだ。