42人目の至高   作:マッキンリー颪

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第13話

「で? てめえは一体何者なんだよ」

「何者か……か。それはともかくとして、ここで一体何が起こった? 凄まじい力のぶつかり合いを感じてここへやって来たがどうも、飛んでくるのに時間がかかってしまったが……この大地の傷跡、お前の仕業か?」

 

 質問に質問で返すんじゃねえよボケ。

 とは思ったが……あえて話に乗ってやるか。見たところこやつはそんなに強くなさそうだが、妙な感じでもある。

 

「ここでちょっと戦いがあったんだよ。敵の詳細と戦いの理由は聞くな」

「ちょっと? この破壊後でかい?」

 

 しかし妙なやつだ。男とも女ともわからんのだが……どうも測りにくい。目の前にいるこいつからは強さは感じないが、どうにも強さが測りにくい気がする。

 

「ちょっとだよ。そこそこ強い奴もいたんでウチのもんが大地を切ったり焼いたり抉ったり、まぁ俺もちょっぴり竜巻やら磁気嵐を起こしたが。そこまで食らいついた敵が悪い。それが全てだ」

 

 それ以上の説明はしない。必要は感じないし……そもそもこいつはここに居ないしな。

 これ以上愚にもつかんことを言うようならジャンククラッシュでも……

 

「ふむ……お前はまさか「プレイヤー」か?」

 

 そう思っていたら……おやおや?

 

「お前よー、さっきから質問ばっかだぞ。次、こっちの質問に答えずにてめえの質問をしたら問答無用で敵とみなしてその鎧をジャンククラッシュで立方体にするからな」

「む、確かに私ばかり質問していた形になるか。それは失礼した。では名乗らせてもらおう。私の名は」

 

 こいつは何を知っている?

 こいつは一体何ものだ?

 

 

 

 

「さて、どう説明したものか……勝手に交渉しちまった結果になったが結果オーライってなるかなぁ?」

 

 ナザリックに帰還した俺はちょっとばかり困った事態に頭を唸らせていた。

 しかしまぁ……あやつとの会話は理由はわからないが何故かイラっとさせられるために、もしモモンガさんがいたら即効で激昂して落ち着いて、その後冷静に敵対決定とかなりかねなくて怖い。

 だからモモンガさんをあやつと合わせるのはやめといた方がいいか? と思って勝手にしちまったが……明らかな越権行為だよなぁ。

 はぁ、ちと気が重い。

 

 そう思いながらナザリックに帰還した俺。

 モモンガさんは玉座か自室か、あるいは円卓か……まぁ適当に探せば見つかるかな?

 と、適当に9階層を歩いていたら、メイドの一団と出会う。

 

「あ、プレアデスだ」

「これは! オッ様。お帰りなさいませ。オッ様も今、ご帰還なされたのですか?」

「うん。で、モモンガさんに会いに行こうと思ったんだが……お前たちも?」

「はい、ちょうど任務を終えたところでして。ボク……私たちも今からモモンガ様へと任務成功の報告を、と」

「そうか……ようし、俺とどっちが先にモモンガさんの所へ行けるか競争だー!」

「ええ!?」

「すまん、嘘だ。ちょっとからかってみたくなってな」

「は、はぁ」

 

 とりあず落ち込んだ気分を誤魔化すためにプレアデスをからかってみたが……ま、お陰でだいぶ気は紛れたかな?

 

「ところで今回の「収穫物」は?」

「あ、それでしたら件の集団と、女戦士の生け捕りに成功しました。ただ、あまりにも見窄らしい格好ですので、この9階層の空気に触れさせるのは不敬かと思い……」

「なるほどね。殺さずに捕らえるとはお見事。自殺とかの危険はないか?」

「それならルプスレギナとソリュシャンが」

「はい。自害に使えそうなものは全部没収した上で手足を使用不可能にもしましたので」

「何でしたら魔法でいつでも治せます。アレらになにか使い道があるようでしたらいくらでも修復可能です」

「ん、ご苦労。まぁそやつらのこれからの人生を思えばちっとばかし気の毒だが……元から犯罪者だしな。自業自得か」

 

 その犯罪者集団がこれからどんな目を見るのか……いや、どんな目に会い続けるのか、を考えると俺にも多少は気の毒に思う気持ちはあるようだ。

 ここら辺は「そやつらと直接会ってないから」かな。ひとたび目にすれば、その人間を人間と思えなくなりかねない。だったら俺とモモンガさんはそいつらがこれからどうなるかを知る事はあっても、そいつらを目にしないほうが良いかも知れない。

 そうでないと人殺しや拷問に慣れ親しみすぎてしまうからな。

 

 そんなことを考えながら、玉座の間に到着。

 

「失礼しまーっす、と……あぁ!?」

 

 すると、玉座に座るモモンガさんとアルベドと……あいつは! あの姿は!

 

「まさか、パンドラズ・アクターか!?」

 

 ドイツっぽい軍服にロングコートを羽織り片腕だけ通したスタイル、そしてドッペルゲンガーらしくまんまるい顔にぽっかり空いた3つの穴。

 あれこそまさに、パンドラズ・アクターだ!

 

「お前か! お前が噂の!」

「Ja! Mein Name ist」

「ドイツ語は止めようなぁ!?」

「は、はい……」

 

 ちぇっ。

 初めて見たパンドラズ・アクターに興奮したのにもうスゥーっときちゃった。残念。

 

「それはそうとモモンガさん、俺だけでなくプレアデスも任務完了して帰ってきましたぞ」

「ええ、そのようですね……あー、パンドラズ・アクター。お前は例のアイテムを持って宝物庫へ……とりあえず持って行っておいてくれ。最奥へは私が保管するのでな」

「かしこまりました! 我が主!」

 

 アンデッドで疲れと無縁のはずのモモンガさんが疲れたような態度で、パンドラズ・アクターに下がるように指示を出す。

 すると奴はバサッと両腕を広げ大きな円を描いて腕を回しながら胸の前へと手のひらを持っていき、静かに頭を下げながらモモンガさんへの礼をした。

 ヒュー、かっけぇ。

 

「や・め・ろ!」

「は、はい」

 

 が、モモンガさんには不評みたいだ。かっこいいのに。

 プレアデスたちも……いや、こいつらの反応は見なかったことにしようか。

 

 さてさて、パンドラズ・アクターも去っちゃったことだし、ちゃちゃっと用事を済ませるか。

 その前になんであやつが居たのかを聞かねばね。

 

「モモンガさん、なんでパンドラズ・アクターが玉座の間にいたんだ? 影武者ごっこでもしたくなったのか?」

「違いますよ。さっき手に入れたワールドアイテムの解析、および追尾系や探知系の魔法の解除を解析班に任せていたんです。流石にワールドアイテムに下手な魔法がかかってるとも思えませんが、それでも玉座の間で爆発トラップなんて笑えませんからね」

 

 なるほど。確かにゲームだとそういうしつこい事をやる奴が居たからなぁ。

 

「ところでオッさんは随分と帰還が遅かったようですが……」

「それについてはちょっと後でじっくり話したい。今はプレアデスからの報告を聞いてあげて」

「ふむ? まぁ分かりました。では……プレアデスよ。任務ご苦労。で、首尾はどうであった?」

 

 とりあえず訝しみつつ、俺の言うことを聞いてくれたモモンガさん。

 一応、最終的にはアルベドやデミウルゴスの意見も聞くべきなんだがまずはこっそりと確認とかしておきたいから、俺の要件は後だ。

 

 で、聞いたところ……

 

「彼らは秘密結社、ズーラーノーンなる組織の人員だそうです」

「偉大なる盟主とやら、名をズーラーノーン……と言うそうですが、死を振りまく集団とかなんとかで帝国の貴族にも影響を持っているそうです」

「我々が今回捕まえたのはその組織の中で12人の高弟と言われる者の二人です」

「女戦士はクレマンティーヌ、という名だそうですが、法国出身でもあるようです」

「彼らの持ち物も検分いたしましたが、大半が取るに足らないものですが数点、昔の世界にはないアイテムもあるようです。効果の上では取るに足りませんが」

「彼らのアジトは、特に事件でもない限り見つかることはないかと思えますので、今はそのままにしてあります」

 

 とのこと。

 

「ほう、秘密結社……これは中々、良い情報をたぐれそうじゃないか。まぁ高弟、とやらは法国の陽光聖典とかの連中のように、魔法の尋問で死んでしまう可能性もあるが……時間はあるんだ。じっくりとやろう。それに……法国出身者か。色々と喋ってもらえると今後の役に立ちそうだ」

「かしこまりました。そのように伝えておきますね」

 

 そうしてプレアデスからの情報にモモンガさんは満足し、アルベドがその後の行動指針を述べる。

 

「プレアデスたちも含め、今回の作戦における人的被害はなく、実に理想的な形で作戦となったかと思われます。一応、倒した敵部隊が先遣隊であり、後に主力と合流する可能性もありますのでこれから周辺地域の監視体制を強化しようと思いますが、範囲はどこまでがよろしいでしょうか?」

「ふむ、国境線あたりを目処にできれば良いのだが……あまり範囲を広げすぎると逆にこちらが補足される恐れもあるな。ここは戦闘地点より内側……ナザリック寄りを監視しておく、そのくらいで良いだろう。後に独立国家として立った時の予行演習にもなるかな。国境警備をするつもりで挑むように、と指示を出しておけ」

「かしこまりました。では次に、倒した者たちの死体の用途ですが」

 

 ここでアルベドはちらりと俺を見る。まぁ、余計なことを言ったからな。

 

「アレらをどうするかはモモンガさんに任せるよ。なんせこの世界の人間の中でも珍しいハイレベルな人間どもだ。恒常的な上位アンデッドの素材になるのだとしたら、ナザリックのためにもそうすべきだ、とは俺も思うしな」

「で、あればモモンガ様。ここはあの者達の死体、最大限に有効活用すべきではないかと具申します」

「そうか……」

 

 俺とアルベドの発言を受け、モモンガさんは少し考えてから、頷く。

 

「よし。では連中の死体はそうさせてもらおうか。成功するようなら上位アンデッドの常備戦力も増えることだしな。その結果次第だが一番レベルの高い髪の長い男の死体は、念のために保存しておこう」

「念のため……ですか?」

 

 モモンガさんの結論にアルベドの疑問の声。

 そりゃ、素材の出来がアンデッドの出来に関わるなら一番戦闘力に期待できる素材、だからな。

 

「ああ、もしその時が来たら考えている余裕なんてないかもしれないがな。経験値を消費しなければ召喚できない最上位アンデッドの召喚、その素材にすべきだろう。経験値を消費しておきながら使い捨てにしてしまうのは勿体無い」

「なるほど。さすがモモンガ様。先のことを見据えた素晴らしいご判断です」

 

 彼らの死体はそう使われることに決まったか。

 次は、犯罪者……ズーラーノーンとかだったか? その連中の行く末について。

 

「プレアデスが捕まえた連中についてですが……盟主、とやらまで逆探知して捕獲しておきましょうか?」

「ふむ……たしか秘密結社、だったか。しかも国際的に活動しているとか。今の時点で下手に動いて痛くもない腹を探られるのも嫌だし、今はまだ手を出す必要はあるまい。だが調査はしておけ。役に立つようならその組織全体を回収してしまおう」

「では、今は捕まえたものたちを拷……いえ、尋問して上を手繰れる手段を得ておきましょう」

「うむ……あぁそうだ。もしそやつらの戦闘力が高いというのなら皮を剥いで加工し、魔法のスクロールとなるかどうかの実験もしておくべきかな」

「は。未来においてやっていた、というように敵対関係にない人間を虐げる事は致しませんが……悪を裁く。その大義名分があれば……ですね」

「うむ。かと言って、意図的に煽って敵を作るような真似はくれぐれも控えるのだぞ?」

「かしこまりました」

 

 やっぱりというか何というか……結構悲惨な運命をたどりそうだ。

 しかしまぁ、秘密結社の行動方針として自分たちがやろうとした事と同じ事をされてるようなもんだ。文句なんか言えまいて。

 

「さて。これにて一先ずの状況が落ち着いたと思いたいところだが……」

「問題ないかと思われます。リ・エスティーゼ王国がどう動くにしても、全体の意思決定を図るのにまだまだ時間もかかることでしょうし」

「しかも、どう戦ったところで恐るるに足らん相手でもあるからな」

 

 法国の洗脳チームとの戦いが始まるまで、内心でかなりのプレッシャーを感じてたからだろう。

 その戦いを終えた事でモモンガさんはすこぶる気が軽そうである。

 この後どうなるか、ちょっとわからないので怖いけど。

 

 そんなこんなで、大まかな打ち合わせも終わる。

 

「それで、オッさんは何かあったんですか?」

「ああ、それについては後で円卓の間で」

 

 と、俺が言うとモモンガさんとアルベドの空気が凍る。

 

「なにか……重要なことが!?」

「それとも真眼(サイクロプス)による未来知識をなにか思い出されたのでしょうか?」

 

 そう思っちゃうか、まぁどっちかと言うとモモンガさんが正解だけど。

 

「それも含めて、だな。場合によってはアルベドやデミウルゴス……あとパンドラズ・アクターにも相談する必要が出るかも」

 

 モモンガさんはパンドラズ・アクターを動かすことには消極的だが……なんでそんなに嫌がるのさ。

 

 

 

「で、何があったんです?」

「うん。あの連中を倒してシャルティアとコキュートスは死体の処理で先に帰っちゃったけどさ。その後に転移魔法みたいなのでやってきた奴がいるんだ」

「な!?」

 

 これにはモモンガさんびっくり。

 だけどその理由としては「法国の後詰め部隊が現れたのか」と思ったようだ。

 

「そうじゃなかったです。どっちかと言うと、敵対……て程じゃないにしても警戒してる感じ? そんな事を言ってました」

「何者なんです?」

 

 モモンガさんは、俺の接触した相手が何者かを聞く。

 だから俺も答える。

 そいつの名を!

 

「えーと……ぷら……プラスチックドラゴン? いや違うか? えっと、なんとかドラゴンのツァイト? えーと、えーと……」

「おいオッサン」

 

 仕方ないじゃん! 一回で覚えきれなかったんだから!

 

「ま、まぁまぁ。名前なんていいじゃないですか」

 

 今は対策を考えようぜ!

 と、説得をしてやり過ごすのだった。

 ったく、あの野郎……今度会ったらぶっ潰してやりてえ!

 

「ともかく、そいつ自身と法国との関係は微妙な存在で、なんか世界の守護がどうとかわけのわからない事を言ってました」

「なんと」

「で、話てて何言ってんだかわからないんで、敵対するならぶっ飛ばすが敵対しない奴は殺さないし、支配下に入るなら守ることも検討してくれるわ、と言ってやったら「そう言う奴か」みたいな事を言ってなんか勝手に納得したのか消えられました」

 

 ちょっと勝手な事をしたけど、基本方針はそうだし大丈夫かな? とモモンガさんに聞いてみたのだが、モモンガさんはそれどころじゃないという。

 

「いやいや、そいつ……ひょっとしてオッさんの言ってたシャルティアを殺したっていうドラゴンじゃないんですか?」

「んー、でもあの鎧は弱かったですよ? 見た感じあの鎧はラジコンだから操縦者がどのくらい強いのかは未知数ですけど」

「だから、そのドラゴンが鎧を動かしてたんじゃないでしょうか? 多少実力が劣化するにしても人の世界の世情を探るために正体を隠し」

「モモン・ザ・ダークウォリアー?」

「その名前はいいとして」

 

 モモンガさんは、シャルティアが未来の一つの形で殺された理由として、自分たちが世界の敵になったことでその敵の本気を引き出したという事ではないか? と考えたらしい。

 鎧をラジコンで動かすのであれば、ラジコンが負けても自分は痛みを感じない。その上で自分を倒しうる存在の本拠地を突き止めたのなら、核爆弾のような者をラジコンに運ばせて……とも。

 

「なんて卑怯な奴だ!」

「ひょっとしたらラジコンそのものが爆弾である可能性もあります」

「ジャンククラッシュしなくてよかったかも」

 

 あ、危ねぇ~。強さを感じないから可能性は低いと思うが、0じゃないからな。

 シャルティアを問答無用で消滅させられるなら、俺だって直撃は危ない可能性がある。

 なんと恐ろしいやつだ。

 

「もしそいつが生身であれば交渉するときに、ナザリックに連れてきてもらえたらよかったのですが……ラジコンを連れてこられたら拠点の位置バレ、その他の不都合がありましたからね。連絡をよこしてくれなかったのはマイナスですが、その点で帳消しに」

「それは、ならんでしょ。自分で言うのもなんだけど、だいぶでかい失態だと思うしさ」

「いやしかし……というか、だったら何でそのドラゴンに対し、喧嘩腰な態度で?」

「それが……なんでかわからないけど、攻撃したくなったんです。思い当たるフシがないでもないんですけどね」

「なんです?」

「俺、カルマ値がマイナスよりなんで……そこら辺が関係してるのかもしれません」

 

 モモンガさんが目の前で人間を殺してる時に、ちょっとキレすぎだろ、などという思いこそあれど、俺はその行為自体には思う所がなかった。

 法国の連中と戦った時もだ。

 あの老婆が敵対者であり、明確にこっちを操ろうという意思を見せてたにしても……老人の首を落とし死体もバラバラに引き裂かれた様を見て、安堵を覚えるだけだったし。

 人の生死に心が動かされないのはゴーレムだからか? とも思ったが……実はカルマ値が関係しているのかもしれない、と思ったのだ。

 

 未来において数万人を殺してなお笑い声を上げることが出来るモモンガさん。

 一応自分の行為を残虐行為と認識してるフシがあったような記憶もあったが、人間を人間と思わなくなっただけで「あの」モモンガさんにそんな行為が出来るのか? そう思っていたが、確かモモンガさんは種族特性や取得ジョブの関係でカルマ値が極端にマイナス方面だった。その影響があるんじゃないのだろうか? と、思ったわけだ。

 なんとなくだけど。

 

 とりあえず、そういう事を説明してみたところ、モモンガさんはフムと思考を巡らす。

 

 自分で言ってても荒唐無稽すぎる話ではあると思うがね。

 そもそも、本当にカルマ値が正確に反映されてしまうのならモモンガさんは過去のギルメンや、今のナザリックのしもべ達の事も道具扱いで切り捨てそうな気がする。

 やはり間違いかも。

 

「なるほど……カルマ値。少し変な話になりますが、オッさんは、その……殺気とかって感じれますか?」

「殺気~? さあ? 俺は昔ソロメインだった事もあって、ステ感知や適正反応サーチの能力に結構振ってただけに、この体になってゲームの数値じゃなく感覚とかで敵の戦闘力を読めるようにはなりましたが……殺気ですか?」

「はい。私にもわからないのですが、我々がそういうのを持つと、スキルとかを発動していないのにこの世界の人間が怯えることがあるように感じました」

 

 むう。

 あれか、あの……なんとか聖典とかいう連中のボス。あいつの発言に急にキレたモモンガさんにみんなビビってた時のことを言ってるんだな。

 そういや俺もかなりビビったからな。あれが殺気というやつなら、そうなのかもしれない。

 

「んー、モモンガさんにかなりビビらされた事はありますね、確かに。絶望のオーラより怖いかも」

「まぁ、そんな感じで……ひょっとしたら、我々の体からは……何らかの陰気みたいなのがにじみ出ているのかもしれません」

「気!? 気っていうとあの……ドラゴンボールとか北斗の拳みたいな!」

「すみません、それ知らないんですけど……まぁ当たってると思います」

 

 おおう、ゲームキャラの体になったからとは言え、俺もジャンプヒーローみたいな気を放つようになっていたとは。

 って、そもそもシングマン自身がキン肉マンのキャラじゃん。

 俺の容姿はぶっちゃけシングマンだ。

 

「そして、ラジコンドラゴンの奴は体から陰の反対……陽の気のようなものを放っているのかもしれません」

「むむ?」

「結果、お互いに喧嘩をする気がなくとも、不思議と不快感を相手に感じてしまうんじゃ……と、私は思いました」

 

 そう……かぁ?

 確かにあのラジコンドラゴンとはちょっと会話してただけで、かなりイラっとさせられたが……確かに、思えば会話の内容自体は不快感を感じる要素なんて無かったはずなのよなぁ。

 いやしかし……うむう。

 

「なんとなく理屈に合うような気はしますが……なんとも嫌な感じですね?」

「私もそう思います。そして厄介でもあります。戦闘の意思がなくとも喧嘩腰になってしまう可能性というのは」

 

 うーん。

 俺とモモンガさんは思わず唸る。

 未来の知識を教え、俺自身の要望も言ってみたが、モモンガさんも「ゲーム内ならまだしも現実に悪名を轟かせる魔王だと、皆にちょっと合わせる顔がない」と、言ってくれたしで安心していた。

 だけど、もし俺たちが自分の知らないところで「邪悪な存在」になっていたとしたら?

 

 俺はモモンガさんをこの世界に来ないようにしたかったし、自分も来る気はなかった。

 今は来てしまったけど、自分も来てしまった以上は、せめて俺がストッパーになるべきだと思っていたが……ひょっとしたら俺はストッパーに成りえないんじゃないかと不安になってしまう。

 自分の事だからわからないだけで、ひょっとしたらいつか俺も笑いながら大勢の人間を殺し、別に悪いわけでもないのに勝手な理屈で因縁をつけて陰湿な拷問を繰り返すような化け物になるのだとしたら?

 いいや、すでに俺は怪物の片鱗が現れ始めているのかもしれない……

 

「オッさん? オッさん? 起きてますか? もしも~し」

 

 ……このハゲ! 人が真面目にシリアスに悩んでるっていうのになんてひどい態度だ。

 

「あのね。俺は今結構シリアスに悩んでたの。まったく、それをそんなシリアス感の欠片もない反応して……」

「普段が普段ですからね」

 

 こっ……このハゲ骨野郎!




 前回の続きは。
 こんな感じの消化不良に。
 まぁ一応、書籍でツアー自身がプレイヤーと積極的な敵対行動を取りたいと思っていない、というのは見て取れたので。

 大地を切ったり焼いたり抉ったり、竜巻やら磁気嵐を起こしたり。
 隊長頑張ったんだなー、と思って下されば。 

 あ、プレアデスだ。
 どうやらほぼ同じ日の出来事だったようで。
 実際にはシャルティアが漆黒聖典の連中とエンカウントした当日とは違う気もしましたが、まぁ移動とかでいろいろあったのでしょう。
 ……漆黒聖典の連中がもし転移魔法やらで移動してたのなら全然違う結果になりそうな気もすることに今気づいたけど……今更なのでこのまま行きます。

 パンドラズ・アクター。
 そのアクションに主人公は大はしゃぎ、モモンガさんげんなり。
 きっとモモンガさんは内心で「自分だけNPCに無難な設定付けやがって!」と憤ってることでしょう。

 死体の使い道。
 ナザリックの防衛、今後のことを考えたら……流石にそうなりました。
 まぁ実際「それ」が可能かどうかは不明なのですが。

 プラスチックドラゴンの……ツァイト?
 白金(プラチナム)()竜王(ドラゴンロード)・ツァインドルクス=ヴァイシオンです。が、そんな名前を1回聞いただけで、主人公のIQで覚えられるとお思いでしょうか。
 無理に決まってます。

 ラジコン呼ばわり。
 主人公はともかく未来人のモモンガさんも「ラジコン」で通じるんだ……そんな未来にもあるもんなんだ……。

 カルマ値?
 モモンガさんなりの考察。
 まぁ書籍のキャラクター紹介ページでもカルマ値を書いてたりすることですし、ひょっとしたらカルマ値はこの先、原作でも大いにストーリーに関与するんじゃないかなー……なんて。
 ツアーとの拒絶反応なんて特にない可能性も大ですが。
 でもモモンガさんは、声の届く距離でバフの魔法を使いまくってもシャルティアから攻撃を受けなかったのに対し、ツアーはどうやら「近寄っただけで攻撃された」ようなので。
 どのくらいの距離まで「近寄った」のかは不明ですが、モモンガさんはカルマ値がマイナス寄りでシャルティアと近い存在だから近くても大丈夫、ツアーはカルマ値がプラス側なので、モモンガさんと同じ距離に近づいただけで攻撃スイッチが入った、って事があってもおかしくないかな、と。
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