42人目の至高   作:マッキンリー颪

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番外・8

 リ・エスティーゼ王国の王都リ・エスティーゼ。

 モモンガは大きくて豪奢な4頭立ての馬車の窓から覗く町並みを上機嫌で見ていた。

 

「ほう、想像してたよりは栄えてるじゃないか」

「そうでしょうか? ナザリックから見て到底評価に値する作りには見えないのですが」

 

 思えばこの世界に転移してから、今までナザリック以外でモモンガの見てきたものはあくまで自然のあふれる森や、辺境の村などの自然物、そしてそれに少し手を加えたもの、程度だった。

 元の世界に……オッの物言いで言うところの第一世界では既に失われた自然というものはそれはそれで美しいものではある。しかしそれでも、元人間の視点で言えばそれだけでは物足りないものも感じていたのは事実。

 そんな中で1から10まで「人の手によって作られた人のための場所」という物を見たのは初めてであり、そのせいか若干テンションの上昇を感じる。

 とはいえ、精神の抑制が発動するほどでもないのだが、逆にそれが心地いい。

 だから普段なら多少は眉をしかめたくなる守護者の「ナザリック以外のもの」に対する無条件な蔑視に対しても、モモンガはそれほど不快に思わなかった。

 

「うむ、確かに洗練された作りではなく、まだまだ薄汚い部分も多いかもしれん。だが、これこそがこれから我々の生きていく世界だということを忘れるな。そしていずれ作るであろう見せかけの国は、最低でもこれ以上のものを、という指標にもなるのだからな」

「はい、そこまで至らず申し訳ありませんモモンガ様」

 

 言葉とは裏腹に機嫌の良さそうな声であることから、特別叱責を受けているわけでもないとわかっていても、アルベドは畏まった態度で頭を下げる。

 

「あー、アルベド。私の名前は戦士長が貴族に流しているはずだからここでは……モモ……いや、すずき……うん、ズーキだ。ズーキと呼ぶように」

「かしこまりました」

「お前たちも、この街にいる間は私をそう呼ぶように。私以外は……まぁ私とオッさん以外の名前は名乗っていないから大丈夫かな?」

 

 モモンガはそう言って、馬車の中のメンバーにも言いつける。

 後で馬車の操作をやっているセバスとソリュシャンにも言っておかねばな、と思いながら。

 

 今回の「お忍びでの王都散策」は、マスクくんをまとい擬態したモモンガが他国の裕福な商人。そして護衛のアルベドが表面上は(シャルティアが最後まで反対していたが)妻として、さらに執事のセバスとメイドのプレアデスが身の回りの世話を。今回の王都来訪は新婚旅行と、将来的に王都リ・エスティーゼをはじめ王国にも店を広げることができそうかという下見……と、そういう事になっている。

 もちろん実際の目的は「貴族とも太いパイプを持つ犯罪組織」を探し当てることにある。

 オッからは「商人を装うのにこれを使いなよ」と、彼の私物である鉱石や金貨を鋳潰し、ユグドラシル基準で言えば低いグレードの装飾品や武器に作り直し売る事になった。

 モモンガが個人的にユグドラシル内の冒険で得た資産の消費は好む所ではないが……当の所持者であるオッが良いと言われた事をまで否定する事はできなかった。

 

 ユグドラシル由来の金貨やアイテムが出回ったなら、自分たち以外のプレイヤーが見た時にそれを足がかりに存在がバレてしまうかも知れない。

 オッは言わなかったが、おそらく自分ひとりで未知の世界に転移してきたならば、そういう警戒心を持って行動していただろう。

 しかし今は最終的な目標のビジョンが明確に見えている。

 そのお陰でたとえグレードが低いものであろうと、ユグドラシル系の装備を販売し「この世界の貨幣」を大量に獲得しようと思えるくらいには強気になれるのを、頼もしく思う。

 本人が自覚してる記憶力の不備や、普段の行動が勢い任せの場当たり的なもので、あまり物事を深く考えないという点についてはモモンガとしてはそれ程欠点と思っていない。

 ただ、ナザリック運営や自分たちの行動指針を決めるという意思決定の指揮に関わろうとしない点は何とかして欲しいと思っているのだが。

 

「オッさんも私がいない間にもう少し、ナザリックの運営に深く踏み込むようになって欲しいものだが」

 

 モモンガの何気なくつぶやいた言葉は果たしてどのような結果を生むのか。




 モモンガさんの偽名。
 さんざっぱら「モモン・ザ・ダークウォリアー」と言われ、自分で否定しているのであんな形に。
 アインズ・ウール・ゴウンの名も言ってしまってるので偽名が思いつきにくかったそうです。

 偽りの身分。
 書籍ではソリュシャン&セバスが帝国の豪商の娘とその執事、をやってたのでその上の身分的な主人もやってきた、といったところ。
 アルベドとシャルティアは付いてくるのは自分が自分が、と主張して、本来ならアルベドにはナザリック内を任せたいと思いつつ、主人公から聞いた未来知識があってシャルティアにちょっぴり過保護なのでお留守番になりました。
 シャルティアはおかげでバーで飲んだくれたりしてますが。
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