42人目の至高   作:マッキンリー颪

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番外・10

 こんこん、とノックの音。

 

「入れ」

 

 そのノックにモモンガが答えると、扉を開けて入ってきたのはアルベド。

 屋敷の中では普段は装着していなかった正体隠蔽用のアイテムを使っているようで、その姿を見ただけでモモンガはある程度の当たりをつける。

 

「釣れたか?」

「おそらくは」

 

 ニヤリ、と気分で笑う。

 もちろん、皮膚一枚すらない骨の顔であるがゆえに、あくまでモモンガ自身の気分的な問題だが。

 

「今来た来客がそうか」

「ええ。この国の貴族だとかで、たいそう自分を偉いのだと勘違いしている様子でした」

「とんだ道化だな。という事は、セバスの拾ってきたアレの元の飼い主は()()()と思って良いのかな?」

「でしょうね。今は応接間でプレアデス数名で相手をしておりますが……ユリの見立てでは一人だけレベル20台の者がいるそうです。この世界の人間であればそこそこの強者ですが、真っ当な表社会の人間でも無さそうとなれば」

「ここまで狙い通りになるとはな。ククク、ではさっそく行くとしようか」

「ではマスクくんを連れてきますので」

「うむ」

 

 アルベドの前であることもあって、多少は大物ロールをしている所もあるが、概ね自分の望んだ通りに自体が進む事でモモンガはかなりの上機嫌となる。

 そのせいで精神抑制の効果もありスゥーっと来てしまうが、それでも小さな満足感は得られるために若干機嫌はいい。

 

 モモンガの狙い……オッから得た未来知識を元に、この国での後暗い犯罪者とのコンタクトは、下手に裏社会に手を伸ばすよりも、表通りで善人であり、かつ金を持っている人間を演じたほうが引き上げやすかろうと言うものであった。

 それゆえに、カルマ値が善側に触れており、本人のフレイバーテキストからなる設定、そして創造主であるたっち・みーの性格の反映などを総合した結果、ナザリック内でもっとも「善人」として振る舞えるセバスに大きな自由を与えつつ、この都市を回らせていたのだ。

 

 情報収集……この国で強者と言われる者の探索や、一般的な平民の生活を知ることが出来るだけでも損はない。そう考えていたが、さらに狙った獲物……つまりはこの国の犯罪者も釣れたのだからモモンガが上機嫌になるのも当然。

 しかも、ただの場末の突発的な犯罪者などではなく、貴族までを動かせる上に「この世界では強者と言われる者」まで動いてくるのだから、これはもう大当たりと言っても過言ではあるまい。

 

「ま、期待しすぎて外れだとガッカリしそうだから過度の期待は禁物なんだがな」

 

 自戒を込めてそう呟くが、それでもやはり、期待は大きくなってしまう。

 

 

「ふーん。で、何が言いたいので?」

 

 表面にこそ表さないが。ナザリックに住まうものなら間違いなく察知できる。

 それほどまでに不快感を感じているモモンガの返事だが、応接間のテーブルを挟んで前に座る者、そしてその後ろに立つマント男には通じていないのか、無表情を装いつつも内心でニヤけているのが透けて見える態度。

 それが、この館にやってきた客の姿である。

 

 この館は所詮は金で一時的に使っているだけで、なんの思い入れもない家に過ぎないが、仮とは言えナザリックの絶対支配者たるモモンガの住まい。

 ならば、調度品などは「それなり」の物を用意していたのだが……目の前の貴族には一体どう言うモノに見えるのか。

 

 欲望を隠さない態度でまずは調度品を褒めそやかし、次にモモンガの隣に妻の設定で座るアルベドの容姿を褒め、次にメイドであるプレアデスの容姿に言及。

 思い出したようにこの国の法律がどうだとか、そんな事を言ったかと思えば辺りを見渡し再び調度品、そして女の容姿とループしたかのような会話。

 王国の法律自体には聞いておいて損はないか? と、思わなくもないがもはや王国との関係において遠慮は必要ないと結論が出ているのだ。それほど真面目に聞く価値はないという思いが強い。

 

 それだけに、この会話を不毛に感じるのは仕方のないことであろう。

 

 次にまた会話をループさせるようならこいつら全員の骨を数本へし折って叩き出すか? と物騒な考えに至りかけたところで、ようやく会話が動く。

 

「つまりだ、ズーキくんよ。君の家の執事が不当な暴力で拐った女性はね。真っ当な職業に就いていた者だということを言っているのだ」

「真っ当……ねぇ。セバスから聞いた話では意識不明の状態で地面に投げ捨てられたと言う話ですが?」

「いやいや。末端の従業員というのは得てして、下の者に対し高圧的な態度を取るらしくてね。ちゃあんとその辺りのことも注意しておきたかったのだが……どうもその従業員、逃げ出してしまったようで捕まらないのだよ」

「ふーん。それはその店の従業員に対する教育不足が原因でしょう」

 

 一応相手が貴族だという事もあり、多少は敬った態度で接してやるべきか? と、思わなくもなかったが、あまりにも長いループの会話でモモンガはそういった気持ちが完全に薄れている。

 これが、もし相手の不敬な言葉を引き出すための相手の話術だったというのなら大したものだと評価してやらないでもないが、自分を対象に不快感を与えるのだから、やはり評価すべきではないなと思うモモンガ。

 

「ま、そうなるかねぇ。ただし……逃げ出した従業員と違い、そちらの執事が拐った」

「保護をした、ですよ」

「あぁ、そういう主張だったね。君の執事が保護をしたという女性。彼女はれっきとしたあの店の従業員でね。返してもらえないと困るのだよ」

「困るもなにも……セバスが保護し、こちらで診察をした時には彼女は数種類の性病、および上下前歯の欠損に右腕、左足の腱の断裂に肋骨などの骨折、打ち身や切り傷が多数と多量の薬物による影響……など、適当に聞いただけでも大層な状態だったようですが? あなたのいう真っ当な職場とやらはそういう状況の人間をまだ働かせるのでしょうか?」

「いやいや。それは随分と痛ましい話ですなぁ……本当であれば。責任をもって治療せねば」

「治療ならとうに済ませていますよ。まぁ治療といっても怪我を治し薬物の影響を無くし、病気を取り払っただけですので、体力および精神の疲労といったものの回復ができておらず、未だにベッドから出る事はできないようですが」

 

 ようやく進んだ会話の内容としては、セバスの保護した女はセバスに拐われた事になっているらしい。

 ついでに、女の職場は真っ当なものであり女が抜けた状態は困るのだとかで。

 

 アホらしいにも程がある。

 セバスが拾った状態の女を一応一目見たが、アレに仕事をさせる事など不可能であろう。

 まだ生まれて間もない赤子の方が出来ることは多そうな程だった。

 

 とりあえずその状態のことを話題にだし、ついでに既に治療済みと言えば、ここで初めて驚いた表情を見せる。

 後ろの護衛も、少し目を見開いて驚いているが貴族に比べて表情の変化は一瞬で、多少は上手く表情を隠しているようだが。

 

「治療した? いやいや……この屋敷を見ればわかろうものだが、随分とまぁ……」

 

 金の無駄使いをする奴だ、という本音が聞こえそうな態度。

 しかし、すぐに貴族の方はニヤリと笑う。

 より一層気持ちの悪い笑みを見せるものだから、いい加減視界に入れるのにもウンザリしてくるが、そういうわけにも行くまい、と、気を引き締めるモモンガ。

 

「ですが本当に治療されたのですかねぇ? 本当は最初から怪我なんてしていなかった……とも取れてしまいますなぁ。治療をした神官などの証明書でもありますか? 無いというのであればこれも問題となりましょうしねぇ」

「治療は主に、我が家にあるポーション類によるものですよ」

「それ、証明するすべがありますかな? 常識で考えてそんな事をする者がいるはずがない。むしろ……最初から健常なうちの従業員をそちらの執事が拐い、なんらかの精神の傷を負わす行為が行われた……そうとも取れるのでは?」

 

 取れねーよ。

 素で返しかけたが、流石にその態度はないかな? と一瞬口を紡ぐモモンガだが、頭の軽そうな貴族はその態度を「言い返そうと思ったが言い返せない」ように思ってしまったようだ。

 さらにさらにとまくし立てる。

 

「これは問題ではありませんかな? 誘拐、監禁、強姦……その疑いがあるとなれば、我々はあなたの執事を逮捕、そして関係者であるあなた達も事情聴取として連行せねばならなくなりますが? 奥方も、あとこの家のメイドたちも、ねえ?」

 

 ヨダレでも垂らすんじゃないかという程の欲望に染まった顔を見せる貴族。

 正直、モモンガがこの世界に来てナザリックの面々の様子の確認として会った「生きて動く」ニューロニストや恐怖公などという「見ただけでSAN値が下がりそう」な面々を見た時に匹敵する、あるいは上回る気持ち悪さを感じてしまう。

 貴族なんだからもうちょっと表情や欲望を隠せよ、と言いたくなってしまう程だ。

 モモンガは自分の大物ロールを所詮は演技、ハリボテと思っているが、それでも目の前の汚物に比べれば遥かに品があると思ってしまう。

 

「そのような事実はない。それが答えですよ。あなた方も知っているようにね」

「いやいや、かの店の営業は王国の法によって認められた真っ当なもの。そこに間違いなど起こりえません。つまり、あなたの執事が嘘をついていると」

「あぁ?」

 

 モモンガは、正直この貴族との言葉遊びで多少は「やり込められたフリ」をしてやるつもりではあった。

 仮に拘束されるというのならそれも一興。むしろ「不当な拘束」の現場を身をもって体験する事で、王国との敵対関係の際に「反撃である」という建前とするべきだという考えがあったのだ。

 

 しかし、だめだ。

 これは無理だろう。

 

「セバスが嘘? お前は今そう言ったのかね?」

「お、お前!? くっ、所詮は帝国の成り上がりの平民。貴族に対する態度も」

「知るかよゴミが。ちっ。低脳で無価値なお前は知らんことだろうがな、セバスの創造主は俺が知る最も高潔な人物であり恩人で、セバスはその精神を引き継いでいるんだ。そのセバスが……嘘だと言ったか」

「な、何を言って」

 

 モモンガは非常に不機嫌になった。

 元々、屋敷に来てからの貴族の無駄話に付き合わされたイライラもあり、その上でのこれだからだ。

 このイライラ、別にセバスだけが特別というわけでもなく、正直なところアルベドやプレアデスまでを欲望の目で見られていたことに対するイラつきもあったのだが。

 彼女らの容姿が優れているのは、デザインした仲間たちの腕の良さの表れ。それを評価されるのであれば別にいいのだが……それでも、不遠慮な視線というのは彼女たちを、更にそれを通して仲間達を汚されたような気持ちを覚えてしまう。

 いや、一部の仲間はそういう「美女がブサイク下衆に汚されるのもご褒美です!」なんていう尖った性癖の持ち主もいるが、それでも自分が手がけたNPCが実際にそうなってしまうのに良い気はしないだろうから、やはり怒るべきだろう。

 となれば。

 一度感情を出してしまってはもう今更態度を取り繕うのも面倒というものだ。

 

「あーあー、もうお前は何も言わんでいいよ。お前の知らんことだ。チッ、感情は制御できるつもりだったが……ふん。ゴミを相手に我慢するのは馬鹿らしいという思いの方が強くなってしまうか」

「仕方のないことかと。私も正直、モモンガ様がこの程度の愚物を相手に演技とは言え対等な会話をする姿というのは見ていたくありませんでしたし」

 

 前もって決めていた行動を自分から破ってしまったことに多少の後ろめたさを持つモモンガ。

 それに対しフォローするアルベドは、表面上のとりあえずのフォロー、などではなく本音でそう言ってそうなので、多少はそれに癒された感を覚える。普段からがっついた肉食系な態度より、こういう態度ならなぁ……と、思わなくもないが。

 

「き、きさまら私を誰と」

「知らんよ。もう名前も忘れた。……ところでマントの男。何をしたいのか知らんが、余計なことをするな」

「はぁ?」

 

 貴族の護衛であろう、後ろに控えていた男。マント姿の男は何やら低レベルの幻術を使い自分の偽の姿をその場に置き、抜き足差し足……の、ような動きでぐるりと回り込もうとしている。

 モモンガに……いや、モモンガだけでなくアルベドも、プレアデス達相手にも、その程度の幻術ではなんの幻惑効果も得られないのだが、それを知らずに動く男の滑稽さ以上に、不快感が勝りモモンガは尖った声を出してしまう。

 

 貴族の方は何を言ってるのかさっぱり、という表情であるがマントの方は驚きの表情を見せている。

 しかし、ハッタリとでも思ってそうな表情でもあるのだが。

 

「あと2歩動けば両手足をへし折る。ユリ、その時はやれ」

「はい」

 

 モモンガの斜め後ろに控えたユリは、モモンガの指示があってすぐさま動く。

 マントの男が歩みを止めなかったからだ。

 

 ごきん、ごきん、ごきん、ごきん。

 都合、4度の異音。

 

 それはまさしく、両手両足の骨がへし折られた音だ。

 

「さ、サキュロント!?」

 

 貴族から見て、本来は自分の後ろに控えているはずの男がテーブルを大きく回り込んだところで倒れている事に、音が鳴ってからようやく気付いた貴族が、驚きで椅子から腰を上げかけるのだが。

 

「モモンガ様からの許しもなく、誰が席を立って良いと?」

 

 その両方をルプスレギナによって押さえつけられる。

 特に命じていないが、間違った行いでもないので、モモンガは何も言わない。

 

 ただ、道端の虫けら……いや、汚物を見るような目を向けるだけだ。

 

「ルプスレギナの言う通りだ。お前は立たなくて良い。私の名前を聞かせたんだ。もうまともに帰れると思わないことだ」

「な、名前!? 何を……ズーキ……いや、モモンガ? モモンガ……どこかで聞いた名のような……」

「なんだ。ガゼフ・ストロノーフ戦士長が伝えたと思ったが伝わってなかったか? それともお前の脳はそれも覚えられないほどに役立たずなのか?」

 

 これ以下に下がると思えなかった目の前の汚物に対する評価がさらに一段下がったのを感じるモモンガ。

 正直、コレの死体はアンデッドにする価値もないのではないかとすら思えてくる。

 まさしく「いらない存在」だ。

 どうしようもない奴である。

 

「モモンガ……モモンガ!? ま、まさかお前がっ!?」

「お、ま、え?」

 

 目の前の汚物。ようやくモモンガという名の持つ存在に思い至ったようだが、続いた言葉が良くなかった。

 モモンガ自身は自分をどう呼ばれようと対して気にしないが、それを気にするのがモモンガに仕える者達なのだから。

 汚物の両肩に置かれたルプスレギナの両手。それが万力の如き力を発揮し、両肩の皮膚を、肉を、骨をまとめて握りつぶす。

 

「~~~っ!?」

 

 大層な激痛なのだろう。

 汚物は顎が外れそうなほどに口を開き、音にならない悲鳴をあげる。

 

「至高の御方をお前などと……よくもまぁ言ってくれる」

「やれやれ、ルプスレギナよ。わかっているとは思うが、まだ殺すなよ? そうだな、こいつはさっき、例の女は王国法で認められた真っ当な店の従業員であり、勤務可能な状態だったかのように言っていたから……似たような状態にして表に捨ててやるか。コイツの連れてきた兵隊は外にいるんだろ?」

「かしこまりました、モモンガ様。……ところで、重複した性病や薬物に関してはどうしましょうか?」

「あー……その辺は低級で効果の弱い毒や呪いで補っておくか? 大した違いもあるまい」

「では、そのように処置してきますので」

 

 このゴミの処置をしている姿を見せるのは見苦しい、そんな理由でルプスレギナはソリュシャンとエントマを連れ応接間から辞退する。

 

 次いで何をするべきかと言えば、マント男の処置である。

 ユリによって両手足をへし折られた痛みから全身に脂汗を噴出させ、苦悶に歪む表情は実に見苦しいものだ。

 

「たしかこいつは「そこそこ」の実力……で、良いんだったか?」

「はい。少なくともセバス様の視察した王都の冒険者などから見ても、平均値を大きく上回っています。恐らくは、この王都の中では強者に分類される存在かと」

「ふーん、この程度でなぁ? おいお前……名前は……まぁ良いか。お前はこの国の犯罪者組織の一員と思って良いのかな? その組織内でお前の立ち位置はどのくらいのものだ?」

「……ぺっ!」

 

 無様に這いつくばり、苦悶の表情を見せながらも「強者の矜持」でもあるのか、男はモモンガの質問に対し口から床に唾を吐きかける無礼を持って答えた。

 当然、そんな事が許される訳もなく……男の四肢を砕いたユリが男の背中を踏みつぶす。

 骨がミシミシと悲鳴を上げるほどの圧力で、男は悲鳴すら出せない痛みを覚えるが、歯茎から血が流れるほどに歯を食いしばり耐えてみせる。

 例え痛みを受けたところで俺がお前たちの言うとおりになど動くものか、とでも言わんがばかりに。

 

「ははは、中々頑張るじゃないか。それは犯罪者とは言えこの国の大組織の幹部級などという立場からくるプライドか? 魔法で口を割らせるのは簡単だが……まぁ良い。生きている間に、お前自身から得たい情報もあることだし……じっくりと時間をかけた対話と行こうじゃないか」

 

 言ってモモンガは転移門(ゲート)の魔法を展開。

 

「ユリ、そいつをナザリックのニューロニストに渡してこい。3日間、口を塞いだ状態で正気を保たせつつ、玩具にしていいと言ってな。3日後にまだ頑張るようならさらに1週間追加でな。蘇生させるのは面倒だからその点は注意しておけよ?」

「かしこまりました。所で……ナザリックの方の近況はどうしましょうか?」

「むむ……オッさんがちゃんとやってるかどうか……気になる所だが、下手に知ると私が手出し口出ししたくなってしまいかねんからな。知らないままでいた方が良いだろう。無駄な会話はせずに要件だけ済ませて帰ってきなさい」

「はい」

 

 そう言い残し、ユリは男を引きずってモモンガの開けた転移門(ゲート)を潜る。

 

「モモンガ様。ナザリックの方は……よろしいので?」

「問題ないだろうさ。例のドラゴンや法国の連中、あるいはレベル80以上の存在が来たらメッセージで連絡を入れるように、とは言っているが、逆に言えばメッセージがかかってこない以上は後でどうとでもなる問題のはず。ならば、オッさんも普段から多少は苦労して問題に立ち向かうべきだ」

 

 アルベドの問いにモモンガが答えれば、それ以上の疑問は無いのだろう。アルベドはペコリと頭絵を下げ理解の意を示す。

 

「それではモモンガ様。我々はこれからどういたしましょうか?」

「どうもしなくてもよかろう。まずはあの汚物を表に放り出し……何もなかったかのようにこれまで通りの日常を送っていればいい。追加で文句を言ってくる連中、この屋敷に踏み込む者達、そういう者がいればまとめてナザリックに送還していれば、いずれ大きな獲物が動いてくれるだろうしな」

「かしこまりました。それでは私はこれからもモモンガ様の妻! として新婚生活を送れば良いのですね。妻! ですから」

「新婚って設定だったんだー」

 

 アルベドの妙に興奮した態度に若干引きながらも、これから先の事を考えるモモンガ。

 感情的に動いたせいで周りがどのような動きを見せるのか不明だが……まぁ何とでもなるだろう、と楽観視。

 それから数分後、それなりの「処置」がなされた汚物をルプスレギナが指示通りに屋敷の外に投げ捨てたら、屋敷の表の兵隊が慌ただしく動きながらも、踏み入るのではなく撤退する動きのようなので、また少し散策でもするかな、などと呑気に思うのであった。




 屋敷の中では正体隠蔽をしないアルベド。
 一応認識阻害系のアイテムや魔法で屋敷をガードしているのでしょう。
 モモンガさんも基本的に屋敷の中では素顔です。

 あっさりキレるモモンガさん。
 沸点低すぎ問題。
 まあ相手が「弱者」と確信できてるからこそ……でしょうか?

 応接間の人員。
 モモンガさんと妻(演技)のアルベド、それとメイド全員という配置。
 セバスは一応拾った女(実はツアレ)の看病をしつつ、話の流れ次第ではモモンガさんが応接間に呼んで、そこで貴族どもにやり込められて拘束されて……と、そんな流れの寸劇をやる予定だったけど、モモンガさんが自分でもビックリする沸点の低さを発揮してあんな結果に。
 自分を馬鹿にされたり疑われることには耐性があるのにギルメンやナザリック関係を馬鹿にされるとダメなようです。

 ツアレ。
 本編とはタイミングが違いますが、主人公の存在によるバタフライ効果でしょう。
 ガゼフが予想外の失脚をしたので、例の店の使用者の下級貴族が喜んでハッスルしたのだと思われます。
 ちとご都合主義が過ぎますけどファンタジーですしね。
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