42人目の至高   作:マッキンリー颪

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番外・11

「モモンガ様。現在この屋敷は包囲されつつある模様です」

「ほう、この国の正規の軍隊が動いたか?」

「いいえ、そうではなさそうです」

「ふむ。真っ当な軍隊による行動であれば昼間に来るだろうしな……と、言うことは動いてきたのは裏組織とやらの方か?」

「おそらくは」

 

 意外だな。モモンガはそう思った。

 先日、半殺しにして屋敷の外に放り出したのはこの国の貴族のはずだ。

 どうせ下っ端なのだろうが、それでも特権階級の一角に手を出したのだ。てっきり怒りに駆られて軍隊を差し向けモモンガ達を犯罪者として引っ立てに来るのを期待していたのに、と。

 そうなれば牢屋にでも押し込められるのだろうが……その牢屋の内側から行動を開始し、行く手を阻むのたちを薙ぎ払う。そうすればいずれこの国の個人での最大戦力である戦士長とかち合い、そこで「この国では人を人として扱わない存在が法を好き勝手に差配するようで、我々の知る時代とは随分と常識が違うようだな」などと言ってプレッシャーをかける事ができる。その一点を理由に「人権の守護者」という大義名分をもって戦争、と考えていたのだが。

 

「さて、どうするか?」

「我々に一言命じて下されば、包囲している者どもを一人残さず皆殺しにいたしますが」

「はっは。頼もしいな。だが、人間という限りある資源は大事にしないといかんぞ? せっかく「どんな扱いをしても批難されることがない人材」がやって来てくれたんだ。多くは生きたサンプルとして……んん? アンデッドの反応もひとつあるな……オッさんの言っていた吸血鬼か?」

 

 戦闘メイドからの報告、その返答などをしている最中……モモンガはその身に宿したスキルの恩恵でアンデッドの反応を一つ拾う。

 人間の都市にいるアンデッド……人間の集団の中に混じっても、見た目だけならうまくごまかし用のある存在……で、あるならば吸血鬼であろうか? そして王国にいる吸血鬼となれば……そこまで考え、モモンガの目にじわりと怒りの感情が宿る。

 今はマスクくんを身に纏っていないため、その顔には筋も皮もない、完全な無表情。

 その上絶望のオーラのようなスキルさえ使っていないというのに、まるで部屋の温度が下がったかのように感じるほどの圧迫感を同室した者達は感じた。

 

 今、この部屋にいるのはモモンガとアルベド。そして屋敷の外を囲まれたことを報告に来たユリとルプスレギナに、急な来客に備えモモンガの傍に居続けるマスクくんの系5人だが、その中でモモンガの怒りの理由を知るのはモモンガ本人とアルベドだけである。

 

 オッからもたらされた未来知識の一つ。

 この王国の王都に住まう「エントマを半殺しにする吸血鬼」の存在。

 オッは「一応まだやってない事だし、未然に防げる事件」と言っていたが……モモンガはオッの前では表しはしないが、その吸血鬼に対し抱いた怒りを止められなかった。

 彼の知識の全てを盲信しすぎるのは危険だとわかっている。だが、それでも今までの時点で力量の読み違いこそあれど展開に間違いは無い。

 と、言うことはだ。

 もしモモンガがこの世界に一人で転移していたのなら、それは確実に「起こること」に他ならないのではないか?

 オッはこの世界の存在を気にかけている……と、いうのをモモンガはなんとなしに察している。いや、体こそ変わってしまっていても「まっとうな人間性を保とうとしている」と言うべきか。

 それは人間として正しい事だとは思うし、モモンガとしてもそうあるべきだという思いはある。

 だがそれ以上に「守るべきもの」がある。モモンガにとってはその点こそが重要なのだ。

 

 モモンガにとっての守るもの。

 それは自分の命以上に、仲間たちとともに築き上げた掛け替えのない物、アインズ・ウール・ゴウンである。

 

 ならば、その仲間の残したエントマを半殺しにする存在は明確な敵と言えるかもしれない。

 いや、断言する。

 

 未然の未来に対する恨みつらみで動けばオッに文句の一つも言われるかもしれないが……言い訳があるのなら。理由があるのなら。

 やってはいけない理由なんてものはあるまい。

 

「くくく。向こうから来たのか? 渡りに船と言うべきか……これを逃す手はあるまい。ユリ! ナザリックから隠密能力に優れたしもべを数十体、すぐさま連れて来い。それと敵を逃がさぬように魔法による情報操作を得意とする者もな。今この屋敷を囲んでいる連中とやら……ひとりとて逃がさん」

「は! かしこまりました!」

 

 襲撃をかけた者共は一人残さず、ナザリック送りだ。

 しかし、掴んだアンデッドの反応が件の吸血鬼であったのなら、確実に殺す。

 この世界で長く生きた存在はどんな情報を握っているのか? 気になる事がないではないが、生かして不安定要素を増やすよりは、吸血鬼だけは確実に、素早く殺してくれる。

 

 モモンガはそう決意する。

 

 

 

 一方、その取り囲んでいる側はというと。

 彼らは八本指と呼ばれる王国の暗部を牛耳る裏組織。

 その中でも警備部門、と呼ばれる一団である。

 警備、とは言うが実質は八本指の戦闘部門と言っていいだろう。

 現に警備部門以外の奴隷売買、密輸、金融、暗殺、麻薬取引、賭博、窃盗のそれぞれの部門にもお抱えの戦闘員、頭領の護衛となる者は存在する。

 が、この世界は個人の強さが突き抜ける世界。それゆえに「大勢の弱者」はどんな大人数でも決定力に欠ける一面がある。

 そんな世界で警備部門には「突出した強者」が6人も存在する。

 それが理由で戦闘力、その一点において警備部門は八本指の中でも最強と一目置かれていたのだが……

 

 ぎちっ!

 

 屋敷を取り囲む八本指警備部門の物たちは離れた距離からも聞こえる歯ぎしりの音一つにびくりと身をすくませる。

 その音の発生源が八本指警備部門、その中でも最強の頭領である闘鬼ゼロその人であるからだ。

 ただでさえいかつい顔を怒りに歪めるその姿は、視界に入れるだけで寿命が縮むのを錯覚するほど。

 いや、下手な事をすれば寿命が縮むどころか物理的に寿命の終わりを迎えそうだ。

 

 隠そうともしないゼロの怒り。

 理由を思い出すだけで、ゼロはより一層怒りに顔を歪め歯よ砕けろとばかりに奥歯を強く噛み締める事になる。

 

 

 事の発端は八本指の管理下の娼館の出来事。

 使い潰された奴隷を道端に捨てたら、それを拾う酔狂な奴がいたという。しかも、その使い潰された女を拾うために大金を払うという底なしの阿呆。

 払わせた金を懐に入れた下っ端のゴミの処分は済ませた。次は言いなりになる貴族を使い、その阿呆からより多くの金を強請るという当然の行いをすれば、館から出てきたのがボロボロに大破した貴族一人だったという。

 大した案件ではないが仮にも大きな金額の動く仕事。そういう意味でもその貴族の護衛兼お目付け役として、警備部門の中でも最強の六腕の一人を付けていたというのにそのザマなのだ。

 当の護衛であるサキュロントは帰ってこなかった。

 

 その事で、ゼロは八本指の緊急幹部会において(あげつら)われる事となった。

 六腕に名を連ねているとは言え所詮は一番の下っ端のサキュロントの失態であり、ゼロ本人の強さに何の関わりもないのだが、組織の長というものはそれで済ましていい立場ではない。

 部下の失態はそのような部下を持った上司の失態となるのだから。

 

「やれやれ。あの程度の貴族なら確かに我々八本指にはいくらでもストックはあり、換えの効く存在ではあるが……仮にも六腕を護衛につけていながらあのような壊され方をされてはたまったものではない」

「まったく。その貴族に対する見せ札の一つ、武力こそが六腕であったのに、その六腕直々の護衛をされていながらあんな事があれば、我々まで軽んじられる結果になりそうだ」

「本当にねぇ。ちゃんと下の人材を育てて居ないというのは、警備部門そのものへの信頼に関わる事になると思うんだけど?」

「なんだったら人員を貸してやっても」

「黙れ」

 

 緊急会議。

 定例会議も含め、八本指の最高幹部が集う会議には全員出席が義務付けられている。

 それは元々が別の組織であったがゆえの裏切り防止など、様々な理由が絡み合ってのものだが……その結果、会議で行われる会話の大半は他所に対する足の引っ張り合いだ。

 だからこそ、警備部門の失態に対してはここぞとばかりにほかの部門の長が責め立てようとしたのだが、その言葉は止められる。

 止めるのは当の責められる立場であるはずのゼロ。

 動物的な本能、あるいはもっと原始的な生物としての危機感がまともに働く者ならば、すでに気づく。

 ゼロという男の持つ暴力性に。そして、今はその暴力を押さえつける理性という鎖が千切れる寸前であることにも。

 

 仮にもここに集うのは王都の裏組織を束ねる長達である。

 多少以上の危ない橋など今の地位に登りつめるまでに何度も渡っている。

 それ以上に他人の失態に漬け込むことで得られるアドバンテージの稼ぎ時というものを知っている以上、多少の危険はあれどここはいくらでもゼロへの責任追及をすべき場所なのだ。

 だからこそ、打ち合わせもなしに7人で一斉にゼロの失態を論おうとしていたのだが……その目論見はゼロの一言で封殺されてしまった。

 いや、一言以上にゼロ本人の体から発する隠す気のない殺気こそが、彼らの言葉を止めたのだろう。

 

 これ以上下手なことを言えばゼロに殺されかねない、とわかってしまったがゆえに。

 会議場にはそれぞれの部門の責任者と、その護衛の出席が認められている。しかし警備部門以外の7つの部門それぞれの組織の長の護衛を任される者たちが、仮に束になってかかってもゼロ一人を倒す事はできないだろう。

 そして確実に護衛ごとまとめて叩き潰される……その未来を想像してしまえば如何に常人より高い胆力の持ち主といえども言葉を止めざるを得ない。

 

 普通に考えれば多少の不利益があろうとこの場で暴れるような事はしないはず。

 仮にこの場の出席者全員を叩き潰せるとしても、後に組織全体を相手に出来るわけもない……そうは思うのだが、この男はそれをやりかねない。

 リアルにそれを想像させるだけの殺気をゼロが放っていた。

 

 ゼロとて、仮にも一組織の頭であればその不利益を考えるだけの理性はある。

 が、理性よりも優先される本能……強さに対する自信。それを汚されれば建前の理性、利益などというものは一瞬で吹き飛び後先考えずに動いてしまう。

 その「強さ」に対する誇りこそがゼロにとって最も優先される事項であり、単純な暴力の担い手でしかない者たちがひとつの組織としてまとまるために必要な要素なのだろう。

 

 そこに思い至り警備部門以外の八本指のそれぞれの長達は、これ以上ここで警備部門への攻撃が出来なくなったことを悟る。

 正直な話、他部署の力を削ぎ自分の派閥の発言力を増したいという欲望はあるが、そのために命を賭けるのと、確実に死ぬとわかっている橋を渡ろうとするのでは意味が違う。

 

 が、ここでほかの部門の長達が口を閉じたからとて、ゼロが味わった屈辱、そして怒りが晴れることはない。

 自分の強さに他者が怯え震える。それは当たり前の、あるべき風景でしかないからだ。

 むしろ、ほんの一瞬でも周りの者たちがそれを忘れた、その一事がゼロの怒りに火を点け続ける。

 

「帝国の商人、ズーキとか言ったか。そいつは……いや、そいつらは全員俺が殺す。キサマらは手出しは愚か観客になる事すら許さん」

「聞いた話じゃその屋敷に出入りしているメイド達ってのは例外なく上玉揃いって話だけど」

「例外は無しだ」

 

 売れば金になる「人間という資源」の事すらゼロの頭の中にはない。

 メイド達や、ズーキが連れている妻という女などの容姿は噂だけでも相当なものだということで、ただ殺すだけというのはあまりに勿体無いと思うものは多いが、そこに口出しするものはいなかった。

 周りの者がこれ以上口出しできなくなったのを確認しゼロはふん! と強く鼻息を吹き出しひとまずの怒りを抑える。

 

 

 それが前日……いや、日付的には今日の出来事か。

 この館の者共を殺す主導権以外必要としなかったゼロの行動は早い。

 他の部署の連中には貴族どもを動かし、今日この日にズーキの館に干渉させるなと言う指示を出し、後の労力は全て自分持ちだからだ。

 

「あ、あの……包囲、完了しました。もはや中の連中が包囲に気付いて逃げようとしたって虫一匹逃げれません」

 

 再び怒りの原因となった会議のことを思い出した矢先に、ようやく部下から声がかかった。

 その声にゼロは内心で無能が! と、毒づく。

 もっと早くに仕事を完遂していれば不愉快なことを思い出す必要もなかったというのに。

 

「そうか、やっとか」

「ひっ」

 

 ぎろり。

 怒りのこもったゼロの目に見据えられ報告に来た部下が顔を青くする。

 誰がやっても同じ報告、それを正しくしただけなのに……と、報告者が己の不幸を嘆いているところに救いの手が差し伸べられる。

 

「はいはい、報告しに来ただけならとっとと持ち場につきなさい。グズグズしてたら殺されるわよ?」

「はっ、はいぃ!」

 

 しっしと追い払うように手を振る女、その女に従い駆け足で去っていく部下。

 それを見たゼロはあからさまにイラついた顔で、会話に割り込んできた女を睨みつける。

 

「余計なことをするなエドストレーム」

「そう怒らないでよボス。別にあんな下っ端が死んだって換えは効くんだけど、それでも仕事の前に殺されたら包囲網に参加してる雑魚の中からビビって逃げ出す輩が出ないとも限らないんだから」

「逃げた奴は追って殺せばいいだけだろうが」

「それをやると目の前の包囲に穴ができて、万が一でもあの館の中の誰か一人でも逃げ切れたりするかも知れないじゃない? まず無理だと思うけど」

 

 その言葉にゼロは盛大な舌打ちで返事をする。

 正論であるかどうかは大した問題ではないが、エドストレームは仮にも六腕に名を連ねる程の存在。さっきの雑魚のように癇癪一つで殺すのは割に合わない、という理性から。

 

「あいつを殺すならこのパーティが終わってからにしましょうよ」

「ふん」

 

 一瞬でもゼロに不快感を持たせた部下は殺す。もはやそれは決定事項である。

 とりあえずその事実だけで、ゼロはひとまずこの場での不快感を引き下げる。

 

 そうとなれば今は目の前の仕事に取り掛かるのみである。

 

「いくぞ」

 

 後ろも振り返らずにゼロは歩き出す。

 その後ろに続かげの数は4.

 包囲は雑魚どもに任せるが、敵を殺すのは真の強者たる六腕の仕事。

 最弱とはいえ、六腕に名を連ねるサキュロントをどうにかする程度の実力はある相手なのだ。多少はやるのだろう。

 せいぜい、自分の実力を過信しているといい。

 

 その上っ面だけの薄っぺらい実力とやらを、真の強者の力を持って踏みにじり叩き潰す。

 ゼロに油断はない。

 ただ自分が強者であり、戦えば誰にも負けないという確信があるのみである。

 

 

 

「どうぞ、お入りください」

 

 強者たるもの、裏口からコソコソと動くような真似はせずに正面突破。

 その象徴として拳でぶち抜いて入ろうかとゼロが構えたとき、機を殺ぐタイミングで扉が開いた。

 

 内側から扉を開けたのは、メガネをかけた黒髪のメイド……ユリ。

 モンクとしての高い能力を持った彼女は扉の外の気配が行儀よく扉を開けるのではなく、扉をぶち破るのだと見切り、館自体に思い入れはなくとも至高の42人のまとめ役たるモモンガが、仮の宿としてでも滞在している館をこの程度の人間に傷つけさせてはならないから、という理由で機を制し先んじて扉を開けたのだが。

 

 六腕……サキュロントを欠いて5人となった彼らは、偶然のタイミングであろうと決めつけた。

 当然のことであろう。よもや、目の前の美貌のメイドがこの場にいる5人の誰よりも強いなどと……誰に想像がつくものか。

 

「主人がお待ちです」

 

 目礼し、流れるような動作でスルスルと奥へ進むユリ。

 その背中について六腕は歩く。

 

 この屋敷の主人……商人のズーキとやらが待っている、というのが気になるが自分の実力の売り込みか、あるいは今更になっての命乞いか。

 どちらにしても遅すぎるのだが。ゼロはすでにこの屋敷にいるものは全員殺すと決めている。

 ただ、ほかのメンバー……といっても、女のエドストレームやアンデッドのデイバーノックを除いた、マルムヴィストとペシュリアンの2名だけだが、彼らなどは人伝の話でなく実際に見たメイドの美貌から、ただ殺すのは勿体無い話だと思ってもいる。

 ゼロを怒らせた、この一事ですべてを台無しにしているが。

 

 

「ズーキ様。客人をお連れしました」

「ご苦労。ではユリも並べ」

「は」

 

 そうして連れられた一室。

 主人とやらが座っている椅子以外の家具が取り払われている上に、元から広い部屋ということもありかなりのスペースが広がっている。

 そんな部屋に、自分の斜め後ろに長髪の儚げな美女。そして斜め前方にピンと一本芯が通ったような立ち姿の執事。さらにその後方にズラリと並ぶ、それぞれ意向の違うメイド服を身に纏った美女たち。

 六腕を連れてきたメイドはそのメイドの列に加わる。

 

 そこでようやく、屋敷の主人であるズーキことモモンガは六腕に目を向け「ちっ、外れか」と小さく舌打ちをしてから、特に不快な表情を隠しもせずに、六腕に語りかける。

 

「ようこそ諸君。私としてはこの国の正規の軍隊が捉えに来ると思っていたのだが……そうじゃ無さそうな所を見ると、地元のチンピラのリーダーと言った所かな? ある程度予想は付いているが何をしに来たのか、聞こうじゃないか」

 

 あまりにもぞんざいなその態度。

 声をかけられた方の彼らは1秒以上、思考が止まってしまう。

 彼らクラスの戦闘力の持ち主にとっての1秒は大きい……そのような大きな隙が出来てしまったが、そのことを恥じるより前に、怒りが前に出る。

 

「てめぇ……!」

「舐めるなよ、人間風情が!」

「ちょっと、調子に乗りすぎね」

「ただで死ねると思うなよ?」

 

 すぐさま、戦闘……いや、処刑の準備に移ろうとした4人を、しかしゼロは片手を上げその動きを制する。

 とはいえ、それは怒るな、と言っているのではない。けして。

 ゼロはただ……こいつは自分が殺す。そう誓うだけだ。

 

「お前らは下がっていろ。こいつは俺が殺す」

「っボス……」

「くっ」

「わ、わかったよ」

 

 下げられた面々、その顔には不満の表情がありありと現れているが……目の前のゼロの怒り、これを思えば自分が殺されるよりは、そういう保身が先に立つ。

 

「んん? ああ、戦いか。1人でいいのかね? 私は全員をまとめて相手をしてやってもいいのだが?」

「ふざけるなよ……貴様、ただで死ねると思うな。死体をズタズタに引きちぎり塵一つ残さず完膚なきまでに殺してやる」

「それはそれは。恐ろしい話だ。別に私が相手をするまでもなさそうな気もするが……サービスだ。私が相手をしてやろう」

 

 よっこらせ、そんな掛け声で立ち上がるズーキを見て、ゼロの頭には幾筋も血管が浮かび上がり、今にもはち切れるのではないかというほど。

 

「ズーキ様がわざわざお手を煩わせる程の相手でもないかと思われますが?」

「よい。よいのだアルベドよ。ついでに練習の成果も試したいところではあったのだ」

 

 妻であろう女に下がらせヘラヘラと笑いながら歩み寄るズーキ。

 一々、口を開くたびにこれ以上ないほどのゼロの怒りのボルテージの限界を上げてくる男である。

 

「さてと。では始めようか……そうだな、ハンデとして君に先手を譲ろう。そしてもう一つ……私は君に対し本気を出さずに戦ってやる。こい」

 

 くいっと手を拱ねくズーキ。

 それが戦いの合図となり、ゼロは疾風の速さでズーキの懐に潜り込み、その土手っ腹にオリハルコン並の強度を誇る拳をねじ込んだ。

 

 

 

「凄いものだ」

 

 モモンガは思わず、感嘆の意を口にする。

 その賞賛には一切の皮肉や世辞の入らない、純粋な敬意の念が込められている。

 

「貴様も思ったよりはやるではないか」

 

 それはゼロも同じこと。

 よもや自分と同じ、徒手空拳の戦闘という土俵において、よもやここまで互角の戦いが出来る存在がいるとは想像すらしていなかった。

 

 下がらせた4人、六腕のメンバーは声にこそ出さないが、その表情には等しく驚愕が張り付いている。

 

 それも当然か。

 この男は、王都の裏社会最強の強者、正面から戦えばかのガゼフ・ストロノーフにすら勝るだろうと思われているゼロと互角に戦っているのだから。

 六腕最強のゼロと互角……それすなわち、他のメンバーは1対1であれば敗れていたという事だ。

 サキュロントが帰ってこないのも納得がいくというもの。そして、この男の今までの舐めた態度もこの実力に裏打ちされた自信だったのかと。

 

「実に惜しい話だ。貴様がもし俺の、俺たちの面に泥を塗るような真似をしていなければ、サキュロントなどは廃し、貴様を新たな六腕に加えてやっても良かったものを」

 

 己と互角に打ち合う強者。それも同じ徒手空拳という戦闘スタイルで、だ。

 そんな存在を前に、惜しいと思う感情はあれどゼロの決定に変化はない。

 こいつは殺す。そしてこの館にいる連中全員も殺す。それは決定事項である。

 

 ニヤリと獰猛な笑みを浮かべながらゼロは言う。

 

 その顔にはまだまだ余裕がある。

 それも当然。

 確かにこの強さは想定外。しかし、ゼロとてまだまだ底は見せていない。

 さらに、見た目は互角に見えるがゼロの攻撃の多くは敵に当たっているのに対し、敵の攻撃の多くをゼロは捌いている。この差は大きい。

 多少、拳打や蹴りの当たった感触におかしなものを感じるが、おそらくは何らかの防御系の武技か。

 しかし武技とは使い続ければ負担が大きくなるもの。

 つまり、今の時点で敵に肉体的なダメージがなかろうと、武技を使うことによる疲労は着実と溜まっているために、このままの戦いを続けていけばいずれはゼロが勝つ。

 さらにゼロにはまだまだ切り札さえあるのだ。

 これだけの要素があれば負けるわけがない。

 それが理由による余裕なのだが……ゼロの言葉に、当のモモンガは困惑を浮かべる。

 

「うん? 何を言って……ああ、そういう事か」

 

 が、すぐに気づいた。

 

「違う違う。今の賞賛の言葉はお前にかけたものではない、私の友人に対するものだよ」

 

 ぞして思い出すのは、ナザリックでの出来ごとだ。

 

 

 

 転移してから2日目の晩。

 食事も睡眠も不要なアンデッドやゴーレムとは言え、人間の残滓、精神の部分が人間なのだから休める時は休むべき……と、お互い思っているが、最初数日が肝心。

 そして今のうちに変質してしまった身体、変わってしまった世界のルールに慣れなくてはならないという強迫観念があった。

 オッは強敵とのエンカウントまでにまだ間はあるからじっくり腰を据えて……と、言うが万が一というものはある。

 だからモモンガは夜中の闘技場での練習を提案していた。

 

「やっぱ魔法やスキルはなんとなーく、使い方がわかるみたいですね」

「なんというか……自分のMPの量すら把握できますし……ある部分ではゲーム以上の微調整ができそうな気がします」

「うむ。俺も人間時代は持っていない器官のショルダーアーマリーを自分の手を動かすかのように動かせますしね。なんとも不思議な気分」

「ええ、ゲームだと……コンソールとか音声呼び出しのショートカットとか色々な手段でしたが、ここではまさにオールマニュアルと言った感じですね」

 

 習うより慣れろ、の言葉通り。

 実際にやってみて、ゲームとの違い、しかしゲーム時代のプレイヤースキルを使えばそれ以上の動きができるかも……という、未知の可能性に、不謹慎だがワクワクした感じが止まらない。いや、精神の沈静化で止まる。

 その事にちょっとしょんぼりするモモンガに対し、オッは提案する。

 

「そうそう、ちょっとパーフェクトウォリアー使ってみて」

「へ? まぁ良いですけど……装備も魔法でいいかな、と」

 

 オッに言われたモモンガは魔法で武器防具を作り出し、戦士化の魔法を使う。

 これで純粋なステータスだけで言えばレベル100の戦士職に匹敵するほどになった。

 もっともスキルなどは使えない、あくまで雰囲気だけの戦士状態なため、純戦士職からすれば見劣りする戦闘力なのだが。

 そんなある意味で「役に立たない魔法」も、ゲーム時代は雰囲気作りやたまの息抜きには役に立っていた。

 命がかかるようになってしまったこの世界で、そんな遊びをする余裕があるとは思えないが。

 

「うむ、まさにモモン・ザ・ダークウォリアー。その名の通りの姿よ」

「ええい、その名で呼ぶんじゃない」

 

 しかし、オッの未来知識によれば、事前情報がない手探りの状態でありながらも、モモンガは戦士の姿で魔法を使わずに冒険者をやっていたという。

 パーフェクトウォリアーすら使っていな状態では、せいぜい30と少しくらいの戦士職のステータスでの旅は自殺行為に思えるが、この世界では十分に通用する……らしいのだから、強気になっていたのだろう。

 今はやる気はないのだけど。

 

「で、戦士になったとして、どうするんです?」

「ちょっと組み手しようぜ、お互いスキルなしで。組手っていうか2~3分ほどモモンガさんが一方的に攻撃する感じで。ちょっとした練習な」

「え……でも今はパーフェクトウォリアー使ってますよ? 1発で死なないとは思いますがそれでもオッさんに怪我をさせられませんよ」

「多分大丈夫。掠りもしないから」

「む。いやいや、お互いスキルを使わないってことは単純なステータスの世界ですよ? 当たるでしょ、常識で考えて」

「それはどうかな? やってみればわかるって」

 

 パーフェクトウォリアーでレベル100の戦士並のステータスになったモモンガ。

 そのモモンガにかけられる余裕の言葉に、若干カチンと来たモモンガはオッの提案を受けてやることにした。

 どの道、死ぬ事はないだろうから、というのもモモンガの背中を押す理由になった。

 

「それじゃあ行きますよ……でりゃ!」

 

 そしてモモンガは2本の剣を全力で振り回し……当たらなかった。

 剣の届かないほど遠くに逃げられた、そんなわけもなく。

 ほとんどの時間を剣の間合いの内側にいたというのに、当てることができなかったのだ。

 

「く……す、すごいですね」

「ふふん、伊達に近接職でユグドラシル個人ランキングのベスト20位以内を長い間キープしてたわけじゃないってことですわ」

 

 表情は動かないないくせに、どこかドヤ顔に見える態度で言うオッに対し、モモンガは「何だかんだで凄い人だ」などと賞賛の目を向ける。

 実際のところ、想像より鋭い打ち込みで最初の方はヒヤリとしていたが、そのような部分は一切見せていないのがオッなのだが。

 

「ま、こんな感じで……能力が使える、ってのがそのまま使いこなせるわけではない、って事ですね。たしか書籍でもモモンガさんはモモン・ザ・ダークウォリアーとしての冒険者の仕事をこなす中、レベル30ちょいの戦士職という制限された中での練習で、そこそこの剣士に成長してた気がしますし。そういう「スキルとかを使わずに体を動かす練習」てのは、ゲームシステムに反映されない実力として、多少は足しになると思いますよ」

「なるほど……これは、確かに。私達はレベル100……おそらく、これ以上ステータスの成長、更新は出来ないでしょうし、だったら体の操縦技術による戦力の向上……大事かもしれませんね」

「うん。まぁそれを意識してこれからも過ごすと良いかもよ? って事で俺はもう休む」

「じゃあもうちょっと練習しましょう。7時間くらい。お互い疲労とは無縁の体だし大丈夫ですよね」

「えっ、俺は精神的に疲れ」

「守護者やNPCから直接習おうにも、彼らだと我々には遠慮して教えづらいでしょうし……オッさんしか頼める人はいませんよ」

「いや、でも俺は休みが」

「素手の戦いからはじめましょうか!」

 

 

 

 そんな事もあり、サボりたがるオッの意向を無視してちょくちょくと練習してはいたのだが……その動きを少し囓っただけで、おそらくただの力自慢ではない、確固たる術理を持って動く現地の格闘の達人と互角に戦えている。

 今はパーフェクトウォリアーを使っていない、レベル100の魔法職のフィジカル……純戦士職で言えば30前後程度であり、目の前の敵も似たようなものだから、体力面でのハンデはほぼないというのに、だ。

 その事実が、オッのプレイヤースキルの高さを窺わせるものであり、もっと真面目に練習すれば今のステータスでもこの程度の相手なら圧倒できそうだという自信をモモンガに与えていた。

 だから密かに帰ったら訓練時間を増やそうか、などと考えてみたり。

 

 つまりモモンガが思わず言った「凄いものだ」というのは、ゼロではなく、この場にいないオッに向けた言葉なのだ。

 そんな言葉に反応して自分のことを褒められたと思ったゼロの姿はモモンガから見て……あまりに滑稽だった。

 

「ぷっ」

 

 思わず笑いが漏れる。アンデッド特性によりすぐさま沈静化される愉快な感情。

 しかし、沈静化したとはいえ、一度外に出てしまった笑いは消せるものではなく……ゼロはすごく怒っていた。

 

「貴様……もう遊びは止めだ。一撃で殺す!」

 

 その怒りに任せ、ゼロの体の刺青が光る。

 シャーマニック・アデプトの能力から刺青に込められた動物の力の解放、そして自身のステータスに上乗せした強化を発動させる。

 こうなったゼロはもはや今までのゼロとは違う、まさに暴力の化身、最強の具現化という状態となる。

 この状態のゼロの放つ一撃こそ、まさに地上最強。

 

 あたれば死を免れぬ魔技、そしてその速度は神速。

 回避も防御も許さぬ、まさに最強の一撃を発動させ……モモンガの腹に叩き込んだ。

 

 回避や防御は愚か反応すら間に合わず、いかに強靭な肉体能力を持った敵といえどゴミクズのように吹っ飛び壁へとぶつかりその無様な骸を晒す……そうなるはず、だった。

 

「一撃で、殺す? 一撃というのは今の一撃で良いのかね?」

「な、ば、ばかな……」

 

 だというのに、無傷。

 敵はノーダメージ……どころか、微動だにしていない。

 これは一体どういうことか? 確かに多少、インパクトの感触に違和感こそあったが、それでも人間の腹にこの一撃を打ち込まれ、なぜ死んでいないのか……?

 そんな困惑と、全力を振り絞った強力な技を使い切ったがゆえの一瞬の硬直をモモンガは見逃さない。

 ゼロの顔面を鷲掴みにし、跳躍。

 そして素早く自分の両足でゼロの両足をロックし、顔面を掴んだ腕を楔に見立て、ゼロの頭を地面に叩きつける!

 

「ジャッジメント・ペナルティ!」

 

 もちろんユグドラシルにそんな技はない。

 が、ゲーム時代からオッは時々、ゲームにない投げ技……システム上での筋力や相手の防御力からの計算値程度しか威力が出ない技を好んで使っていた。

 こっちの世界ではシステムの数値以上のダメージが出るかも? という事もあっていくつか真似できるくらいにこっそり練習していた技である。

 そんな技を使えてモモンガは大満足。

 だからゼロを倒せていなくても別にいい。そう思っていたが。

 

「おや、あっさり倒せていたな」

 

 ゼロはその一撃で瀕死になっていた。まぁ頭から叩き落とされればそうもなろう。ましてやモモンガの(この世界の人間の常識で見れば)高い筋力値から繰り出された技でもあるのだから当然か。

 

「さて、残りの4人は……」

 

 ゼロを倒したモモンガはちらりと六腕の残りの4人を見る。

 彼らは今まで、モモンガとゼロの戦いに入り込むこともできずに呆然としていたが……ゼロが倒された今、火の粉は自分の身に降りかかる。

 と、なればただで殺られるわけには行くかと臨戦態勢を取るのだが。

 

「私が相手をするまでもないか。戦闘メイド達よ。殺さない程度に痛めつけてやれ。あとでナザリックに送る……ああ、そのエルダーリッチは要らないので、処分してもいいぞ」

 

 モモンガはもはや4人には視線も向けずにプレアデスに指示し、こめかみをとんとんとんとん、と4ど指先で叩く。

 これはマスク君への「装備解除」の合図でもある。

 

 その合図に従い、ズルリとモモンガの外装が解け骸骨の姿が露出したことに4人は驚きの声を上げる。

 

「え、エルダーリッチ!?」

「いいや、私はオーバーロードだ。さて、アルベド。王都における今後の予定だが」

「はい、モモンガ様。とりあえず愚物の処分をする部屋でするような話でもありませんし、部屋を移ってからの打ち合わせと致しましょう」

「ふむ、そうだな……」

 

 モモンガは、自分の種族名だけ言えばあとは、完全に興味を無くして部屋を去る。

 その部屋から上がる悲鳴は大きいものだが、まったく気にせずに。

 

 時間を同時に、館の包囲をしていた者たちもその姿を消すことになる。

 彼らは二度と陽の光を見ることはなかったという……。




 わざと捕まって牢屋から脱出しながら暴れる。
 ちょっとくらい派手に暴れてみてもいいかな? と思ったモモンガさんのお茶目心です。
 自分にとって王国には恐るような相手がいない、というのを知ってしまったことによる慢心もあるかも知れませんが。

 人権の守護者。
 モモンガさんにとっては建前であり、自分の敵対者を悪者に仕立て上げるための策ですが、主人公的には「モモンガさんは悪の化物よりそっちの方がいいよ」と勘違いしちゃうかも。

 吸血鬼許すまじ。
 まぁモモンガさんがそう思うのは仕方ない部分でもあるかと。
 主人公のフォローが少なすぎるのが悪いでしょう。

 エントマを半殺しにされたからキレる。
 実はアルベド、その事にかなり嫉妬してたり。
 かと言って、自分が誰かに半殺しにされることでモモンガさんを心配させるなど言語道断、モモンガさんを守るために死ぬ事も厭わないけど、心配させるために半死にになるわけにもいかず、なんともモヤモヤした感じ。

 部屋の中にはモモンガさん、アルベド、セバス、戦闘メイド。
 ツアレはお部屋で待機でした。
 まぁ屋敷を囲んでる敵をさらに配下が包囲してる以上、ツアレに危険なんて一切ないんだけど、念の為にとデスナイト一体も護衛として配置してたりします。
 人間の方が嫌いなのでデスナイトも怖いけど、人間よりちょっとマシ、と思えるみたいです。
 セバスと同じ側の存在、っていうのもあると思いますが。

 六腕を煽りまくるモモンガさん。
 本人的に悪口を言ってる自覚はありませんが、真面目に相手をするのも面倒だと思ってたそうです。

 私は本気を出さない。
 書籍と違いモモンガさんがクレマンティーヌと戦えなかったので、ゼロ相手に言ってみました。
 モモンガさんの煽りテクは異常。

 そこそこ「やる」主人公。
 本人が言うだけあってちゃんとプレイヤースキル自体が高いのです。
 ただ本編でもそのプレイヤースキルが生きるほどの接戦なんて無いだろうから、基本はステータスのゴリ押しのバカにになるかと思えますが。

 強さに貪欲なモモンガさん。
 ゲーム時代から検証厨だったのかは不明ですが、書籍、WEBともに検証しまくりですからね。
 いやまぁ命懸けになれば当然なのでしょう。
 主人公ももうちょっと見習え。

 ジャッジメント・ペナルティ!
 有罪(ギルティ)ー!

 悲鳴。
 戦闘メイドにお任せ……ですが、ルプスレギナはご存知のように神官で何度も何度も治しながら遊ぶでしょうし、エントマも殺さないように手足を食べて……などなど。
 ユリとシズは嗜虐志向じゃないし、セバスもカルマ値が正の方向に高いのですが……元々ナザリックの敵な上に、相手が外道の犯罪者って時点で慈悲を向ける相手じゃないのでかわいそうと思ってません。
 まぁ処理を任されたのがセバスなら無駄に痛めつけずに速攻で無力化、制圧してたのでしょうけど。


 11月17日、編集後の書き足し。
 ゼロとの戦いではパーフェクトウォリアー使ってない。
 使わなくても身体能力はモモンガさんの方が割と上っぽいですが、ゼロはその戦いに関して「こいつはきっと、今までこの身体能力によるゴリ押しで戦ってきたのだろう。確かに俺以外が相手ならば問題なく勝てたのだろうが……力と技、それを両立させた真の強者たるこの俺、ゼロさまには通じぬわ!」と、思ってたのです。
 書籍のクレマンティーヌはちゃんと「こいつ戦いの最中でも地味に動きを合わせてきてるしその内自分じゃ勝てなくなるわー、マジ殺すわー」と、警戒してたというのに。
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