ラブライブ! road to idol m@ster   作:minmin

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先日特典のフィルムが欲しい友人のおごりで劇場版を見に行って書きたくなったネタです。評判がよければ連載するかもしれません。
ではどうぞ~


The clock which was stopping has started working now

 

 今日も、昨日と同じ帰り道。もちろん明日も、明後日も。

 でも――それは、永遠にじゃない。往復しなれたこの通学路も、いつか通らなくなる日が来る。そんなに遠くない未来に。

 はあ、とため息が出た。

 

「どうしたのですか?穂乃果。最近ため息が多いですよ」

 

 隣を歩く海未ちゃんが心配そうに聞いてくる。

 

「あはは。そ、そうかな?」

 

 人差し指で軽く頬を掻く。そんなに多かったかな。

 

「そうだよ穂乃果ちゃん。最初は行き帰りだけだったけど、最近は授業中もだし……皆、心配してるよ?」

 

 反対側からことりちゃんも声を掛けてくる。

 

「そっかあ……」

 

 皆ってことは、2人だけじゃなくて学校の子皆ってこと。意識してなかったけど、いつの間にか外に漏れちゃってたんだ。私の、心の中。

 

「後悔、しているのですか?」

 

 海未ちゃんがぽつりという。顔は、少し俯いていた。ことりちゃんも同じだ。2人とも何も言わない。口にしてはいけないことを言ってしまった。そんな空気だ。

 

「後悔は、してないよ」

 

 私の言葉に、二人が弾かれたように顔を上げた。

 

「だって、μ'sはスクールアイドルだから。9人揃ってのμ's。絵里ちゃんも、希ちゃんも、ニコちゃんも、スクールアイドルだってことに誇りを持って終わりにしたんだから。だから、後悔なんてしてないよ」

 

 そう、後悔なんてしてない。

 けれど――。

 

「でも、正直未練はあるかな。μ'sは楽しかったから。本当に――楽しかったから」

 

 そう、楽しかったんだ。本当に、楽しかったんだ。

 

「そう、ですね……私も、そう思います」

 

「うん、私も」

 

 それきり会話が止まっちゃった。このままじゃいけないって、わかってはいるんだけど。

 

「えっと。それじゃあ、ため息は別の理由があるの?」

 

 思い出したようにことりちゃんが聞いてくる。そうそう、そういう話だったよね。

 

「うん。やっぱり、そろそろ進路のことは真剣に考えないといけないなって。

 いつかはお店を継ぐとしても、進学するかどうかは決めないといけないし……」

 

 2人もちょっと真面目な顔になった。

 

「そうですね。私は、特に大学などで学びたいことがあるわけではないですし。それほど進学には惹かれませんが……ことりはどうですか?」

 

 聞かれたことりちゃんは可愛らしくえへへと笑った。

 

「私は進学するかなあ。将来は、やっぱりお洋服を創る仕事をしたいって思ってるから。大学にするのか、それともそういう専門学校にするのかは、まだちょっと迷ってるの」

 

「日本一のメイドは目指さないの?」

 

「もう!穂乃果ちゃん!」

 

 手をわたわたと降ることりちゃん。その必死な顔が可愛くて、なんだか笑ってしまう。いつの間にか、海未ちゃんも笑っていた。

 

「もう、ひどいよ、2人とも」

 

 今度はぷくっと頬を膨らませることりちゃん。うん、やっぱり可愛い。

 

「ごめんね、ことりちゃん。

 でもすごいなあ。2人とも、やりたいことがきちんと決まってるんだ」

 

「そう言う穂乃果は――何か、やりたいことはないのですか?お店を継ぐのは、すぐでなくても良い

のでしょう?」

 

 

 やりたいこと。

 私の、やりたいこと。

 

 

 海未ちゃんにそう言われて私の頭に浮かんだのは、やっぱりあのシンガーさんで――。

 

「私は、歌いたい」

 

 気づいたら、勝手に口に出ていた。

 

「もうμ'sじゃないけれど。もうスクールアイドルじゃないけれど――やっぱり私は、歌いたい」

 

 また、皆無言になる。暫くそのまま歩いた。

 

 歌いたいって思ってる自分がいて。アイドルになりたいっていう自分がいて。でも、それはμ'sの皆への裏切りなんじゃないかって思う自分がいて。μ'sを終わらせたのが嘘になるんじゃないかって思って。

 でもやっぱり――自分に嘘はつけない。

 

「私は、アイドルになりたい」

 

 μ'sのリーダーとしてじゃなく、高坂穂乃果として。私は、アイドルになりたい。

 

「……そっかあ」

 

「穂乃果らしいです」

 

 2人が私を見てくすくす笑う。私も、つい笑ってしまった。

 

 

 その時。

 

 

「すいません。

 高坂穂乃果さん、でしょうか」

 

 突然声を掛けられて振り返る。すると、そこにいたのは。

 スーツを着た、ものすごく背が高い、ものすごく目つきの悪い男の人だった。

 

「ひうっ!」

 

 海未ちゃんとことりちゃんが私の背中に隠れる。私も思わず後ずさりする。正直、怖すぎる。

 

「ふっ、ふふふ不審者です穂乃果!早く逃げましょう!」

 

「ほ、穂乃果ちゃん~」

 

 涙目になっている2人。男の人はそれを見て、困ったように首に手を当てている。

 

「あの、そういうわけでは……。せめて、名刺だけでも……」

 

 そう言いながら、すっと名刺を差し出してくる。恐る恐る受け取って見て見ると――。

 

「御城プロダクション、シンデレラプロジェクト、プロデューサー……」

 

 御城プロダクション。有名な女優やモデル、アイドルが大勢いる、大手の芸能事務所。

 

「アイドルに、興味はありませんか?」

 

 この時。

  μ'sが解散してからずっと止まっていた私の時間が、動き出した音がした気がした。

 

 

 

 




如何でしたでしょうか?
オリジナルなその後について色々異論がある方もいらっしゃると思いますが、面白いと感じてくれる方がいましたら幸いです。
感想お待ちしております。
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