ラブライブ! road to idol m@ster   作:minmin

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なんと続いちゃいました。パズドラのスタミナが回復するまでスクフェスをやっているとなんだか書きたくなっちゃいますね。
続くつもりはあんまりなかったので、つじつま合わせのために前回をそのうち修正する予定です。
ではどうぞ~


Words of the magic to Cinderella

「欠員……ですか」

 

 うちの1階、テーブル席。私を向かい合って座っている目つきの悪いプロデューサーさんは、小さく、けれどしっかりとうなずいた。

 

「はい。

 私がプロデューサーを務めるプロジェクト――シンデレラプロジェクトに内定していた方々から今回4名の欠員が出ました。その欠員の枠の内の1つとして、貴女をスカウトしたいのです」

 

 シンデレラ。継母に虐められる灰かぶりの少女が、魔法をかけられてお姫様になるお話。その魔法は永遠ではないけれども、最後には王子様と結ばれる。そんなお話。

 スクールアイドルをやめたところにスカウト。たまたまの欠員。なんだか出来すぎだ。美城プロダクション自体は大手芸能事務所で、電話で確認もすんでいるけれど――そうじゃなかったら、怪しくてとても信じられないくらい、出来すぎだ。

 

「事情は、わかりました。

 けれど、こういう場合って普通はオーディションを受けてた人の中から選ばれるんじゃないんですか?」

 

 またうなずくプロデューサーさん。なんていうか、すごくきっちりした人だ。

 

「はい。勿論、これから再びオーディションも行います。ですが、それだけではありません。

 以前からアイドル候補生として養成所でレッスンを受けていた方や、貴女と同じように私がスカウトした方もいます。残りの3名は既に決まっていますが、皆さんそれまでの経緯は異なります」

 

 確かにそうだ。全員が全員スカウトされるわけじゃない。アイドルになりたくてそういう所に通ってる人もいるだろうし、自分からオーディションを受けに来た人だっているだろう。

 そんなことを考えていると、いつの間にかお母さんがお茶受けを持って隣に立っていた。

 

「いいじゃない、受けちゃえば。穂乃果のしたいようにすればいいと思うわよ?

 あ、これうちの名物の揚げまんじゅうです。よかったらどうぞー♪」

 

 返事をする暇もないまま奥に引っ込んで行くお母さん。本当にもう、軽いんだから……。

 

「あの……いただきます」

 

「あ、ど、どうぞ」

 

 また至極真面目にいただきますを言う。一口齧って、一瞬止まった後、大口を開けてというわけではないけれど、明らかに食べ進める速度が上がってびっくりした。あっというまに1つ食べ終わってしまう。

 なんだか少し笑ってしまった。私自身はもう食べ飽きてしまった味だけれど、こういう風に美味しそうに食べてもらえるとやっぱり嬉しくなる。

 

「プロデューサーさんって、甘いものお好きなんですか?」

 

 私がそう言うと、少し困った顔をして首に手をやった。大人の男の人には失礼かもだけど、ちょっとかわいい。

 

「ああ、いえ、その……。

 ……食には、関心があります」

 

 困り顔のまま後頭部を掻いている。その顔がおかしくて、また笑ってしまった。実は、そんなに怖い人じゃないのかもしれない。

 

「……高坂さんのご実家が和菓子屋さんだとは知りませんでした」

 

 ぽつりとそんなことを言う。最近は海外ライブがテレビで放送された影響で、うちの知名度も上がったんだけど。プロデューサーさんは知らなかったみたいだ。でも、それなら――。

 

「あの、どうして私を?

 μ'sだから、ってわけじゃないのはわかります。それなら、一緒ににた海未ちゃんや小鳥ちゃんも誘うはずですから。他の皆だって。

 私たちは、9人揃ってμ'sでした。スクールアイドルのμ'sでした。3年生の皆が卒業して、μ'sでも、スクールアイドルでもなくなった私は、何処にでもいるただの女子高生です。そんな私を、どうして」

 

 疑問は、気がつけば独白に。最後には悲鳴のようになっていた。

 

 ――私は、怖かったんだ。

 

 μ'sは、やっぱり特別だった。最初はちっぽけな存在だったけど。仲間が増えて。目標があって、ライバルがいて。ラブライブで、優勝して。

 海未ちゃんも、ことりちゃんも。真姫ちゃんも、凛ちゃんも、花陽ちゃんも。絵里ちゃんも、希ちゃんも、にこちゃんも。皆、私にはないものを持っていて。平凡な私が、まるで魔法にかけられたみたいに特別でいられる場所。それが、μ'sだった。それが終わってしまうのが、怖かった。

 アイドルになりたいっていう思いも、まだ特別な何かでいたいっていう自分勝手な思いもあるのかもしれない。でも、その道が実際に目の前に現れると――どうしようもなく、怖くなった。私1人では、特別になんかなれないんじゃないかって。

 半分涙声で言い終わると、俯いてしまう。情けなくて、恥ずかしくて、顔を上げられない。お互い無言のまま、どれくらいの時間が過ぎたのか。そんな時。

 

 

「――笑顔です」

 

 落ち着いた、優しい声がした。

 

「私を含め、業界の人間はあまりスクールアイドルには詳しくはありません。学生の、部活動の仲間との一体感や信頼感とは特別なものです。それは、学校という環境で、限られた共に過ごすという経験からくるものですから。当時は上手くいっていたとしても、芸能界で成功する方は極少数です。そういった事情から、私も当初はスクールアイドルの方々から候補を選ぶ予定はありませんでした」

 

 それは、私が心のどこかで思っていたことと同じだった。卒業式で嫌でも実感してしまった、いつまでも一緒には居られない、現実。

 

「――そんな時、貴女たちの海外でのライブの映像を見たんです。貴女の、笑顔も」

 

 私の、笑顔?

 恐る恐る顔を上げてみる。本当に、本当に少しだけど――プロデューサーさんは、笑っていた。

 

「良い、笑顔でした。

 仲間と一緒に歌い、踊ることを。それをファンの皆さんに届けることを。アイドルでいることを――心から夢中になって、楽しんでいる笑顔でした。

 それが、貴女を選んだ理由です」

 

 そうだ。楽しかったんだ。本当に、楽しかったんだ。

 

「貴女がまだ、心から夢中になれる何かを見つけていないのなら。私と一緒に、見つけに行きませんか?学園を飛び出して、μ'sを飛び出して、貴女だけの夢を」

 

 

 この日。私は、アイドルになることを決めた。誰でもない、私のために。

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか?
まだまだ武内Pとの2人だけなので穂乃果の独白ばっかりになっちゃいますね。シンデレラガールズたちと絡むようになれば改善されると思います。
短い上に拙作ですが、感想おまちしております。
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