魔法少女リリカルなのはEX・S 過去にとらわれた転生者   作:レイレナード

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こんなに遅くなってしまってすみませんでした!!orz

結局3月中はバイトが忙しすぎで投稿できず、4月に入ってからもなかなかモチベーションが上がらずにグダグダと後回しにしてしまい今日に至ります。

その代わりというわけではありませんが、今回は結構長くなりました。楽しんでもらえたら幸いです。

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かなりお久しぶりの投稿です。と言ってもまだまだ続きではなく修正ですが。

ところどころに修正すべき内容がたくさんありましたが、全体の流れ自体はもとのままですね。でも結構書き直したので、読んでもらえるとありがたいです。

少しですがEpisode7と8も新たに変えたところがあるので、ぜひそちらも。

ではどうぞ。


Episode9 ジュエルシード(改)

 海鳴市のビル街。その中央通りを中心に桜色と金色2つの光が飛び回っている。俺はジュエルシードから4つほど離れたビルの屋上からその光景を見ていた。

 

 昨日逃がしてしまったジュエルシードの反応。それが最後に途切れた場所が、このビル街だった。知ってしまった以上、放っておくわけにもいかない。学校が終わり次第、すぐに捜査に入った。

 

 しかし、予想以上に捜索は難航した。というのも、ジュエルシードから魔力が漏れているのか反応が広範囲に薄く広がっていたのだ。正確な位置の特定など専用の探知機でもなければ不可能に近い。歩き回って直接視認するしかなかった。

 

 結局何時間かけても見つからなかったそれを、フェイトが乱暴な方法を用いて見つけ出した。電気変換した魔力流を流すことでジュエルシードを強制発動させ、位置を特定する。ユーノが広域結界を張ったこともあり、効率よく発見に至っていた。

 

 (だが、逆にユーノがいなければ大きな混乱が起こっていた。あのフェイトにしては少し乱暴すぎる)

 

 おそらく、焦りがあるのだろう。思うように収集できていないのか、それとも期限が近いのか。

 

 なんにしてもその強引なやり方はジュエルシードの発見はできても敵が近くにいた場合は悪手になる。ユーノがいたということはなのはもいるということだ。当然ジュエルシードは取り合いとなり、今まさに戦闘が行われていた。

 

 飛び回る桜色の光、なのはと、金色の光、フェイトを見ていると嫌でも目に付くものがある。それはなのはの飛躍的な戦闘技術の向上だ。

 

 (たった数日でよくここまで……)

 

 2人は同年代に見えるが、魔法に触れてきた時間は圧倒的にフェイトが上だ。フェイトの話で、3年間師のもとで魔法と戦闘技術を勉強してきたのはわかっている。

 

 にもかかわらず、この戦闘は遠目に見る限りは互角だ。フェイトの攻撃は大雑把に回避できるものだけ避け、それ以外は受けとめてから逸らしている。そしてその間、ほとんどフェイトから目を離さず、常に重い一撃を入れるチャンスを窺う。

 

 大雑把とはいえ、魔力量があり一撃の威力とシールドの硬いなのはの魔力適正に合致した戦術と言えるだろう。

 

 だが果たして、それだけで埋まるほど、なのはとフェイトの実力に差はなかったのだろうか。

 

 (そんなはすは、ないだろうな)

 

 思い浮かべるのはなのはが俺に相談しに来た時の事。「話したい。力になりたい」そうはっきりと告げたなのはの強い瞳。逆に戦いの中のフェイトの瞳には、常に迷いが見える。

 

 迷いを乗り越えた者と未だ迷いの中にいる者。その差がこれだけの実力差を埋めているのだ。

 

 届いてほしい。なのははあの時確かに一歩前に進んだ。きっとそんななのはの思いがフェイトに届けば、フェイトも一歩前に進める気がする。それだけの強さを、あの時のなのはは感じさせてくれた。

 

 (だから、きっと、届いてくれ)

 

俺は誰に祈るでもなく、そう願う。人の思いに力があることを、俺は知っているから。

 

 

 激しい戦闘のさなか、フェイトがなのはの一撃を逸らしたところで、2人は一旦動きを止めめた。再びなのはがフェイトに話しかけたからだ。

 

 「………!」

 

 だがその時、どこからか魔力が膨れ上がってくるのを感じた。

 

 (なんだ、これは。どこから……)

 

 周囲の魔力を探ると、すぐにその発信源は特定できた。

 

 「アイギス、これはまさか」

 

 『はい、ジュエルシードが封印されたまま放置されてる場所からです』

 

 つまりこの魔力はジュエルシードのものということ。

 

 (しかし、どういうことだ? 近くで魔法を使っているせいで周囲に魔力が満ちてきたからか?)

 

 願望器なんてものが、そんな簡単に起動していいはずがない。しかしジュエルシードが発動してしまう可能性があるのは事実だ。

 

 俺は再びジュエルシードが発動する危険を考えアバリアジャケットと仮面をつける。

 

 その間にもジュエルシードは徐々に魔力を高め、封印が解かれようとしていた。

 

 「もう危険な状態だな。封印はできないが、魔力遮断を施したケースにでも入れておけば大丈夫か」

 

 俺がそこに行くことを決めビルから降りようとしていたその時、フェイトとなのはの反応が高速でジュエルシードに向かってきた。

 

 (なっ、不味い!!)

 

 今のジュエルシードの近くで大きな魔力同士がぶつかりでもしたら、ジュエルシードが暴走する危険性がある。

 

 「っ、ジャンプ・ステップ!」

 

 俺はすぐにジャンプ・ステップを使ってジュエルシードのすぐ近くに転送したが、動揺が一瞬判断を遅らせてしまった。

 

 そこではすでに2人のデバイスがジュエルシードを挟んでぶつかり、ジュエルシードが膨大な魔力を解き放とうとしていたのだ。

 

 (遅れたか……っ、だがまだだ!!)

 

 

 俺はその場でなのはとフェイトの間に跳びあがり、2人を抱き抱えた。

 

 その瞬間、

 

 「っ!!」

 

 2人の記憶が頭を駆け巡った。焦っていたせいでレアスキルを制御しきれていなかったのだ。

 

 

 「傷だらけの男」「枕を抱き、顔をうずめた少女」「離れていく家族」「病院の部屋」「家族の笑顔」「友達との幸せの日々」「魔法との出会い」「フェレットとの出会いと約束」「悲しい眼をした黒い少女と寂しい背をした仮面の少年との出会い」そして、「寂しい背中をした無愛想な少年との出会いと思い出」これは、なのはの記憶?

 

 

 「幸せな日々」「優しそうに笑う女性」「施設から放たれる光」「辛い眼をした女性」「強い瞳をした女性」「苦しげな狼」「力を手にした喜び」「師との別れ」「大切な人からの頼み」「青白い宝石」「強い眼をした白い少女との出会いと迷い」そして、「今にも崩れてしまいそうな少年との出会い」これは、フェイトの記憶?

 

 しかし何か違和感がある。フェイトの記憶には、何か大きな矛盾があったような、そんな気が………

 

 

 『マスター!!』

 

 「っ、ガッ!」

 

 背中を襲う激痛に意識が叩き起こされる。俺が2人を抱きかかえるのと同時に、ジュエルシードの魔力が解き放たれたのだ。

 

 「っく!」

 

願いを叶えるほどの膨大な魔力が貯まったジュエルシードの暴走ともいえる魔力の放出。それを背中にもろに受け、さっきとは別の意味で意識が飛びそうになる。

 

 (だが、今そうなるわけにはいかない!)

 

 2人にダメージがないように無理やり抱え込み、背後にバリアを展開。さらにフォールエアを起動し、魔力の奔流に翻弄され押し流されながらもなんとか体勢を整える。

 

 そのまま勢いの小さい場所まで離れてから地に足をつけると、バリアを維持したまま体勢を低くして、力の流れに耐えられる体制をつくれた。

 

 (後はこのまま、あれが納まるのを待てば……っ)

 

 距離をとれたことで威力が分散され、バリアもなんとか維持できている。そのままそこでじっとしていると、徐々に魔力の流れが収まっていき、数秒後にようやくそれは完全に消えた。

 

 バリアに負荷を感じなくなったことを確認し、バリアを解除する。するとそこには悲惨な光景が待っていた。ジュエルシードを中心に小さなクレーターができ、一番近かったビルは明後日の方に向かって倒壊。それ以外の建物も窓ガラスは全て割れ、車もすべて横転して吹き飛ばされている。空を見れば結界に亀裂が入っており、今にも壊れてしまいそうだ。

 

 (ジュエルシードはたった1つの、それもたった1回の暴走でこれだけの威力を出せるのか……!)

 

 正直、それの直撃を受けてよく生き残れたものだと思う。実際、俺の背中は今ボロボロだが、すぐにシールドを張って流れに逆らわずに吹き飛ばされたことで、どうにか助かったようだ。

 

 そこで、いつまでたってもなのはとフェイトが動かないことに気付く。慌てて2人を見ると、強く目を閉じてじっと固まっていた。パッと見たところ特に怪我らしい怪我はない。

 

 「2人とも、大丈夫か?」

 

 俺がそう呼びかけると、2人は少しずつ目を開けて、

 

 「………うん。大丈夫………っ!///」

 

 「え、えっと。わ、私も大丈夫………です///」

 

 急に真っ赤になった。

 

 (ってなんでそうなる)

 

 いつもそうなのか知らないが、2人が何だか心配になる。だがとりあえずは意識ははっきりしているようだし、パッと見怪我らしい怪我もない。軽く息を吐き、そこで俺はようやく肩の力を抜いた。

 

 「そうか、よかっ………っ!!」

 

 だがそんな安らぎも一瞬で奪われた。ジュエルシードの魔力が、再びかなりのスピードで高まっていくのを感じたのだ。

 

 ジュエルシードを見ると、周囲の魔力を根こそぎ吸収しているようで、今にも爆発してしまいそうなほど魔力が渦巻いている。

 

 (まだ暴走は続いいているのか!? しかもこの感じ、まさかまたさっきと同じ……っ!)

 

 あの魔力の奔流から逃れるのは無理だ。たとえ転送して逃げても2度目となれば結界が持たないだろう。もし結界が壊れたら町にどれほどの被害が出るか分かったものではない。

 

 (なら俺にできることは、1つだけだ)

 

 俺は2人を離し、意を決して立ち上がる。

 

 「なのはとフェイトは離れてろ!!」

 

 「だ、だけど」

 

 この近さではまだどうなるかわからない。そう思って離れろと言ったのだが、しかし優しい2人がそう言ってすぐに離れてくれるはずもない。案の定2人とも自分たちだけが逃げることをためらっていた。しかしもうなりふり構ってはいられない。

 

 俺はすぐになのはとフェイトに触れる。

 

 「対象を変更、ジャンプ・ステップ!」

 

 『術式起動!』

 

 「な!?待っ―――」

 

 「待って!私は―――」

 

 2人が言い終わる前に転送が完了する。場所はアルフやフェレットがいるあたりだ。

 

 「アルフ! ユーノ! 2人を頼む!!」

 

 「ええ!?」

 

 「ち、ちょっと、君は!?」

 

 それだけ言うと俺はみんなに背を向け、すぐに魔法を発動する。

 

 「フォールエア、アサルトブースト!」

 

 まずフォールエアで飛行し、さらにアサルトブーストによってフォールエアの魔方陣の下に魔力スフィアを展開。そこから魔力放出することで推進力とし、一気に加速する。その特性上短時間しか加速できないが、それに見合った爆発的な加速が望める魔法だ。

 

 今俺はジュエルシードから50メートルほど離れた位置にいる。しかしそこから全体に向かって爆発するジュエルシードの力をすべて止めるのは範囲が大きすぎて不可能だ。俺の実力と魔力、そしてカートリッジの数から考えて、少なくともジュエルシードから5メートル以内の位置までは近づきたい。

 

 焦る気持ちを無理に抑え、止めるための術式の準備をする。

 

 その時、奇妙な感じがした。ジュエルシードがこちらを「見た」ような、そんな不思議な感覚。

 

 それを自覚したその瞬間、ジュエルシードがこちらを向いた(・・・・・・・)

 

 「っ!!」

 

 とっさにアサルトブーストを維持したままフォールエアを前に向け急停止を試みる。急な制動に強烈なGがかかり、体が潰れてしまいそうな痛みが襲ってくるが、どうにか意識を手放さずに前を見ることができた。

 

 その瞬間、ジュエルシードから俺の方に向かって魔力砲が放たれた。

 

 (なん……、だと……っ!?)

 

 用意していた魔法の発動が間に合わず、すぐにバリアを展開。そこに魔力砲が直撃した。

 

 「ぐっ、あ!?」

 

 ただただ圧倒的な威力と反動。一瞬でバリアに亀裂が入り、過剰負荷によって維持できなくなっていく。さらに別方向から再び襲ってくる強烈なGに、バリアよりも体が持ちそうにない。それでもと、後ろに吹き飛ばされそうになる体を再びフォールエアとアサルトブーストを後ろに向けることで無理やり止め、数メートル後退させられただけに押しとどめる。

 

 そしてようやく体が停止した。

 

 「っ、…! あ、アイギス!!」」

 

 『了解!! フルドライブ!!』

 

 アイギスの裏に搭載されているカートリッジシステムを起動させ一気に3つの弾丸をはじき出す。そこに込められた膨大な魔力を、これから発動する魔法につぎ込む。

 

 同時に俺の体とリンカーコアに魔力負荷がかかるが、それをも無視し、マルチタスクをフルに使って術式を起動した。

 

 「受け止めろ! スプレッド・アブソープション!!」

 

 『レベルAスペル「スプレッド・アブソープション」!!』

 

 展開されるのはスプレッド・ディフェンスと同じシールド。そこに1つの機能を加えたのがこのスプレッド・アブソープションだ。それを、なのはとフェイトを守るようにできるだけ大きく展開中のバリアの後ろに展開する。

 

 そのタイミングでギリギリで維持していたバリアが砕け散り、新たに展開したスプレッド・ディフェンスがその後を継いだ。

 

 「ぐっ!?」

 

 同時に展開していた他の魔法を全てきり、地面に立って頭と体の全てをこのシールド維持に回す。

 

 魔力砲がシールドに直撃するもそれは確実にスプレッド・ディフェンスで拡散され、かなりの威力を削いでくれた。スプレッド・ディフェンス同様、このシールドは動かすことができないので、まず自分が静止状態でなければ発動できないのが欠点だが、ただのシールドで防いだ時と比べればその負荷の大きさには雲泥の差がある。

 

 しかし、ジュエルシードの放つ魔力砲の魔力量と反動はこちらに向かって集中して放たれていることもあり予想以上の力だ。それにより本来よりも拡散しきれていない。余波はとんでもほど大きく、徐々にスプレッド・ディフェンスを維持できなくなってくる。

 

 当然、体もその反動によりかなりのダメージを負う。最初に背中に受けたダメージやその後に2度の強烈なGで何度も意識が飛びかけたが、まだ倒れるわけにはいかない。

 

 だがいったいなぜジュエルシードはこちらを向いたんだ? あれは人の願いを叶えるだけのものじゃ………いや、違う。そんなはずない。

 

 そうか、良く考えたら、初めからおかしかった。なのはが最初に倒した泥の塊は、なぜあのフェレットを狙って動いた? 直接見てはいないがその場所の記憶で見たあの猫の化け物も、なぜ攻撃的な行動ばかりとる? どちらも「攻撃したい」などという願いでもあったのか? そんなはずはない。そもそも、泥の方は人ですらない。近く似た人の願いと取り込んだものだとしても、あのフェレットを必要に追いかけるのはおかしい。明らかに意識的に動いている。そして最終的には逃亡を図った。

 

 これらのことから推測できることが2つある。1つは、ジュエルシード自体にあらかじめある自己防衛機能。

 

 ジュエルシードはどんな願いでもかなえるためのもの。それ故に、それを狙う輩も当然あらわれるだろう。さらに、どんな願いでも、と言う理由からその保有する魔力量はけた違いだ。そのため、それを危険視し、破壊しようとする輩も当然いる。おそらくこれを作った者は、そういった輩からジュエルシードを護るために、ジュエルシード自体に自己防衛機能を付けたという推測だ。

 

 しかし、これでは製作者自身も危険すぎる。よってこれには条件があるのだろう。おそらくそれは特定のプロセスを踏まずに発動した場合、つまりは暴走だ。

 

 そしてもう1つは、第三者が介入しているということだ。ジュエルシードに何かしら手を加えて、そうなるように仕向けているということ。これなら簡単に辻褄があう。

 

 もしかしたらその両方が絡んでいることなのかもしれない。ジュエルシード程の危険なものがそうそう簡単に発動していいわけがない。発動にはプロセス以外にも何かしらの条件、鍵が必要なはずだ。もしかしたらその第三者がその鍵を外しているのかもしれない。

 

 あくまで推測だが、これまでのことと、ジュエルシードの機能と危険性、そして今ジュエルシードが俺たちに向かって放たれていることから、おそらくそんなところだろう。少なくとも、防衛機能の方は可能性が高い。

 

 (くそっ、厄介な………!)

 

 ただ暴走するだけならいくらでも止めようはある。だが、よりにもよって保有する膨大な魔力全てで攻撃してくるなど、厄介にも程がある。攻撃範囲も広いし、しかもここは町中だ。これでは回避するのもままならないだろう。もっとも、後ろにみんながいる以上、回避なんて手段は初めからないのだが。

 

 何にせよ、ジュエルシードが魔力の放出を止めるまでこのまま防ぎきるしかないのは変わらないか……っ!

 

 

 「ぐっ、くっ……あああ!」

 

 シールドの強度が耐えられなくなってきた。徐々に亀裂も入ってきている。だがそれ以上に、体への負担が大きすぎる。これまでのダメージと合わせ、少しでも気を緩めれば簡単に意識を持って行かれそうなほどの痛みが体を襲う。

 

 (だが、だからなんだ!)

 

 俺の後ろには、なのはとフェイトが………″護りたいと思ったやつら″がいるんだ!!

 

 「ア、…アイギス…!カートリッ…ジを、ブースト、ドライブだ!!」

 

 『しかし、それではマスターの体が!』

 

 アイギスが心配するのも当然だ。この状態でさらにカートリッジを使うということは、それだけ体とリンカーコアへの負荷が大きくなるということ。どちらもすでに満身創痍な俺がそれをやればどうなるかなど、言葉にするまでもない。

 

 「っ、かまわない!! やれ!!」

 

 だけどそれでも、今それをやらなければ何も護れない。これは全員が死ぬか俺が無理をするかという2択だ。ならば選択肢など初めからない。

 

 そしてそれは残酷にも、アイギスにもわかっている事だった。

 

 『っ………了解! カートリッジ、ブーストドライブ!!』

 

 その声が、それがどれだけ苦渋の決断だったかを伝えてくる。

 

 (すまない……っ、でも、俺は!!)

 

 カートリッジがさらに連続で使用され、スプレッド・アブソープションの力を増していく。そして同時に、その分の負荷がどんどん増加していった。

 

 「ッぐ! ………ぉぉぉおおおおお!!」

 

 体にすでにとんでもない魔力負荷がかかっているというのに、そこに魔力を無理やり上昇させるカートリッジを発動させるという無謀。今までに経験したことがないほどの痛みが体中を襲った。

 

 カートリッジシステム――デバイスに装備されるそれは、弾丸の中にあらかじめ魔力を込めておき、それをデバイス内で爆発させることで大きな魔力を産み、さらにその魔力デバイスが破壊されないようにコントロールし圧縮する。これにより、通常よりも大きな魔力での魔法の使用が可能となる。しかし、大きな魔力を急に解き放つのでコントロールが難しく、誤ればデバイスごと爆発し、破壊されてしまう危険性がある。

 

 アイギスの話によれば、その危険性故に普通はデバイスに装備することはないらしい。しかし、もともとの魔力量的に必要な時が来るかもしれないと思い、俺はその機能をデバイスに搭載した。それに魔力制御を中心に鍛えていた俺ならそれをコントロールできる自信があったのだ。結果として問題なく運用することができた。しかし、カートリッジシステムが人の体に負担が大きいことに変わりはない。だからできるだけ連続での使用は控えるようにと言われていた。

 

 しかし、事態はそんなことを言っていられる状況じゃない。

 

 (体中が痛いさ。とくに胸のあたり、リンカーコアも悲鳴を上げているのが分かる。でも、それがなんだ? ここで俺が逃げるわけには、いかないんだ!!)

 

 体中を襲う痛みに思わず意識を飛ばされそうになるが、それらに負けないよう、何とか気合を入れなおす。

 

 (大丈夫だ。この奔流を乗り切れば、何とかできる! たのむから、もってくれ!!)

 

 俺は何かに祈りつつ、魔力の奔流をおしとどめ続けた。

 

 

 

 

 (助けられたのは2度目だな………)

 

 仮面の子に抱きかかえられた時、私はそんなことを思っていた。

 

 大丈夫かと確認してくる彼の声には真の通った強さと優しさを感じる。なのに同時にどうしようもない儚さも感じさせる不思議な声。背中に回された手から伝わってくる彼の温度が心地いい。

 

 どうしてこの人の傍にいると、こんなにあたたかい気持ちになるんだろう。それはなにか、どこかで感じたことがあるような不思議な感じがする。

 

 (もしかして、昔どこかで彼に会ったことがあるのかな?)

 

 だけどそんな私の疑問を吹き飛ばすように彼の後ろから膨大な魔力を感じた。

 

 「「っ!!」」

 

 私と一緒に抱きかかえられていたフェイトちゃんも私と同時に気付いたようだ。彼は即座に振り返り、私たちもその魔力の中心、ジュエルシードを見る。

 

 ジュエルシードから感じる異様な魔力はこれまで感じたどれよりも大きい。ジュエルシードは周りに散った魔力を吸収しているようだった。

 

 (もしかして、周囲に漂ってるすべての魔力を取り込んでる!? それじゃさっきよりも………!)

 

 「2人は離れてろ!!」

 

 「で、でも!」

 

 彼は私たちにそう言って立ち上がるけど、それはつまり彼を残して逃げろと言うこと。そんなことできるはずない!

 

 でも彼はそんな私の想いもお構いなしに私とフェイトちゃんに触れる。

 

 「対象を変更、ジャンプ・ステップ!」

 

 『術式起動!』

 

 「っ!? 待っ―――」

 

 彼がしようとしていることが分かって、制止の声を上げようとしたけど、私は結局何もできないまま彼に転送されてしまった。

 

 「なのは!?」

 

 一瞬の浮遊感を感じて気が付けば転送は終わっていたようだ。すぐ近くから聞こえる声に目を開けると、私のすぐ隣にユーノくんがいた。

 

 それほど離れた場所に転送されたわけじゃないみたい。さっきのところからだいたい50メートルくらいの場所。

 

 「アルフ! ユーノ! 2人を頼む!!」

 

 「ち、ちょっと、君は!?」

 

 「あ……、っ」

 

 それだけ言い、彼は私たちに背を向ける。その一瞬、私はそのボロボロの背中に言葉を失った。黒くてわからないけど、それは黒い服を着ているからじゃないのは見ればすぐにわかる。真っ黒になってしまうほど背中が傷だらけなのだ。

 

 だけど彼は、それを全く気にせずに、見たことのない魔法を使ってすごいスピードでジュエルシードに向かって行った。

 

 

 その時、何か悪寒を感じた。

 

 なにか嫌な予感がする。彼にもう会えなくなってしまうような、大切な何かを失ってしまうような、そんな嫌な予感。

 

 そして私は唐突に気付いた。ジュエルシードがこちらを向いていることに。

 

 そのままジュエルシードはこちらに向かってその膨大な魔力を解放した。

 

 

 直感的に悟った。あれはだめだと。人が受け止められるようなものではないと。事実、彼の張ったバリアにはすぐに亀裂が入り、今にも壊れてしまいそうだ。

 

 だけど彼は私の予想を覆して見せた。

 

 「フルドライブ!!」

 

 そう叫ぶ彼の声が聞こえたと思うと、彼の盾から3つの弾丸をはじき出される。同時に彼の魔力が急上昇したかと思うと、そのすべてが1つの魔法に込められて発動された。

 

 「受け止めろ! スプレッド・アブソープション!!」

 

 彼のひし形の盾から4つの突起が外れそれぞれが頂点となるようにひし形のシールドが展開される。バリアが壊れるぎりぎりで展開されたそのシールドは、しっかりとあの奔流を抑え込んでいた。

 

 受け止めた反動と放出される魔力から来る風が、まるで嵐のようにこちらにまで吹いてくるけど、身を縮めているおかげで何とか持ちこたえる。

 

 「すごい。あの奔流を受け止めるなんて」

 

 ユーノくんも驚いている。

 

 だけど私は「受け止めている」という言葉に違和感を感じた。ユーノくんも自分の言った言葉に疑問を抱いたのか、少し考えすぐに答えを出す。

 

 「違う。受け止めてるんじゃい。最初になのはをかばってくれた時と同じように、ジュエルシードの放つ魔力を拡散させて威力を殺してるんだ」

 

 今度は私も納得できる。ユーノ君が言ったことを証明するようにひし形のシールドからはジュエルシードの放つ光が粒子のように飛び散っていたから。

 

 夜空に舞う青い光の粒。その光景はどこか幻想的で、こんな状況でなかったらきっと笑顔で見ていられただろう。でもそれを生む巨大な光は私たちを飲み込もうとする破滅の光で、その中心にはボロボロになりながらも私たちを護ろうとしてくれている男の子がいる。

 

 そのシールドにも徐々に亀裂が入り、今にも壊れてしまいそうだ。

 

 「まずい。あれを拡散しきれてないんだ。このままじゃ………」

 

 ユーノくんの言うとおり、このままじゃだめだ。

 

 (あの人にだけ任せて、護ってもらって、私は何もしないなんて、そんなのダメだ!)

 

 彼のもとに行こうと思ったその時、彼のデバイスからさらに弾丸が飛び出し、シールドに凄まじい量の魔力が注ぎ込まれて行くのを感じた。砕けかけていたシールドはその亀裂を全て修復し、再び輝きを取り戻していく。

 

 すごい。

 

 その一言しか浮かばない。彼の力は私が思っているよりずっと強くて、私の心配なんて全部杞憂なのではないか。そう、錯覚してしまうほどに。

 

 「そんな、無茶だ!」

 

 だけどそんなはずがなかったのだ。その光景を見ていたユーノくんが焦ったように叫ぶ。

 

 「やめるんだ!! そんなことして、体が持つはずがない!!」

 

 「ユ、ユーノくん! どうしたの!?」

 

 ユーノくんが必死に呼びかけるが、彼がそれに耳を貸す様子はない。そんなユーノくんの姿に、私はまた不安になってきた。

 

 「彼は今、とんでもないほどの無茶をしているんだ! 最初の時点ですでに体はボロボロだったのに、ここに来て無理な魔力の底上げなんて、体への負担が大きすぎる! それにそもそもあんな力を防ぎながら、それができるほどのシールドをこんな長時間、それもこれだけの範囲でずっと維持するなんて、リンカーコアから抽出できる瞬間魔力量の絶対値を越えてる! こんなんじゃ、リンカーコアも体も持たないよ!」

 

 その言葉に、私は思わず彼のほうを見る。ユーノくんの指摘通り彼の体は遠くから見ても悲鳴を上げているのが分かった。

 

 「ッグ!………ぉぉぉおおおおお!!」

 

 それでも彼は大声を上げて崩れかけた体制を立てなおした。今にも崩れそうな体を、必死に保っていた。

 

 「………っ」

 

 私は、そんな彼をもう見ていたくなくて、なのに、目を離せないでいた。

 

 それは疑問を隠せなかったからだ。彼は、見ているだけで苦しくなってくるような痛みに耐え、圧倒的な力に必死に立ち向かっている。

 

 (どうして? どうしてあなたはそんなに強いの?)

 

 どうしても心に浮かんでしまう疑問。どうしてそれだけのことができるのか。その強さはどこから来ているのか。いくら考えても答えは出ない。彼と会ったのはまだこれが2回目。最初の時も、今回も、私は護ってもらってばっかりだ。

 

 そうして最初の出会いを思い出したからだろうか。最初に見た彼の背中が、とても弱く、寂しく見えたのを思い出したのは。

 

 

 (………っ!!)

 

 突然私の中に、自分への怒りと恥ずかしいという感情が生まれた。

 

 強い? ……本当にそうなのかな。

 

 もし強いなら、どうして彼はあんな寂しい背中をしてるの?

 

 強いからその寂しさにも負けない?

 

 違う。そう言う意味で強いなら、その気持ちを外に見せてるはずがない。

 

 それを隠せないくらいの気持ちがあるのに、それを諦めてしまっている。まるで一緒に遊びたいのにそれを言い出せないでいる子供みたいに。あれはそういう時に出てしまう背中だ。

 

 彼は、強くなんかないんだ。

 

 むしろ誰よりも弱くて、脆くて、それでも強く在らねばならなかったから。そんな使命感で無理やり強さを纏ったかりそめの強さ。

 

 そんな彼を見て「強い」などと一瞬でも思ってしまった自分が、どうしようもなく腹立たしく、許せなかった。

 

 強くあろうとする彼にとっては、強いと思ってくれた方がいいはずだろうけど。でもそれは、そんな脆い強さでは、いつか壊れてしまう。

 

 彼から感じる寂しさ。儚さ。脆さ。彼の背中を、必死で立ち向かって、自分を犠牲にしている彼を見ていたら、なぜかそれが理解できた。

 

 理解できたからだろうか。余計に自分が情けなくなった。

 

 「なのは!? だめだ! 危ないよ!!」

 

 「放して!! あんなの放っておけないよ!!」

 

 「駄目だ!!」

 

 私には何もできない。

 

 それぐらいわかってる。

 

 だけど、このまま見てるだけなんて、そんなことできるわけがいない。

 

 そう思うのに、結局私にできる事なんて全然浮かばなくて、ただ必死に手を伸ばすことしかできなかった。

 

 (ああ、だめだな、私。あの頃から、何にも変わってないんだ)

 

 お父さんが傷ついて、倒れて、家族がみんな大変で。なのに私は、それに迷惑をかけないようにって、1人で閉じこもる事しかできなくて。優雨くんに助けてもらって、お父さんが帰ってきて。そうして、家族に笑顔が戻って。

 

 それからずっと、自分も誰かの力になれるようになりたいって思ってきた。

 

 なのに今の私は、何もできないで護ってもらってばっかりだ。

 

 どうしようもないことで、でもだからこそ、情けなくて。すごく、悔しい。

 

 (だけど諦めるもんか! きっと何かあるはず、何か……――?)

 

 そうして周囲を見て気が付いた。拡散されたジュエルシードの魔力の粒子が優雨くんに集まっていくのを―――

 

 

 

 

 私は自分の見ている光景が信じられなかった。

 

 ジュエルシードが放つ膨大な魔力。それは人1人程度の力で止められるようなものじゃない。おそらく次元振クラスのものだ。

 

 だけど優雨はそんな魔力の奔流をたった1人で抑え込んでいるのだ。

 

 その反動とジュエルシードの魔力放出しよって起こる風が、ものすごい嵐となってこちらにまで押し寄せては来るが、身を縮めているおかげでそれほど苦でもない。

 

 私は、優雨が展開するひし形のシールドを観察してみる。すると、徐々にそれがどういうものなのか理解できてきた。

 

 「あれは、最初に私の魔力弾を防いだのと同じ盾だ。あの時と同じように受け止めてるんじゃなくて拡散させて威力を殺してる。」

 

 「何だいそりゃ!? そんな魔法聞いたこともないよ!?」

 

 それは私も同じだった。

 

 だけど、現に彼はそれをやってのけている。その証拠に、あのシールドに当たった魔力は分散され、粒子のようになって彼の周りに飛び散っていた。

 

 (魔法はほとんど自分で考えたものを使ってるって言ってたけど、まさかこれも優雨が作り出した魔法なの?)

 

 だとしたらその才能に驚かされる。

 

 だけど、やはりあれだけの奔流をまともに受けきることはできないようだ。優雨の姿勢は崩れだし、徐々に体に無理が来ていることが分かる。シールドにも亀裂が入っていた。

 

 「……っ、やっぱり優雨1人じゃ……!」

 

 「あ、ダメだよフェイト! ただでさえフェイトは防御が脆いんだ。今動いちゃ危険だよ!」

 

 優雨の助けになろうと体を起こそうとするが、アルフに抱え込まれて止められてしまう。

 

 「でもこのままじゃ……、!!」

 

 そんな時、さらにアイギスから弾丸が飛び散った。同時にシールドに込められた魔力がさらに高まるのを感じる。シールドに入っていた亀裂は修復され、さらに頑強な盾になっただろう。

 

 だけどそれがどういうことになるか、私にはすぐに理解できた。それが完全な自己犠牲につながっているということも。

 

 「ダメだよ優雨!! そんなことしたら体もたない!!」

 

 あれだけの無理をしているところで、無理やり魔力を上昇なんかさせたら体にかかる負荷はとんでもないことになるのは明白だ。

 

 私は必至でアルフを振り払って彼のもとに行こうとするが、嵐のような風のせいで近寄ることすらできない。

 

 「フェイト! じっとしてなきゃダメだ!! それにあたしたちじゃどうせ何も………」

 

 アルフはすぐに私をつかみ、また抑え込んでくる。

 

 (そんなことはわかってる。わかってるけど、だけど、だからって……っ)

 

 「じっとしてられるわけないよ。優雨………」

 

 彼は私を気遣ってくれて、優しくしてくれた。私をあったかい気持ちにしてくれた。

 

 そして彼は今、自分を犠牲にして私たちを守ってくれている。

 

 なのに、私はただ見守ることしかできない。

 

 そんな自分がどうしようもなく嫌になる。

 

 (どうして私は、いつもこんなに……)

 

 リニスがいなくなった時も、私は何も知らなくて、何もできなくて。

 

 母さんを助けることもできなくて、笑顔にできなくて。

 

 (私は、何もできないの? 私はどうすればいいの? 優雨……)

 

 「――!」

 

 そんな時私は見た。拡散され漂っていたジュエルシードの魔力の粒子が、優雨の周りに集まっていくのを―――

 

 

 

 

 (まだか!?)

 

 ジュエルシードの放つ魔力砲にいい加減体がもたなくなってくる。とくに胸のあたりがまるで胸の奥に亀裂が入ったかのように痛い。おそらく無理をしすぎてリンカーコアが持たなくなってきているのだろう。

 

 しかし力は抜かない。たとえこの体が壊れようと、諦めるという選択肢はないのだから。

 

 後ろにいる彼女たちはどちらも心に傷を持っている。そのつらさは俺自身がよくわかっている。

 

 (そんな彼女たちをこれ以上傷つけるなんてこと、許すわけにはいかないんだ!!)

 

 「っ、ぐ、ぁぁぁぁぁああああああああああ!!」

 

 アイギスに込められていたカートリッジはすでに使い切り、もう魔力の補充はできない。シールドも今にも砕けてしまいそうだ。もう長くは持たない。

 

 (頼む、止まれ! 止まってくれ!!)

 

 無慈悲に砲撃は続く。シールドの一部が砕け、消滅していく。

 

 (二度と失わない! 失ってたまるか! 護るんだ! だから――)

 

 「俺に、っ、護らせてくれええええ!!」

 

 そう叫んだ瞬間だった。その瞬間まであった重さの全てが消えたのは。

 

 「!!」

 

 願いが通じたのか、シールドが壊れるのとジュエルシードの放つ魔力砲が止まるのはほとんど同時だったのだ。

 

 全ての負荷が消え、思わず体が崩れそうになる。

 

 (だが、まだだっ!)

 

 ジュエルシードは間髪入れずに再び周囲の魔力を吸収している。おそらく、また同じ攻撃を仕掛けようとしているんだ。

 

 しかし今ジュエルシードは何もできず、周囲にはジュエルシードから放たれた膨大な魔力がある。俺はこの一瞬を持っていたんだ!

 

 「っアイギス!! あれを破壊するぞ!!」

 

 『本当は、もう無理をしてほしくないのですが………わかりました』

 

 アイギスも渋々了解してくれる。

 

 (ありがとう)

 

 たった一言の感謝を胸に、すべてをこの一瞬に賭ける。

 

 「行くぞ、グングニール!」

 

 『レベルAスペル。グングニール発動!』

 

 発動した直後、一瞬にして周囲に散っていた自分自身の魔力とスプレッド・アブソープションによって拡散され俺の周りに漂わせたジュエルシードの魔力の粒子を右手の前に集束。それをさらに凝縮、圧縮し一本の棒のような形状にする。極限まで圧縮させたそれは、彼の本来の魔力色とは異なる紅の槍。

 

 「っ! ガハッ!!」

 

 『マスター!?』

 

 本来のグングニールが集束するのに必要な魔力量の限界値を遥かに超えるそれを、しかも一瞬にして集束したことで、体にかかる負荷は本来のそれの数十倍はあり、あまりの激痛に血を吐いてしまった。

 

 しかしまだ、まだ倒れるわけにはいかない。

 

 最後の力を振り絞って形成した槍を右手でつかみ、一気に振りかぶる。そして、

 

 「貫け!! グングニール!!」

 

 ジュエルシードに向けて投擲した。

 

 その際、自動でグングニールを中心に加速の術式を組み込んだ5つの環状魔方陣が展開。それを通過した真紅の槍は圧倒的な速度と威力を持ってジュエルシードに突き刺さる。

 

 

 拮抗したのは一瞬。

 

 グングニールは圧倒的な貫通力を持ってジュエルシードを貫き、空へと飛び結界を破壊することなくただ貫く。そのまま紅色の流れ星となり、やがて霧散した。

 

 (……破壊した、か)

 

 それを見届けたところで、俺の体から勝手に力が抜けてしまう。

 

 体が倒れていく中、最後に見たのはこちらに走ってくる2人の姿。

 

 (……ああ、……護れた……。よか……た………)

 

 地面に倒れる前に、俺はゆっくりと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 どこかで誰かが、呼びかけてくれているような、そんな気がした。

 




プリエル
 傷つき倒れてしまった優雨。
 彼の姿に、この事件にかかわる者たちはそれぞれの思いを思案する。
 次回 「罅割れた盾」



 
プリエル「みなさん私のこと覚えてますか?優雨を転生させた神です」

作者「この神様ちゃんとこの先も出番あるのでちゃんと覚えていてくださいね」

プリエル「それはそうと、優雨がとても見ていられません!なんであんなに傷つかなければならな
     いんですか!?」

作者「主人公とはそういうもの!ってあれなんかデジャb」

プリエル「バカああああああああああああアアアアアアアアアアアアアア!!」

作者「ウボォアアアアアア!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

作者「皆様お久しぶりです。何か月ぶりでしょうね」

優雨「これだけ間を開けたくせに実はその理由であるはずの就活は終わってないという」

作者「就活って難しいですね」

プリエル「そんな状況なのに投稿する小説増やすとか何考えてるんですか」

作者「遊戯王TAKEⅡ! よかったら読んでみてください!」

優雨「これまでの全シリーズの世界に行く話だったか」

作者「YES! と言ってもそこまで行くのも結構後になるだろうけどね」

プリエル「そっちの紹介はそれくらいにして、そろそろ今回のことを話しましょう」

作者「了解。今回の変更点は主に心理描写と戦闘シーンの追加」

プリエル「優雨のダメージが大きくなってる!?」

優雨「正直死ぬかと思った」

作者「いやあ、良く考えたら猛スピードで接近したところで急に止まろうとしたらそうなるよねっ
   て」

優雨「あのシーン、長々と心理描写があるが、実際は2秒もないからな」

プリエル「そんなスピードで近づいて、止まるときはどうするつもりだったんですか……」

優雨「ん? あれよりはゆっくり止まったさ」

プリエル「優雨ううううううう!?」

優雨「……じゃあ、そろそろ終わろうか」

作者「……そうだね。ではまた会いましょう!」ノシ
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