魔法少女リリカルなのはEX・S 過去にとらわれた転生者 作:レイレナード
ってどうでもいいですねw
ではどうぞ。
(以前の前書き)
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更新を再開と言いながら随分と間を空けてしまいました。両立って難しいですね。
ではどうぞ。
何が起こったのか、私にはすぐに理解できなかった。
優雨の周囲にまるで青い星々のように漂っていたジュエルシードの膨大な魔力の粒子。それが一瞬にして彼の右手に集束され、紅い槍のようになったのだ。それが彼の黒い魔力色とは違うことを疑問に思うよりも早く、優雨はそれを大きく振りかぶりジュエルシードに向けて投擲した。投擲された槍はあまりに速く眼で追うことはできない。槍は一瞬でジュエルシードに到達し、瞬きした瞬間にはジュエルシードを貫いていた。
「………今、何が起こったんだい?」
静寂があたりを包む中、アルフがポツリと呟く。私はそれに答えることができなかった。
気付けば、ジュエルシードの魔力だけでなく、周辺一帯に漂っていたはずの全ての魔力が消えている。
これって、ブレイカー?
「ブレイカー」とは魔力集束術式の総称だ。魔法を使用すると、どうしても使いきれずに周囲にばらまかれてしまう余分な魔力がある。さらに魔力を撃ち出す魔法の場合、それが着弾した場所には魔法を構成していた魔力が漂うことになる。それらを全て収束し、自らの魔力として運用するのがブレイカーだ。
一見、魔力消費の無駄をなくす便利な技術に思えるが、ブレイカーは総じて使用者への負担が大きい。広範囲の魔力制御や微細なコントロール。膨大な魔力を集めるため、集束には時間がかかるし、一歩間違えれば集束魔力が暴発して大爆発を起こす可能性もある。そのため、使用者の多くはもともとレアスキルとして魔力集束スキルを持つ者に限られてきた。
今目にした光景と、周囲の状況から考えれば、それがブレイカー系の魔法だったのはまず間違いないだろう。だがだとしたら、一体どれほど膨大な魔力があの小さな槍に圧縮されていたのか。少なくとも、あのロストロギアであるジュエルシードを一瞬で破壊してしまうほどの威力を持っていた。ジュエルシードは膨大な魔力を持ち、その力は人の願いを叶えてしまうほどだ。だからあまりに危険なそれは簡単に破壊できるようなものではない。それこそ魔導師が何人束になろうとジュエルシードを破壊することは不可能だろう。
それを可能にしてしまうほどの力。それを理解してしまうと、途端に恐怖を覚える。と同時に、もう一つ気付いた。
それだけの魔法を、ただでさえ体に負担のかかるブレイカーなんてものをそれだけの力で行使した者には、いったいどれほどの負担がかかるのか想像もできないということに。
そこに気付いた時、優雨はまるで電池が切れたかのように力が抜けていて、今にも倒れそうになっていた。
「「!!」」
私と、少し離れたところにいた白い子が同時に気付き優雨のもとに走る。
だけど、気付くのが遅すぎた。一瞬目が合ったかと思った時には、優雨はまるで死んでいるかのように地に倒れてしまった。
『マスター! しっかりしてください! すぐに転移します!!』
さらにすぐに彼のデバイスが魔法を使用する。優雨の下に彼の魔力色である黒の光を放つ魔方陣が描かれた。その言葉通り、術式は空間転移。
「待って!! 私も………っ」
慌てて声をかけるが、言い終わるよりも早く眩い光が視界を覆った。思わず足を止め、眼をつむる。
「―――っ!」
再び目を開けた時には彼の姿はすでになく、後には血だまりだけが残されていた。
突然の出来事の連続で、少しの間、思考が停止する。だけどすぐに浮かんでくる感情があった。それは、悲しさと悔しさ。
優雨は私にいろんなものをくれたのに、私は……。
たった1回の優雨と過ごした時間を無意識に思い出す。戦ったこと、負けて悔しかったこと、優しい言葉をかけてくれたこと、着替えを見られたこと、ご飯をくれたこと、魔法の話をしたこと。
恥ずかしいことや悔しいこともあるけど、そんな普通の日常の一コマのような時間は久しぶりで、とても温かくて。何よりも、優しい時間だった。
その時唐突に気付いた。そうして優雨と過ごした場所のことを。
「そうだ、家に……!」
アイギスが彼を転移させるとしたらそこしかないはずだ。つい昨日の事、その家の場所もしっかりと覚えている。
場所に心当たりがあるのなら、もうそこに立っている事なんてできない。すぐに踵を返し、走り出す。
「あ、フェイトちゃん!!」
「………!」
しかし白い子に呼び止められた。突然名を呼ばれたことに少し驚いて、思わず足を止めてしまう。だけど、急ぎたい気持ちが勝って振り向きはしなかった。
「………フェイトちゃんはあの子の事、知ってるの?」
「………うん」
優雨がその正体を彼女に隠していることを思い出して、一瞬答えるかどうか迷う。でも、状況的に隠せるとも思えなかったから、正直に頷いた。
「今から、会いに行くの?」
「うん」
今度ははっきりと答える。気持ちが急かされているから、すぐに出てきた。今すぐ優雨のところに行きたい。優雨の傍にいてあげたい。そして、誤りたい。
私の答えを聞いた彼女は、真剣に、だけど優しく言った。
「……あの子に、ありがとうって、伝えてくれないかな?」
「!」
思わず、体ごと振り向く。そこにいたのは、悲しそうな笑顔を向けてくる、ただの女の子。
「一緒に行けるならそうしたいけど、きっと、そうもいかないだろうから。だからせめて、伝えてもらいないかな?」
さっきまで戦っていた強さはどこにもなくて、代わりにあるのは、どうしようない悲しみと後悔。何の力にもなれなかったという、苦しみ。それは、私と同じ苦しみだ。
「……うん。必ず伝える」
なら、それを拒む理由はない。彼女の、たった1つの小さな願いに、私は迷うことなく頷いた。
「なのは、お疲れ様。大丈夫?」
「うん。大丈夫。ありがとう」
家に戻ると、ユーノくんが労いと心配の言葉をかけてくれた。私はそれに努めて明るく返事をする。
初めてあの子に自分の意志を伝えることができたし、練習の成果もあって何とか一方的ではない”戦い”にはなった。疲れはあるけど、十分な成果が得られたと言っていいだろう。
でもどうしても表情が沈んでしまう。それは、私を助けてくれた仮面の魔導師のこと。
ずっと気になっていた。初めて会った時から、あの子からは優しさや強さを感じたから。そして同時に感じた儚さや脆さ、あのさびしい背中がとても気になったから。それがどうしてこんなにも気になるのかはわからないけど、でもこの前も、そして今回もあの子は私を助けてくれた。怪我までして、守ってくれた。
フェイトちゃんは彼のことを知っているようだったから、ありがとうという感謝の気持ちを伝えてほしいとだけお願いしたけど。でももしまた直接会えることがあるなら、もう一度自分の口で伝えたい。
だけどどうしても不安になってしまう。彼が消えた後に残されたあの血だまりや、糸が切れたように崩れた彼を見てしまったから。本当に大丈夫なのか。もしかしたら、もう会えないのではないかと、悪い方向にばかり考えが行ってしまう。
「……なのは。きっと彼は大丈夫だよ」
「ユーノくん?」
すると、安心させるようにユーノくんがその小さな手を私の手に重ねてくれた。
「僕は以前彼と話したことがある。その時彼は僕の意志を確認して、それを果たして見せろって言ってくれたんだ」
「それって、初めてあの子と遭った時?」
フェイトちゃんと初めて遭って、負けっちゃったとき。あの子は私を助けてくれた。でもジュエルシードはフェイトちゃんに譲っちゃって、ユーノくんに、ちゃんと果たして見せろって言っていたことを思い出す。確かユーノくんは、私と合流する前にあの子と少し話したと言っていた。
「うん。他人にあれだけのことを言えるのは、彼自身が強い意志を持っているってこと。彼はすごく強いんだ。だからきっと大丈夫だよ」
「……そう、かな」
「え? な、なのは?」
ユーノくんの言いたいことは分かる。実際、お父さんやお兄ちゃんを見てるとそう思える。だけど、強い意志を持っていることと、彼が強いことは本当に同じだろうか。
ユーノくんの言葉に同意できなかった私に、ユーノくんが慌てだす。そんな姿を見て、自分が何を言ったのか遅れて理解した。せっかく励ましてくれたのに、否定してしまうなんて。
「ううん。なんでもない。ユーノくんの言う通り、きっと大丈夫だよね!」
「う、うん」
「さ、今日はもう寝よう? やっぱり疲れちゃったしね」
まだ少しユーノくんは不安そうにしていたけど、私は半ば逃げるように部屋の電気を消した。こうすれば、表情を見られることはないから。
「おやすみ。ユーノくん」
「……うん。おやすみ。なのは」
ユーノくんも寝床に入ったのを確認して、私もベッドに寝そべる。だけど、どうしてもすぐには寝られそうになかった。
さっきユーノくんに言われて、考えてしまったことが頭から離れない。
強い意志を持っていることが、強いということだとは限らない。だって、もし本当にあの子が強い意志を持っているというのなら、どうしてあの子の背中はあんなにも寂しそうなのだろう。
だからその意志の強さを、強さだとは思えなかった。それはただ、自分の本当の気持ちを押し隠した、かりそめの強さなのではないだろうか。だから、あんなにも寂しそうで、悲しそうで、今にも崩れそうに見えるのではないのか。
そこまで考えて、ふと気付いた。
それは、フェイトちゃんも同じなのではないだろうか。
思い浮かぶのは、フェイトちゃんの悲しそうな瞳。初めて遭った時も、そして今回もフェイトちゃんは同じ目をしていた。
そして私が言伝を頼んだ時。フェイトちゃんがどうしてあの子のことを知っていたのかはわからないけど、でもフェイトちゃんは泣いていた。涙こそ流してはいなかったけど、あの瞳は、大切なものを無くしてしまった子供のように悲しみで溢れていて。それは、大切なものを失ってしまうかもしれないという恐怖だ。
その瞳を、私はよく知っている。昔お父さんが大けがをして、病院で寝ている姿を見た時。病室に置いてある鏡に映ったその瞳と同じだった。
だから、もしかしたらと思うのだ。
もしかしたら、フェイトちゃんも、そしてあの子も、1人で無理をしているのではないかと。あの時も私と同じように。
……だから、なのかな。
だからこんなに気になるのかな。この気持ちは同情なのかな。
………
………ううん。違う。これは同情とは違う。
何かに急かされているような、それでいてとても温かくて、なのにすごく苦しくて。
この気持ちを私は知りたい。
あの2人ともっとちゃんと話ができれば、この気持ちの意味も分かるのだろうか。
………うん。そんな気がする。
ならわたしは、そのために戦おう。
そのために。もっと強くなろう。
もっと、もっと、ずっと………
暗い部屋の中、なのはの寝息はしばらく聞こえることはなかった。きっと考え事を続けているのだろう。
励ますつもりだったのに、逆に気を遣わせてしまった。そんな自分が情けなくなる。
でも傷のことはともかく、彼が強いと言ったことは僕の本心でもあった。何かを成そうとする意志。それを曲げず、ひたすらにそれを目指すことができるのは、強いからだ。僕に、果たして見せろ、と言った彼の強さは本物だと思う。
でも、もしなのはの言う通り、それが違うのだとしたら。
……やめよう。僕がそれを考えてもどうしようもないのだから。
だけど本当に身体の傷は大丈夫だろうか。あれだけの傷に、血を吐いて倒れてしまうほどの無理。出血量から見ても、魔導師の視点からリンカーコアへの負担を見ても、とてもすぐに戦いに復帰できる状態だとは思えない。
まったく。彼はどうしてあんなことができるんだか。
彼の魔法に関しては、最初に遭った時も、そして今回も驚かされた。魔力を拡散させてしまうシールド。独特の飛行魔法。転送魔法を利用した瞬間移動。そして何より、ジュエルシードを貫いた紅い槍。
彼の使用した魔法の中で、シールドと紅い槍だけは桁違いの代物だ。管理局でさえ、あんな魔法の使用例はないだろう。
とても才能だけでどうにかなるものじゃない。あの歳で、いったいどれだけの努力をすればあんなことができるようになるのか。
魔導師の力を図るものとして魔力ランクと魔導士ランクと言うものがある。魔力ランクはそのまま魔力量の大きさの事。そして魔導士ランクは魔導師の強さのことだ。
彼の魔力ランクは今のところなのはやフェイトよりも下のようだ。僕の見立てではAAA未満と言ったところ。それでも彼は魔導士ランクではなのはは言わずもがな、フェイトをも上回っているだろう。
彼はどうしてそれだけの力を手に入れたのだろう。彼の姿を見ていれば、それが才能に頼らず、努力をして手に入れたものだと理解できる。ならばそこには目的があるはずだ。
それが今回の事にも繋がっているのだろう。どれだけ傷つこうとも決して引かず、最後まで彼はなのはたちを護ろうとして――
「――あ、そうか」
唐突に彼のことが分かった気がした。考えてみれば簡単だったのだ。彼はただ、護りたいんだ。
どこまでをかは、わからない。でも彼はなのはを助け、今回はフェイトも助け、そして暴走するジュエルシードに真っ向から立ち向かった。その行動が全て、2人を護るための行動だとしたらすべて辻褄は合う。
でも、何が彼をそうさせるのだろう。どうしてなのはたちを護ろうと思ったのか。彼は僕らのことを仲間ではないと言った。フェイトとも仲間とは思えない。だというのに、彼は2人を護る。
その意味はまだ僕にはわからない。だけど、2人を護りきる力も意志も彼にはあるんだ。それを今日、はっきりと見せつけられた。
彼が言った、果たして見ろ、という言葉。それが今更のように重くのしかかる。僕は本当に、何があってもなのはを護るという強い覚悟を持っていたのだろうか。心のどこかで、なのはなら大丈夫だと、楽観視していたのではないだろうか。
だとしたら僕は、口だけの大馬鹿者だ。
まだ、今からでもその覚悟が間に合うのなら。僕は今度こそ誓おう。この先何があっても、絶対になのはを護るって。たとえ彼のように、この身を盾にしてでも。
「全く無理をしたもんだね」
ベッドで眠る優雨を見ていたら、自然と口が開いた。
フェイトはさっきまでずっと泣いていたけど、きっと泣き疲れたのだろう。今は優雨のベッドに寄り添うように眠っている。
そんなフェイトに毛布を掛けてやりながら、優雨の苦しげな顔を見る。
しっかり検査しなくても分かる。優雨のリンカーコアはもうボロボロだ。これ以上魔法を使ったら確実に壊れる。もしそんなことになったらもう二度と魔法が使えなくなるかもしれない。
「なんであんたは、こんな無理をしたのかねえ」
口ではそう言うが、理由はだいたい見当がつく。なにせ、こいつは馬鹿みたいに優しい奴だからね。他人が傷つくのを黙ってみてられないってくらい。
だけど、少し怖くなる。
つまりこいつは誰かが傷つくくらいなら、自分が傷ついてもいいって自然と思えてしまうような奴ってことだ。
それは確かに立派に聞こえる。実際、英雄物語なんていつもそんなものだ。
だけど、それはつまり自己犠牲の精神。他人を守るために簡単に命を投げ出すような心を持ってるってことだ。
それはとても危険な心だし、そんなの間違ってる。
人は他人よりも自分を大切にするべきなんだ。じゃないと、簡単に自分を殺すことになる。自分が好きだからこそ、人は生きてられるんだ。
だけどそれは、きっとフェイトも一緒だと思う。よくよく考えてみると、優雨とフェイトは似ているのかもしれない。どちらも、驚くくらい優しくて、強がっていて、そして他人のために平気で無理をする。
だからこそ、優雨を見てるととても怖くなるのだ。
すぐにでも消えてしまいそうで。あの寂しそうな背中が、無表情だけど優しさを持った顔が、どこか遠くへ行ってしまいそうで。
そしてそれは、あたしはもちろんフェイトも悲しむことだ。むしろ今日の様子を見ていると、もし本当にそうなったとき、フェイトは耐えられるのだろうか。それを想像しただけで、体が震えてしまう。
そんなフェイトは、絶対に見たくない。
だから、あたしは誓う。絶対にこいつを守ってやると。
「絶対に死なせないからね」
だけどその誓いすら超えて、優雨が自分を貫くなんて、この時のあたしは思っていなかった。
どこかで誰かが、心配してくれているような、そんな気がした。
優雨
目を覚ました俺はジュエルシードの反応を見つけ痛む体に鞭を打ちそこへ向かう。
なのはとフェイト、ジュエルシードを挟んで向かい合う二人は再び戦いを始める。
しかしそこに青白い光が下り立った。
次回 「執務官」
優雨「一周したか」
作者「ほんとは同じ人はやらないようにしたかったんだけどねえ。アリサやすずかは出番がまだ先
だし、当然管理局側もまだだし、高町家はまだおまけだし」
優雨「まだ、か」
作者「そこに突っ込むな!ネタバレするだろう!」
優雨「それもそうだな。さて、次話では俺がさらにボロボロになるそうだな」
作者「私のせいだが物語的には自業自得だ」
優雨「そうだな。気にしないでいいぞ」
作者「………(なんか、すごい罪悪感が)」
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作者「今回はだいたいほとんど書き直しました!」
優雨「それぞれの最後は前と一緒、または近い形にしているとはいえ、ずいぶん修正したな」
作者「心理描写ばっかりの話だったからね。同じ場面を別の視点で何度も書いてた部分を消したり
したから、その分直さなくちゃいけないところが出たり、ユーノなんて修正前は優雨と話し
たりしてなかったからかなり変更しなくちゃいけなくなったし」
優雨「アルフのところだけはほぼ前の通りだな」
作者「気力が、持たなかった」
優雨「おい」
作者「でもそこまで直す必要があるとも思えなかったから、別に大丈夫」
優雨「……まあ、それならいいか」
作者「ではまたいつかお会いしましょう!」
優雨「もし遊戯王に興味があったら、同時投稿中の「遊戯王TAKEⅡ」もよろしく頼む」
作者「オリジナルからスタートしてるけど楽しくなるよう努力していますので、感想意見など向こ
うの方によろしくお願いします! では、ノシ」