魔法少女リリカルなのはEX・S 過去にとらわれた転生者 作:レイレナード
さてようやくといった感じでここまで来ました。まだ物語的には半分くらいですけど。
では、どうぞ。
アースラに来てから10日たった。
ジュエルシードはなのはたちが4つ。フェイトたちは推定で2つ集めたらしい。
俺ももうだいたい大丈夫だが、戦場に出てはいない。と言うのもジュエルシードが見つからないからだ。
ジュエルシードは管理局が探し、その報告を受けて初めて俺たちは動ける。報告がないことには動きようがないのだ。
と言ってもまだ全快ではない俺よりもクロノやなのはたちの方が優先で出動するので俺の出る幕はなかなか来ないのだが。
だが、それはそれで都合がいい。
アースラのデバイスルームの使用許可を得た俺は、アイギスの整備をした後、新デバイスとアイギスの改良パーツ、そして新システムの作成をしているのだ。デバイスのパーツは余っているものを使用していいとクロノから言われたので、新デバイスやアイギスの改良パーツ方は順調に進んでいる。逆に新システムは細かな調整が難しく難航していた。
結局、昨日システムの完成が3ヶ月後と予想されたので一時保留とし、デバイスのみに集中しているところだ。
既に9割がた完成しており、あとは微調整のみとなっている。
「デバイスをわずか3日でくみ上げるとわな。君には驚かされてばかりだ」
クロノが関心半分、あきれ半分で言う。
「設計はアースラに来てからずっと考えていたからな。設計図のあるものを作るならそれほどかからないさ。もっとも、構造が簡単だからと、この設備がいいからこそ早くできたというのはあるがな」
「いやあ、でも技術もすごいと思うよ」
俺の横で新デバイスの設計を手伝ってくれているメガネをかけ、白衣を着た女性、マリエルさんも会話に混ざってくる。マリエルさんはデバイスマスター、つまりデバイスの整備や開発をする資格を持った人だ。
「これならすぐにデバイスマスターの資格がもらえるんじゃないかな」
「そうか?なら機会があれば取りに行くのもいいかもしれないな」
しかしそうなると、必然的に管理局の方にかかわりに行くことになるのか。デバイスのパーツとかをもらえる利点があるからそれはそれで悪くないが、これはしっかり考えてから行くべきだな。
「そう言えばクロノ。ジュエルシードはやはりまだ見つからないのか?」
俺の質問に、クロノは苦い顔をする。
「ああ。今、捜索範囲を海まで広げているところだ」
「………もしかしたら、もう地上にあったジュエルシードはすべて回収できたのかもしれないな」
俺のつぶやきにクロノが反応する。
「僕もそう考えている。だが海の中から探し出すのは困難だ。少し時間もかかるだろう」
クロノの言葉を聞き、俺は何か嫌な予感がした。ふと脳裏に金髪の少女がかすめる。
「………海中にあるジュエルシードを一気に見つける方法はある」
「何?」
突然の俺の言葉にクロノが驚く。
「ジュエルシードは魔力を流し込むことで強制発動が可能だ。それを海の中に流し込めば」
「………確かにそれならジュエルシードは強制発動し、発見することはできるが、海は広い。それがたとえ海鳴市周辺のだけだとしても、ジュエルシードにうまくその魔力を流し込むことができるかわからないぞ」
クロノの指摘に俺は頷く。しかし、「だが」と俺は続けた。
「電気変換をすればその問題は解消される」
魔力から変換された電気とはいえ電気は電気だ。純水でない水を通れば電気は広く浸透する。それを海に広範囲に展開して放てば………
「確かにそれならさっきの問題は解決するが、一気にいくつものジュエルシードが発動することになるぞ。危険すぎる。それに僕らには電気変換ができる魔導師がいないだろ」
クロノの言う通り、俺たちには電気変換が可能な魔導師はいない。だが、
「あいつは、フェイトは、電気変換資質を持っている」
「え?………な!?まさかそんなことっ」
瞬間甲高い音とともに赤いライトが光り出す。
「警報!?」
『クロノくん!すぐにブリッジに来て!あの子とジュエルシードが!!』
「何!?」
「っ!!」
嫌な予感は、当たってしまった。
私は嵐の中にいた。
肌に当たる雨はとても痛い。だけど、私はそれを気に留めるほどの余裕はなかった。
私たちが手に入れたジュエルシードは6つ。管理局は推定7つ。1つは優雨が破壊しちゃったから残りは7つ。
地上は管理局だって動いているのだからおそらくもう無い。となれば、残りはおそらく、このあたりの海の中。
潜って探すことはできない。
だから電気に変換した魔力を打ち込んで強制発動させて捕まえる。
《だけど、フェイト、大丈夫なのかい?》
アルフが心配そうに念話で聞いてくる。だけど、
《大丈夫。私、強いんだから》
私は自分を奮起させるようにアルフに念話でかえし、サンダー・レイジを発動した。足的に展開した魔方陣からいくつもの雷が海に降り注ぐ。
膨大な魔力を使用したせいでかなり疲労した。
しかし、目論見通りジュエルシードの発動のあかしである魔力の柱が7つ海から飛び出してきた。それらは海の水をまきあげ、竜巻を起こし始める。
後は封印するだけだ。
「行くよ、バルディッシュ!」
『Yes. sir』
だけど、ここからが本当に大変だ。
私はもう一度決意を固めて、まるで生き物のように動く7つの竜巻に向かって飛翔した。
「フェイトちゃん!?」
私はアラートを聞き急いでブリッジに来たのだが、そこには嵐の中7つの竜巻に挑むフェイトちゃんの姿が映し出されていた。
「何ともまあ、無茶をする子ね」
リンディさんはあきれたように、しかしとても心配そうにそれを見ている。そう、”見ているだけ”だった。
だけど私は、今にも落ちてしまいそうなフェイトちゃんを放っておけなかった。
「あ、あの!私急いで現地に………」
「その必要はない」
だけど、クロノくんがそれを許してはくれなかった。
「ああしていれば彼女は自滅する。仮に封印できたとしてもかなり消耗しているだろう。そこを取り押さえればいいんだ」
その言葉に私は絶望する。
「で、でも」
「捕獲班の準備を」
クロノくんは私を無視して周りに指示を出す。
希望を込めてリンディさんを見てみるが、
「残酷に見えるかもしれないけど、これが最善」
リンディさんはとても硬い表情でそう言ってきた。
私は希望を失ったかのように思えた。管理局としては確かにそれがベストかもしれない。だけど、私は………
「艦長!AAクラスの魔力反応が戦闘区域に転送されてきます!これは………優雨くんの魔力反応!?」
「何ですって!?」
「優雨くん!?」
アースラの転送装置。その上に立って、しかし発動を準備するのは自らの転送魔法。
たぶん管理局はあの戦場への転送を認めてはくれない。だから、自分で行く。
「アイギス、できるだけ無理はしないつもりだが、もしかしたらリミッターを外すことになるかもしれない。そこまでいかなくともレベルBくらいは出すことになる」
『この状況ではしかたがないでしょうね。しかし今回は本当に特別ですよ!』
「わかってるさ」
そして俺は転送魔法を発動し、フェイトの結界内へと飛び込んだ。
すぐにバリアジャケットを展開し、フェイトを探す。
するとフェイトはすぐに見つけることができた。しかしその時、フェイトに向かって4つの竜巻が稲妻を巻き起こしながら迫っていた。
「っ!アイギス!」
『レベルBスペル「セカンド・ドライブ」!』
「同時に「ジャンプ・ステップ」!」
セカンド・ドライブは身体強化魔法だ。これの前にレベルCのスペル「ファースト・ドライブ」そしてレベルが上がるごとにセカンド、サード、ファイナルと上がっていく。このドライブシリーズの特徴は単純にスピードを上げるとかではなく一つ一つの動作や思考、判断などのスピードを上げるものだ。普通とどう違うかと言えば飛行速度は変わらないが、走る速度は上がる、といった感じだな。
今回これを使ったのはジャンプ・ステップを高速で連続使用するためだ。動作と思考のスピードが上がっているおかげで即座に次の術式を発動できる。この組み合わせは高速戦闘において大きな力を発揮してくれるのだ。
そして今回の意味は急いでフェイトのもとに行くため。
常に移動しているフェイトのもとに行くためには一度の転送では転送しているうちにフェイトと離れてしまう可能性がある。だから何度かに分けて転送していった方が確実なのだ。
結果として3度の転送でフェイトの横に転送に成功しそのままフェイトをつかんで再び転送。今度は1回で大きく転送して距離を取った。
見ると、さっきまでフェイトがいた場所には4つの竜巻がぶつかり合ったところだった。
「ふう。危なかったな、フェイト」
「ゆ、優雨!?体は?大丈夫なの!?」
フェイトは俺に迫りながら聞いてくる。
「あ、ああ。まだ無理はできないが大丈夫だ」
そう言ってやるとフェイトはとても安心したように胸をなでおろした。
「そっか、よかった」
「さて、まずはあれをどうにかしないとな」
俺はいまだに暴走を続けている7つのジュエルシードを見て言う。
実際どうしたものか。
やはりレベルSのあれを使うつもりでいくべきか………。
その時、頭上が光った。
その光は俺が落ちた時に助けてくれた光と同じもの。そこにいたのは桜色の魔力を持つ、頑張りやで、時々危なっかしい、とても頼りになる白い魔導師。
まったく、
「遅いんだよ」
「優雨は何をしているんだ!すぐに通信をつなげ!」
「は、はい!」
周りが騒がしくなる中、私は画面にくぎ付けだった。
優雨くんは、どうしてすぐにあそこに行ったの?
――あの子を助けたいから。
まだ指示は出てないのに。
――そんなことは関係ない。
どうして?
――そうしたいからじゃないかな?
そう、したいから。
心に浮かんだ疑問にすぐに答えが出てくる。すると自然と、優雨くんの言葉が聞こえてきた。
「前にも言っただろ。お前は、どうしたいんだ?」
わたしは………
《行って、なのは》
問いに答えられないでいると、ユーノくんが念話を送ってきた。
《ゲートは僕が開くから》
《ユーノくん、だけど………》
《僕は大丈夫だから。それになのはは僕を助けてくれたから、だから僕もなのはを助けたいんだ。だから、行って!》
《ユーノくん………》
ユーノくんが背中を押してくれる。これは命令無視になる。私だけじゃなくユーノくんも大変になっちゃうかもしれないのに、それでもユーノくんは私を助けようとしてくれていた。
………そうだね。迷ってなんかいられない!
優雨くん。私は、フェイトちゃんを助けたい!!
《ユーノくん、お願い!》
私は決意を固めて転送ポートに向かって走った。
「な!?君は!」
「!?」
私たちに気付いたクロノくんとリンディさんがこちらを見る。だけど、ユーノくんが私をかばうように両手を広げてくれる。
私は幸せ者だ。こんなにもたくさんの人が私を支えてくれている。だからそれに応えるためにも、今はあそこに行く!
そして私は、転送ポートの上に立った。
「ごめんなさい!高町なのは、指示を無視して勝手な行動をとります!」
「あの子の結界内へ、転送!」
ユーノくんの魔力色。緑色の温かい光が私を包む。
そして、すぐに襲ってきた浮遊感。私はフェイトちゃんの結界内へ入ったのだ。場所は空の雲よりも上。
この下に優雨くんとフェイトちゃんがいる!
「行くよ、レイジングハート」
もう一度決意を固めて言う。
「風は空に、星は天に」
あの日、優雨くんのおかげで分かった自分の気持ち。
「輝く光はこの腕に」
その思いは少しも色あせることはなくて、
「不屈の心はこの胸に!」
だから私は、フェイトちゃんと話したい!
「レイジング・ハート!セーット・アーップ!!」
『スタンバイ・レディ』
だからまず、二人を助ける!!
「フェイトの邪魔を、するなあああ!!」
アルフがなのはに向かって咆哮し跳びかかろうとしたのですぐさま止める。
「待て!アルフ!」
「!?」
フェイトを抱えたまま、ジャンプ・ステップでアルフの前に移動する。
これでさすがにアルフも止まるしかない。
「大丈夫だ。なのはは敵じゃない。それよりも、今はあれを何とかしないと」
俺はアルフとフェイトの二人に諭すように呼びかけた後、今だ暴走を続ける7つの竜巻を見る。
「優雨の言う通りだよ」
突然横から聞こえる声。そこにはバリアジャケットを着たユーノがいた。
「7つのジュエルシードの強制発動。このままじゃ融合暴走の危険がある。そんなことになったらもう僕らじゃ手に負えない。早く何とかしないと!」
融合暴走、か。一つの暴走で次元振とやらが起きるほどだ。それが融合すればそれによっておこる災害はきっと俺の予想を軽く上回るだろう。
「わかった。ならまずは………」
『君たちは何をしてるんだ!!』
ユーノの話を聞き、皆に指示を出そうとした時、アースラから連絡が来る。それにすぐに反応したのは俺ではなくなのはだった。
《命令無視はあとでちゃんと謝ります!でも、ほっとけないの!》
その必死な声はクロノ達を黙らせるには十分だったが、俺も応答しておく。
《クロノか。悪いが、話は後だ。このままじゃ海鳴市の方にも被害がでる可能性がある》
『何?どういうことだ』
《後で話す》
俺はそこで通信を強制的に切り、俺を見ている4人に振り向く。
「なのは、フェイトにお前の魔力を分けてやってくれ。そのあとは二人とも封印の準備をするんだ。タイミングは任せる。残りはあの竜巻を何とか抑える。なのはとフェイトの邪魔をさせないようにな」
「「わかった!」」
「しょうがないね」
「…うん!」
なのはとユーノはすぐに返し、アルフとフェイトも決心したようだ。
「なら、行くぞ!」
そして俺とユーノとアルフはそのまま竜巻へ向かい、フェイトとなのははその場で魔力を回復したのちチャージを始めた。
「ストラグル・バインド!!」
「チェーン・バインド!!」
ユーノとアルフがそれぞれの魔法で7つの竜巻を縛り上げる。
いや竜巻を縛るってどんな現象だよ。
内心でそう突っ込みつつ、今の俺にできることを考える。
俺にはそう言ったバインド系の魔法はごく普通のバインドしかない。しかしそれであれを抑えるのは無理だろう。
なら俺がすべきことは………
突然、それぞれの竜巻から稲妻が吐き出されなのはとフェイトを襲う。
ああいった抑えようのないものから、あの二人を護る!
俺は稲妻が二人に届くよりも先に二人の前に転移した。そして、
「アイギス!」
『ディフェンス・フォーム!』
できるだけ広くディフェンス・フォームを展開する。
稲妻といっても、所詮はジュエルシードの暴走によって作られたもの。すなわち魔力があんな見た目で放出されているだけ。稲妻に変換されているわけでもない。なら、これで分解することができる!
思った通り、稲妻はディフェンス・フォームに当たったところから霧散する。
これで守りは大丈夫。あとはなのはとフェイト次第だ。
俺が後ろを確認すると、すでに二人ともチャージに入っていた。
後は、合図を待てばいい。俺は、それを待ちながら向かってくる稲妻を防ぎ続けた。
「行くよ、フェイトちゃん」
『ディバイン・エナジー』
彼女が私に杖を向けるとそこから桜色の魔力があふれ、私に吸い込まれていく。
「…!」
すると、徐々に消費した魔力が回復するのを感じた。優雨が言った通り魔力を分けてくれたのだろう。
バルディッシュの元々展開していたサイズフォームの刃が再び展開される。
「ユーノくんとアルフさん、そして優雨くんが止めてくれてる。だから、今のうちに」
彼女はしっかりと前を見て、
「二人でせえので、一気に封印!」
そう言って前に向かって飛翔する。
彼女はどうしてあんなにまっすぐに私を見るのだろう。
私と彼女は敵同士だ。これまでだってずっとジュエルシードをかけて戦ってきた。
だけど彼女は、そのたびに私と話そうとした。まっすぐに私を見て………。
そんな私の迷いをよそに、彼女は封印の準備に入る。彼女の足元にはこれまで見たことがないほど大きな魔方陣を展開していた。
『ceiling mode』
迷いがはれず、それをただ黙って見ていたら、指示も出していないのにバルディッシュが槍の形態であるグレイヴフォームをとる。大威力魔法を使う時の形態だ。
「バルディッシュ?」
『get set』
バルディッシュが励ましてくれいている。そんな感じがした。
私はもう一度彼女を見た。すると、彼女もこちらを見ていた。その眼は私を信じている眼。自分達ならあれを一気に封印できる。だから、一緒にがんばろう。そんな思いがあふれ出ていた。
あの眼に、気持ちに、私は応えたい………!
私はそこでようやく迷いを振り切る。そう。こんな時に、迷ってなんかいられない!
私は封印のための大威力魔法を使う準備を始めた。
私はフェイトちゃんの前、少し上に向かって飛び立ちながら考えていた。
クロノくんたちから来た通信。気付けば私は反射的に答えていた。
「放っておけない」私はそう言った。
だけど、それでどうして自分がフェイトちゃんにこだわるのかが、少し分かったのだ。
私は5歳くらいの時1年ほど一人でいることが多かった。だから、一人でいることの寂しさや悲しさは、少しだけど分かると思う。
その時は優雨くんが助けてくれた。
強がって、無理をしていた私を叱ってくれた。
だけど、私にはそれはできない。
ちゃんと理由も知らないのに叱るなんてことできるはずがない。
だから私は、私にできる方法でどうすればいいのかを考える。
私が一人でいたとき、一番してほしかったこと。
それは、大丈夫?って聞いてくれることでも、優しくしてくれることでもない。
私が、本当に望んでいたことは………。
………
ああ、やっとわかった。私はこの子と………
考えているうちに私はちょうどいい距離になったのでそこで飛ぶのをやめ封印砲の準備に入る。
「ディバイン・バスター、フルパワー!行けるね?レイジング・ハート!」
『All right. My master』
そして私はフェイトちゃんを見みる。自信を込めたその眼で。
すると、同時にフェイトちゃんもこちらを見たところで一瞬目が合う。それが、なんだかとても嬉しかった。
それからフェイトちゃんはすぐに魔方陣を展開。フェイトちゃんの周りに黄色い稲妻が流れる。
それを見て私はほんの少し間を開け、
「せえのっ!!」
と、合図を出した。
俺は考えていることがある。
俺がフェイトに触れたのは2回。そのどちらもが切迫した状況だったせいもあり、レアスキルの発動を止めることができなかった。
結果として俺はフェイトの過去、記憶に残る強い思いをほとんどすべてみてしまった。その結果、最初から感じていた違和感はさらに大きくなったのだ。
最初はフェイトが母――プレシア・テスタロッサ――に虐待を受けていること、そんなプレシアのために、フェイトが頑張っていることが強く見えた。
さらにその後フェイトの記憶は、幼少期のまだプレシアが優しかったころからリニスという使い魔との魔導師訓練の終わりまでを見ていた。そこで強く残っていたのは、リニスとの別れ、アルフとの出会い、プレシアが働いていたであろう場所が強く光ったこと、そして、プレシアとピクニックに行ったこと。
今回の2度目で違和感の正体が分かった。その一つ疑問。プレシアが働いていたであろう場所が強く光ったとき、つまりプレシアが働いていた場所での実験が失敗した時のことだ。記憶だけなので、それがどれほどのものかを正確に知ることはできないが、あれだけの光だ。その被害も大きいものだったに違いない。ならそれを直に見ていたフェイトは本当に無事だったのだろうか。
そして、もっとも大きな違和感は、その時の記憶以降のフェイトの性格や魔力資質などが変わっているような気がするのだ。あの事故が起こる前のアリシアはこの記憶が確かなら魔力資質は低く、その性格はもっと明るく、積極的だった。しかし事件後は高い魔力資質を持ち、その性格もおとなしく引っ込み思案になっていたのだ。さらに、その事故よりも前の記憶ではプレシアはフェイトを「アリシア」と呼んでいた。
これらの違和感が何を意味するのか、なぜプレシアはフェイトに対しての態度をこうも変えてしまったのか、今の俺にはわからない。
だけど、フェイトのことを考えると、とても放っては置けない。
俺は、フェイトにこれ以上無理をしてほしくなかった。
もっと心から笑ってほしかった。
だから、俺はもっとフェイトを知りたい。
でなければ、手を差し伸べることなどできないから。
そして、今の俺に残された、フェイトのことを知る方法は一つだけだ。
ならば俺は………
「せえのっ!!」
「!」
後ろからなのはの合図が聞こえた。
俺は急いでアルフとユーノに念話を送る。
《来るぞ!すぐに離れろ!》
《あいよ!》
《わかった!》
二人の反応は早くすぐにバインドを解き飛び立つ。俺もすぐにシールドを解いてジャンプ・ステップでその場を離れる。
「サンダー・レイジ!!」
「ディバイィィィーン・バスター!!」
直後、二人の叫びとともに膨大な魔力が解き放たれ7つの竜巻を巻き込んだ。
フェイトは雷を、なのはは砲撃を放ったようだ。
『凄まじいですね。7つのジュエルシード、すべての封印を確認しました』
「あの魔力量は、少しうらやましいな」
俺が、驚き半分、あきれ半分にそれを見ていると、いつの間にか封印による余波は消え、嵐も終わっていた。雲の間からさす日差しがいくつもの柱となって海に降り注ぐ。その光景はとても幻想的だ。
そして、その日差しの中で、フェイトとなのはは向かい合っていた。
アースラ艦内。
僕は結界内での戦いの映像を見ていた。
そこに映っているのはなのは、優雨、ユーノ、フェイト、アルフの5人。そしてその中で僕が見ているのはフェイトだ。
7つのジュエルシードの強制発動。確かに優雨の言った通り、確実にジュエルシードを見つけることのできる方法だ。だがその危険性はさっきの通り。それだけのことを彼女はやろうとしていた。
一体何が彼女をそこまで突き動かすのだろう。その自分を犠牲にするその姿勢は優雨にダブって見えた。
………今回で、ちゃんと保護できればいいんだが。
その時動きがあった。
ユーノとアルフ、そして優雨がその場と飛びのき、なのはとフェイトが同時に封印を発動したのだ。
その圧倒的な光に思わず目を細める。
「な、7つのジュエルシード、すべての封印を確認!」
エイミィから信じられないといった感じで報告する。それは、僕も同じだった。
「こんな、無茶苦茶な」
思わず、そんなことを言ってしまうほどに、僕は驚いていたのだ。
だけど、母s………艦長はどこか楽しそうに言う。
「でも、すごいわ」
それには、同意するしかなかった。
全てのジュエルシードの封印を終え、私は、フェイトちゃんの前にいた。
そこに封印された7つのジュエルシードが表れる。
それを見て、そして意を決しフェイトちゃんと向かい合う。
「フェイトちゃんに言いたかったこと、やっとまとまったんだ」
しっかりとフェイトちゃんの目を見ながら自分の気持ちをはっきりと話す。
「私はフェイトちゃんといろんなことを話して、いろんなことを分かち合いたい」
私が一人の時、私が一番してほしかったこと。私がフェイトちゃんにしてあげられること。それは嬉しいことや楽しいこと、そして、悲しいことや寂しいことを分かち合うこと。
そう。わたしはこの子と分け合いたいんだ。
「友達に、なりたいんだ」
「………!」
フェイトちゃんは、驚いたように私を見る。
やっと言えた私の気持ち。
それが、フェイトちゃんにちゃんと伝わったかどうかはわからないけど、でも素直に言えた。
それはきっと、優雨くんのおかげ。
優雨くんはそんな自覚ないかもしれないけど、優雨くんは私に、魔法の言葉を教えてくれたんだよ。
なのはは、どうしたいんだ?って。
だから私は頑張れた。自分の気持ちをフェイトちゃんに言えた。
全部優雨くんのおかげなんだよ。
優雨くん。ありがとう。
どこかで誰かが、優しく私たちを見てくれているような、そんな気がした。
ユーノ
ついに自分の気持ちをフェイトに伝えたなのは。
しかしそこに来るのは巨大な稲妻。
そして優雨は彼女たちと共に………
次回 「母の願い」
作者「いやあ、ようやくここまで来ました」
ユーノ「………」
作者「ん?どうした?」
ユーノ「………別に」
作者「ああ。優雨に嫉妬でもしてるな?」
ユーノ「な!?ち、違うよ!そりゃ確かになのはは優雨のことばっかりで、今回も僕だって頑張っ
たのに最後は優雨だったけど、別に嫉妬なんて………」
作者「ハッハッハッ!まあ、主人公だからね!」
ユーノ「だから違うって!!」
作者「はいはい。まあ、なのはだっていい子だから、ちゃんとユーノにだって感謝してるって」
ユーノ「そ、そうかな」
作者「そうだよ。だからこれからもがんばれ!出番の問題とかもあるけどね!」
ユーノ「一言余計だよ!!」
作者「それでは、また次週!」ノシ