魔法少女リリカルなのはEX・S 過去にとらわれた転生者   作:レイレナード

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続きです。


Episode0 プロローグ2・最初の1年(改)

 あれから数日が立った。

 

 もともと一人で暮らしていたから何とかやっているが、やはり5歳というのは辛いところがある。

 

 家事は台の上に立たなきゃできないし冷蔵庫から物を取り出すのも一苦労だ。買い物をしてる時も、棚の上のほうにあるものを取るときは台を用意するか、店員の人に頼まなくてはならない。銀行に金を下しに行く時も、周りの人から不審な目で見られる。

 

 ………早く大人になりたいものだ。

 

 なお、毎月の電気代や光熱費などは自動支払いになっていた。おそらくプリエルがやってくれていたのだろう。

 

 さて、デバイスのほうだが、とりあえずデバイスといえば戦闘するときによく使うことになるだろう。なら、まず戦闘するときの自分の戦い方を考えよう。

 

 自分に合った戦い方が見つかったら、その機能をデバイスに入れていけばいい。

 

 それに魔法だけに頼った戦いも避けるべきだろう、ということで、鍛えることにした。この5歳児の体が壊れない程度に、しかし毎日厳しく鍛えていく。

 

 それとレアスキルだが、非常に遺憾ながら、どうやら俺のそれは「対象物の記憶を見る」というもののようだ。

 

 それは、人に限らず、モノや、その場所などの歴史を見るようなものだ。しかしこれには大きな欠点がある。それは、見ることができるのが、その対象物に強く残っている思いしか見ることができないということだ。

 

 思いというのは実はその場に残るもので、強い思いなどはそれだけ長く残っているものらしい。逆に弱い思い、ようはどうでもいい思いなどは長くは残らずすぐに消えてしまう。俺はその強い思いが宿った時のその情景、つまりは記憶を見ることができる、ということらしい。………まるで人の心を除いているようで、正直嫌いな能力だ。

 

 実例を挙げるなら、街を把握するためにいろんなところを歩き回っていた時、公園に出たのだが、その公園に残っていた記憶を無意識に見てしまったことがある。

 

その公園に残っていた記憶はツインテールの小さな女の子が一人で泣いているものだった。その女の子はつらいのをグッと我慢して強がって笑っている。おそらく誰も頼る人がいないのだ。「みんな大変なんだから、私がわがままを言って困らせちゃだめだ」と。

 

 その子が誰で、今どうなっているかまではわからないが、その子とその家族たちで乗り越えてくれることを祈る。

 

 なお、人を対象にした場合どうなるかは知らない。試すわけにはいかないからな。他人の記憶を勝手にみるようなまね………

 

 

 そんな日々を1ヵ月ほど送ったある日、突然プリエルと家に訪れてきた。

 

 「急にどうした?」

 

 そんな当然とも言える俺の質問にプリエルは、

 

 「あの、しばらくここにいてもいいですか?」

 

 「………は?」

 

 よくわからない答えを返した。

 

 

 正直どうなることかと思ったが、特に問題なく俺の日常はその異質を受け入れていた。今では魔法に関していろいろと教えてもらっている。

 

 言い忘れていたが俺の魔力ランクはAとかなり高めになっている。

 

 魔力の資質などは俺の希望を妨げないために、やろうと思えばすべての技能を扱えるようにしてくれたらしい。もっとも代わりに特筆したものなどがない。そこで今は魔力制御を中心に練習している。

 

 

 

 そんな日々が続き、ついに来月には小学校に入学することになった。正直行きたくない。

 

 小学校はそれなりに楽しかった記憶があるが、さすがに今更である。しかし、たとえ自分が特異な存在だとしても義務教育(決まり事)には従わなければならないとはプリエルの言葉だ。

 

 ………まさかこいつに言われるとはな。

 

 しかし、ならば入学までにやっておかなければならないことがある。それはレアスキルの制御の練習だ。

 

 今のまま小学校に行ったらみんなの記憶を見てしまうことになる。まだ小学生だ、なんていう言い訳をするわけにはいかない。故に、これを最優先として多少ほかのことがおろそかになってでもそれに努めていった。

 

 

 努力の甲斐あって、どうにか入学前までに何とかした。これでできるだけ誰もいない開店直後だとか象徴だとかに買い物に行かなくて済むと思うと、少し気が楽になる。

 

 また、その間に自分の魔導師としての戦闘技能などもだいたい決まってきた。戦法はオールラウンダーだが、どちらかといえば遠・中距離に重点を置くことになる。

 

 そして今日デバイスの名を決めることとなった。

 

 デバイスは要望通りインテリジェントデバイスで、待機状態では黒いクリスタルとなりペンダントのように首から下げるようにしている。

 

 『管理者権限、認証システム起動。コンタクト開始』

 

 落ち着いた女の人の声がデバイスから発せられる。

 

 「管理者を認証、億夜 優雨」

 

 『認証確認。術式を設定してください』

 

 「ミッド式だ」

 

 『名称と愛称を登録してください』

 

 「名称はアイギス。愛称も同じで」

 

 『登録完了しました。バリアジャケットを登録します。既に登録してあるもので最適化しますがよろしいですか?』

 

 「かまわない」

 

 『了解しました。………登録完了。確認のためデバイスとバリアジャケットを起動します。よろしいですか?』

 

 「大丈夫だ」

 

 いったん息を吐き気合を入れなおす。

 

 「アイギス、セットアップ」

 

 宣言すると同時にアイギスが黒く光り、俺自身も黒い光に包まれた。

 

 

 

 

 それから数日後、俺は今小学校の入学式に出ている。

 

 前にも言ったが正直かなりきつい。周りの甲高い声とテンションに全くついて行けてなかった。一応体が5歳児だからか、思考も多少は子供らしくなってはいる。しかしだからといって、俺には19歳まで生きた記憶が残っているのだ。今さら小1のテンションなど出せるはずがなかった。

 

 

 俺が入学したのは私立聖祥大付属小学校。

 

 ここはどちらかといえば金持ちが来るところだが、実際金に関しては全く問題ないくらいの額があった。それに俺の家からはいちばん近いところだったのでちょうどよかったというわけだ。

 

 あと、クラスに入ってわかったのだが、前に公園の記憶を見てしまったときにその記憶の中にいた少女が同じクラスにいることが分かった。

 

 しかもその名は高町なのは。原作でいうところの主人公だ。

 

 高町がいるということは、そのうち無印の事件が起こる可能性が高いということだ。もしそうなった時自分がどうするか、今のうちから考えておかなければならないだろう。

 

 

 そういえば高町の顔色はまだあまり良くない。

 

 なるべく表に出さないようにしているようで周りの子たちは気付いていないようだが、いろいろと経験してきた俺としては無理して笑っているのが丸わかりだった。

 

 しかしだからと言って、まったく接点のない俺ではどうすることもできない。俺は、それを黙って目を瞑ることしかできなかった。

 

 

 

 

 入学式から1ヵ月。プリエルはそろそろ行かなければならないと言い出した。唐突な話だが、いずれ近いうちにこうなるとは思っていたので、動揺はなかった。

 

 「ちょうどお前が来て1年か。思ったよりもあっという間だな」

 

 「そうですね。それにしても私はびっくりしてるんですよ?」

 

 「びっくりしてる?いったい何に………」

 

 俺が首をかしげていると、プリエルは苦笑しながら言った。

 

 「あなたが私と普通に接してくれたことです」

 

 「は?どういうことだ?」

 

 「だって、私は不可抗力とはいえ、あなたを殺した張本人なんですよ?そんな人(神)をあなたは責めようともせず、ただ一緒にいました。それがちょっと信じられないんです」

 

 その答えに、俺は少し拍子抜けした。俺は「なんだ、そんなことか」と答える。

 

 「前にも言っただろ?俺の人生なんてもう終わってたんだ。そんな俺に人生をやり直すきっかけをくれたのがお前なんだよ。むしろ感謝してるさ。ありがとな」

 

 それを聞いたプリエルは、やはり苦笑しながら言う。

 

 「………あなたは、やっぱり変わってますね」

 

 「………そうだろうな」

 

 そう。俺は変わっているのだろう。新しい人生を始めるというのに、結局俺は過去にとらわれたままだ。

 

 だけど、罪を忘れてのうのうと生きるよりは、きっと、ずっといい。

 

 「きっと俺は、ただ後悔を繰り返したくないだけだと思う」

 

 「………」

 

 「お間には話したよな。俺の過去を」

 

 「はい………」

 

 「お前は優しい言葉をくれたけど、やっぱり俺は自分が許せないから。だからきっと、俺はこうしているんだ」

 

 「………」

 

 俺の言葉を聞いたプリエルは顔を伏せてしまった。一度顔をあげ、何かを言おうとするが、声は出ず、その顔も長い前髪に隠れてしまい、わからなかった。

 

 「……どうした?」

 

 「………いえ………なんでも」

 

 「そうか」

 

 「………」

 

 「………」

 

 彼女が何を言おうとしたのか、なんとなく俺には分かっていた。だけど、俺はその思いを受け取ることはできない。それがわかっているから、彼女も何も言わないのだろう。

 

 「………そろそろ時間です」

 

 「…そうか」

 

 「………優雨さん。目を瞑ってください」

 

 「? なんでだ?」

 

 「いいから!」

 

 「あ、ああ」

 

 急に強く言われ、少しうろたえながらも指示通りにする。

 

 「………」

 

 「………」

 

 「(………私は、深くかかわりすぎたのでしょうか。最初はあなたへの罪悪感から動いていました。でも途中からあなたのことを知りすぎて、あなたを放っておけなくなりました。今では、私は、あなたのことが………)………私は、あなたに何もできないかもしれない」

 

 「………」

 

 「でもせめて、祈らせてください。その祈りが、きっとあなたを守りますから」

 

 「プリエル………」

 

 「あなたに出会えてよかったです。さよなら、優雨。大好きです」

 

 「!?」

 

 俺は驚いて目を開けた。

 

 だけどプリエルはもうどこにもいなかった。

 

 「大好きです」確かにそう聞こえた。その言葉を聞いたとき口を何かやわらかいもので覆われた感触があった。だけどそれは一瞬で消えて、なぜか体が温まるような感覚があった。

 

 それが全部一瞬でのことで、俺が驚いて目を開けた時には全部消えていた。

 

 あの感触はキスだったんだろうか?それにこの体が温まるような感じは………?

 

 ………いや、もう考えてもどうしようもないことだろう。

 

 これからは、もう誰の助けもない。本当の意味で新たな人生を歩み始めることになる。

 

 だったら、

 

 「強くなろう。二度と何も失わないように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………? ………どこ? ここ………」

 

 「あ! 気いついたんか?」

 

 「っ!? ………えっと、誰?」

 

 「うちか? うちの名前はなあ………」

 

 どこかで起こった小さな出会い。だけどそれが意味をなすのは、まだ先の話。




まだ続きます。
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